長谷部恭男・憲法論★追討編~よくわかる左翼憲法論Ⅱ

<目次>


■1.「護憲派最終防御ライン」長谷部恭男

戦後左翼の言論支配は、様々な分野に及んでいるが、憲法学の分野では、宮沢俊義→芦部信喜と続くラインがその中心となっており、歴史学・政治思想・宗教史など他分野に比較しても、その勢力はなお強大である。


しかし、宮沢俊義の後継者であった芦部信喜の憲法論は、確かに現在でも日本の憲法学の通説的地位を占めているものの、その論説の基礎となっている法概念理解は、20世紀初頭以降の分析哲学の発展を反映して世界標準となった英米圏の法概念理解( ハートの法=社会的ルール説 をベースとする理解)と完全にズレて時代遅れとなった、謂わば「日本ローカル(ないし半世紀前のドイツ法学準拠)」の代物でしかないことが明白であって、芦部の門下であり近年の護憲派憲法論のエース格となった長谷部恭男からさえ、はっきりと否定されざるを得ない状況となっている(よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編)参照)。

このページでは、理論的にはとっくに破綻している芦部憲法論に代わって、 護憲派最終防御ライン の呼び声高い長谷部恭男教授の憲法論を紹介するとともに、その問題点・矛盾点を指摘して、こうした論説に依拠する“護憲派左翼”残党の掃討を画す。


■2.長谷部恭男『憲法 第5版』紹介と抜粋(内容チェック)

『憲法 第5版』 (長谷部恭男:著 (2011年))
長谷部恭男 は、故・芦部信喜(東大憲法学の最大の権威)門下の現代左翼を代表する憲法学者(東大法学部教授(憲法学)・元東大法科大学院長)である。
しかし師・芦部の憲法論が基本的には観念論的・形而上学的な(=存在証明の不可能なものを勝手にでっち上げている懸念の高い)大陸法学を引きずったままの修正自然法論・制憲権論に依っているのに対して、長谷部教授は、分析哲学(=哲学の役割は特定の観念体系の構築ではなくて、諸概念の分析・明晰化であるとする哲学潮流)を踏まえた英米系の法理論(ハートの社会的ルール説etc.)が世界的なスタンダードになって久しい状況に適応すべく、こうした師の修正自然法論・制憲権論を明確に否定する立場を鮮明にする一方で、なおこうした英米圏の法理論を憲法9条の改憲阻止を眼目とした護憲論に結びつける論説を近年盛んに発表しており、芦部に代わって左翼憲法論の新たなリーダーとなりつつある。(※参考ページ:政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価)。

長谷部教授の憲法論は、このように憲法の概念論(=憲法とは何であるか、という理解)としては芦部説より遥かにマシではあるが、そのもつ国家観・歴史観が結局のところ、ひと昔前の丸山眞男「日本ファシズム論」(戦前の日本は暗黒のファシズム国家であったとする戦後左翼が盛んに流布させた論説)に依拠したままであるために、憲法の理念論(=憲法はどうあるべきか、という理解。ことに日本の憲法典はどうあるべきか、という理解)に関して、戦後左翼的な歪みから脱却できていない。


▼1. 憲法とは何か

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▼2. 日本憲法史

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▼3. 平和主義

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■3.長谷部憲法論の問題点・矛盾点


▼1.国家観・歴史観が丸山眞男・日本ファシズム論に依拠していること


まず第一に、長谷部教授の国家観・歴史観が、旧来の丸山テーゼに依拠したままであることが挙げられる。
つまり未だに、丸山眞男が戦後に流布させた「戦前の日本は暗黒のファシズム国家だった」とする虚偽の見識に拠っているからこそ、憲法前文や9条といった自虐的な憲法解釈を助長するだけの条規の改正に反対しているのである。
丸山テーゼ(日本ファシズム論)の検証について、詳細は 村上重良「国家神道論」、丸山眞男「天皇制ファシズム論」の検証 へ。
以下、参考図表。


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▼2.ハイエクに代表されるリベラル右派の論説への言及を故意に避けていること


次に、長谷部教授の論説は、ハートの法概念論までは肯定しても、それと密接に結びついたハイエクの法概念論・理念論(ノモス(自生的秩序の法)・テシス(組織の法)二分論、「法の支配」論etc.)や自由主義/立憲主義論への言及は故意に避けている疑いが強いこと。
自由で寛容な価値多元的な社会を称揚しそれを支える憲法理論を構想するならば、「自由の騎士」ハイエクの論説は外せないはずだが、彼の二つの自由主義論(古典的自由主義と左翼的リベラリズムの区別)に到達されると、左翼側は全く反論できなくなってしまう恐れが高いため、一般に左翼論者はハイエクの論説を「鬼門」として一切の言及を忌避する傾向がある(共に丸山眞男門下の笹倉秀夫(法哲学)、刈部直(政治思想)に顕著)。
⇒もしハートの法概念論に依拠するならば、阪本昌成教授の憲法論がそうであるように、併せてハイエクの論にも依拠していなければ法理論として一貫しない筈であり、長谷部教授の立憲主義論(自由で寛容な価値多元的社会を支える憲法構想論)は中途半端といわざるを得ない。

なお、ハイエク「自生的秩序論」とハート「社会的ルール説」の密接な関係については、落合仁司『保守主義の社会理論』内容紹介参照。
阪本昌成教授の憲法論については、阪本昌成『憲法理論Ⅰ 第三版』(1999年刊) および 阪本昌成『憲法1 国制クラシック 全訂第三版』(2011年刊)参照。

以下、参考図表。

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▼3.ハートの「究極の認定(承認)ルール」について素直な解釈を示さず、代わりに「三次ルール」という独自説を立てていること


下の 参照図 の説明欄に記したように、ハートは著書『法の概念』の中で、 イギリス における「 究極の認定(承認)のルール 」は(たとえ形式的なものであっても)「 議会における女王の制定するものが法であるというルール 」であることに再三言及し、かつそのルールの論理的・客観的妥当性は証明できないもののイギリスの人々の慣行(practice)として確かに受容され遂行されることによってイギリスの法体系全体を根拠づけている、と述べている。
つまり「 究極の認定(承認)のルール 」は 法体系の妥当性根拠の終点 であって 人々の事実的慣行(actual practice)との接点 なのであるが、 人々がそうした慣行を遂行(perform)し続ける理由 には(ハートは特に明言していないが)明らかに 伝統や権威や宗教的心情といった非法学的要素が関わっている ものと推測される。

ハートのこの理論を、日本のケースに素直に当て嵌めるとすれば、 日本 における「 究極の認定(承認)のルール 」は(やはり形式的なものであっても)「 天皇の裁可(ないし御名御璽による認証)を受けたものが法として発効するというルール 」ないしは「 天皇の認定(任命)した権力者が正式に政治を行い法を制定するというルール 」であって、こうしたルールはまさに日本人の長年に亘る事実的慣行として受容され遂行され続けている、というべきであるが、長谷部教授の論説にはそのような素直な理解が全く示されていない。

代わりに、『憲法とは何か』(岩波新書、2006年刊)という著書の中で長谷部教授は、ハート理論の二次ルールを更に変更させる「三次ルール」という概念を提唱し、憲法典の改正条項が具体的なそれである、とする本来のハート理論から聊(いささ)かズレた自説を展開している。
しかし、そうした「三次ルール」を「二次ルール」の外部にさらに認めるとすれば、ハート理論の中で人々の遂行する事実的慣行によって(論理的・客観的妥当性を欠きながらも)①認定(承認)・②変更・③裁定の二次ルールに根拠を与えているとされる肝心の「究極の認定(承認)のルール」の所在が曖昧になってしまい、三次ルールの認定根拠が不明になる、あるいは三次ルールがあるのならば、それを更に変更する「四次ルール」が必要になって結局、無限に高次ルールを想定しなくならなくなるetc.といった論理破綻を来たすことになる。
そうした論理破綻を避ける意味で、素直に、二次ルールの変更は二次ルール体系の内部で遂行される、と考えることが適切である(こうした二次ルール体系の内部で変更された新たな「二次ルール」が効力を発するためには、やはり「究極の認定(承認)のルール」による認定が必要である)。


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