4スレ 731


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731 :名無しさん@ピンキー:2011/02/25(金) 16:53:53 ID:9AUwOWab
なんか急に思いついた妄想
若干のキャラ崩壊かもなので注意



ある日、家で料理をしているジュウ。
しかし、包丁握ったまま足元がふらつき転倒。包丁が腹にズブリ
偶然、そこに押し掛けてきた雪姫があわてて救急車呼ぶ

救急車の中でうなされるジュウ。その時、雪姫を見て
無意識に呼んだ名前が
「・・うぁ・・・美夜」

幸い命に全く別状はなく傷もたいしたことない
だが、なぜか雪姫は心中穏やかじゃなかった
聞いたことのない女の名前がジュウの口から出た事

雨が何か知っているんじゃないか?と思い、聞くと
「彼女は・・紗月美也は・・おそらくジュウ様の初恋の人です・・」
「・・・え?」

なぜ、その今その名前が出てきたのだろう?
「雪姫たちと知り合う前にジュウ様は
彼女に刺され瀕死の重症になりました。・・私をかばって。
その時のことが重なったのかと思います・・。」

じゃあなぜ私を見てその名前が出たの?
「・・雪姫は少し・・・彼女に似ていますからね」
「――――!!」

初めてだった。
気が気じゃない。心の波が消えない。どうしていいか分からない
なんといえばいいかわからないが決して良い気分じゃない。
雪姫を見て、雪姫じゃない女の子の名前が出た事が
暗い濁りを雪姫の心に残す。

気がつくと雪姫は雨から聞いた、とある少年院の前にいた
なにをすればいいのか,なにをしてるのか自分でもよくわからない。

でも、来てしまった・・。
彼女がいる、この場所に


少年院の前に着いてからは、簡単だった
受付に向かい、「円堂円」の名前を出した。
あたしとその「紗月美夜」は全くの無関係にもかかわらず
円の名前を聞いただけで職員の一人が拘置所まで案内してくれた。

「こちらです。面会時間は10分間ですのでご了承ください。」
「・・ありがとうございます。」

この扉の向こうに「紗月美夜」がいる
彼女になにを聞きたいのか、何を言いたいのか、
そもそもあたしは何をしにここまで来たのか
そんなのわからない

わからなかったが、
目の前の扉を開けることに躊躇いはなかった。

――――――ガチャ・・・

扉をあけるとそこに彼女はいた。
ガラス越しにいる彼女を見て少し驚いた。
少し顔色が悪いとは言え、顔立ちの整った可愛らしい少女だった
こんな子が人殺しを、柔沢くんをカッターナイフで刺したのか?
内心、戸惑う雪姫を前に美夜が口を開く

「・・・あなたは?私の知り合いですか?」
「・・・いいえ」
美夜の問いに答える。

「あたしとあなたは間違いなく初対面ですよ。」
「・・?どういう事?」

「あたしの名前は斬島雪姫、堕花雨と柔沢ジュウくんの友達だよ」
「―――――!!」

私は一体何をしたいのだろう
彼女と何を話したいんだろう
まだ分からない

でも、きっと私は彼女になにかを伝えたいのだ
それがなにかはまだわからないけど


「ジュウくんの?・・」
「うん、友達だよ。雨ともね」

それから雨やジュウとの関係を話し
ジュウが救急車に運ばれたことを話すと
「ジュウくんが!?大丈夫なの!?」
「!!う、うん!命に別状はないハズだからすぐに退院できると思うよ!」
「そっか・・よかったぁ」

急に取り乱した美夜に少しあわてる雪姫
「・・って、私がこんな事言う資格も無いんだよね・・」
「・・・・」

急に暗い陰を見せる美夜
「私さ・・、もう堕花さんから聞いたかもしれないけど人を殺したんだよ。それもたくさん」
「・・・うん」

「お兄さんに襲われてから、なにもかもおかしくなっちゃって・・」
「・・・・」
美夜が泣きそうな顔で笑う

「挙句の果てに、ジュウくんまで・・ジュウくんまで殺しかけて―――!!」
「・・・・・」
ついに抑えられない感情が美夜の目から溢れてきた

「ジュウくんを殺しかけたとき、ジュウくんはなんていったと思う?
 『なんで助けを求めなかった?』『お前は一人じゃないんだ』なんて言ってた
 これから自分を殺そうとしてる相手にだよ?――。
    • バカだよ―――!」
「・・・・・」

「ジュウくんを刺しちゃった時、ジュウくんは何したと思う?
 わたしを抱きしめて笑ったんだよ?優しい顔で・・。
 ・・ホントにバカだよ――!・・・バカすぎなんだよ!ジュウくんは――!!」
「・・・・・」

「なんで・・こうなっちゃったんだろうね・・・」

そして、美夜は言った
「ホントはジュウくんのこと、大好きだったのに―――!!」
「―――――!!」

「う・・うああぁあぁぁ・・・」
美夜の涙はもう止まらなかった、
そしてその顔は救急車でうなされながら
美夜の名前を呼ぶジュウと同じだった。

この二人は互いに苦しんでるのかもしれない


「・・ねえ美夜ちゃん」
「・・・え?」
はじめて名前を呼ぶ。
だが、昔からの友達のような気持ちに不思議となれた。

「雨が言ってたんだ。柔沢くんが美夜ちゃんの事
思い出して今でも暗くなることがあるって・・」
「・・そうだよね。ジュウくんを散々騙して、
 挙句に殺しかけたんだもん。私が言えたことじゃないけど
 ジュウくんには早く私の事を忘れて、普通に生きてほしいよ・・。」

「違うよ美夜ちゃん」

雪姫は美夜を見据える
「これも雨から聞いんだけど、柔沢くん言ってたらしいんだ。」

『俺は美夜の事、救えなかった』
『美夜と毎日一緒にいたのに、美夜が苦しんでるのに気付けなかった』
『もしこの先、美夜と逢う事があったら伝えたいんだ。お前の苦しみに気付けなくてすまないって』



『今更、手遅れかもしれないけど美夜、おまえはひとりじゃないんだ。そう伝えたい』



「・・なんで?どうして?・・なんでよぉ!!・・」
美夜は泣きながら困惑する。
雪姫自身もそう思った。自分を殺しかけた人間に贈る言葉じゃない

「ねえ?もしいつかここを出たら・・ジュウくんにもう一度会って欲しいんだ」
「――!何言ってんの!?私はジュウくんを殺しかけたんだよ!!
会えるわけないじゃん!!私が会ってもジュウくんを苦しめるだけだよ!!」
「柔沢くんも美夜ちゃんの事大好きだったんだよ!!」
「―――!!」

雪姫は美夜を見据える。
「だからこそ、柔沢くんは苦しんでる。
なぜなら美夜ちゃんが苦しんでるから」
「・・・そんな・・事」

「あたしも柔沢くんが大好き。
 はっきり言って恋人になりたいくらいね」
「だったら・・、あなたがジュウくんの
傍にいればいいじゃない!私にはもう―――!!」

「でも、美夜ちゃんとは友達になりたいんだ」
「・・・はぁ?」
美夜はもうわけが分からない

「美夜ちゃんの事で柔沢くんは苦しんでる。
あたしは大好きな人のそんな顔見たくないんだよ。
 美夜ちゃんは柔沢くんの事で罪悪感を感じている。
 柔沢くんも美夜ちゃんを救いたいって言ってる。
 だったら、もう一度やり直そうよ。」

「でも、私は・・もう・・ジュウくんには・・」
「美夜ちゃんがいつまでもそうやってるから
 柔沢くんが苦しんでるんだよ?
 君が柔沢くんにしてあげられる一番の事は
 早くここから出て、私たちと・・柔沢くんと一緒に笑い合う事だよ!」
「――――!!」

ああ、ようやく分かった
あたしはこの事を彼女に言いたかったんだ。
大好きな柔沢くんが苦しんでいる。それは彼女のせいだと思っていた。

でも違った。柔沢くんが苦しんでるように、彼女も苦しんでる。
だったら、あたしがそれを変えればいい。
あたしが柔沢くんと彼女をつなぐ橋になれば、
大好きな柔沢くんの笑顔が見れる。
あたしはそれを見たかったんだ。

それに、なぜか彼女とは初対面とは思えなかった。
きっと私たちはきっと良い友達になれる。
そんな気がしてならなかった。


「・・もう時間だね。」
「え?あ・・そうだね」
二人とも残念そうに言う。

「なんだか私たち、似てるかもね
 とても、今日初対面とは思えないんだもん。」
「あはは、雨にも言われたよそれ」

雪姫はドアノブに手を懸け、言う

「じゃあね、また来るよ美夜ちゃん」
「うん、今日はありがとうね、雪姫ちゃん」
はじめてお互いの名前を呼び合い、別れた。


帰り道、雪姫は思う。
なにも、考えずこんな大胆な行動をしたのは初めてだ。
だけど、

「いい子だったな。美夜ちゃん。」
素直にそう思えた。

なぜ、私はここまでしてしまったのだろう?
なぜ、初対面の子にあそこまで自分の気持ちをさらけ出したのだろう?
答えは簡単だった。

「あー、やっぱり、あたし柔沢くんの事大好きなんだなー。」
素直にそう思えた。恥ずかしながらベタ惚れみたいだ。
私だけじゃない、あの子もそうだ。
だから、友達になろう、なんて言ってしまったんだろう。

「さてと、明日にでも柔沢くんの見舞いに行こうかな!」

ジュウや雨には美夜の名前はまだ出せないが、いつか言いたい

――――――あたし、友達が一人増えたよって





今日、私は会いに行く・・
彼に・・ジュウ君に・・・
迷惑なのは分かってる。
たとえ会って拒絶されても言わなければ・・・
謝らなければいけない・・


私があの事件を起こしてから8年・・
私はとある場所で事務員として働いていた。

私は逮捕後、5年後に出所することができた
その間、たまにだが、雪姫ちゃんは来てくれた。
ジュウくんに会う事も出来なくはなかっただろう
雪姫ちゃんも「会ってみてもいいんじゃない?」みたいに言われた。

でも、私はそれを断った。
今はまだ、自分を見せたくない。
ここを出て、ほんの少しでも立派になってから会いたい
そのあとでジュウ君に謝りたいんだ。
また仲良くしてほしいなんては言わない。ただ謝りたい。

雪姫ちゃんは、堕花さんやジュウくんの事、詳しい事は言わなかったが
どうやらジュウ君は元気にやっているようで本当に良かった。


出所後、まともな商売に付けなかったであろう私は
もう、水商売とかしかないんじゃないか?なんて考えていた。

だが、私の事情を知ってる刑事さんの支援があったからだろうか
私は近くの工場で働くことができた。



その工場はそこそこ大きい中小企業の下請けの工場らしく
最初は作業服を着て流れ作業みたいなことばかりやっていた。

しかし、院内で得た事務関連の資格が活きたのか、
少しずつ仕事を覚え、事務関連の仕事もしたとき、
上司から「君はデスクワークの方がいいんじゃない?」みたいなことを言われ
わりと本格的に事務の仕事を任されるようになった。

それを2年ほど続け、今度はその工場の上の中小企業の方に引っ張られた。
こんな前科持ちを何で引っ張るのだろう?なんて考えたが
どうやら、企業の職員と少年院時代の刑事さんが知り合いらしく
そこでも色々と支援してくれたらしい。本当にありがたいことだ。

それが、1年前の話。
現在はようやく仕事にも慣れてきた所である。
そこで、久々に雪姫ちゃんに連絡を取ってみた。
出所前、最後の雪姫との面会で教えてもらった連絡先
それを美夜は忘れていなかった。

「はい?もしもし、誰ですか?」
「えと・・ひさしぶり雪姫ちゃん・・」
「――――! 美夜・・ちゃん・・?」

最期に会ったのが出所1ヶ月前だったから
かなり久しぶりに聞く雪姫ちゃんの声
わたしの友人の声だ
わたしはこの2年間のいきさつを話した。

「そっか・・この2年で頑張ってたんだね・・美夜ちゃん」
「私は、まあ運が良かったからね・・。」

「そういえば、最近会えなかったけど、なにかあった?雪姫ちゃん」
「あ・・、この2年、色々あってさ・・会えなくてゴメンね?・・。」
「いやそういう意味で言ったわけじゃないよ!
っていうかどうしたの?なんかちょっと暗いよ?」
少ない機会とはいえ、美夜が見てきた彼女と今日の彼女の様子は
 明らかに何か違う。

「・・実はね、ホントはもっと前に言うべきだったのかもしれないけど・・」
「・・・?うん」

「柔沢くんね・・2年くらい前に結婚したんだ・・」

「・・・え?」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


昨日の話を思い出す
「ジュウくんが・・結婚した・・?」
「うん・・私の知り合いとね」

美夜の視界が揺れる
そうして胸の奥から何かが押し迫ってきた
そんな感覚がした。
なにかが溢れ出そうになって・・



「―――そっか・・。そうなんだね」
それを押し込んだ。

「うん、よかった。ジュウくん、幸せになったんだね」
「――――美夜ちゃん・・?」
「今日は急に電話してごめんね?雪姫ちゃん!
久々に声聞けて良かったよ!今度、一緒にご飯でも食べようね!じゃあまたね!」
「え!?あ、ちょっと美―――――――」
そこで電話を切った。



翌日、今日は休日である。
自宅で朝食を作りながら、美夜は思う。

「祝ってあげたいけど、私がジュウ君に会いに行ってもね・・。
やっぱ・・迷惑だよね。うん!まだ会わない方がいいよね!」

美夜はひとり呟いた。

「だいたい、せっかく結婚までしたのに
自分を刺した女に会うのなんて悪夢もいいとこだよね!」

美夜はひとり笑った。

「そうだよね!・・そうだよ・・ねぇっ――――!!」


美夜はひとり


泣いた


「ジュウくん――――
私、ジュウくんに謝ることも出来ないの?
もう2度と―――――
会わない方がいいの?――――」

美夜は泣いた
涙の理由なんてわからない
どうでもいい、
ただ泣いた








「ふう・・」

仕事が終わり家に帰ってきた柔沢ジュウはネクタイを緩める。
スーツにネクタイ。黒髪短髪。学生服を着た頃の自分が今の自分を見たら、なんて言うだろう。
まさか、それなりに規模のある企業のリーマンになってるとは思わないだろう。

――――――いや、それ以上に・・

「ちょっと!! 脱いだ服はちゃんと畳んで―――――
    • るわね。アンタなんでそんなチンピラ顔なのに几帳面なのよ!おかえり!」
  「・・・とりあえず最後の言葉はまず最初に言うべきだと思うぞ
   ――――――――ただいま、光。」

 まさか、こんな意味不明なキレ方をする口やかましい女と結婚までしてるとは思わないだろう。








―――――― 「あ・・・あああんた!か、かか彼女とかいるの!!」


高校を卒業して、短大に入学して間もないころだったなアレは・・

「別にそんなのいねえよ。っていうか前にも喋ったと思うんだけど?」
「いや、でも!今はいなくてもすぐにまた女の子に声かけてまたイチャいちゃしてるんでしょ!?分かってんのよあたしは!!」
「いや、またって何だよオイ。俺は今まで一度も彼女なんてできたことないぞ。」
「あんたこの年になって一人も彼女いないの!?なに恥ずかしいこと自分からカミングアウトしてんのよ!!変態!!」
「もうやだ、こいつとの会話・・」

聞かれたことに素直に答えて変態呼ばわりされるのは、ある意味貴重な経験かもな。

「・・あのな、言っとくけど俺にだって好きなやつの一人くらいはいるぞ?だから―――」
「それって・・・。紗月美夜さんって子の事?」
「――――――!!なんでお前があいつを知ってるんだ!?お前誰から!?」
「あ!いや!!お姉ちゃんから前に聞いたんだよ!!どうしたの急に!?」
光が目を見開いて声を荒げる

「!!――――あ・・いや、悪い・・。ごめんな、いきなり大声出して・・。
 あんまり懐かしい名前が出てくるもんだからな・・」
「いや・・いいけど・・。その人と何かあったの?」
「まあ、な・・・。話すと長くなるから、俺の家に来てくれないか?」
「!!あ、あんたの家!?でも、まだ私、色々と準備が・・」
「・・?」



とりあえず顔が赤くなりながら意味不明なことを呟く光を家に招待し、そこで紗月美夜の事を、あの事件の事をすべて話した。美夜に殺されかけた事、そして事件を通して自分は何も出来なかった事。
光は俺を見据えながらそれを聞いていた。






「―――・・・まあ、これでその美夜の事は全部だ。面白い話でもなければ良い話でもない。ただ俺は何もできなかった。ましてやお前の姉ちゃんに命を助けてもらった。まあ要するに俺が情けないって言うだけの話だよ」
「・・・」
「暗い話して悪かったな。この話は終わりにしよう。どうだ?せっかくだから飯でも作るよ。食っていくか?」

「あんたは・・ジュウはさ・・」
光が珍しく名前で呼ぶ。
「その人の事で・・・なにか後悔してるの?」
「光・・・」

後悔してるのか?分からない。そんな事考えている余裕なんてなかった。
ただ感じたこと。それは自分は無力だった。

「後悔してるといえば多分そうかもな・・。何も出来なかった事、お前の姉ちゃんに迷惑かけちまったこと。
 美夜の事だけじゃない。いつだって俺はそうだったよ。えぐり魔事件の事、お前の・・伊吹との事も。結局は雨やお前に助けられて、
 挙句の果てにはお前と伊吹の事で揉め事になっちまって・・」
「いや!だってあれは・・」
「いつだってお前らは俺のために助けてくれたのに、懲りずにまた迷惑かけてしまう・・。
 なんていうか・・雨にも雪姫にも、そしてお前にも報いることが出来ない。何なんだろうな俺は・・。」
「・・ジュウ」
「・・・話が逸れたな。飯作るよ。」

「じゃあもう一つ聞かせて、昼間の質問の続き。」
「・・・なんだっけ?」

光がどこか不安げな表情で言う
「ジュウの好きな人って・・その人なの?」
「・・・なんでそんなこと――――」
「答えて」

分からない。
光の質問の意図が。
だから、出来る限り素直に答えた。


「美夜は昔好きだった奴だ。だからって今は嫌いってなわけじゃない。」
それに今、好きな奴ってのは別にいるしな。

「でも昼間言ったよね?好きなやつの一人くらいはいるって・・。あれって・・」
「あー・・・」
なんでこういう事は忘れないんだよ・・。

「あれって今好きな人がいるってこと?」
「あー・・まあ、そういう事になります。」
アレ?言葉遣いわかんなくなってきた。

「それってやっぱりお姉ちゃん?それとも雪姫先輩?」
「いやお前なんだけど光」
あ、やば

「―――へ?」
思ったこと口に出しちまったああああああぁぁぁぁぁぁ

「あっいやそのなんだっ、ええと―――」
「は?え?いや?えええ?」
やばい会話できなくなってきた。








それから20分ほどかけてお互い気持ちを落ち着かせて
「・・・ねえ、あんた」
「・・・はい、なんでしょう?」
すっかり低姿勢になった俺に光が問う

「さっき言った事ってホント?それともなにかの言い間違い?」
    • もうここまで来たら、全部吐いちまった方がいいよな。

「言い間違いでも何でもねえよ。俺はお前が好きだ。結構前からな。」
あー・・恥ずかしさが極まると人間冷静になれるもんだな。
腹が据わるというか。もはや、何も怖くねえわ。

「なんで、・・お姉ちゃんや雪姫先輩じゃなくてあたし?」
「雨や雪姫も確かにすげえ魅力的な奴だって俺も思うよ。正直、俺自身もあいつらに対してドキッとしたこともあるしな。でもな・・」

「―――俺はお前が好きなんだ光。」
もう人生で二度と言う事はないだろうな。
こんな悶死しそうなセリフを吐くのは。
無論、死にそうなのは俺だが。

「・・・あんた、さっき結構前からっていったわよね?」
「え?ああ・・」
「なんで、今まで言ってくんなかったの?」
つーか聞く所そこ?

「なんでってそりゃあ・・」
言えるわけがないだろう。なぜなら


「だって、おまえ伊吹と付き合って―――」
「ないわよぉ!!バカアアアァァァァァァァ!!!」

その瞬間、鳩尾に拳をくらって意識を失うあたりまでは記憶があった。

後日、幸せ潰し以来、光は伊吹と付き合ってるもんだと思ってた俺の数年は盛大な勘違いだという事に気付き、光と正式に付き合う事になった。



そして現在俺と光は一緒になり、俺はリーマン、光は保育士となった。
共働きで忙しい毎日。二人で過ごす時間も少ない。
だからこそ、こうして二人でいる時間が好きだ
こんな気持ちを持てたのもコイツが傍にいてくれたから

――――なんてことは恥ずかしすぎるので絶対に言わないがな。








「ふぅ・・・」
雪姫の電話から2日後、今日は休日。美夜は自宅アパート近くの人気のない喫茶店にいた。
逮捕直後はまさか自分がこんな風にして社会に出て、人並みの人生を満喫できるとは思えなかった。本当に贅沢なことだ。

しかし、今はその贅沢を満喫している余裕がなかった。これも贅沢な事だろうか。

理由は2つ、1つは昨日、電話した内容、柔沢ジュウが結婚していたこと。
美夜自身これは自分の事のように嬉しいのは確かだが、なにか胸に複雑なものがうずくのはなぜだろうか?

そしてもう1つは―――――――
「久しぶりだね。元気だった?美夜ちゃん」
「・・・うん、久しぶり雪姫ちゃん」

――――久しぶりに友人に会える喜びからである。








「そっか、雪姫ちゃんはOLさんかあ」
「エヘヘ、まあね」
雪姫は現在、大手の音楽関係の企業の会社員として働いているらしい。
その会社は結構有名なので驚きである。
音楽といってもTVでみるような歌手アーティストとかそういうのではなく、
音響機器関連のデザイン関連の事務員として働いているらしい。
そういうのは、電化製品の会社がするものだと思ってたが、
雪姫は音楽会社の名義でそういった仕事をやっているらしい。

「まあ、ややこしくてあたし自身も良く分からない場所にいるんだよねー。
 まあそれでもきちんと働けて、きちんと生活できてるから不満も文句もないよ。」
「うん、雪姫ちゃんも元気そうで良かった」
話しているうちに注文したハンバーグが雪姫の席にきた。

「不満も文句もないんだけど・・・。」
雪姫がハンバーグとともに置いてあったナイフを持つ

「不安があるとすれば美夜、友人である君がそんな暗い顔をしている事かもな」
「え?」
雪姫が先ほどとは違う眼差しで美夜を見据える。








「先程言った通り、あたし自身今いる場所がよく分からない。というよりは想像できなかったんだ。今この場所にいる自分が。」
「雪姫ちゃん?」
「君もそれは同じことだろう?あたしも君もお互い友人としてこうして喫茶店でダベるなんて、数年前からは想像付いたか?」
「・・・・」
すこし冷たい雰囲気、だが、とても暖かい笑みを私に向けながら続ける

「そういうものだ人生は。何も考えず衝動だけで少年院に、君に会いに行ったことを思い出す。
 あんな風に何も考えない、あたしらしくもないあの行動が、今こうして君といる時間につながった。
 君を心から友人と呼べる絆にまでつながった。だから――――」

雪姫が優しく笑う
「美夜、君も君自身の思うままに動いてみろ。
 柔沢に謝りたいんだろ?言いたいことがあるんだろ?」
「雪姫ちゃん・・・」

「あたしも女だ、君の感じることは大体分かる。たしかに柔沢は結婚して幸せになった。
 だが、自分が会いにいって柔沢の幸せな気持ちを壊してしまうんじゃないか?なんて考えている。違うか?」
 雪姫ちゃんは心が読めるのだろうか?どこまでも私の心を読み当てる

「その疑問にあたしが答えてやる。そんなわけがないだろう?
 あたしの友人があたしの好きな男の幸せを壊すはずがない。
 あたしの友人を邪険にする男をあたしが好きなはずがない。
 なにを馬鹿なことでウジウジしてるんだ美夜。」
「――――っ」
「君が会えば柔沢も喜ぶと思うぞ。今も心のどこかで柔沢は君の事が引っ掛かっていたみたいだったしな。
 それと―――――――」
雪姫が言葉を紡ぐ

「また何か悩んでるんだったら、遠慮せずにあたしに言え。
 何度も言うが君は私の友人だ。


 ―――――もう君はひとりじゃないんだからな」




なんていうか

とりあえず人がほとんど居ない喫茶店を選んで本当に良かった。




だって、こんなこと言われて涙を我慢するのなんて無理だもん。








日も暮れてきて喫茶店を出て、美夜は雪姫に聞く

「ねえ、雪姫ちゃんってさ・・ひょっとしてジュウ君の事まだ好き?」
「・・・実を言うとハイ、そうです。」
雪姫がはずかしそうに呟く。

「まあ、でもまだ諦めてないしね~」
「・・・んん?」
美夜は一瞬思考停止した。

「ちょっと待って?」
「ん?どうしたの美夜ちゃん?」
「まだジュウ君を諦めてない?」
「うん」
「ええと・・ジュウ君は結婚してるよね?」
「うん。そうだね。」
「つまりジュウ君は愛する奥さんが居ます。ここまでは大丈夫だよね?理解してるよね?」
「うん、そりゃ結婚したら奥さんは出来るよね。当たり前じゃん?何言ってんの?美夜ちゃん」
「それじゃあもうジュウ君とは恋人とか結婚とかは無理でしょ?」
「何言ってんの?まだ愛人枠が残ってるじゃん?
 それに柔沢くんは今のところ愛人は一人もいないわけだし?」
「―――――ハァ?」

「いやーでも今日の美夜ちゃんの相談であたしも心のわだかまりが吹っ切れたよ!」
「え?なに、どういう事?」

「まさか、美夜ちゃんも柔沢くんの愛人枠を狙っていたなんて!」

「・・・・・・・・」


アレ?思考が追い付かないんだけど。








「・・ねえ雪姫ちゃん?私何の事で悩んでたか、ちゃんと分かってるよネ・・?」

「もちろんだよ?要するに柔沢くんが結婚したのを知って、柔沢くんに昔の事を謝って、なんとか愛人になりたいけど
 新婚ホヤホヤの柔沢くんの幸せムードをぶち壊しにしちゃうんじゃないかなって悩んでるんでしょ?
 でも大丈夫!美夜ちゃん可愛いし、なんたって柔沢くんの初恋の子なんだし!あたしも結構スタイル自信あるんだよ?
 2人で攻めれば柔沢くんもコロッと落ちるって!」

「・・・・・・・」



尋常じゃない頭痛に襲われる中、美夜は今日の雪姫の言葉を思い返す。


―――――――美夜、君も君自身の思うままに動いてみろ

―――――――あたしも女だ、君の感じることは大体分かる。

―――――――自分が会いにいって柔沢の幸せな気持ちを壊してしまうんじゃないか?なんて考えている。違うか?

―――――――君が会えば柔沢も喜ぶと思うぞ。今も心のどこかで柔沢は君の事が引っ掛かっていたみたいだったしな。


まさか、この子、私の悩みをそんな風に受け取っていたのか?
だとしたら私のあの涙は一体・・・


「ねえ!美夜ちゃん!」

「・・・・なにかなぁ?雪姫ちゃん?・・」

まっすぐな目で雪姫は言う

「いっしょに仲良く柔沢くんの愛人になろうね!
 なんたって美夜ちゃんはあたしの友達なんだから!」

「・・・・・は・・あははは・・・・・」




なんていうか




数分前の私の涙、一滴残らず返せ。
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