序幕 好きな人ができました-2


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216 名前:夢に見る ◆PvLsLjGm0M[] 投稿日:2010/06/01(火) 08:42:25 ID:VW1zZcgs [2/4]

>>入速貸本<<


          , ―-  _,「` ー‐-  _
            /: : : : : : : : :! : : : : : : : : : :` '. 、
         /: /: : : : : : : :!: : : : : : : : : : : : : : : ヽ
         ,': /: : : : : /: : | : : : i .:i : , : : : :, : i: : : ',
.        l./    ./: : : | : : : |:/! : !: : : : ', :,l: : : :',
         /. . : : : :/ : ,. ァl : : : |:| l:` l、.: : : : ハl. . , !
.        / : : /: : ,'/: / l: : : :l:! 、:'、\: : `' !: :!: :!
        /: : : ,': : .:l: : :/__l: : : :l| _ヽ_lヽ、.: .: ヽ |: :|
      ,': : : :l:i : : |: :/, 〒.、! : : :!  ,〒 ミ ヽ.: : : ヽ: :!      (入速先輩……大学行かずに就職したって聞いたけど、
       l: : : /!l: .: ,L/トi':::Nヽ: : :l  トi':::Nヽ_ヽ.: .: :',:l       本当にここなんでしょうか?)
      ヽ: :l. l|: :/ ム弋二ノ !`-l 弋二ノ l. ll.:〉、: l:!
       ヽ! ヾ {「 rイヽ二 .ノ , 丶、 二( ヾ 〉 : l: /l
         ,'.:〉! ヽ V ,/    o   ヽヽゥ 〉: : l/ l!
        ,':/.:,ヽ   )` tz---t '' 7'"  } `ヽ : : ',
          //.:/.{ ̄` ''くl:.:.:.|   l,. ┴ ''' ´l / ヽ: : :',
       //.: :|,/ミミ、、、 ヽ:|´ ̄ {  ,. ,., 彡!'  !:ヽ :',
      /.: .: / ` 、 ``ミ!:.l.   ハ彡' , - ' ` 、 |: :丶ヽ
     /: .: .: .: !    ヽ __}ヽ!  ,!/‐'"      l |: : : :\ヽ
    /: : .: .: .: :|       lヾ.! l |       { ! : : : : : ` ',



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| 九段下の路地を潜った先に、その小さな貸本屋はあった。
| 名を『入速貸本』。
|
| 贔屓目に見てボロボロ。日当たりも最悪。
| 埃で曇ったガラス戸の奥には闇が凝っており、
| じっとりとした外気よりもさらに重い『何か』の気配があった。
|
| 高良みゆきは悪寒に震え、背筋を嫌な汗が伝うのを感じた。
| 梅雨晴れの湿った暑さの中で、ここだけが異様だった。
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217 名前:夢に見る ◆PvLsLjGm0M[] 投稿日:2010/06/01(火) 08:42:44 ID:VW1zZcgs [3/4]
      r‐‐―‐}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ
      |.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
      |.:.:.:.:.:,'.:.:.:.:.:.:ト、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\.:.:.:.:.:.:.:.:.\
    /.:.:.:.:.!.:.:/.:.:.:i \⌒ヽ .:.:.:.:.:.:\.:i:.:.:.:.:.:.:.
.  /.:.:.:.:.:.:.:.⌒ト:.:.:.:!   \.:.:.:.:\.:.:.:.:.ヽ.:.:.:.:.:.:.i       (『入速……貸本』?
 /.:.:/.:.:.:V.:.:|.:/_、:.:.:i    ィrテトミ:.:.:.:.:.:.:.:.:.\:.:.:.:.|        あ……先輩の、実家ですか?
./.::.イ:.:.:.:.:j.:.:.:iハ心ヽ:::.、   !ト':::::jハ:.:.:.:.:.:.\:.:.ヽ:.:i        それに、奥のカウンター座ってるあの姿は……
/ !:.:.:.:/!:.:.:.!jヘv'ハ \! . Vヾ:イリ、:.\:.:.:.:}ヽ:.!:.:!        どう見ても入速先輩)
   、:.:.:ハ .:.:人 `゙' )-(   `,,¨´ ノヽノヽ/!:.:.ノ.:.i
   ヽ{  \リ:::.:Y'' '。 ` ー‐ /.:.:.:.:.:./.:i:.:.:.:.:.:!
      /:.:.:/)>...  . ...イ.:.:.:.:.:.:.:/__:ハ:.:.:.:.:.!
    ー=彡ノ`' ニ〈 {:::i:.:.::/.:.:./ ̄ ̄`ヽ/∧:.ヽ:.:.:!
  ⌒>∧/.   ̄、〉7:.:.:/:.:.:/       ∨∧:.:.\
  /.::://∧  xヘ_∨:.:/.:.::.イ        ∨/!:.:.:.:.:.
. /.:::////∧' )ー{.:.:.:i.:.:/リ       i//!:.:.:.:.:.


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| 汗で張り付く制服と長い髪を疎ましく思いながら、みゆきは今一度その店を見渡した。
| ガラス戸の奥にうっすらと、白くて丸い『モノ』が見える。
| あの柔らかそうな丸さは、趣味の悪い人形でなければ彼女の思う人物で間違いないであろう。
|
| みゆきは高鳴る胸を押さえ、小さく嘆息した。
|(ここまで来ちゃいましたけど、どうしたらいいんでしょう?
| もう少し、調べてくれば良かったです……あら)
|
| と、その目に一枚のチラシが映った。
| 古びたガラス戸に張られた真新しいA4のプリント。
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225 名前:◆PvLsLjGm0M[] 投稿日:2010/06/03(木) 13:09:33 ID:???
                  / ̄ >―───―-
             , -ー─ |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : `丶
             |: : : : : : l: : : : : : ヽ: : : : : : : : : : : : : : : \
.           |: : /: :.:|: : | : : : : l\ : ヽ: : : : : : : : :\: :ヽ
          j/ : /: :.|: : | : : : : |ー\‐丶-: : : : :.ヽ: :\ハ ┼
          /: : : / : : |/|l.: : : :.|   _\ }\: : : : : l: . : |:|
           /: : : / : : ∧ :八.: : :│ 行う示㍉ヽ: : : j\: |:| _人__
        /: : : : | : : ,′'x=ミ、 : : l、  |j:_ハ_jⅣ:.ヘ : / : :j/:| `Y´+   (アルバイト……募集?
         |: :/| :│ : | /イノ'ハヽ :{ :>弋_Yソ |│:.Vヽ: : :│ +      これは、渡りに船です!)
         | :ハ: : ヽ:小'{iヘ_Yソfj⌒ヾ、 ''  ̄  ,| j: : :! } : : |
         ∨ ヽ: : ト{ ハ ゞ'´/tー'^ヽ`ー‐ '´|/∨:|イ : :│
        ヽ   \!/\j__''_ノ ∨  }    / : : :.|│: :│
               |: :.:ノゝ, __/⌒'<_ イ.: : : :.:|⊥:.:八
               |: :/: :j: : |/ ノ`ーくヽ ∨: : : : : リ'⌒\丶
              ∨: :/ : /   ̄ヽ_)_)‐': : : : :〃    `、:\
            / : / /7   Y '´ ,ィ’ : /: :/       |: : :\
             /: : : / ∧{.   ノ // : : /: :/      │: : : :.ヽ
          /: : : /{ノ ヽ\ー/「 /! : :∧:/       ハ: : : : : :i
            /: :./ :厂\ \\ヽ∨∧ / 〃          {: ヽ.: : : :|


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|『アルバイト募集
| 週二日・八時間以上働ける方
| 年齢・経験問わず
| 給料は要相談』
|
| MS明朝でプリントされた、味もそっけもない募集要項。
| みゆきは目を輝かせ、その勢いのままにガラス戸を叩いた。
| 予想に反して建てつけは悪くなく、大きな音は鳴らない。
|
| 意を決して戸を開けるも、これまたするりと滑らかに開く。
| そして口を開くが、勢いで来てしまったために言葉に詰まる。
| と、助け船は意外な方向から来た。
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226 名前:◆PvLsLjGm0M[] 投稿日:2010/06/03(木) 13:10:04 ID:???


       ____
      /      \
     / ⌒  ⌒   \         いらっしゃい……あー。
   /  (ー) (ー) /^ヽ        ウチは一見さんお断りだお。
  |   (__人__)( /   〉|
  \   ` ⌒´  〈 / ⌒^ヽ
―――――――― \ _ _ _ )


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|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
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| 奥に座るやる夫が、目線すら向けずにそう言った。
| みゆきははねる心臓を抑え付け口を開く。
| この激しい動悸が、やる夫先輩に伝わってしまったらどうしましょう。
|
|「え……あの……。
| アルバイトの募集を見て、来ました」
|
| 驚いたように目を見開くやる夫。意外なほど俊敏な動きでカウンターを乗り越える。
| 雑多に積まれた本の山脈を華麗にすり抜け、みゆきの前へ。
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227 名前:◆PvLsLjGm0M[] 投稿日:2010/06/03(木) 13:12:49 ID:???


                  ,ヘ
      ____      / /
     /\  /\   / /    高良かお! 卒業以来だから半年ぶりだお!
   /( ⌒)  (⌒)\/  /     つーか、こんなあばら家に何の用だお?
  / :::::⌒(__人__)⌒:::::\ /
  |     |r┬-|       |      それにお前、受験じゃないのかお?
  \     ` ー'´     /        あとその髪、この時期暑くないのかお?
  /          \         なによりそのご立派なバストは半年でさらに育ったかお?
 /             \
/  /\           ヽ
 /   \          ノ
U      ヽ        ノ


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|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
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| まくしたてるやる夫。
| 『あなたが綺麗だと言ってくれたから、髪は切れない』とは言えず。
| 簡単に答えられるものを選択して回答。
|
|「大学は推薦で決まってしまいました。
| ですので、今の内に少しアルバイトをしようと思ったんです。
| できれば本がたくさん読めるような」
|
| 他の人ならともかく、やる夫なら納得してくれる理由。
| 『本の虫』。
| 二人をつなぐ糸。
|
| アルバイトと聞き、やる夫は一瞬困ったように眉をしかめた。
|「うちのバイトは安くて暇でお勧めできないお」
| それが彼の優しさ。事実なのだと知っているみゆきは、精一杯さりげなく微笑む。
| 気を緩めれば、喜びが満面に出てしまいそうで。
|
|「私の理想にピッタリです」
|_________________________________________________
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234 名前:◆PvLsLjGm0M[] 投稿日:2010/06/04(金) 08:11:55 ID:???
>>入速貸本 奥<<

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| |                   _,. -―- .、
| |                  /: : :::::: : : : : : : :.`丶
| |                / ::::::::::::: : : : : : : : : : : : \
| l               /:::::::::::::::; :' :/: : : : : : : : : : :'
| |.           ー‐ァ:::::::::::::::/:/:::::/; ' : : :/: : i: : ',
| |           i:::::::::::::::/:/:::::::/:::/::::///::::,'::!:!:',
| |           |'|::::::::::/:/:::::::/:_///:::,'/:::.!:!::l
| |              !:::;::::r/::::// ァ=ミ/ヾ::/,rト ノ |i}
| |            ハ;}::://:::/.| {:::リ/ ' ,イソ/'!/ノ
| |                 ハN:|i::::::::i| `¨   ‘,〃::/,/
| l                 _八!|:::::i|     - ィ}}/ ′
| |           _/:::ヽ  !ヽ|´丶r≦::/ノ
| └――――――/ー- 、: \ ':!ヽ\j/―――――――――――
..=============// ̄`丶\\\-―‐|lヽ========================
          |{    ヽ:::ヽヽ::Yニニ!|!ト、
           {   \  ヽ ヽヽi: : : |.|!| i
_______.( !    \.ハ::ヽ::i:.:. :|.|:l__i_ ___________
','////////////∧ .! , -‐'´ ̄`iヽヽ:iλi|.!==i、//////////__/////////
',','////////////∧.>':.,x====ヽヽヽ !|! !イフ//////,','/ヽ三`丶、./ヽ,
,','/////////////∧Y/ / ̄ マ’ ヽヽ! ヽ i//////,'/ /  `丶_{_/
,'///////////////,' ゝ--!    ヽ、 ハ::)ヽ/\//,',/ /    /////
','///////////////∧∧_ム     `丶、:::〉  ヽ< ./    ///////
',','///////////////∧∧_;_ゝ、      ` ‐-=λ'     /¨´i'´//////
,',',',///////////////∧∧:.:.:.:.:.:.`i.丶...、__     ` ー=‐'  / //////


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| どこの言語で書かれているか分からないような書物が乱雑に積まれた店内は、
| 不思議と法則性が見出せた。
| 足元の本の谷間には道があり、奥には二部屋。
| その二部屋は、どちらも整理が行き届いており、本は本棚に片付けられていた。
| そして、わずかな空間に二脚の椅子があり、その片割れには少女がちょこんと乗っている。
|
|「長門、バイト志望だお」
|
| ぶっきらぼうに声をかけるやる夫を無視し、少女は黙々と本を読む。
| 磁器のように滑らかな、人形めいた美しさにみゆきは茫然とした。
| 古ぼけた椅子で本を読む少女の姿が、絵画から抜けだしてきたもののように非現実的に映ったのだ。
|
|「……長t「聞こえている。続けてくれてかまわない」
|
| 本から視線を上げることなく、少女はそう言ってのけた。
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235 名前:◆PvLsLjGm0M[] 投稿日:2010/06/04(金) 08:12:21 ID:???

                               ____
                             /      \
                            / ─    ─ \
                          /   (●)  (●)  \
                          |      (__人__)     |   こいつがこの貸本屋の裏番、
                           \    ` ⌒´    ,/    長門有希だお。
                           /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
                          /      ,⊆ニ_ヽ、  |
                         /    / r─--⊃、  |
                         | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |


|lニニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三ニニニニ
|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| やる夫は諦めたように嘆息し、少女を示した。
| 少女の態度の悪さに困惑するみゆき。なんなんでしょう、この子。
|
|「よろしく」
|
| 相変わらず有希の視線は文字を追いながら。
| みゆきはついまじまじと少女を見つめてしまった。
| 制服を着ていることから、年齢はみゆきと大差ないのだろう。
| だがページをめくる手と、文字を追う目以外ほとんど動かぬ無機質さ。
| そこに底知れぬ何かを見出し、みゆきはたまらず目を逸らした。
|
|「アルバイト志望の高良みゆき。あんまり苛めるなお」
|「よ、よろしくお願いします!」
|
| やる夫に紹介されて、みゆきはようやく挨拶を返していないことに気付いた。
| 非礼に頬が染まるのを感じる。と、有希が初めて顔を上げた。
|_________________________________________________
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236 名前:◆PvLsLjGm0M[] 投稿日:2010/06/04(金) 08:12:59 ID:???

                 /ィ ,  /  /  / /                ヽ,
                   / / / /  /  / ,.'   │     ヽ        ヽ
                   / / /  l  |   /   |    | ヽ  ヽ.,  、      |
                  │ l  |   | ,∧ /、   |   \. | │ ヽ,    |
                  │ ィ   |   ,ヘ、 |_,| | \  |\, | `'j、│   |   |
                  レ │ ,ヘ  | _ゝ_メ._   \| _ハ,ヒ"_ヽ|   |. ! リ
                 ヽ | _ヽ Y 行ッr`、 _ jl イ:マ丁j>   /ヽ| !
                       ! _ヽ!、  ト、ン |´  `l.  トヘソ |  !) ルl/   ユニーク。
                  /_-、ヽ∧.. ニ  ' ,  ゝ .ニ イ  /ィ′
                 {/ _ ヽ`l i       _        ! ∧l
                 ヽ L`' ヽ.| \.    `′    , ィ' /!
                   \ ヽ  }!    、      / /,ヘリ
                    l    .ヘ     ri ー ´   l/  |
                  r'ン   /  , ィ' /j     /   ヽ
               r ‐' ヽ _jヽイ ::/     ,/      \
               /  三三三三ノ//、 ヽ.. ー /        _\
               | 三三三三/ , 'ヘ \/      , ´ __ ., --ヽ
             /ヽ三三三三 !/    〉′      // ´  ィ´三 !
            / 三三三三三/   /      //   /:: 三三l


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| まっすぐな瞳。そのあまりの綺麗さに、みゆきは顔の温度がさらに上がるのを感じた。
|
|「な、なにがですか?」
|
| ユニーク。悪い意味ではないと思うのだが……。
| みゆきは『特別』に価値を見いだせない。少なくとも、おかしなことはしていない。はず。まだ。
| だから、異端ではない。こんなところでまで、そんな目で見られたくはない。
|
|「こんな潰れそうな貸本屋でアルバイトしようなどとは。
| 非常にユニーク。全く興味深い」
|「店主の前でそう言うこと言うんじゃねーお」
|「事実」
|
| 冗談を言っている顔ではない。しかしそれが妙に真面目すぎて、みゆきは胸を撫で下ろした。
| この子なりの冗談なのだろう。そう思ったら、自然に笑みがこぼれた。
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244 名前:◆PvLsLjGm0M[] 投稿日:2010/06/07(月) 09:20:07 ID:???
                     ,-、
               /'´ ̄`ー-/  `ヽ-‐─-.、__
              ,ノ´     ,/    i:       `ヽ、
          /       / :|       |::   、   、  ヘ
         /   ::   /  ;|、   :  |:|、  |::   ヽ、. ヘ
         /    : :    /  / |∨ : : |:| ∨.|:::    `ヽ.ハ
        / /  : : :;   | ,ィ⌒ | ∨ : : |:| ⌒|ヽ    、  ハ.}
     / ,イ / : ::/    ,| / __、| ∨ : :|j ,_レ'ヽ、   |:  ||
     〈 / | :j: : ::i    / |/,ィチ心、 ヽ、::| ,ィチ心、∨  |::  }|
     ヽ| | :|: : ::|   ∧ ,イ ト-':;;:}` }冖{` ト-':;;:}ヽ∨  }::: ,/|    長門さんって、おもしろいんですね。
         ヽ| : :::ヽ、 {:::ハ.`、V:t;;リ ,ノ  、 V:t;;リ ,,'∧ /j;ノ |
          ∨: ::|::|::`::.:::j` ー-‐'" __'__ `ー-‐"´ {::::j,/::|:  |
         `ヽ:|| |:::::::|`l:.、    V  ,ノ    ,.イ|:::´::: |::: |
            |j: |: ::,:j .|:::_;;>‐-,`ニ´r-‐<´::|:|::: : : |::: |
            リ: |::::;ノ ,ニュ、  | ´   ` }   ヽ|j:: :  j::  |
           ,ノ:,ィ´{  -‐y 〕 |,-─‐-j    ノ::   /:::: {
          / ::f `rヽ、___,j;>、   /  //´:  /}::::  |
           / ::::|   },ミ三三三彡}.  / //j;   / |::::  |
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|「……有希でいい」
|「え?」
|
| 小さめの声に、みゆきは思わず聞き返した。
|
|「見たところ、あなたの方が年上。だから名前かつ呼び捨てで構わない。
| これから、同じ職場で働く仲。仲良くやりたい。名前も似ているし」
|
| わずかにうつむいた有希の頬にほんのりと朱が差した気がして。
| みゆきはその大きな胸中で苦笑した。ああ、人形なんかじゃない。
| ごく普通の、可愛い女の子なんだ……ちょっと変わったところもあるかもしれないけれど。
|
|「はい、よろしくお願いします、有希さん!」
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245 名前:◆PvLsLjGm0M[] 投稿日:2010/06/07(月) 09:20:42 ID:???

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      l:.,  l:.:.:.l:.:.:.::::.:_:.ム:.:.:! |:ト:.:.:.:.l ヽ:.:.:.l   \:.:.:.:.:::'.:l::::::::::::::::::::::!::
      l:.l  l:.:.:.:l:.:.:.::_:_/ l:`T 、`\:.:.l  \:'._ -=\ ̄V:::::::::::::::::::::|/
      |:.!  ':.:.:.>‐' j _ム儿、\ ヽ:l   ヘ、_ ィ─ 、ヽ:}:::::::::::::::::/¨
      |:!  ∨  .ィ´:V´{!T::ぃ= 、  ` ,, =,ィ'"辷`:ヽ于_!:::::::::::i::::l'´    して、みゆきは何故ここを?
        /ヘ./:|弋、{r、 V、iiii:} ',r=、ll     V::iiii:::::}}'"l::::::::::::l::::lヽ
       /´\ \、|:! Vト、 辷Zタ f!   fj   _辻zZシ' l::::::::::;:::::;_ ィ
      /´ヽ、 ∨、y'  ト、_xxxノx, xxx弋_ xxxxxx >' l::::::::::;:::/::/
       / 、  ヽ | \   !:.:'、    ヽ     ̄ ̄ ̄   l::::::::/:;イ:/
     {   ヘ、_ト'    |:.:.:.:ト 、    - 、       , イ::::::/:/ ′
      '.    \    j:.:.:.:!  ゙  、       _  ′ l:::::/:/¨ヽ
      ヽ        ハ:.:.:.|    `> .__ <    ,.:::/ハ / '、
       _\   _  ム\:{   _. ィ´  /ハ    /:/' /   \


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|「え……ええと」
|
| 有希の問いかけは当然だが突然すぎて、みゆきは思わず言葉を濁した。
| 入速先輩に会いたかったからとは、言えませんよね。
| 暗く、寒い、墓所のような高校生活を照らしてくれた人。憧れの先輩。
| 進学すると言っていたのに、不意に止めてしまった人。
| 彼を追いかけて、いつか隣に並ぶことが目的だった。だが、それは叶わなかった。
|
| だからみゆきは、やる夫を探して、会って。それで、それで。
| ……その先は?
|
|「私、本が好きなので。可能なら、いろんな本を読めるアルバイトをしたかったんです」
|
| 思考の迷路の先にうずくまる怪物の影を見て、みゆきは用意していた言葉を吐いた。
| 先ほど、やる夫を言いくるめたのと同じ言葉。有希が理解を示してくれるかは分らないけれど。
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253 名前:◆PvLsLjGm0M[] 投稿日:2010/06/08(火) 08:28:28 ID:???

.  / / /       l    ヽ     \ \   \      \ \
  / / /           l     ヽ     \ \ _  +-ヽ  ヽ  ヽ
. / / l          l ヽ    \  \   x ´ヽ ヽ\ ヽ ヽ l、  \
/ // |      l    !  l、 ト、  \ 、  く ヽ\、ヽト、ヽ l  l l\ ヽ
_ //  |     l    L -┼、 \  \`‐-ミx〉 _」,. -ヽ \  !! ヽ ミ、
∠l    |     _+ 「, ! l ! \ `ー-ヘ  / ,ニ,.-‐':ヽヽ l\ ! l  ヽlヽ
/ :l l   |     l l l l V _           クf;::::::;:::::.::l | !   ! l トヾ
_ィ | l  l     l l ハ/ __`          つ.:.:::::.::j | |   l!l
 /l |  ト l ヽ lハ/ ,rニ--:::::ミ、           ヾ_ - ′l l  .! トN    それはお目が高い。
../ | ハi  ハ l  V/〈〈 ら::::':::::.::l                 //!  ト、|     みゆきも私と同じ理由ということになる。
/ | / ll  | ヽ l  ト ヽ. ゛う:.:.:.:.:::j                  //ll   ! l |
.  l/ リ  | f、ヽ \ ヽ. ヽ-‐´        ′       /j   ハ N     ……ならば、給料も同様?
    l∧リ, 〉ヽヽ  \\           _      ///  / ,リ ′
       V ヽヽ\  \ミ、、         ´    / /l l /
         ヽlヽ ヽ、  \` 、 _         イ /i ////
           ヽ:、\  \ト\「 ¬‐--‐ '´ l l/ リ/ツ′
        __ ヽ `へ \、-j         l \
        /l  l::::l  ヽ ̄ ̄`丶ミヽ         l、 ヽ


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| 大いに納得した。目で語る有希。
| しかし、給料? 何のことであろうか。
|
|「それはちょっと、可哀想だお」
|
| 『ないない』と手を振るやる夫。可愛そう? ますます訳が分からない。
| と、有希が憤懣やるかたないといった様子でやる夫をにらみつけた。
|
|「黙れ。私は可哀想ではない」
|「いいや。『閲覧料金無料』なんて、普通は嫌がるお。
| 高良も何か言ってやるお」
|
| そう言われても、話が見えないのならばどうしようもない。
|_________________________________________________
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254 名前:◆PvLsLjGm0M[] 投稿日:2010/06/08(火) 08:29:07 ID:???


          rー ── } : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :`丶、
          | : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.丶
          | : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : :: : \
          |/ : : : ,' : : : : : |\: : : : : : : : : : : : ヽ: : :: : : : : : : : :ヽ
.          /: : : : : : !: : /: : : |  \´:  ̄`ヽ、: : : :丶 : │ : : : : : : ',
       /: : : : : : : :..|⌒ト : : │   \: : : : : \: : : : \:|: : : : : : : |
      /: : : : : :./:/: :.:|: :∧: : : l    __.\: ヽ : : : : : : : : \:.:.: : : : :.|
.     /: : : / : : : V: : : :レ'-ヘ: : :.',    ィ灯テ外ミ: : : : : : : : : : \: : : : l   どういうことです?
    /: :./!: : : : : |: : : :小Y心\:.ヽ   {iー'::::::jヾ: : : : : : ::\ : :ヽー :l
    |/ │: : : :/|:.: :.:.{ハ Vi::ハ \|    Vヘ::::イ:}ハ: \: : : : }\: ',: :l
         |: : : :.ハ: : : |{ ヘ ヽ:リ、__{ァ   ゝ辷ン ∧: :}ヽ /|: : ヽ} :|
        ヽ: : l  ヽ: :.l人: :', ´ ノ , \    ''' / / ∨ ∨:.l: : : : : |
            \{   \リ:.:`弋   。 ` ー一 ' / '´: : :∠,:│: : : :│
                /: : :.:/フ>  __   イ: : : : : :/..:.: 八 : : : │
           /:./^}/ / { { : : ∠: : :/  ̄ ̄\ ̄ \: :ヽ : : |
     _,, -='´_/ ´ 二)   ヽ: : /: :./       \//∧: : \|
     ´ `>: :/(7      、`)   /: : : /           ∨/∧: : : l\
      / : : ///\  xヘ \ /.: : : ; イ          V//,|: : : :\:\
       ヽ:////// >く )Yー’{/|: /V           |//,|: : : : : :\:ヽ

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|「この店はこう見えて完全会員制かつ一見様お断り。
| しかし今にも潰れそうな店構えにもかかわらず、中は宝の山。
| 古今東西の稀少本が雑多に積まれている」
|
| 相変わらず表情に変化は無し。ただし、目の輝きが違った。
| 今度は、本当に冗談ではない。本気の本気で、有希はこの古びた貸本屋を宝の山だと考えている。
|
|「自称冒険者のとーちゃんが勝手に送ってくるんだお。
| まあ、レンタルだけでなく立ち読みにも金を取ってるから、最低限は儲かってるお。
| で、長門は閲覧料金をロハにすることを条件に店番してるんだお」
|「非常に良い条件」
|
| 心から満足している様子の有希。みゆきは再び心中で前言撤回。
| やっぱりこの子は普通の子ではないようです。
|_________________________________________________
|三三三三三三三三三三三_7 /〈 〈__ ./ /7|./ ∧\ ./ /__〈 〈__ / ∧\ 〈〈 / /  〈〈.∧∨,/三三三三三三三三三
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264 名前:◆PvLsLjGm0M[] 投稿日:2010/06/09(水) 08:27:34 ID:???

            ,            λ/ヽ、
    i    λ ノ              ヘ::: \
    |   ハ´   /:::    /i、        λ:::: ハ
    | ./(__,,) /::::   __ノ/ | ハ |     i ハ::::: |
    {/      :::;/  ,ィ  /  | i:∨ ::   | |::::: |
  ::::/     /::/::|/ /_,ノ_  ノ ,':::::∨ ::.   j j::::: j
::::::::::{ /|   {/i::: | ,ィチ弍ミ、  ,':::::::::} :: / ,/:∧/
::::::::::|/,-ヽ、  〈::|::. | "´     {,ノ:::::/ノj,ノjノ:/        ちなみに、閲覧料金はいくらくらいなんですか?
:::::::::::::ゝ、_ \. ヘ |    `‐-‐ 〉'´     j::ノ
::::::::::::::::::i::::人 `゛` |  ゝフ   /      '"
::::::::::::::::ノ:::ノ ̄\  `ヽ、 一'´::|
:::::::::::::/:::/ ̄~ ̄>‐、  \::(^Y´ヽ、
::::::::::/::::/,ィ'´ ̄`ヽ、 \  \〈´,  .〉

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|「時給より高い」
|「……はぁ」
|
| 即答に困惑が隠せないみゆき。
| >>1が具体的な数字を出してボロが出るのを恐れているとはいえ、イメージが湧かない。
| 時間千円位でしょうか? でもそれってかなり暴利のような気もします。
|
|「まあ、高良がバイトすんなら、普通にバイト代を出すお。
| というわけで、給料はやる夫と一日デート権でどうだお?」
|
| 心臓が跳ねる。頭に血が上る。思わず「喜んで!」と答えそうになるみゆき。
| しかし、自制心が邪魔をする。落ち着いて下さい、私の心臓。
|
|「それは逆。給料をもらわなければやっていられない。追加報酬を要求すべき」
|「冗談だお。真顔で言われると傷つくお……で、時給800円位が相場かお?」
|「安い。二十三区の値段とは思えない」
|「個人経営の貸本屋に高額なバイト代求めるんじゃねーお!
| バイト中は読み放題。お茶などは飲み放題これでどうだお!?」
|「それでは私の給料がとても低いことになる。ストを敢行する……許可を」
|「よし、やっちまえ……なんて言うはずあるかお!」
|
| ぎゃあぎゃあとわめくやる夫と、あくまで淡々としたまま振り回す有希。
| 羨ましいです。みゆきは服の裾を小さく握った。私も、私もいつか、やる夫先輩とあんな風に。
|_________________________________________________
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265 名前:◆PvLsLjGm0M[] 投稿日:2010/06/09(水) 08:27:54 ID:???


       ___
      /     \
    /   ⌒  ⌒\     ……まあ、高良が働いてくれんなら大歓迎だお。
   /   ( ⌒)  (⌒)\    詳しい仕事内容は長門に聞いてくれお。
   i  ::::::⌒ (__人__) ⌒:: i
   ヽ、    `ー '   /
     /     ┌─┐
     i   丶 ヽ{ .茶 }ヽ     (……なんにせよ)
     r     ヽ、__)一(_丿
     ヽ、___   ヽ ヽ
     と_____ノ_ノ


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| やる夫は小さくため息をついた。長門にはいつもペースを狂わされる。
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|(これで暇な店番とはオサラバだお)
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| 高良と会うのは高校卒業以来だから、半年ぶりくらいか。
| 彼女の人柄は知っている。信頼できる。これで、ようやく。
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|(二人と同じ大学行かず、就職しちまえば何も考えずに済むと思っていたのに。
| ……考え事の時間には事欠かないとか、詐欺だお)
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| なにか、やることを考える必要があるだろう。
| こんな暇な仕事ではない、考え事をする時間すらないような何かを。
| 半年の間ずっと悩まされてきた。考える時間があれば、それは、すぐに訪れた。
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