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君と僕をのせて
静かな夜の海に船が沈む
空には月がかかり
波もない穏やかな太洋の遥かで
ふたりを乗せた船が沈む
どうせ逃げてきた身で
行くあてもなく所持金もなく
ただこうして片道の旅を続けるだけなのだから
せめて嵐が来て
命が瞬間でも輝いてくれるなら
沈む船に居合わせたことに感謝出来るのだから
君の指に僕の指を結ぶのさえもどかしく
胸をはだけて体温を感じている
夜の穏やかな洋上を滑っていく甲板は蒼く闇に照らされたまま
沈んでいく
君と僕を乗せた船が永遠の霧笛を奏でるなら
沈んでいく君と僕は祝福されるに違いない
こうして互いの鼓動を伝え合うことで
どれほどの闇の洋上にいても穏やかでいられる
港を出たときにはすでに知っていたはずなのに
こうして月を仰ぐときになって
ようやく旅が戻りのない絶望の果てへの片道行きなのだと思い出した
思い出したというより気付いたと
気付いたというよりやっと正直に認めることができた
ああ、穏やかな闇の太洋を滑るように進む船は
僕らの棺だったのだとようやく認めることにした
船が沈むという正しさの前では
僕と君は胸をはだけて合わせ続け
互いの鼓動を感じ続けるという航跡だけを残していく
嵐の中でも僕らは胸の鼓動を共振させることが可能だろう
命のために
嵐がやってくる明日を待って待ち続けているのだから