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「僕を、礼奈さんの弟子にしてください!!」

その言葉を聞いたとき、頭が重くなるのを感じた










第弐夜『Apprentice and the infant Moon』










昨日、不良に絡まれてから24時間も経たない朝

朝からいきなり昨日の少年━━━━ 一樹君・・・だったか ━━━━に話しかけられた

内容は・・・



「・・・ごめんなさい、よく聞こえなかったわ
 もう一度言ってもらえないかしら」

そう、私が言い終わらない内に

「何度でも言います、僕を、礼奈さんの弟子にしてください!!」


…幻聴であってほしかった


「とりあえず・・・礼奈さんはやめて
 先輩と呼んで頂戴」


そう言って一旦区切ると


「どうして、わざわざ私の弟子になんてなりたいの、寮の管理人にでもに教えてもらえばいいじゃない」

そう言った時、思い出した


「管理人の先生は・・・僕達にはちょっと冷たくて・・・」


そう、レッド寮管理人の先生はレッド生徒に冷たいのだ


「それに・・・ムラサキ教諭やゲスト教頭はホワイトの生徒の相手で手が空いてませんし・・・」


だからって・・・なにも私を頼らなくてもいいだろうに

理不尽だ、と心の中で溜息を吐くと


「嫌よ」


そう短く拒絶の言葉を浴びせた



「ど・・・どうしてですか・・・」


急に口調が弱くなる一樹君

ここまであっさり拒絶されるとは思わなかったんだろう

だが


「私だって、暇じゃないもの
 相手をしてやれる時間なんて、そう簡単には裂けないわ」


そう、私には目的がある

      • 本当はそれでも時間が空いてたりするんだけど


「そこをなんとか・・・お願いします・・・!」


一樹君はとにかく必死みたいで、よほど強くなりたい理由があるんだろうと思った

その理由を詮索したい気分になったが、流石に失礼だと思い留まった





そして、私は


「じゃあ・・・課題を出すわ」


一樹君を諦めさせるために


「『月下草』をとってきて頂戴」


理不尽な品を要求した




「月下草・・・?」

初めて聞いた名前みたい、まぁ・・・当然よね


「月下草っていうのは綺麗な月の夜に咲く不思議な花よ
 その原理は未だ解明されていないけど、月の光をエネルギーにしているらしいわ」

「は・・・はぁ・・・」

「その花が前々から欲しかったの
 もし、持って来てくれれば弟子にしてあげてもいいわ」

「ほ・・・本当ですか!?」

一樹君が希望に満ちた目で私を見つめる


「えぇ、約束するわ」


持って来ることができたなら、ね・・・








そう、月下草はこの島ではまず手に入らない

そもそも海に囲まれた孤島に咲く花ではないのだ

環境が違いすぎてすぐに枯れてしまうだろう

仮に、月下草にとって最高の環境である高度の高い山に行ったとしても確立は30%未満

月光が当たる、なんて曖昧な表現だから実質確立は15%がいいところである








それを持って来いというのだから、一樹の努力は無駄と決まったようなもの

そう思い若干胸を痛め、私は無表情の仮面を被り、偽る





「明日の日没まで待つわ、それを過ぎたら諦めるのね」


私はそう告げる

「はいっ!」

一樹君は元気いっぱいにそう答えた















一樹君は終日、姿を見せなかった





翌日の朝、若干憂鬱な気持ちで目が覚めた

いくら断る為とはいえ、少々やりすぎたかもしれない

怪我でもされたら大変だ、私がやったとか知られたら面倒なことになる









その日礼奈はいつも通り適当に授業を受け、放課後は海岸で夕日を眺めていた


「そろそろ日没ね」

独り言のように呟く礼奈

「あの子、今も必死になって探してるのかしら・・・」

その声には答えず、白波の音が静かに響く。

「・・・ここにいても仕方ないわね」

彼女は白波に背を向けた



そのときだった







「せんぱ~い!!」

そう、声が聞こえた


まさか、やってくるとは

「先輩、こんにちは」

突然挨拶をする一樹君に一瞬驚きはしたものの


「えぇ、こんにちは」


こちらも平静で返す



「私のところに来たってことは、月下草が見つかったのかしら?」



そう、意地悪く聞く

持ってないのは分かりきってるのに、嫌な女ね

そう自虐したときだった





「えぇ、見つかりました!」





そう、一樹君は笑顔とともにこちらに袋をよこした。


まさかこんな返事が返ってくるとは思わなかった

だから


「え・・・えぇそう、み、見せて頂戴・・・」

こんな間の抜けた返事しかできなかった




私は袋を乱暴に奪い盗ると丁寧に蝶々結びしてある紐を解き

中を覗き込んだ

すると





「綺麗でしょう?これですよね!?」








中には光り輝く一本花があった。








思わず息を呑んだ

図鑑でしか見たことは無いけど それと瓜二つだ

まさか 本当に持って来るなんて

考えてもいなかったことだった





「あのぉ・・・?」



私が黙っていたので心配になったのだろう

一樹君が痺れを切らしたようで、そわそわとしている

その姿は判決を受ける被告人のよう・・・いや、これは流石に大袈裟か



「えぇ・・・これね」

そう答えた途端、顔を綻ばせた


「じゃ・・・じゃあ」

「この花・・・どこにあったのかしら」


続きを言おうとしたのを遮ってそう言った


「え・・・えと・・・この先の岬ですけど・・・」

「案内して頂戴」










そこは一本の樹があるだけの殺風景な丘だった

冷たい風で草木が揺らめいて 静かな音を立てていた


「この樹の下にあったんです」


一樹は大きな樹の根元を指差して言った。

礼奈はそっと根元に近寄ると 数瞬、瞳を閉じた







「・・・いいわ」

「え?」

礼奈が突然呟いたので、驚いて聞き返した。



「弟子にしてあげる、と言ったの」

あまりにも呆気なく言い放ったので、一樹は上手く反応ができなかった。


「ほ・・・本当ですか!?」

「二言はないわ」


即答する様を見て安心したのか


「あ・・・ありがとうございます!!」

一樹は顔を綻ばせた


「まぁ、大変かもしれないけどよろしくね」

「こ・・・こちらこそよろしくおねがいしますっ!!」


少年はその日、弟子になった。













旅「ふぅ・・・やっと二話か」

礼「デュエル無しとは・・・いい度胸ね」

旅「わ・・・わかってますよ・・・(汗
  次はちゃんとやりますってww
  これから精進しますw」

礼「ま、精々頑張ってね
  困るのは私達なんだから」

旅「・・・はいw」
  

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