サムライ◆DzuK1MKXmE


「それで──あんたは何百年も後の時代から来たって言うのかい?」

高代亨、イナズマの語る現代を聞き、いくらなんでもそれは無いだろうと伊達政宗が笑い。

「それは俺の台詞なんだが……」

拳を燃やす者がいれば、生身で空を翔る者など、伊達政宗がイナズマに語る戦国時代はあまりにも荒唐無稽すぎるものだった。

(いや、だがしかし──)

その能力により、人の感情の機微さえも敏感に感じ取ることのできるイナズマであるからこそ。
奥州筆頭・伊達政宗を名乗り、蒼い装束に三日月の鎧兜纏った、その男の言葉に嘘が無いことを見抜く。

(それとも、自分を伊達政宗だと思い込まされた統和機構の合成人間…なのか?)

なんにしても最初に出会った者の二人のうちの一人。
伊達政宗が己と同じく殺し合いを好しとしない者であった事は幸運だったのだろう。

「あんたの話も俺からは相当にheavyでfantasticだぜ!」
「ふっ、こればかりはお互い様…ということだな」

それぞれの時代や自身についての情報交換を終えた二人は顔を見合わせる。

「ハッ、まあこの状況が悪趣味なjokeじゃないってんなら」
「あの女が恐ろしく強大な力を持っているのだけは間違いだろうな」

そう、すべての推測は憶測の域を出ず、彼らが真実を確かめるには余りに情報が少ないのだろう。

話を変えるように政宗は首に嵌められた鈍色の金属をコツコツと叩く。

「ところでアンタの”物の急所を突く能力”でもコイツは何とかならないのかい?」
「ああ、この首輪には物体の脆い所──その”線”がどこにも見あたらん…」
「Shit!! 俺の雷も弾かれちまった、一体こいつは何で出来てやがる!?」
「どうやら俺たちで首輪をなんとかするのは無理らしい」
「Hye それでもこいつを外すのを諦めのは早すぎるってなあ!」
「ああ、今の俺たちだけでは無理だとしても」
「この首輪をどうにか出来る力を持った人間がいる可能性はZeroじゃない」
「そういうことだな」

反逆の意思を秘めた二人が不敵に笑う。

そして──。


 ☆ ★ ☆


イナズマと政宗の話が決まった。

主催に対抗する為に首輪を解除する、その為には同じ意思を持つ者を探す必要があり、
この広大な島を探索する為に彼らはそれぞれが二手に別れて行動することにした。

「俺が島の南側を…あんたが北側を探索をする。だが、あまり無茶はするなよ」
「ハッ、俺は奥州筆頭・伊達政宗だぜ。そう簡単に死にはしねえさ!」

それに俺にはコイツがある。と腰に差した片倉小十郎「黒竜」を抜く。
月明りを帯びた黒竜の刀身が政宗の呼び掛けに応じるが如く輝いた。

「ならば、次の放送時刻に再びこの場所で落ち合う。それが叶わなければさらに次の放送で──」
「──ok see you Lightning!!」


島の中央「D-4」草原での再開を約束したイナズマと伊達政宗はそれぞれの道へと別れていった。


──だが、暗闇へと消えていった伊達政宗の後姿に、イナズマは言い知れぬ不安を感じていた。


政宗の行く手、そこにはうっすらと、だが確かな”線”がイナズマには見えていた。


「──死ぬなよ、伊達政宗」

【D-4 草原南/一日目/深夜】

【高代亨@ブギーポップシリーズ】
【状態】疲労(小)、能力の不調に違和感あり
【装備】稲妻の剣の鞘
【道具】基本支給品、ウェイバー@ONE PIECE
【思考】基本:戦う力のない者を守る。
 1:島の南側を探索して殺し合いに乗らない参加者や首輪を解除できる者を探す。(対象が強ければ別行動、弱ければ同行して守る)
 2:次回放送時に伊達政宗とD-4で合流する。(合流できなければ次の放送時に改めて合流する)
 3:ブラッドレイを警戒。
 4:死ぬなよ…政宗。
【備考】
 ※『イナズマ』能力を使用している間は徐々に疲労が増加。
 ※今のところ本名を名乗るつもりはない。


 ★ ☆ ★


名も無きサムライの残したこんな言葉がある。

『武士道とは死ぬことと見つけたり』

その言葉の意味や真意がどのような物なのか、それを余人が知る術はない。


──そして、ほんの少しだけ時が巻き戻る。


「ああ──俺が北に行く」
「だが島の北には奴がいる」

イナズマと伊達政宗を退けた恐るべき男、キング・ブラッドレイ。

「どっちにしたって島を調べなくちゃならないんだろ?だったら北には俺が行くぜ!」
「それならば、怪我を負ったあんたよりかは無傷の俺が北に行くべきだろう?」

イナズマの言葉に対して腰に手を当てた政宗が舌を濁す。

「なあ、Lightning 此処は何も言わず俺に任せてくれないか」

俺は行かなけりゃならないと、政宗の眼がイナズマに深く語りかけた。

それにどちらにしたってこの島が危険な事には変わりがなく。
あの男(ブラッドレイ)を野放しにしておく事だって出来ないだろう。

「だから、北には俺が行く」

独眼竜の決意は変わらず。

(──そうか)

その眼を──統和機構の最強と戦ったことのあるイナズマは知っていた。

(伊達政宗─やはり本物の戦国武将。サムライか)

かつて、誰よりもサムライに憧れて、サムライを目指したからイナズマだからこそ解る事がある。

眼前に起つ伊達政宗はそれに意味が有る無しや命の危険などを省みず。
相手が強敵だからと決して逃げる事はしない。真に己と同じサムライなのだと直感する。

(いや…俺自身はその資格をとうに失ってしまったか)

頭を振って苦笑した。

「ふっ、あんたがそこまで言うんならもう止めはしないさ」
「ハッ、そうこなっくっちゃな thank you !!」

イナズマの拳を叩き、政宗が親指を立てる。

その胸に秘めた思いは。

「このまま負けっぱなしってワケにはいかない──だろ King!!」

ここに二つの道がある。

イナズマが見た死の”線”を伊達政宗が超えるのか。

それとも別の道を辿るのか。

それはまだ誰にもわからない。


【D-4 草原北/一日目/深夜】

【伊達政宗@戦国BASARA】
【状態】疲労(小)、左脇腹に裂傷(応急手当て済み)
【装備】黒竜@戦国BASARA
【道具】基本支給品、ランダムアイテム(個数、内容ともに不明)
2:次回放送時に伊達政宗とD-4で合流する。(合流できなければ次の放送時に改めて合流する)
 【思考】基本:主催者の首を獲る。誰だろうと挑まれれば受けて立つ。
 1:島の北側を探索して殺し合いに乗らない参加者や首輪を解除できる者を探す。
 2:次回放送時にイナズマとD-4で合流する。(合流できなければ次の放送時に改めて合流する)
 3:ブラッドレイを倒す。
 4:イナズマにいずれ借りを返す。

※伊達政宗が実際には北側のどちらに向かうのかは次の書き手氏にお任せします




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026:我刀・ノヴァ 時系列順 030:考察(人それを深読みと言う)

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イナズマ 044:夢追う鷹は刃を隠す


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最終更新:2011年01月27日 21:11