■ インターセプトパスト -中島早貴・萩原舞X前田憂佳- ■
萩原舞はベルトから機関拳銃を抜く。
「まいいや…先手必勝っしょ」
躊躇なく引き金を引いた。
軽快な発射音が連続し、無数の9mm弾が前田憂佳へと吸い込まれて行く。
「残念です…萩原さん」
次の瞬間、萩原舞は矢庭に機関拳銃をあらぬ方向に乱射した。
誰もいない、瓦礫と瓦礫の間。
何もないその空間へと。
「うぎゃあっ」
悲鳴と同時に目の前の前田憂佳が陽炎の如くゆがんで消えた。
「言われたとおりにしてみたけど、いったいどういうことなの?なきこ」
萩原は瓦礫の影、すぐ近くの何者かに声をかける
「んーまぁいいじゃんそのへんのことは」
なきこ…中島早貴は曖昧な返答をしながら萩原に歩み寄る。
「逃げた、か。もう一度"やりなおす?"いやアタシの方がもうもたないか…」
不思議な独り言をつぶやき、ふうと息をつく。
「詳しい説明はそのうち…ね。とにかく、無事でよかったよ。」
「無事も何も最初から舞の圧勝だったっしょ!どこから攻撃されたって舞は無敵なんだからさー」
「んーそだねーうん。」
「あー!なんかバカにしてる!絶対バカにしてる!」
「いやしてないってハギさんそりゃ誤解だよ」
「いーや!した!絶っ対してる!いっつもそうだよ!舞ががんばってもさーいっつもみんなコドモ扱いしてさー」
またはじまった。舞ちゃんはすぐすねるんだから。
中島早貴は前田憂佳が逃げた方向へと振り返る。
そっちへ逃げても無駄なのに…
全てはもう、 決 ま っ て い る ことなのに…
萩原の不平不満の声が現実へと引き戻す。
考えてもしょうがない。舞ちゃんだけでも救えたならそれでいい。
さようなら。
彼女は心の中でつぶやく。
さようなら、前田憂佳。
最終更新:2012年02月03日 08:23