走るのが好きだ

街路樹の下を走るのが好きだ

住宅街の通りを走るのが好きだ

時速8キロ程度のノンビリ走りが好きだ

30分も走ってると
音が消える

雑念がどこかへ棚上げされる
恋のことなど考えない

ただひたすらに走ると
聴こえてくるものがある

人生は

人生は と問いかける母の声が
確かに聴こえたような気がして振り返ってみる

振り返ったところで背後に母の姿はない

見えているのは 
私の歩いた泥道ばかり

泥道に足を取られ続けたはずなのに
懐かしい匂いがする

静かな泥の道









.