村上重良「国家神道論」、丸山眞男「天皇制ファシズム論」の検証

さらに、戦後一世を風靡したマルクス主義者たちにとっては、打倒すべき対象である天皇のイメージは“悪ければ悪いほどよかった”。
こうして、息苦しい記憶に裏打ちされた「暗い情念」と、占領軍による権威づけと、イデオロギー的利益とが結び合わされ、この三位一体の黙契が実証的な精神を押さえ込んできたのが戦後精神史の一般的な風景だった。
この流れに掉さして、「創られた伝統」を増幅させたのが、宗教史の分野では村上重良であり、憲法学の分野では宮沢俊義であり、政治思想の分野では丸山眞男だった。
~ 新田均(憲法政治学者)『「現人神」「国家神道」という幻想』(2003年)


<目次>


■1.戦後民主主義者の思想の枠組み

「社会主義・共産主義への“進歩”を「歴史の必然」と考えるマルクス主義者・戦後民主主義者(進歩的文化人)によって、進歩に逆行する反革命、すなわち「天皇制ファシズム(日本ファシズム)」と断罪された戦前期日本の国家体制、およびマルクス主義の二段階革命論に関するまとめページ」(↓下記)を参照。


このページでは、分野毎の各論(①丸山「天皇制ファシズム論」、②村上「国家神道論」の内容検証・反論)をまとめます。


■2.丸山眞男「天皇制ファシズム論」と反論

丸山眞男は1946年5月に発表のデビュー論文「超国家主義の論理と心理」、翌1947年6月の講演「日本ファシズムの思想と行動」で、一気に戦後言論界のオピニオン・リーダーに躍り出て、以降1960年の反安保闘争でも活躍し、戦後民主主義者の代表として長期にわたって左翼陣営に大きな思想的影響を及ぼした政治学者である。

東京裁判史観と密接に結び付いた彼の「天皇制ファシズム論」は、戦後マスコミ・教育界の絶対的な思想的ベースとなり、現在でも強くその影響をとどめている。

◆1.丸山テーゼと、その検証


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現代政治の思想と行動 増補版
丸山眞男 (著) 1964刊 1974増補

出版社 / 著者からの内容紹介
戦後日本を代表する政治学者・丸山眞男の『日本政治思想史研究』(東京大学出版会)にならぶ主著。「戦後日本社会科学の精神的起点の一つ」(道場親信)と評され、「丸山学派」とよばれる多くの学者に影響を与えた。三部に分けられ20本の論文が収録されている。各論文は、講演調、書簡体、対話体と、ヴァラエティにとんだ歯切れのよい文体でつづられており大変読みやすく、また著者自身による詳細な「追記および補註」も読者の理解を助けてくれる。第一部には「日本ファシズム」をめぐる論考がおさめられている。特に「超国家主義の論理と心理」の与えたインパクトは大きく、その後の天皇制分析の出発点となった。「軍国支配者の精神形態」では「無責任の体系」というキーワードで日本の支配機構を分析、戦争責任問題の分析への道をひらいた。第二部にはファシズムと同時に共産主義の問題も論じている。第三部では政治学の基本的な概念を整理した文章がならんでおり、著者自身の時代状況への対応も見ることができる。「現代における人間と政治」では、『独裁者』などチャップリンの映画からときおこし、知識人の役割についての考察を深めている。半世紀たった今も、全く色あせるどころかますます輝きをます政治学的考察の宝庫。

★評価
中共と毛沢東を激賞しスターリンの「功績」をも懸命に擁護して、日本とアメリカの「ファシズム化」に警鐘を鳴らし続けて「本物の知識人」たちを“啓蒙”した丸山眞男の主要論文集。怪番組NHK JAPANデビュー第二回:天皇と憲法の思想的な源流もここにある!
丸山眞男の時代
竹内 洋 (著) 2005.11刊

内容(「BOOK」データベースより)
戦後の市民による政治参加に圧倒的な支配力を及ぼした丸山眞男。そのカリスマ的な存在感の背景には、意外なことに、戦前、東大法学部の助手時代に体験した、右翼によるヒステリックな恫喝というトラウマがあった。本書は、六〇年安保を思想的に指導したものの、六〇年代後半には学生から一斉に背を向けられる栄光と挫折の遍歴をたどり、丸山がその後のアカデミズムとジャーナリズムに与えた影響を検証する。

★評価
『日本主義的教養の時代―大学批判の古層』のもう一人の中心的編集者。1942年生まれの著者はまさしく学生時代に丸山眞男の強い影響を受けた世代だが、それだけに鋭く丸山氏の矛盾点・問題点を突いている。戦前から続く丸山と蓑田胸喜の浅からぬ因縁、戦後の学生運動への共産党の干渉、1960年の安保闘争、その後の全共闘など「丸山眞男の時代」を簡潔に描き出しており、読み易い。
知識人とファシズム―近衛新体制と昭和研究会
マイルズ・フレッチャー (著), 竹内 洋 (翻訳), 井上 義和 (翻訳)

内容(「BOOK」データベースより)
自らの理念を現実化すべく国策関与を深める蝋山政道、三木清、笠信太郎ら当代随一の知識人たち。はたして1930年代は「暗い谷間」だったのか?戦後思想を規定した丸山眞男の誤謬を撃ち、昭和戦前期のイメージを根源から塗り替える。

★評価
日本思想研究家M.フレッチャーによって1982年に著された本書を2011年にようやく翻訳。
既に80年代にフレッチャーは昭和研究会の理論家の思想遍歴から、丸山テーゼは成り立たないことを論証していた。
全体に良訳であり、巻末の訳者竹内洋氏による丸山テーゼの今日的状況を含めた解説も分かりやすい。お勧め。
日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜
井上 義和 (著) (上記のM.フレッチャー『知識人とファシズム』の訳者の一人) 2008.6刊

内容(「BOOK」データベースより)
国家的危機の時代における大学の使命とは何か。欧化一辺倒の東京帝国大学に学風改革を迫り、高度国防国家を標傍する政府とも命がけの思想戦を繰り広げた東大生たち。戦時体制下で宿命的に挫折した“日本主義的教養”の逆説を読み解き、日本型保守主義の可能性を探る。

目次
第1章 「右翼」は頭が悪かったのか―文部省データの統計的分析
第2章 政治学講義と国体論の出会い―『矢部貞治日記』を中心に
第3章 学風改革か自治破壊か―東大小田村事件の衝撃
第4章 若き日本主義者たちの登場―一高昭信会の系譜
第5章 学生思想運動の全国展開―日本学生協会の設立
第6章 逆風下の思想戦―精神科学研究所の設立
第7章 「観念右翼」の逆説―戦時体制下の護憲運動
第8章 昭和十六年の短期戦論―違勅論と軍政批判
第9章 「観念右翼」は狂信的だったのか―日本型保守主義の可能性

★評価
現代の日本会議に繋がる国民文化研究会の母体となった昭和10年代の右翼学生運動の系譜を追い、左翼が壊滅した後、国家改造を進める革新右翼(国家社会主義者・アジア主義者)と激しく対立した観念右翼(伝統保守・日本主義者)の論理と活動の一段面を論証した好著


◆2.丸山テーゼに代わる昭和初期日本の政治・思想状況モデル


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丸山テーゼは、故意に革新右翼・観念右翼を区別せずに、「狂信的な右翼ファシスト」と一括りにして、激しく糾弾しているが、
(1) 昭和初期の日本の政治・思想状況を解明する上で、この両者を区別する必要性があることは、革新右翼の代表である昭和研究会の理論家であった矢部貞治氏(政治学者)の戦後に発表された記録から早くに知られており、
(2) 1970年代には、伊藤隆氏(歴史学者)が、「進歩(欧化)-復古(反動)」軸と「革新(破壊)-漸進(現状維持)」軸の2軸に、左翼・右翼などの諸思想・勢力を位置づけ、
<1> 「進歩(欧化)-革新(破壊)」象限に位置する左翼は1930年代半ばに壊滅したが、
<2> その後「復古(反動)-革新(破壊)」象限に位置する右翼から、「復古」をより志向する「観念右翼」と、「革新」をより志向する「革新右翼」が分離して、1940年の近衛新体制運動を巡って対立した。
<3> 近衛政権は、凡そ自らのブレイン集団である昭和研究会を中心とする「革新右翼」の路線に引きずられる形で支那事変を長期化させてしまい、さらに大東亜戦争へと追い詰められていった。
<4> しかし敗戦が続く中で、「革新右翼」は後退し、「観念右翼」が、元の親英米派・旧体制派の自由主義者・重臣層と連携して戦争の幕引きを図った。
とする構図を提唱している。
(3) 上のモデル図は、伊藤隆氏の「進歩(欧化)-復古(反動)」軸の「反動」を「伝統」に置き換えて、下の政治的スタンス5分類・8分類図に附合する形式に、「観念右翼」「革新右翼」「左翼」「オールド・リベラル」を各々位置づけたものである。

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■3.村上重良「国家神道論」と反論

村上重良は戦後の宗教史の第一人者とされ、慶応大・龍谷大講師を勤めた人物である。

その主著『国家神道』(1970年刊)および『慰霊と招魂―靖国の思想』(1974年刊)は、終戦後まもなくの時期にGHQによって出された「神道指令」や、東京裁判の審理進行に合わせて提示された丸山眞男「天皇制ファシズム論」をベースとして、神道や靖国神社を「天皇制ファシズムによる侵略戦争のイデオロギー装置」と激しく批判し、戦後のマスコミや日教組の神道批判・靖国神社批判に「学問的根拠」を与えた、とされる。

以下、村上「国家神道」論の内容と、新田均氏の下記の著作による反論、および関連する近代日本精神史の出来事を列記します。

◆1.「国家神道」に関する事実検証


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『国家神道』  村上重良(著)

内容紹介
国家神道は、近代天皇制国家がつくりだした国家宗教であり、明治維新から太平洋戦争の敗戦まで80年間、日本人を精神的に支配しつづけた。本書は、国家神道の成立から解体までの過程を詳細にたどり、その構造と思想を分析して本質的性格を明らかにすることによって、神道が日本人にとっていかなる意味をもったかを追求する。

★評価★
神道や靖国神社を批判する戦後左翼のバイブルとなった一冊。

↓下は残念ながら現在絶版です。復刊アンケートにご協力願います。http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=39829
「現人神」「国家神道」という幻想  新田 均 (著)

amazonで一部ページを拝見できます。豊富な実証的研究により、「明治以降の日本は北朝鮮のような異常な絶対主義君主国家だった」という立花隆など左翼の大嘘を完全に打ち破る名著

※amazonの内容紹介より一部引用
「現人神」「国家神道」——これらの言葉から、現代の日本人はどんなイメージを連想するだろうか。おそらく、狂信的な「天皇崇拝思想」と、それを支えた「国教制度」といったとこだろう。そして、この「日本国民を狂信的な戦争へと導いた思想と制度」は「明治政府が日本の近代化のために考え出した」などとされている。
だが著者は、「そのような認識は思い込みに基づく幻想にすぎない」と喝破する。それは最近の実証的歴史研究の成果に照らしても明らかなのだが、これが意外と世間では知られておらず、歴史の専門家でさえ、少し分野が違っただけで知らない者が大多数なのだという。世間で知られていないことがそれほど大きな意味を持たないなら、それでもかまわないのかもしれないが、この「幻想」はわが国の首相の靖国神社参拝問題や政教関係訴訟、さらには教科書問題や外交関係にまで影を落としている。
“虚像”が誰によって、いかにして創られたかを検証する。

「「現人神」「国家神道」とは、日本国民を狂信的な戦争へと導いた思想と制度である」との嘘八百の言説に異議あり! こういったイメージが幻想に過ぎないことを、実証的歴史研究の成果に照らして明かす。

◆2.自虐史観を完全に払拭する3STEP


STEP1 「日本は韓国を侵略した」 ×(嘘) 韓国はなぜ反日か?参照
STEP2 「日本は中国を侵略した」 ×(嘘) 中国はなぜ反日か?参照
STEP3 「明治維新以降(あるいは戦前)の日本は異常な天皇制ファシズム国家だった」 ×(嘘) 当ページの解説参照 。但しその際に 浅薄な皇国賛美史観 に陥らないよう注意しましょう(⇒国体とは何か② ~ その他の論点参照)

どうせなら早くSTEP3まで行きましょう。

■4.ご意見、情報提供

  • 大変意義のあるサイトに敬意を表します。国家神道に関する村上重良・新田均両氏の著作は歴史の事実と整合性がない、と云うのが現在の評価ではないでしょうか。佐藤雉鳴『神道指令・日米の錯誤』にそのことが記されています。二人の著作ではGHQ文書の解明ができていないということらしいです。 -- チキン (2012-03-09 09:27:32)
  • 今晩は。佐藤氏のサイトを少し見ましたが、佐藤氏個人の独自解釈を強く打ち出している方という印象をまず受けました。
    こちらの政治思想・政治理論シリーズは、今の日本において「保守」として押さえておくべき「常識」とは何か、ということに主眼をおいて編集しており、新田均皇學館大学教授の論は、その検証内容の実証性・検証結果の総合性から見て、まさにこの「保守の常識」に合致する内容足り得るものと思量し当ページにて紹介しています。 -- ページ作成者 (2012-03-10 01:15:55)
  • これに対して佐藤氏の論は、教育勅語の「内外」という文言の解釈に関する佐藤氏の異論申し立てから全てを演繹している感があり、本人の独自解釈ばかりで検証が浅く総合性に欠けるように思います。
    因みに教育勅語については、明治40年に文部省が公式に発表した英訳があり、そこでは「中外」は「in all places」となっていて「中外」を「宮中と民間」とする佐藤氏の独自解釈はやはり妥当ではないと思います。詳しくは教育勅語とその精神を参照願います。 -- ページ作成者 (2012-03-10 01:30:18)
  • 補足すると、「保守として押さえるべき常識」とは具体的には、チャンネル桜・日本会議といった実績のある保守系団体・メディアの打ち出している公式的な見解、ということにほぼなります。新田均教授の見解は、この条件に該当すると思われます。
    これに対して佐藤氏の論は、単なる個人の独自解釈であり、かつ一見したところ、内容が散漫で結局読者の頭を混乱させる効果しかなく、むしろ有害との印象を受けました(従って、現時点では却下)。 -- ページ作成者 (2012-03-10 01:58:45)
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