『聖なるもの』


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ろうそくの炎で照らされたその洞窟の中には二人の女性

「ほんとうに私なんかでいいんですか、リーダー?」
不安げな声で彼女は目の前にいる女性に問いかけた
「ええ、あなたにお願いしたいの」
そう言ったフードで顔を隠した女性は外に広がっている世界を悲しげな表情で思い浮かべた

目の前に広がる果てしなく続く不毛な大地と黒い雲に包まれた世界
草木は枯れ、動物は斃れ、果てしなく続いてみえる赤い大地
海や川は濁り、見上げれば漆黒のカーテンを貼られたような空
あちらこちらにはかつて『人間』であっただろう骨が転がっていた

「あんたは知らないかもしれへん。かつてここはたくさんの人が週末になれば集う公園だったことを
 真ん中には大きな木があって子供達は登ったり、木陰で本を読んでいたわ」
「公園・・・大きな木・・・」
「そんな憩いの場やったわ。そして、私もそこで心を休ませたそんな一人やった
 ・・・でも、しっとるやろ?この数年で起きたことを」
「・・・」
彼女は何も答えないが、何が起きたのかを十分すぎるほどに知っていた

「私達は最後の最後まで何かできないかって必死になって抵抗した
 でも、結局は運命には抗えへんかった・・・つらかった、自分の力が弱くて、世界を守れんくて・・・」
「・・・リーダー」
目の前で泣きだしそうになる女性を彼女はその大きな瞳で見つめていた

「・・・未来は変えられへんかった。でも、過去に戻れば未来は変えられるかもしれん!
 過去を変えれば何が起こるかはわからん。もしかしたら私達は消えてしまうかもしれん
 せやけど、こんな世界を変えられるんなら消えて本望や!」
女性は強くこぶしを握りしめた

「せやから、私の残った最後の力であんたを過去に送り届ける!」
「でも私なんかで大丈夫ですか?私なんかが未来を変えるために行くなんて」
「安心しいや、私もかつて教わったんや、『自分を信じることが最大の強さ』やって
 あんたはこれからある人に会ってもらう。それは私を育て上げてくれた史上最強の戦士や」
「それってもしかして・・・」

イィィィ・・・

「!!いかん、奴らや、早くせんと」
女性は眼をつぶり静かに印を唱え始めた
「・・・渇っ!」
女性の気合と共に周囲の空間に亀裂が入った
「さあ、早く飛び込んで!あんたが飛び込んだら私はあの時代に着くまでは守ってあげるから!」
「大丈夫ですか、お一人で、あいつらとやるなんて」
「なめんなや、伝説の一人なんや、私も」
笑顔で女性はVサインを作ってみせた

イィィィィ・・・

「・・・それじゃあ、未来を、過去を頼んだよ。行き先は分かっているよね?」
「はい、もちろんです、目的地は『リゾナント』、会うべき人物は『高橋愛』」
「上出来や!」
「・・・リーダー、また『過去』で会いましょう」
「『未来』から無事を祈っているよ」

そういい彼女は時空の狭間に飛び込んだ

「頼んだよ、聖・・・さてと、今度はこっちの始末や!聖が着くまでは頑張らなくてはアカンな
 ふぅ・・・さあ、こいやぁ、ダークネス!最後のリゾナンター愛佳が相手になってやるわ!」



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