『能力者を憎む女刑事Ⅱ』


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 ------ヅッ 赤坂よりマル能発生 マル能発生。付近住民への避難を開始。至急現場へ急行せよ。繰り返す赤坂よりマル能・・・ 
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マル能の言葉が聞こえた瞬間には赤色灯を付けアクセルを踏み込んでいた。
隣にいる相棒の愛理はドアに体を押し付けながらもスピーカーを使って道をあけるよう誘導している。
誰よりも早く現場に到着し、能力者を逮捕したかった。
普通と少し違った能力があるというだけで過信し、犯罪行為にも簡単に手を染める憎き能力者たち。
自分達が至上と心底思い、一般人を無能、非力とし、残虐な行為もいとわない。
こんな奴らさっさと全員殺してしまうべきなんだ。

能力者と呼ばれる人間がいつから“いる”のかはわからない。
それでも事件が表面化し始めたのは2008年4月13日から始まった『粛清』事件からだ。
2008年4月13日 都内某所にて男性遺体が発見。現代の科学では解明も実行もしえない切断方法での失血死。
同16日 都内某所にて男性遺体発見。遺体は氷漬けにされており、熱湯をかけても炎で炙っても解凍することが出来なかった。
以降、数日起きに不可思議な事件が発生していた。
警視庁ははじめ一般の事件と同様に捜査していたが、捜査が進むにつれ常軌を逸している事件たちに解決の糸口を発見できずにいた。


解決ではなく、解明の糸口が見えたのは最初の事件より1ヵ月以上も後の2008年5月22日だった。
深夜にパトロールをしていた同期のエリカが不審な男性に職務質問をかけたのがきっかけだった。
その男は覚せい剤を打った直後のように目は血走り、口から泡を吹きながら意味不明の文言を並べていた。
所轄に連れ帰り、薬物検査をするが反応はなし。
しかし、まともに会話が出来ない。
精神錯乱者として処理しようとした矢先、大勢の署員が見守る中その男は宙に浮いた。
備え付けの防犯カメラで何度も繰り返し見た映像。
その男は何もない所で確かに浮いていた。

「粛清せよ。裏切り者は粛清せよ。我々の任務遂行に仇なす者共よ、凡人共よ、よく聞け。
我々は粛清を続行する。立ちはだかる者共々、木っ端微塵に叩きのめす。言葉通り木っ端微塵だ。
我々が神より与えられし、この能力。これを使い集め世界を混沌へ陥れるのだ。
それこそが我々が望むユートピアだ。粛清せよ。裏切り者は粛清せよ」

スピーカーを使っているかのような大声で男は叫んだ。
そして・・・周りに何もない状態-----当たり前だ。空中に浮いていたのだから-----その状態から首から頭部が吹き飛び、唖然としている署員の目の前で今度は体ごと発火した。
この3分に満たない映像はたちまち警視庁上層部より内閣に報告された。
時の総理大臣は「隠蔽しろ」と指示し、警察は全力で隠蔽にあたった。


しかし、2009年2月26日。
能力者が郵便局に人質をとり立てこもる事件が起きた。
郵便局と路上の防犯カメラより犯人が能力者であることは判明していた。
そこでPECT(exceptional power corresponding team特異能力対応チーム)が出動した。
私とエリカ、栞菜の3人だ。
その頃は何をどうしていいかわからない上層部が形だけ作ったPECTに私たちを配属させ、関連するとされていた事件を詳細に記憶させていた時だった。
この時点では能力の多様性も、攻撃の方法も、何もかもが分からなかった。
そんな私たちを現場に出してどうやって解決しろと言うのか・・。

今までの事件により特異な殺害方法ばかりに目をとられていた。
能力は物理的なものだと疑う余地もなかった。
実際郵便局に進入したのは能力を使い、入り口を破壊したからだった。
それを見ていた私たちは機動隊と似たような格好をし、郵便局へと近寄った。
内部の状況を窺い知るためだ。

パンッ

乾いた音が響き渡ってすぐに私は音がした方向へと走り出した。
エリカが無表情に栞菜を見下ろしていた。
手には拳銃が握られており、栞菜の右足から地面に向かって血が流れていた。
その時、私は叫んでいたように思う。
だけどその声を自分で認識する前にもう一度銃声が鼓膜を振動させた。
エリカは栞菜の左足を撃った。


私はすぐさま麻酔銃をエリカに向かって発射した。
対能力者用の麻酔銃だ。
エリカはすぐに昏睡し、地面に倒れた。

まわりの警官に合図を出し、2人を運び出した途端、中から数人の郵便局局員が警官に向かってきた。
まるでゾンビのように。
もうわけが分からなかった。
とりあえず攻撃してくる者全てに麻酔銃を打ち込んだ。
私の目の前でばたばたと倒れる局員。
襲ってくる局員がいなくなった時に郵便局を見ると、中はもぬけの殻だった。
騒ぎに乗じて犯人は奪い取った金を持ち逃げ去ってしまったのだろう。

局員を保護し、エリカと共に後日事情聴取をするとみな口をそろえ「覚えていない」の一点張り。
何時間も粘り聞き出した結果、精神を操られた可能性が高いということだった。
「真っ黒なモヤが胸のあたりからこみ上げてきて頭の中を占領する」
全ての人間が共通して証言した。
能力には精神を操るものも含まれる。
それが判明しただけでも一歩前進だった。
この事件は「226事件」としてPECT内では重要な案件の1つとされている。
栞菜は結局この時受けた傷がもとで辞職し、エリカは精神操作中の不幸な過失事故として3ヶ月の停職になった。
私自身へのお咎めは全く無かったが、PECTのチームリーダーは外された。
というか、3人だけのお飾りチームではなくPECTとして本格始動するに当たり増員し4つの班に細分化したのだ。
私はその1班のリーダーをしている。




立ち上げ当初は何も分からず、任務として与えられたから能力者を追っていた。
だけど今は違う。
私は心の底から能力者が憎い。
栞菜を辞職に追い込み、エリカを眠らせた能力者達が憎い。




世界を混沌へと陥れる?
やってみろよ。その前に必ず私が---私たちがお前達を捕まえて、殺してやる。




リゾナンター外伝 能力者を憎む女刑事  に触発されて書きました。
なので、作者様がよければ 能力者を憎む女刑事Ⅱとさせてください。
舞美のイメージは「らん」の殺陣時の表情ですw