病室の窓を染める茜色
 ほほえむひとの赤く腫らした眼
  大丈夫よ と
遠く鳴り響く崩壊の調べ
愛は漆黒の闇に葬られ
幼子は無垢に遊ぶ

水差しをゆっくりと唇にあてて
ほほえむひとの悲しみが 溢れ出し
石になった心が砕け始める
 茜色の武蔵野の窓

至る病
 青春の終わり
  見出せない顔

Aさん良かったですね と
BさんがAさんに声をかけるときの
 Cさんが
  Dさんを見つめる

Bさんこそ良かったですね と
Dさんが微笑んで
 Aさんを見つめながら
  Cさんを励ましていた

そうか
 そうだったのか と思い至り
私はEさんを呼び起こしたのだが Fさんが現れて言う

 みんな茶番ですか? と

終わったのだな と悲しくなって思い切り泣きたかったが泣けなかった

渇いた風が吹き荒れる武蔵野の
 遠く鳴り響く崩壊の調べを聴きながら
幼子を抱き寄せ
茜に染まる予感の その日を

待つことにした









.