とある夏雲の座標殺し(ブルーブラッド) > とある夏雲の織女星祭(サマーフェスティバル) > 01

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とある夏雲の座標殺し(ブルーブラッド)/とある夏雲の織女星祭(サマーフェスティバル)/01」(2011/07/06 (水) 01:06:09) の最新版変更点

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~第十五学区・織女星祭歩行者天国~ 結標「はいはい坊やどうしたの~?あ~パパとママとはぐれちゃったのね~?うん!大丈夫大丈夫お姉ちゃんがいい所…ううん案内所まで連れて行ってあげるからね?ああ泣かない泣かない…よしよし杏子飴買ってあげるからね~♪」 白井「(目が濁ってますの…“案内人”でさえなければ不審者として引っ張って行きたいほどヤバ良い笑顔ですの…)」 八月七日…15時19分。第十五学区にて催された学園都市最大の花火祭り『織女星祭』の総合案内所付近に二人はいた。 片や風紀委員活動第一七七支部、JUDGMENT 177 BRANCH OFFICEの腕章をつけた白井黒子。 片や『レベル5第九位』へと昇格した『水先案内人』結標淡希である。 今二人は迷子になっていた外部の子供を臨時迷子センターへ送り届けている最中である。 美少年「お姉ちゃーん!ありがとーう!」 結標「はーい坊や元気でねー!ああ…この仕事は私の天職かも知れないわ」 白井「未成年者略取は犯罪ですの。ジャッジメントの詰め所までしょっぴかれたいんですの?」 結標「ちょっとくらいいいじゃない!役得よ役得!張りがなくっちゃ仕事にならないもの」 白井「貴女のプロ意識は歪んでいますの!」 結標好みの美少年を案内所へ預け、別れ際に振る手を下げた頃には舌戦である。 雲霞の如く並び立つ夜店と屋台、至る所に聳え立つ短冊を下げた笹、学園都市全域の学生達や外部の人間達でごった返す人波。 最終戦争後、開催が危ぶまれていた祭は例年よりひと月繰り越して行われ、近年稀に見る盛況ぶりである。 白井「それになんですのあのトルコアイスより蕩ろけたお顔は!貴女のパートナーに言いつけてしまいますのよ!?」 結標「卑怯よそれは!冗談でも止めてちょうだい!秋沙あれでものすごく嫉妬深いの!それに貴女だって御坂美琴を見てる時あんな顔してるじゃない!」 白井「わたくしを性犯罪者そのもの貴女と一緒にしないで下さいまし!」 これが一ヶ月前まで成り行きとは言え、まがりなりにも自分と共同戦線を敷いた相手かと思うと溜め息を出る。 そういう白井は常と同じ赤いリボンでまとめられたツインテールであり、結標は髪紐で束ねられた二つ結びである。 リボンを返した、あの日から ~織女星祭会場・コスプレ喫茶『まじかる☆みらくる』~ 姫神「どうして。そんなロズウェル事件で捕まえられた宇宙人のような顔をしているの」 上条「…お、お二方?両腕組まれると上条さん食べれ(ry」 麦野「関係ねえよ!私がお口あーんしてやるからカァァンケイねェェんだよォォッ!当麻の友達だったっけ?バイト?」 姫神「こんにちは。そう。休憩中」 禁書「しずり!ここからここまでのかき氷全部食べたいんだよ!あいさお願い!」 麦野「頭キーンってなるかお腹壊すわよアンタ…じゃあこっからここまでお願い。私はストロベリーサンデーで。当麻は?」 上条「オレはクリームソーダかな…って姫神は休憩中だろ!話聞けっての!」 姫神「大丈夫。ごめん。オーダーお願いします」 15時26分。姫神秋沙は織女星祭会場にて、臨時アルバイトで雇われたコスプレ喫茶にいた。 格好はもちろん巫女服で声がかかる事は多い。ようやく休憩時間をもらい身体を休めていた所へ… 上条「すまん姫神…本当に助かる…」 姫神「いい」 歩き疲れ涼みにやって来たのがインデックス、麦野沈利に両腕を組まれた上条当麻その人である。 サーカステントの内部は涼を取りに来た客達によってそれなりに盛況で、対照的に上条の顔色だけが疲労困憊である。 姫神「身体が。いくつあっても足りなそう。俗っぽい意味で」 上条「頼むからその事には触れないでくれ姫神…もう土御門や青髪にさんざんいじられるし、垣根先輩には笑われるし」 姫神「回収して来なかったツケ(フラグ)が一気に回ってきた。反省して欲しい」 麦野「当麻ーそれちょっとちょうだい」 上条「ん?良いぞ別に。インデックスも食べるか?一口だぞ!一口!」 禁書「いただきますなんだよ!あむっ」ズゴゴゴー! 上条「お、オレのクリームソーダ!インデックス!一口って言ったろ!?」 麦野「かーみじょう…アンタもいい加減学習しなさいよ。コイツの一口は“一口で全部食べる”の間違いなんだから」 禁書「ほうはひぇなふぃんはも!ほひほふはまなんらよ!」モグモグ 麦野「だから食べながらしゃべるんじゃないわよクソガキ。服にこぼしたら洗うの私なんだからさあ」 姫神「…ご愁傷様」 上条「…不幸だ…」 女が三人寄れば姦しいと言うが、しっかり自業自得のツケは支払わされているのだなと姫神は独り言ちた。 もう墓場に入るまでこうしていれば良いのに、とさえ思う。 ~織女星祭・とある鉄板焼そば屋台~ 一方通行「オレが焼きそば係だァ!!?」 垣根「光栄に思え第一位(新入り)。本当なら野菜切る係から始まる所がいきなり花形スターだぜ?第一位かっこいいー!」ヒューヒュー 一方通行「ふざけンなァっ!なンでオレがンな事やらなきゃいけねェンだよォッ!」 服部「黄泉川からお前を更正させて社会復帰出来るよう言われてんだから諦めろよ下っ端(第一位)。お前がサボってたらチクっていいって言われてるし」 一方通行「黄泉川ァァァァァァ!!!」 15:31分。一方通行は全学連復興支援委員会の詰め所に放り込まれていた。 打ち止めに嘘泣きされて織女星祭まで連れ出され、言いくるめられて鉄板焼そば屋台の焼そば係に任命されてしまったのだ。 委員会の中では削板軍覇・雲川芹亜に次いでナンバー3に当たる服部半蔵が教育係に当たって。 服部「そう言うなって。お前の仲間?か?あの赤い奴なんて大したもんだぜ」 そう言って顎をしゃくる服部の視線の先…そこには真夏の中にあってさえうだるような熱気を孕む鉄板に向かって… フィアンマ「余計な力はいらない。手首の返しを使えばひっくり返るのだから、力みは必要ない。余計なトッピングはいらない。屋台の売りはシンプルさなのだから、材料費に頭を悩ませる必要はない。俺様の手を持ってすれば容易い事だ」 一方通行「なにちゃっかり馴染ンでンだよテメエはァァァァァァ!!!」 職人技の域に達した手付きで鉄板焼そばを捌いて行くは元ローマ正教最暗部『神の右席』指導者、右方のフィアンマである。 火を司る力故か、神の子の恩恵か汗水一つかかずに黙々と仕事をこなしている。 しかし一方通行を見やると鼻で笑ったようなドヤ顔で―― フィアンマ「がなるな。唾が飛ぶ。焼そばの一つも満足に作れないようでは器が知れるぞ“最強”」 垣根「はははははは!レベル5の第一位が…ぷぷっ…タマネギ切る所から始めるか?目がますます真っ赤になって文字通りウサギちゃんだな…くくっ」 一方通行「貸せェ!テメエらに出来てこのオレに出来ねェはずがねェだろうがァ!おい第二位(スペアプラン!)テコでもヘラでも持って来い!」 垣根「序列は二位だが、飾利の一位はこのオレだ(キリッ」 一方通行「聞いてねェェェェェェ!ノロケで耳が腐りそうなンだよォォォ!」 半蔵「よしっ、これなんかちょうどいいぞ…やってみろ。出来るか?大丈夫か?」 一方通行「五月蝿ェェェェェェ!!どこの母親だテメエはァァァ!!」 ドヤ顔のフィアンマ、半笑いの垣根、子供が初めてキッチンに立ったのを見る母親のような顔の半蔵らの視線の中… 一方通行「学園都市最強を…」 焼そばの山の中に突っ込んだ右手のテコと左手のヘラで持ち上げた焼そばを―― 一方通行「舐めンじゃねェェェェェェェェェェェェ!!!」 ビターン!! 思いっきり鉄板の上に――叩きつける! 全員「「「何叩きつけてんだよぉぉぉぉぉぉ!?」」」ガビーン 一方通行「えェーなンでオレ怒られてンのォ…ちゃンとひっくり返したのにィ」 フィアンマ「コイツは焼そばを舐めている。そして世間を舐めている」 垣根「つーか人生を舐めてる。常識が通用しねえのオレの未元物質だけにしろよ…こいつは後で肉焼く係は任せられねえな」 服部「…郭、教えてやれ。コイツの狂ったベクトルを矯正するのはオレには無理だ」 郭「えっ?!」 その後、焼そばからお好み焼き、お好み焼きからたこ焼きまで叩きつけてしまうため一方通行は下働きに回された。 社会復帰はまだまだ長い時間がかかりそうである… ~織女星祭・花火会場~ 滝壺「屋台村から信号が来てる…」 浜面「ビールー、ドリンクー、かち割りはいかがっすかー…って滝壺大丈夫か?」 滝壺「大丈夫じゃないのは、多分はまづらの友達」 絹旗「??…超ホットドックー!超フランクフルトー!超ポテトはどうですかー?」 フレンダ「結局、サボって舐めるアイスは最高に美味しい訳よ」 浜面「働けフレンダァァァ!!!売り物に手つけてんじゃねぇぇぇ!」 花火会場のメインスポットとなる森林公園の人工湖に『アイテム』の面々はいた。 繁華街がメインの十五学区と商業区がメイン十六学区を繋ぐ大桟橋の麓で。 浜面がビールサーバーを担ぎ、滝壺と絹旗がホットスナックを持ち、フレンダがアイスクリームなどを盗み食いしながらだ。 滝壺「そう言えば、かみじょうがむぎのに告白したのも確かこの辺り。一年前のこのお祭りだった」 絹旗「滝壺さんあの男の話は超止めてください。私あの男超嫌いですから…麦野もなんで超浜面と同じくらい冴えない男なんかに…」ブツブツ 浜面「さりげなくオレの悪口言うの止めてくれ絹旗…ははーん?お前アイツに嫉妬してんだろ。お姉ちゃん嫁に取られちまった妹みたいに」 絹旗「五月蝿いです超浜面!」ガッ! 浜面「痛っ!」 フレンダ「結局、麦野離れが一番出来てないのは現リーダー(絹旗)って訳よ。嫁って言えば、結局いつ結婚する訳よ?」 絹旗「焼け出されてから超同棲生活してます。超引っ越し手伝わされました」 浜面「あのへんてこシスターも一緒になんだろ?よく許したなー麦野のヤツ。妻妾同衾って言うのか?こういうの」 フレンダ「浜面のクセに難しい四字熟語知ってても、結局キモい訳よ」 滝壺「大丈夫、私はそんなむぎのとかみじょうといんでっくすの生活を応援している」 最終戦争によりとある高校男子寮から焼け出されたのを機に、麦野は上条とインデックスと三人暮らしをしている。 独占欲と執着心の強烈な麦野がインデックスの同居を認めた経緯を四人は知らない。しかし フレンダ「まっ、結局世は事も無しって訳よ。アイスクリームとサバ缶いかがー?えっ、アイスクリームだけでいいって訳?」 他人は他人の倖せ、自分は自分の幸せをそれぞれ勝手にやりましょ、とフレンダは独り言ちた。 ~織女星祭・全学連復興支援委員会本部~ 結標「パトロール終わり!交代の時間よ」 白井「皆さんお疲れ様ですの」 初春「おかえりなさい白井さん!結標さん!」 固法「二人とも暑い中ご苦労様。牛乳飲む?」 結標・白井「「 ラ ム ネ で 」」 黒妻『ピーンポーンパーン!学園都市ラジオ“レディオノイズ”が16時をお知らせするぜ!もちろんお送りするのはDJ黒妻と!メインパーソナリティは…おーいミサカさーん?オンエアですよー…非番!?マジで?!』 16:00分。パトロールを終えた風紀委員と水先案内人が本部に帰還する。 結標と白井の額にもうっすら汗が滲み、ハンカチでパタパタと扇ぐ傍ら、初春飾利がクーラーボックスからラムネを手渡す。 テントの外を行く人々は時を経る毎に増して行き、それを委員会の面々が見送る。 結標「胸暑い…汗疹になりそう」パタパタ 固法「わかるわ…汗が溜まって」バサバサ 初春・白井「イヤミですか(ですの)!?」 夕方に差し掛かり黄金色の空色となりながらも依然として気温は30度を下回らない。 そんな中、胸元をくつろげる結標と固法を見て初春と白井の眼がつり上がる。 しかし結標はミニ扇風機と下敷きを併用しながら涼みつつラムネを一息にあおり 結標「大きくったっていい事ないわよ。貴女達も大きくなればわかるわ」フフン 白井「(イラッ)」 シュンッ! 結標「ちょっと!ビー玉転送させないでよ!飲めないでしょ!」 削板「離せー!離してくれ!祭とあっては血が騒ぐのが男だろう!ぬおおお根性ォォォ!」グイッグイッ 雲川「仕事しろ馬鹿大将!下の人間に示しがつかないんだけど!!」ビーン! 初春「スゴいなあ…未元物質製のリード…犬みたい」 ラムネの中のビー玉を転送させあう結標と白井の側を、首に『未元物質(ダークマター)』で出来た絶対に千切れない縄でつなぎ止められるは削板軍覇。 その手綱を握るは雲川芹亜である。しかし雲川だけは鬼百合の意匠をあしらった浴衣姿である。 織女星祭が始まってからずっとウズウズしていた削板が何度も脱走しようとし、その都度に犬のようにリードを引っ張り戻されている。 削板「焼そばが!かき氷が!金魚すくいが!輪投げが神輿が射的が祭り囃子がオレを呼んでるんだ!止めてくれるな雲川!オレの根性を持ってしても我慢の限界だ!」 雲川「暴れるな馬鹿大将!打ち上げまで我慢して欲しいんだけど!」 初春「(もうなんか二人とも違った意味で必死ですよう…削板さんも雲川さんの浴衣ちゃんと見てあげたらいいのに…)」 結標「あー暑い暑い」 白井「熱くて熱くてたまりませんの」 固法「(視える…削板さんの頭が“祭り祭り祭り”でいっぱいなのが)」 その数分後、削板はリードごと雲川を引っ張り回して脱走した。 そして最初から最後まで型抜き遊びや水風船すくいに夢中になり、雲川にブチ切れられるのは数時間後の話である。 ~織女星祭・屋台村~ 番外個体「ひゃっひゃっひゃっひゃっ!似合わないったらないね!ひゃっひゃっひゃっひゃっ!ミサカの腹筋割れちゃいそうだよ!あっひゃっひゃっひゃっ!」 打ち止め「ぷっ…ぷくくっ…ガテン系にクラスチェンジだね!ってミサカはミサカは袖まくりに手拭い姿の田吾作スタイルなあなたの色の白さに笑いをこらえてみる!」 御坂妹「まさに下働きの追い回しですね、とミサカはお姉様に買ってもらったベビーカステラを噴き出しそうになります…わっしゃっしゃっしゃ!」 一方通行「笑い方移ってンぞォォォ!見せ物じゃねェぞ!どう考えたって場違いだろうがァ!なンで俺がこンな事しなくちゃならねェンだよォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」 16:14分。焼そば屋台の裏手で手拭い、腕捲り、長靴姿でゴミを出したり材料を出したり皿洗いに精を出す一方通行の血を吐くような叫びと裏腹に姦しい笑い声が響き渡る。 それを遠巻きに屋台村のフリーテーブルで見やるは―― 御坂「笑ってやんなさーい。いい気味だわ」 佐天「御坂さーん!初春からメール来ましたよー…交代時間ズレちゃったから白井さんと一緒に行きます、ですって」 御坂「忙しいわねージャッジメント…ところで佐天さん銀だこって食べた事ある?」 佐天「ありませんねー…銀だこってタレじゃなくておつゆつけるたこ焼きでしたっけ?」 御坂「確かそんなんだったかも…よし!二人が来るまで食べ歩きしましょう!御坂センセーおごるわよ!」 佐天「(オゴリ!?)やったー!御坂さん太っ腹!さすがレベル5!いよっ!常盤台のエース!」 一方通行「コイツらなンとかしろォォォ!!営業妨害だぞォォォ!!」 フンッと鼻を鳴らして大中小の姉妹達を見やり、一方通行の悲鳴に溜飲を下げながら御坂美琴は席を立ち上がる。 次なる屋台を制覇すべく、オゴリと聞いて太鼓持ちにクラスチェンジした佐天涙子を伴って。 御坂「よし!まず銀だことネギだこから行ってみましょうか!」 一方通行「無視すンなゴルアアアアアアァァァァァァ!!!」 番外個体「あー笑った笑った。じゃーねー一方通行。ついでにくたばれ」 打ち止め「バイバイあなた!お仕事頑張って!また後で一緒に花火見ようね!ってミサカはミサカはみんなの後ろに猛ダッシュ!」 御坂妹「救われないあなたにベビーカステラを一つあげましょう、とミサカは聖母の慈悲を発揮します」 一方通行「一つかよ!しかも食べかけのベビーカステラ置いてくンじゃねェよォォォォォォ!!」 佐天「でも初春の彼氏さん、よくついて来るっていいませんでしたねー超猫っ可愛がりじゃないですか」 御坂「垣根さんの事?あれ初春さん以外の普通の女の子なら勘違いしてダメになっちゃうわよ。あんな甘やかされたら…あっ、垣根さんからメール来てる」 佐天「メール?」 冷やかすだけ冷やかして女子軍団は去って行く。 突っ込み疲れて屋台村の洗い場で力尽きそうな一方通行を残して―― 海原「残念です。御坂さんではなく妹さんの食べ残しとは…でも仕方ありません。買ったのが御坂さんならこれで我慢(ry」 一方通行「いつ帰ってきやがった海原ァァァ!!?」 …と思った矢先、洗い場の裏から姿を現すは…『グループ』解散後より本国に帰っていたはずのアステカの魔術師こと海原光貴(エツァリ)である。 そのあまりの神出鬼没ぶりに思わず一方通行も目を見開く。 しかし海原はお構い無しといった様子で肩をすくめるジェスチャーをし 海原「いつもなにも、御坂さんのいる世界なら僕はいつでもどこでもぐもぐ」 一方通行「食べ残しを喰うンじゃねェェェ!もっぺん国に帰れよ!二度と帰ってくンな!!」 海原「冷たいですね貴方も。僕達グループが解散した直後じゃないですかグノーシズム(異端宗派)が襲来して来たのは。結標さんが大活躍して彼(土御門)もキッチリ仕事をこなしたって聞きましたよ。久しぶりに旧交を暖めたいと思って来てみれば帰国早々この人混みで参っちゃいましたよ。はははっ」ペロペロ 一方通行「ははっじゃねェよ!しゃべるかしゃぶるかどっちかにしろォォォォォォ!!」 一方通行は思う。いつから学園都市はこんなに平和ボケしてしまったのかと。 結標は女友達?と行動を共にし、土御門はイギリスと学園都市を行ったり来たりする合間に義妹の自慢話ばかりを。 今の海原などグループ時代の面影すら見当たらない。同じ人間の皮をかぶった別人ではないのかと。 一方通行「(この街はもうダメだァ…)」 突っ込み過ぎて自分のバッテリーが上がりそうだ、と一方通行は茜色に染まり始めた空を仰いだ。 ~織女星祭・コスプレ喫茶『まじかる☆みらくる』~ 神裂「(この街はもうダメです…いえ、この国はもうダメです…)」 禁書「見て見てとうまとうま!カナミンのコスプレもあるんだよ!これ着てみたいかも!」 姫神「店長が。似合いそうだから。汚さなければ。いいって」 上条「インデックス!絶対こぼすなよ!?上条さんの仕送りじゃ絶対弁償出来ないからな?!」 土御門「おおー!あそこのメイドさんの格好わかってるんだぜい…ねーちんも一着どうかにゃー?」 神裂「着ません!馬鹿も休み休み言って下さい土御門!はあ…仕事帰りに近くまで寄ってみれば…」 吹寄「上条当麻!姫神さんの仕事の邪魔をするな!」 上条「上条さんの責任でせうか!?」 青髪「そうやそうやー!悪いんはカミやんやー!で、姫神さんの別コスあれへんの?僕ひぐ○しの羽入みたいな脇見せざっくりのエグい巫女服…」 姫神「手が。すべった」ばっしゃーん! 青髪「冷たいぃぃぃ!」 オルソラ「あらあら。これがジャパンに伝わる“打ち水”のわびさびなのですね」 ステイル「…必要悪の教会(ネセサリウス)はいつからこんなに角が取れてしまったんだ…」 麦野「フレンダ達に送信…と」 16:46分。姫神秋沙のバイト上がりを待って吹寄制理が、青髪ピアスが、そして土御門元春がやってきた。 そこにグノーシズム(異端宗派)の本拠地を制圧した神裂火織、ステイル=マグヌス、そして… 上条「いや、オルソラ…あれは打ち水じゃなくってだな…なんつーか」 オルソラ「ここのジェラードはとても美味しゅうございますよ」 上条「オルソラ…頼むから話を聞いてくれ。あれは打ち水じゃなくて」 オルソラ「シェリーさんもいらっしゃれば良かったのですが、どうしてもこの学園都市(まち)は嫌だとおっしゃるのでございます」 上条「会話が噛み合わないー!」 禁書「とうまとうま!とうまー!?また他の女の子にデレデレしてるんだよ!」ガブッ 上条「痛たたた!インデックスー!!」 姫神「店内は。お静かに」 上条「不幸だー!!」 オルソラ=アクィナスである。グノーシズムが秘匿し隠避していた数々の書簡や古文書、研究論文から暗号化されたそれらを解読するために来日したのである。 学園都市でオルソラが解読作業にいそしみ、英国でシェリー=クロムウェルがその補助と補強にあたるという遠近分業制を以て臨んでいるのである。 吹寄「土御門。本当にこの人達お前の親戚…なの?」ボソボソ 土御門「いいんだぜい。オレの髪も金髪だろい?うちの親類はイギリス人が多いんだにゃー!なっ、ねーちん?」 神裂「嘘は止めて下さい土御門!その流れでは私が貴方の姉のようではありませんか!」 ステイル「ふう…」スパー 麦野「私の前で煙草吸うなっつってんだろうが赤毛ェェェ!」ガシャーン! 青髪「土御門ーそれメッチャ無理ある嘘やわー…でも白シスターに黒シスターにウエスタンサムライガールにプッツンお姉さんとかカミやんも僕に負けず劣らず広い心と器の持ち主やんなあー?」 オルソラ「大丈夫でございますか?」 上条「しっちゃかめっちゃかで上条さんはダウンしそうです…」 禁書「とうま!お祭りと焼き肉終わるまでダウンされたら困るんだよ!ここで食べて帰れなかったから悔やんでも悔やみ切れないかも!」 麦野「かーみじょう。疲れたんなら膝貸すけどー?」ポンポン 姫神「キッチンの人。あそこの席のサマージャンボパフェが。まだ」 絶対等速「あそこの席だけで店潰れるくらい食ってるよ!どうなってんの!?」 ~織女星祭・吹寄制理~ 8月7日。戦争から二ヶ月、姫神さんが大事件に巻き込まれたらしい一件から既にひと月が過ぎ去った。 姫神「上がり。後は淡希が来るまで私も待つ。いい?」 吹寄「姫神さんお疲れ様!ええ、確か貴女のルームメイト…よね?」 姫神「そう。ちゃんと話した事は。確かなかったね」 吹寄「そう…ね。今までないわ。声をかける機会もなかったし」 あの大規模な戦闘から…私達のいた高校の避難所は放棄された。 流石に建築物としての限界に達していた事と、第六学区にある学園都市最大の総合アミューズメントパーク『アルカディア』が新たな避難所として開放されたからだ。 このお祭りだって、戦後の沈みがちな今の学園都市だからこそと開催に踏み切られた。 正直言って驚いている。全てが目まぐるしく変化し、毎日が大覇星祭の時以上に目が回るほどの忙しさだ。 姫神「そう。なら紹介する。淡希にも。吹寄さんの事を話したら。一度会って話してみたいって。言っていたから」 吹寄「そっ、そうかしら?」 そしてそれ以上に驚かされたのは…姫神さんの変化に他ならない。 避難所のボランティアに来てくれたのもそうだし、いつの頃からか霧ヶ丘女学院の三年生と同居し始めたらしい。 以前通っていた頃の知り合いなのかと聞いてみたら違うと言われた。結局どう言う事なんだろう。 姫神「吹寄さんは。私の。一番最初に出来た友達で。一番の大親友だって」 吹寄「あ、ありがとう」 その結標淡希さんという人も、数週間前に九人目のレベル5になったらしい。 話した事がないのは、なんとなく近寄り難い雰囲気があったのと… どこか姫神さんとの間に立ち入れない空気を感じたから。 吹寄「(気に…しすぎよね?)」 それは、私の事を上の名字で呼ぶのにその人の事を下の名前で呼んでいるからかも知れない。 礼儀正しい姫神さんが、いくらルームメイトでも年上で目上の人を呼び捨てにするだなんて、と思うと。 禁書「しずり!私にもお膝貸してほしいかも!」 麦野「当麻が乗ってるから肩なら空いてるわよん。似合ってるのはわかったらシワにならないうちに返してきな」 上条「し、沈利…これやっぱ恥ずかしいって…」 土御門「おーおーデキた彼女なんだぜい。でもカミやん?避妊には気をつけるんだぜい?高校卒業前にデキ婚は流石にマズいんだにゃー」 吹寄「土御門!!お前にデリカシーってものはないの!?」スパーン! 土御門「うおっ!オレのサングラス!?」 麦野「私は別に構わないんだけどね。一時期本気でそれも考えてたし」 上条「麦野さん!!?」 姫神「爆。弾。発。言」 それから上条当麻。あの戦争の最中から一ヶ月前まで行方を眩ませていた。 それが何故なのかは私にもわからない。何度聞いてもはぐらかされて逃げられてしまう。 ただ姫神さんと、一応去年から見てはいたけど、この麦野沈利さんというレベル5の四人目も知っていそうだ。 吹寄「(なんでかしら…すごく、冷たい感じがする)」 けれどこの人は結標さんに輪をかけて話し掛けにくい。 相槌を打ってくれたりはするけど、さりげなく姫神さんや私に神裂さんと言う人には話し掛けてはくれない。嫌われるような事したかしら… 麦野「ただしグラサン…アンタはブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね」 姫神「出来れば。店の外で」 土御門「ねーちん!やっつけてくれい!目がマジなんだぜい!昔勝ったんだろう!?」 神裂「貴方がからかうからです土御門。私は知りませんよ。それにあの勝負は水入りです」 ステイル「僕を見ないでくれないか土御門。墓標に刻む銘文なら聞くがね」 オルソラ「サングラスはGAULTIERですか?この国の陽射しは強うございますからね」 土御門「カミやーん!」 そして土御門。ふらっと姿を現したり消したりする。 何か知っているようで知らないふりをしているような、それが何かを掴ませないような。 そしてこの場にいる…とてもスゴい格好をしたお姉さん。それと同じくらいスゴい見た目の神父さん。 前に月詠小萌先生と一緒に歩いているのを見た事がある。 そしてシスターさん。もうどんな人脈なのか見当もつかない。 上条「はあ…土御門。そんな訳ないだろ?オレだって学校出て、仕事に就いて、キチンと一人前になってからだっつの。むしろそれが当たり前だろ?」 青髪「意外にしっかりした考えやけど、なんせカミやんやもんな~なっかなか上手く行かん気するわ」 上条「裏切り者ばっかじゃねえかデルタフォース(三馬鹿)!俺達の誓いを忘れたのか?」 土御門「何を言うカミやん!我等生まれた日は違えど!」 青髪「死する日は一緒や!」 姫神「それは。桃園の誓いの。パクリ」 土御門「やっぱりバレたんだぜい!」 禁書「それにそれは後世の創作なんだよ。これ常識かも」 青髪「ホンマそれ!?」 吹寄「三国志ね」 麦野「あの一騎当千がどうとか無双がなんとかかんとか?」 オルソラ「映画にもなったのでございますよ」 ステイル「ああ…あの燃えるシーンだけは印象に残っている」 神裂「赤壁のクライマックスですね」 そして青髪。どこの噂か知らないけれど、奴が行方不明の第六位(ロストナンバー)だなんて噂まで聞いた。 けれどレベル5がうちの高校にいるだなんてちょっとありえないと思う。 そして以前打ち上げに来ていた真っ白な服のシスターさん。 吹寄「(この娘が、一番わからない)」 悪口を言うつもりじゃないけど、あの気が強そうでおっかなそうな上条の恋人と上条と三人で暮らしているらしい。 どんなマジックを使ったのかとても気になる。ごく自然に溶け込んでいる。 平時なら常識で考えて認められないし許されない話だけれど、この危急の時は仕方ないのかも知れないだなんて思ったりもする。すると―― 結標「お待たせ秋沙!迎えに――…どうなってるのこれ?」 そこに…姫神さんのルームメイト…そして新たなレベル5『第九位』 姫神「友達。いい機会だから。淡希を紹介したい」 土御門「いよーう!結標!」 結標「げっ…秋沙、こいつはいいわ。知り合いだから」 土御門「つれないんだぜい」 青髪「(ややこしなるから黙っとこ)」 姫神「吹寄さん。いい?」 そこで私に声がかかる。爽やかだけど甘い香りがする。 たまに姫神さんからもするのと、同じ匂い―― 吹寄「えっ、ええ。はっ、初めてじゃないかも知れませんが、吹寄制理です。姫神さんの――」 結標「初めまして。聞いてるかも知れないけど、結標淡希。よろしくね」 初めて交わす、顔と言葉と握手。そうか。この人が――結標、淡希 姫神「嘘臭い。営業スマイル」 結標「話の腰折らないでってば!」 姫神さんを…変えた人―― 悪口を言うつもりじゃないけど、あの気が強そうでおっかなそうな上条の恋人と上条と三人で暮らしているらしい。 どんなマジックを使ったのかとても気になる。ごく自然に溶け込んでいる。 平時なら常識で考えて認められないし許されない話だけれど、この危急の時は仕方ないのかも知れないだなんて思ったりもする。すると―― 結標「お待たせ秋沙!迎えに――…どうなってるのこれ?」 そこに…姫神さんのルームメイト…そして新たなレベル5『第九位』 姫神「友達。いい機会だから。淡希を紹介したい」 土御門「いよーう!結標!」 結標「げっ…秋沙、こいつはいいわ。知り合いだから」 土御門「つれないんだぜい」 青髪「(ややこしなるから黙っとこ)」 姫神「吹寄さん。いい?」 そこで私に声がかかる。爽やかだけど甘い香りがする。 たまに姫神さんからもするのと、同じ匂い―― 吹寄「えっ、ええ。はっ、初めてじゃないかも知れませんが、吹寄制理です。姫神さんの――」 結標「初めまして。聞いてるかも知れないけど、結標淡希。よろしくね」 初めて交わす、顔と言葉と握手。そうか。この人が――結標、淡希 姫神「嘘臭い。営業スマイル」 結標「話の腰折らないでってば!」 姫神さんを…変えた人―― &link(次へ){http://www35.atwiki.jp/seisoku-index/pages/877.html}
~第十五学区・織女星祭歩行者天国~ 結標「はいはい坊やどうしたの~?あ~パパとママとはぐれちゃったのね~?うん!大丈夫大丈夫お姉ちゃんがいい所…ううん案内所まで連れて行ってあげるからね?ああ泣かない泣かない…よしよし杏子飴買ってあげるからね~♪」 白井「(目が濁ってますの…“案内人”でさえなければ不審者として引っ張って行きたいほどヤバ良い笑顔ですの…)」 八月七日…15時19分。第十五学区にて催された学園都市最大の花火祭り『織女星祭』の総合案内所付近に二人はいた。 片や風紀委員活動第一七七支部、JUDGMENT 177 BRANCH OFFICEの腕章をつけた白井黒子。 片や『レベル5第九位』へと昇格した『水先案内人』結標淡希である。 今二人は迷子になっていた外部の子供を臨時迷子センターへ送り届けている最中である。 美少年「お姉ちゃーん!ありがとーう!」 結標「はーい坊や元気でねー!ああ…この仕事は私の天職かも知れないわ」 白井「未成年者略取は犯罪ですの。ジャッジメントの詰め所までしょっぴかれたいんですの?」 結標「ちょっとくらいいいじゃない!役得よ役得!張りがなくっちゃ仕事にならないもの」 白井「貴女のプロ意識は歪んでいますの!」 結標好みの美少年を案内所へ預け、別れ際に振る手を下げた頃には舌戦である。 雲霞の如く並び立つ夜店と屋台、至る所に聳え立つ短冊を下げた笹、学園都市全域の学生達や外部の人間達でごった返す人波。 最終戦争後、開催が危ぶまれていた祭は例年よりひと月繰り越して行われ、近年稀に見る盛況ぶりである。 白井「それになんですのあのトルコアイスより蕩ろけたお顔は!貴女のパートナーに言いつけてしまいますのよ!?」 結標「卑怯よそれは!冗談でも止めてちょうだい!秋沙あれでものすごく嫉妬深いの!それに貴女だって御坂美琴を見てる時あんな顔してるじゃない!」 白井「わたくしを性犯罪者そのもの貴女と一緒にしないで下さいまし!」 これが一ヶ月前まで成り行きとは言え、まがりなりにも自分と共同戦線を敷いた相手かと思うと溜め息を出る。 そういう白井は常と同じ赤いリボンでまとめられたツインテールであり、結標は髪紐で束ねられた二つ結びである。 リボンを返した、あの日から ~織女星祭会場・コスプレ喫茶『まじかる☆みらくる』~ 姫神「どうして。そんなロズウェル事件で捕まえられた宇宙人のような顔をしているの」 上条「…お、お二方?両腕組まれると上条さん食べれ(ry」 麦野「関係ねえよ!私がお口あーんしてやるからカァァンケイねェェんだよォォッ!当麻の友達だったっけ?バイト?」 姫神「こんにちは。そう。休憩中」 禁書「しずり!ここからここまでのかき氷全部食べたいんだよ!あいさお願い!」 麦野「頭キーンってなるかお腹壊すわよアンタ…じゃあこっからここまでお願い。私はストロベリーサンデーで。当麻は?」 上条「オレはクリームソーダかな…って姫神は休憩中だろ!話聞けっての!」 姫神「大丈夫。ごめん。オーダーお願いします」 15時26分。姫神秋沙は織女星祭会場にて、臨時アルバイトで雇われたコスプレ喫茶にいた。 格好はもちろん巫女服で声がかかる事は多い。ようやく休憩時間をもらい身体を休めていた所へ… 上条「すまん姫神…本当に助かる…」 姫神「いい」 歩き疲れ涼みにやって来たのがインデックス、麦野沈利に両腕を組まれた上条当麻その人である。 サーカステントの内部は涼を取りに来た客達によってそれなりに盛況で、対照的に上条の顔色だけが疲労困憊である。 姫神「身体が。いくつあっても足りなそう。俗っぽい意味で」 上条「頼むからその事には触れないでくれ姫神…もう土御門や青髪にさんざんいじられるし、垣根先輩には笑われるし」 姫神「回収して来なかったツケ(フラグ)が一気に回ってきた。反省して欲しい」 麦野「当麻ーそれちょっとちょうだい」 上条「ん?良いぞ別に。インデックスも食べるか?一口だぞ!一口!」 禁書「いただきますなんだよ!あむっ」ズゴゴゴー! 上条「お、オレのクリームソーダ!インデックス!一口って言ったろ!?」 麦野「かーみじょう…アンタもいい加減学習しなさいよ。コイツの一口は“一口で全部食べる”の間違いなんだから」 禁書「ほうはひぇなふぃんはも!ほひほふはまなんらよ!」モグモグ 麦野「だから食べながらしゃべるんじゃないわよクソガキ。服にこぼしたら洗うの私なんだからさあ」 姫神「…ご愁傷様」 上条「…不幸だ…」 女が三人寄れば姦しいと言うが、しっかり自業自得のツケは支払わされているのだなと姫神は独り言ちた。 もう墓場に入るまでこうしていれば良いのに、とさえ思う。 ~織女星祭・とある鉄板焼そば屋台~ 一方通行「オレが焼きそば係だァ!!?」 垣根「光栄に思え第一位(新入り)。本当なら野菜切る係から始まる所がいきなり花形スターだぜ?第一位かっこいいー!」ヒューヒュー 一方通行「ふざけンなァっ!なンでオレがンな事やらなきゃいけねェンだよォッ!」 服部「黄泉川からお前を更正させて社会復帰出来るよう言われてんだから諦めろよ下っ端(第一位)。お前がサボってたらチクっていいって言われてるし」 一方通行「黄泉川ァァァァァァ!!!」 15:31分。一方通行は全学連復興支援委員会の詰め所に放り込まれていた。 打ち止めに嘘泣きされて織女星祭まで連れ出され、言いくるめられて鉄板焼そば屋台の焼そば係に任命されてしまったのだ。 委員会の中では削板軍覇・雲川芹亜に次いでナンバー3に当たる服部半蔵が教育係に当たって。 服部「そう言うなって。お前の仲間?か?あの赤い奴なんて大したもんだぜ」 そう言って顎をしゃくる服部の視線の先…そこには真夏の中にあってさえうだるような熱気を孕む鉄板に向かって… フィアンマ「余計な力はいらない。手首の返しを使えばひっくり返るのだから、力みは必要ない。余計なトッピングはいらない。屋台の売りはシンプルさなのだから、材料費に頭を悩ませる必要はない。俺様の手を持ってすれば容易い事だ」 一方通行「なにちゃっかり馴染ンでンだよテメエはァァァァァァ!!!」 職人技の域に達した手付きで鉄板焼そばを捌いて行くは元ローマ正教最暗部『神の右席』指導者、右方のフィアンマである。 火を司る力故か、神の子の恩恵か汗水一つかかずに黙々と仕事をこなしている。 しかし一方通行を見やると鼻で笑ったようなドヤ顔で―― フィアンマ「がなるな。唾が飛ぶ。焼そばの一つも満足に作れないようでは器が知れるぞ“最強”」 垣根「はははははは!レベル5の第一位が…ぷぷっ…タマネギ切る所から始めるか?目がますます真っ赤になって文字通りウサギちゃんだな…くくっ」 一方通行「貸せェ!テメエらに出来てこのオレに出来ねェはずがねェだろうがァ!おい第二位(スペアプラン!)テコでもヘラでも持って来い!」 垣根「序列は二位だが、飾利の一位はこのオレだ(キリッ」 一方通行「聞いてねェェェェェェ!ノロケで耳が腐りそうなンだよォォォ!」 半蔵「よしっ、これなんかちょうどいいぞ…やってみろ。出来るか?大丈夫か?」 一方通行「五月蝿ェェェェェェ!!どこの母親だテメエはァァァ!!」 ドヤ顔のフィアンマ、半笑いの垣根、子供が初めてキッチンに立ったのを見る母親のような顔の半蔵らの視線の中… 一方通行「学園都市最強を…」 焼そばの山の中に突っ込んだ右手のテコと左手のヘラで持ち上げた焼そばを―― 一方通行「舐めンじゃねェェェェェェェェェェェェ!!!」 ビターン!! 思いっきり鉄板の上に――叩きつける! 全員「「「何叩きつけてんだよぉぉぉぉぉぉ!?」」」ガビーン 一方通行「えェーなンでオレ怒られてンのォ…ちゃンとひっくり返したのにィ」 フィアンマ「コイツは焼そばを舐めている。そして世間を舐めている」 垣根「つーか人生を舐めてる。常識が通用しねえのオレの未元物質だけにしろよ…こいつは後で肉焼く係は任せられねえな」 服部「…郭、教えてやれ。コイツの狂ったベクトルを矯正するのはオレには無理だ」 郭「えっ?!」 その後、焼そばからお好み焼き、お好み焼きからたこ焼きまで叩きつけてしまうため一方通行は下働きに回された。 社会復帰はまだまだ長い時間がかかりそうである… ~織女星祭・花火会場~ 滝壺「屋台村から信号が来てる…」 浜面「ビールー、ドリンクー、かち割りはいかがっすかー…って滝壺大丈夫か?」 滝壺「大丈夫じゃないのは、多分はまづらの友達」 絹旗「??…超ホットドックー!超フランクフルトー!超ポテトはどうですかー?」 フレンダ「結局、サボって舐めるアイスは最高に美味しい訳よ」 浜面「働けフレンダァァァ!!!売り物に手つけてんじゃねぇぇぇ!」 花火会場のメインスポットとなる森林公園の人工湖に『アイテム』の面々はいた。 繁華街がメインの十五学区と商業区がメイン十六学区を繋ぐ大桟橋の麓で。 浜面がビールサーバーを担ぎ、滝壺と絹旗がホットスナックを持ち、フレンダがアイスクリームなどを盗み食いしながらだ。 滝壺「そう言えば、かみじょうがむぎのに告白したのも確かこの辺り。一年前のこのお祭りだった」 絹旗「滝壺さんあの男の話は超止めてください。私あの男超嫌いですから…麦野もなんで超浜面と同じくらい冴えない男なんかに…」ブツブツ 浜面「さりげなくオレの悪口言うの止めてくれ絹旗…ははーん?お前アイツに嫉妬してんだろ。お姉ちゃん嫁に取られちまった妹みたいに」 絹旗「五月蝿いです超浜面!」ガッ! 浜面「痛っ!」 フレンダ「結局、麦野離れが一番出来てないのは現リーダー(絹旗)って訳よ。嫁って言えば、結局いつ結婚する訳よ?」 絹旗「焼け出されてから超同棲生活してます。超引っ越し手伝わされました」 浜面「あのへんてこシスターも一緒になんだろ?よく許したなー麦野のヤツ。妻妾同衾って言うのか?こういうの」 フレンダ「浜面のクセに難しい四字熟語知ってても、結局キモい訳よ」 滝壺「大丈夫、私はそんなむぎのとかみじょうといんでっくすの生活を応援している」 最終戦争によりとある高校男子寮から焼け出されたのを機に、麦野は上条とインデックスと三人暮らしをしている。 独占欲と執着心の強烈な麦野がインデックスの同居を認めた経緯を四人は知らない。しかし フレンダ「まっ、結局世は事も無しって訳よ。アイスクリームとサバ缶いかがー?えっ、アイスクリームだけでいいって訳?」 他人は他人の倖せ、自分は自分の幸せをそれぞれ勝手にやりましょ、とフレンダは独り言ちた。 ~織女星祭・全学連復興支援委員会本部~ 結標「パトロール終わり!交代の時間よ」 白井「皆さんお疲れ様ですの」 初春「おかえりなさい白井さん!結標さん!」 固法「二人とも暑い中ご苦労様。牛乳飲む?」 結標・白井「「 ラ ム ネ で 」」 黒妻『ピーンポーンパーン!学園都市ラジオ“レディオノイズ”が16時をお知らせするぜ!もちろんお送りするのはDJ黒妻と!メインパーソナリティは…おーいミサカさーん?オンエアですよー…非番!?マジで?!』 16:00分。パトロールを終えた風紀委員と水先案内人が本部に帰還する。 結標と白井の額にもうっすら汗が滲み、ハンカチでパタパタと扇ぐ傍ら、初春飾利がクーラーボックスからラムネを手渡す。 テントの外を行く人々は時を経る毎に増して行き、それを委員会の面々が見送る。 結標「胸暑い…汗疹になりそう」パタパタ 固法「わかるわ…汗が溜まって」バサバサ 初春・白井「イヤミですか(ですの)!?」 夕方に差し掛かり黄金色の空色となりながらも依然として気温は30度を下回らない。 そんな中、胸元をくつろげる結標と固法を見て初春と白井の眼がつり上がる。 しかし結標はミニ扇風機と下敷きを併用しながら涼みつつラムネを一息にあおり 結標「大きくったっていい事ないわよ。貴女達も大きくなればわかるわ」フフン 白井「(イラッ)」 シュンッ! 結標「ちょっと!ビー玉転送させないでよ!飲めないでしょ!」 削板「離せー!離してくれ!祭とあっては血が騒ぐのが男だろう!ぬおおお根性ォォォ!」グイッグイッ 雲川「仕事しろ馬鹿大将!下の人間に示しがつかないんだけど!!」ビーン! 初春「スゴいなあ…未元物質製のリード…犬みたい」 ラムネの中のビー玉を転送させあう結標と白井の側を、首に『未元物質(ダークマター)』で出来た絶対に千切れない縄でつなぎ止められるは削板軍覇。 その手綱を握るは雲川芹亜である。しかし雲川だけは鬼百合の意匠をあしらった浴衣姿である。 織女星祭が始まってからずっとウズウズしていた削板が何度も脱走しようとし、その都度に犬のようにリードを引っ張り戻されている。 削板「焼そばが!かき氷が!金魚すくいが!輪投げが神輿が射的が祭り囃子がオレを呼んでるんだ!止めてくれるな雲川!オレの根性を持ってしても我慢の限界だ!」 雲川「暴れるな馬鹿大将!打ち上げまで我慢して欲しいんだけど!」 初春「(もうなんか二人とも違った意味で必死ですよう…削板さんも雲川さんの浴衣ちゃんと見てあげたらいいのに…)」 結標「あー暑い暑い」 白井「熱くて熱くてたまりませんの」 固法「(視える…削板さんの頭が“祭り祭り祭り”でいっぱいなのが)」 その数分後、削板はリードごと雲川を引っ張り回して脱走した。 そして最初から最後まで型抜き遊びや水風船すくいに夢中になり、雲川にブチ切れられるのは数時間後の話である。 ~織女星祭・屋台村~ 番外個体「ひゃっひゃっひゃっひゃっ!似合わないったらないね!ひゃっひゃっひゃっひゃっ!ミサカの腹筋割れちゃいそうだよ!あっひゃっひゃっひゃっ!」 打ち止め「ぷっ…ぷくくっ…ガテン系にクラスチェンジだね!ってミサカはミサカは袖まくりに手拭い姿の田吾作スタイルなあなたの色の白さに笑いをこらえてみる!」 御坂妹「まさに下働きの追い回しですね、とミサカはお姉様に買ってもらったベビーカステラを噴き出しそうになります…わっしゃっしゃっしゃ!」 一方通行「笑い方移ってンぞォォォ!見せ物じゃねェぞ!どう考えたって場違いだろうがァ!なンで俺がこンな事しなくちゃならねェンだよォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」 16:14分。焼そば屋台の裏手で手拭い、腕捲り、長靴姿でゴミを出したり材料を出したり皿洗いに精を出す一方通行の血を吐くような叫びと裏腹に姦しい笑い声が響き渡る。 それを遠巻きに屋台村のフリーテーブルで見やるは―― 御坂「笑ってやんなさーい。いい気味だわ」 佐天「御坂さーん!初春からメール来ましたよー…交代時間ズレちゃったから白井さんと一緒に行きます、ですって」 御坂「忙しいわねージャッジメント…ところで佐天さん銀だこって食べた事ある?」 佐天「ありませんねー…銀だこってタレじゃなくておつゆつけるたこ焼きでしたっけ?」 御坂「確かそんなんだったかも…よし!二人が来るまで食べ歩きしましょう!御坂センセーおごるわよ!」 佐天「(オゴリ!?)やったー!御坂さん太っ腹!さすがレベル5!いよっ!常盤台のエース!」 一方通行「コイツらなンとかしろォォォ!!営業妨害だぞォォォ!!」 フンッと鼻を鳴らして大中小の姉妹達を見やり、一方通行の悲鳴に溜飲を下げながら御坂美琴は席を立ち上がる。 次なる屋台を制覇すべく、オゴリと聞いて太鼓持ちにクラスチェンジした佐天涙子を伴って。 御坂「よし!まず銀だことネギだこから行ってみましょうか!」 一方通行「無視すンなゴルアアアアアアァァァァァァ!!!」 番外個体「あー笑った笑った。じゃーねー一方通行。ついでにくたばれ」 打ち止め「バイバイあなた!お仕事頑張って!また後で一緒に花火見ようね!ってミサカはミサカはみんなの後ろに猛ダッシュ!」 御坂妹「救われないあなたにベビーカステラを一つあげましょう、とミサカは聖母の慈悲を発揮します」 一方通行「一つかよ!しかも食べかけのベビーカステラ置いてくンじゃねェよォォォォォォ!!」 佐天「でも初春の彼氏さん、よくついて来るっていいませんでしたねー超猫っ可愛がりじゃないですか」 御坂「垣根さんの事?あれ初春さん以外の普通の女の子なら勘違いしてダメになっちゃうわよ。あんな甘やかされたら…あっ、垣根さんからメール来てる」 佐天「メール?」 冷やかすだけ冷やかして女子軍団は去って行く。 突っ込み疲れて屋台村の洗い場で力尽きそうな一方通行を残して―― 海原「残念です。御坂さんではなく妹さんの食べ残しとは…でも仕方ありません。買ったのが御坂さんならこれで我慢(ry」 一方通行「いつ帰ってきやがった海原ァァァ!!?」 …と思った矢先、洗い場の裏から姿を現すは…『グループ』解散後より本国に帰っていたはずのアステカの魔術師こと海原光貴(エツァリ)である。 そのあまりの神出鬼没ぶりに思わず一方通行も目を見開く。 しかし海原はお構い無しといった様子で肩をすくめるジェスチャーをし 海原「いつもなにも、御坂さんのいる世界なら僕はいつでもどこでもぐもぐ」 一方通行「食べ残しを喰うンじゃねェェェ!もっぺん国に帰れよ!二度と帰ってくンな!!」 海原「冷たいですね貴方も。僕達グループが解散した直後じゃないですかグノーシズム(異端宗派)が襲来して来たのは。結標さんが大活躍して彼(土御門)もキッチリ仕事をこなしたって聞きましたよ。久しぶりに旧交を暖めたいと思って来てみれば帰国早々この人混みで参っちゃいましたよ。はははっ」ペロペロ 一方通行「ははっじゃねェよ!しゃべるかしゃぶるかどっちかにしろォォォォォォ!!」 一方通行は思う。いつから学園都市はこんなに平和ボケしてしまったのかと。 結標は女友達?と行動を共にし、土御門はイギリスと学園都市を行ったり来たりする合間に義妹の自慢話ばかりを。 今の海原などグループ時代の面影すら見当たらない。同じ人間の皮をかぶった別人ではないのかと。 一方通行「(この街はもうダメだァ…)」 突っ込み過ぎて自分のバッテリーが上がりそうだ、と一方通行は茜色に染まり始めた空を仰いだ。 ~織女星祭・コスプレ喫茶『まじかる☆みらくる』~ 神裂「(この街はもうダメです…いえ、この国はもうダメです…)」 禁書「見て見てとうまとうま!カナミンのコスプレもあるんだよ!これ着てみたいかも!」 姫神「店長が。似合いそうだから。汚さなければ。いいって」 上条「インデックス!絶対こぼすなよ!?上条さんの仕送りじゃ絶対弁償出来ないからな?!」 土御門「おおー!あそこのメイドさんの格好わかってるんだぜい…ねーちんも一着どうかにゃー?」 神裂「着ません!馬鹿も休み休み言って下さい土御門!はあ…仕事帰りに近くまで寄ってみれば…」 吹寄「上条当麻!姫神さんの仕事の邪魔をするな!」 上条「上条さんの責任でせうか!?」 青髪「そうやそうやー!悪いんはカミやんやー!で、姫神さんの別コスあれへんの?僕ひぐ○しの羽入みたいな脇見せざっくりのエグい巫女服…」 姫神「手が。すべった」ばっしゃーん! 青髪「冷たいぃぃぃ!」 オルソラ「あらあら。これがジャパンに伝わる“打ち水”のわびさびなのですね」 ステイル「…必要悪の教会(ネセサリウス)はいつからこんなに角が取れてしまったんだ…」 麦野「フレンダ達に送信…と」 16:46分。姫神秋沙のバイト上がりを待って吹寄制理が、青髪ピアスが、そして土御門元春がやってきた。 そこにグノーシズム(異端宗派)の本拠地を制圧した神裂火織、ステイル=マグヌス、そして… 上条「いや、オルソラ…あれは打ち水じゃなくってだな…なんつーか」 オルソラ「ここのジェラードはとても美味しゅうございますよ」 上条「オルソラ…頼むから話を聞いてくれ。あれは打ち水じゃなくて」 オルソラ「シェリーさんもいらっしゃれば良かったのですが、どうしてもこの学園都市(まち)は嫌だとおっしゃるのでございます」 上条「会話が噛み合わないー!」 禁書「とうまとうま!とうまー!?また他の女の子にデレデレしてるんだよ!」ガブッ 上条「痛たたた!インデックスー!!」 姫神「店内は。お静かに」 上条「不幸だー!!」 オルソラ=アクィナスである。グノーシズムが秘匿し隠避していた数々の書簡や古文書、研究論文から暗号化されたそれらを解読するために来日したのである。 学園都市でオルソラが解読作業にいそしみ、英国でシェリー=クロムウェルがその補助と補強にあたるという遠近分業制を以て臨んでいるのである。 吹寄「土御門。本当にこの人達お前の親戚…なの?」ボソボソ 土御門「いいんだぜい。オレの髪も金髪だろい?うちの親類はイギリス人が多いんだにゃー!なっ、ねーちん?」 神裂「嘘は止めて下さい土御門!その流れでは私が貴方の姉のようではありませんか!」 ステイル「ふう…」スパー 麦野「私の前で煙草吸うなっつってんだろうが赤毛ェェェ!」ガシャーン! 青髪「土御門ーそれメッチャ無理ある嘘やわー…でも白シスターに黒シスターにウエスタンサムライガールにプッツンお姉さんとかカミやんも僕に負けず劣らず広い心と器の持ち主やんなあー?」 オルソラ「大丈夫でございますか?」 上条「しっちゃかめっちゃかで上条さんはダウンしそうです…」 禁書「とうま!お祭りと焼き肉終わるまでダウンされたら困るんだよ!ここで食べて帰れなかったから悔やんでも悔やみ切れないかも!」 麦野「かーみじょう。疲れたんなら膝貸すけどー?」ポンポン 姫神「キッチンの人。あそこの席のサマージャンボパフェが。まだ」 絶対等速「あそこの席だけで店潰れるくらい食ってるよ!どうなってんの!?」 ~織女星祭・吹寄制理~ 8月7日。戦争から二ヶ月、姫神さんが大事件に巻き込まれたらしい一件から既にひと月が過ぎ去った。 姫神「上がり。後は淡希が来るまで私も待つ。いい?」 吹寄「姫神さんお疲れ様!ええ、確か貴女のルームメイト…よね?」 姫神「そう。ちゃんと話した事は。確かなかったね」 吹寄「そう…ね。今までないわ。声をかける機会もなかったし」 あの大規模な戦闘から…私達のいた高校の避難所は放棄された。 流石に建築物としての限界に達していた事と、第六学区にある学園都市最大の総合アミューズメントパーク『アルカディア』が新たな避難所として開放されたからだ。 このお祭りだって、戦後の沈みがちな今の学園都市だからこそと開催に踏み切られた。 正直言って驚いている。全てが目まぐるしく変化し、毎日が大覇星祭の時以上に目が回るほどの忙しさだ。 姫神「そう。なら紹介する。淡希にも。吹寄さんの事を話したら。一度会って話してみたいって。言っていたから」 吹寄「そっ、そうかしら?」 そしてそれ以上に驚かされたのは…姫神さんの変化に他ならない。 避難所のボランティアに来てくれたのもそうだし、いつの頃からか霧ヶ丘女学院の三年生と同居し始めたらしい。 以前通っていた頃の知り合いなのかと聞いてみたら違うと言われた。結局どう言う事なんだろう。 姫神「吹寄さんは。私の。一番最初に出来た友達で。一番の大親友だって」 吹寄「あ、ありがとう」 その結標淡希さんという人も、数週間前に九人目のレベル5になったらしい。 話した事がないのは、なんとなく近寄り難い雰囲気があったのと… どこか姫神さんとの間に立ち入れない空気を感じたから。 吹寄「(気に…しすぎよね?)」 それは、私の事を上の名字で呼ぶのにその人の事を下の名前で呼んでいるからかも知れない。 礼儀正しい姫神さんが、いくらルームメイトでも年上で目上の人を呼び捨てにするだなんて、と思うと。 禁書「しずり!私にもお膝貸してほしいかも!」 麦野「当麻が乗ってるから肩なら空いてるわよん。似合ってるのはわかったらシワにならないうちに返してきな」 上条「し、沈利…これやっぱ恥ずかしいって…」 土御門「おーおーデキた彼女なんだぜい。でもカミやん?避妊には気をつけるんだぜい?高校卒業前にデキ婚は流石にマズいんだにゃー」 吹寄「土御門!!お前にデリカシーってものはないの!?」スパーン! 土御門「うおっ!オレのサングラス!?」 麦野「私は別に構わないんだけどね。一時期本気でそれも考えてたし」 上条「麦野さん!!?」 姫神「爆。弾。発。言」 それから上条当麻。あの戦争の最中から一ヶ月前まで行方を眩ませていた。 それが何故なのかは私にもわからない。何度聞いてもはぐらかされて逃げられてしまう。 ただ姫神さんと、一応去年から見てはいたけど、この麦野沈利さんというレベル5の四人目も知っていそうだ。 吹寄「(なんでかしら…すごく、冷たい感じがする)」 けれどこの人は結標さんに輪をかけて話し掛けにくい。 相槌を打ってくれたりはするけど、さりげなく姫神さんや私に神裂さんと言う人には話し掛けてはくれない。嫌われるような事したかしら… 麦野「ただしグラサン…アンタはブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね」 姫神「出来れば。店の外で」 土御門「ねーちん!やっつけてくれい!目がマジなんだぜい!昔勝ったんだろう!?」 神裂「貴方がからかうからです土御門。私は知りませんよ。それにあの勝負は水入りです」 ステイル「僕を見ないでくれないか土御門。墓標に刻む銘文なら聞くがね」 オルソラ「サングラスはGAULTIERですか?この国の陽射しは強うございますからね」 土御門「カミやーん!」 そして土御門。ふらっと姿を現したり消したりする。 何か知っているようで知らないふりをしているような、それが何かを掴ませないような。 そしてこの場にいる…とてもスゴい格好をしたお姉さん。それと同じくらいスゴい見た目の神父さん。 前に月詠小萌先生と一緒に歩いているのを見た事がある。 そしてシスターさん。もうどんな人脈なのか見当もつかない。 上条「はあ…土御門。そんな訳ないだろ?オレだって学校出て、仕事に就いて、キチンと一人前になってからだっつの。むしろそれが当たり前だろ?」 青髪「意外にしっかりした考えやけど、なんせカミやんやもんな~なっかなか上手く行かん気するわ」 上条「裏切り者ばっかじゃねえかデルタフォース(三馬鹿)!俺達の誓いを忘れたのか?」 土御門「何を言うカミやん!我等生まれた日は違えど!」 青髪「死する日は一緒や!」 姫神「それは。桃園の誓いの。パクリ」 土御門「やっぱりバレたんだぜい!」 禁書「それにそれは後世の創作なんだよ。これ常識かも」 青髪「ホンマそれ!?」 吹寄「三国志ね」 麦野「あの一騎当千がどうとか無双がなんとかかんとか?」 オルソラ「映画にもなったのでございますよ」 ステイル「ああ…あの燃えるシーンだけは印象に残っている」 神裂「赤壁のクライマックスですね」 そして青髪。どこの噂か知らないけれど、奴が行方不明の第六位(ロストナンバー)だなんて噂まで聞いた。 けれどレベル5がうちの高校にいるだなんてちょっとありえないと思う。 そして以前打ち上げに来ていた真っ白な服のシスターさん。 吹寄「(この娘が、一番わからない)」 悪口を言うつもりじゃないけど、あの気が強そうでおっかなそうな上条の恋人と上条と三人で暮らしているらしい。 どんなマジックを使ったのかとても気になる。ごく自然に溶け込んでいる。 平時なら常識で考えて認められないし許されない話だけれど、この危急の時は仕方ないのかも知れないだなんて思ったりもする。すると―― 結標「お待たせ秋沙!迎えに――…どうなってるのこれ?」 そこに…姫神さんのルームメイト…そして新たなレベル5『第九位』 姫神「友達。いい機会だから。淡希を紹介したい」 土御門「いよーう!結標!」 結標「げっ…秋沙、こいつはいいわ。知り合いだから」 土御門「つれないんだぜい」 青髪「(ややこしなるから黙っとこ)」 姫神「吹寄さん。いい?」 そこで私に声がかかる。爽やかだけど甘い香りがする。 たまに姫神さんからもするのと、同じ匂い―― 吹寄「えっ、ええ。はっ、初めてじゃないかも知れませんが、吹寄制理です。姫神さんの――」 結標「初めまして。聞いてるかも知れないけど、結標淡希。よろしくね」 初めて交わす、顔と言葉と握手。そうか。この人が――結標、淡希 姫神「嘘臭い。営業スマイル」 結標「話の腰折らないでってば!」 姫神さんを…変えた人―― &link(次へ){http://www35.atwiki.jp/seisoku-index/pages/877.html}

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