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この闇の先には――◆Ops2L0916M



黒の空に浮かぶ金色の月。月から放たれる光が島全体を照らす。
月の光の恩寵を受け、ほんの少しだけ暗闇が島から消えている。
しかし、その光は深緑の森の大地にはあまり届かない。
大地は黒で染まり、木々の隙間から入ってくる月光が少しの明かりを灯すだけ。
腐葉土の匂いと騒音なき静寂が辺りを支配する。

森は暗い。暗闇の森の中にサマルトリアの王子――サトリがいた。
全体的に緑を基調とした服、服の真ん中には誇りの象徴であるロトの紋章が付いている。
額にはゴーグルとヘッドギアを付け、背には黄色のマント。
サトリは自分に支給された剣を手に持ち、正眼の構えで立っていた。

「かったりい」

正面に剣を振るう。

(何でこんなふざけた殺し合いに巻き込まれなきゃいけねーんだよ。
 ったくよぉ、御免だぜ……最後の一人になるまでなんて)

横薙ぎに剣を振るう。

(人を殺すのにそこまで抵抗があるわけじゃねーけど、さすがにこんな無理矢理ってのはな)

下からすくい上げるように剣を振るう。


(ひとまずはロランでも捜すかな。あいつもあの最初の場所にいたし)

サトリは手に持った剣を腰にさした鞘に収める。
そして拳を握ったり開いたり、手首を回したりするなど体の調子を確かめる。
これらのこと――自分の身体の調子の確認はとても重要なことだ。
ましてやこれからいつ襲われるかわからない状態、最初にこのようなことをしておいて損はない。
そう考えた。

「ふう……こんなもんだろ。異常はねえか」

サトリは次にその場で足踏みをしたりする。
足腰――異常なし。いつも通り。

「あー、やっぱめんどくさい」

次第に確認するのが億劫になったのか、足踏みをやめてだらんとした状態でのんびりとする。

「後よぉ、後ろから不意打ちしようだなんて卑怯じゃねーの!」

サトリは振り向きもせずに、大きく前へ跳躍する。
数瞬後、サトリが先程までいた場所を刀が切り裂いていた。

「……運がよかったのか、私の奇襲による一撃を躱されるとは思いませんでした」


「はっ、お褒めの言葉ありがとよ」

剣閃を繰り出した者の正体は一人の女性。
女性は長身でスラッとした体型で長い黒髪をポニーテールにしている。
上は半袖の白いティーシャツ、なぜかは知らないが脇腹のところでティーシャツを縛っており、
白いお腹が丸見えである。
腰には大きな二つのベルトと日本刀。お前はウエスタンのカウボーイかと言いたくなるほどの派手なベルトだ。
履いているジーパンは一見普通のだが、大きく目をひくのが別にある。
片方だけ、太ももの付け根あたりまで本来あるべきジーパンがないのだ。
お陰で彼女の太ももは外界に思う存分さらけ出されてあり、
街を歩けば百人が百人振り返るほどスマートで綺麗な太ももだ。
靴もカウボーイ風ときており、この女性のファションセンスはいかがなものかと問いたくなる。
最も現代の生まれでなく、中世の世界に生きるサトリからしてみれば特に疑問を覚える程ではない。
旅の途中でいろいろな人と出会ってきたのだ。今更このぐらいで驚くことではない。

「それで俺に何か用かな、お・嬢・様。ナンパかい?」
「……このような場でそんなことをする輩がいる訳無いでしょう。
わかるでしょう、この場で出会ったらすることなど」
「殺し合いってか……おいおい止めようぜ、殺し合いなんざかったりいし」

サトリは刀を向けられようが相変わらず飄々としている。
その顔に恐怖など存在しない。

「例え貴方がしたくなくとも私にはする理由がある。この殺し合いで優勝しなければいけない理由が」

女性は刀を鞘に戻し、居合の構えをとる。

「私は殺らなければいけないんです」

空気が凍る。今のこの森には裂帛の気合と殺意だけが存在する。

「神裂火織――往きます」

神裂はその言葉を発した後、疾風の勢いでサトリに迫る。
狙うのは先の機。相手に何かさせる暇など与えず一太刀で斬り捨てる。
刀を鞘から抜き放ち、一閃。
抜き放たれた刀はサトリの胴体を、

「悪いけどいきなり殺されるのは嫌なんでね。足掻かせてもらうぜ」

切り裂かない。寸前でサトリは腰に差していた鞘から剣を抜き、神裂の一撃を止めていた。
神裂は一歩下がり刀の構えを深くさせる。
そして下段からの弧月を描く斬撃を突き出す。

「あったらねーよ、んな軽い一撃!」

サトリはひょいっとバックステップをして避ける。

そしてお返しとして突きを一つ二つ三つ。三段突きをお見舞いする。
神裂は横に体を反らし三段突きをギリギリのところで脱出しながらもサトリの首を狩るべく横薙ぎの斬撃を振るう。
元の世界では聖人とまで呼ばれていた神裂だ。この程度造作も無い。
だがサトリとて過酷な冒険の中で魔物と命がけの殺し合いを常にしていたのに加え、
大神官ハーゴン、破壊神シドーを討滅した身。
この一撃で殺されるやわなものではない。
サトリは頭を下げて躱す。

「おっとっと、あぶねーって。ずいぶんと鋭い一撃じゃないの」
「っ!粘りますね」
「死にたくねーもん当たり前だろ。まだ俺は生き足りないんでな」

再び神裂はサトリに迫り刀を袈裟に振るう。
サトリもその一撃に応じて逆の方向から袈裟の一撃を放つ。
刀と剣がぶつかり合い、ギチギチと金属音を辺りに撒き散らす。

「あんたこそ何でこんなのに乗ってるんだよ。理由があるとか言ってたけどさ」
「ええ、故あってこのようなものに乗りました。それが何か?」

刀と剣による鍔迫り合いが続く。お互いに引く気配はない。

「自分の命惜しさか?それとも報酬狙いか?まーどっちでもいいさ。それよりも、」

鍔迫り合いはサトリが一歩折れることとなる。後ろにさがり、態勢を立て直す。

「あんな勝手に俺らを呼んで殺し合いさせるアマがホイホイ願いをかなえてくれるとでも思ってんのかよ!」

サトリが駆ける。身体には風を纏うような速さで。
手に持つ剣はさながら全てを撃ち貫く弾丸のように真っ直ぐと。

「あのアマの言うことを信じてるんだって言うんなら――」

剣がヒュンと音を立てる。風すらも撃ち貫くと謳っているかの如く。

「その幻想ごとあんたをぶち殺してやるよ」

その突きは前の攻防の時に放った三段突きよりも数段早い――人を突き殺す神速の一撃。
剣が神裂の胸に突き刺さり血反吐を吐きながら倒れるだろう。
サトリはそのようなヴィジョンを頭に浮かべていた。
だが。




「――――救われぬものに救いの手を」



その言葉と同時にサトリの身体が吹き飛んだ。
なんと神裂は突きを受け流し力任せに押し返したのだ。
今までのと段違いの一撃にサトリは思わずあっけにとられる。

「一つ謝罪をしておきます」
(おいおい何だ何だ、マジになっちゃったのかよ)

前を見ると神裂が悠々と立っていた。
されど違う。
先程とは殺気の濃密さが圧倒的に違う。

「貴方を見くびっていました」

サトリは即座に立ち上がり、剣を構える。
一方、神裂はまだ動きも見せずにただ立っているのみ。
だけど攻める気にはなれなかった――まったく隙がない。
そう思ったから。

「余力を残そうという考えは捨て去ります」

そう言って刀を構えたその姿は一種の神秘的な雰囲気すらあった。

「魔法名まで名乗ったのです。さあ今度こそ本気で殺り合いましょう」



刀と剣によるオーケストラが再び開演される。
キンと澄んだ音、ガンっと叩きつけるような鈍い音――金属同士互いにしのぎを削りあう。

「私はこの殺し合いに勝たなければいけないんです」

神裂が攻める。突き、払い、袈裟、振りかぶりによる一撃など多種多様な剣閃を繰り出しサトリを追い詰める。

「私は早くこの場から帰ってあの子のもとに行かないといけないんだっ!」

神裂の刀が空を縦横無尽に駆ける。右へ左へ上へ下へ。
四方八方から踊り出る斬撃は月光を反射して幻想的な空間を醸し出す。

「例えあの少女が言うことが嘘だとしても……それがわずかでも真実を帯びている可能性があるなら……!」
「……っ!」
「願いなんてものよりも今はただ早く帰ることを!」

サトリは神裂の刀から放たれる斬撃を受けるだけ。
無言でただただ受けるのみ。

「ざけんな……」

否。小さな言葉がサトリの口から発せられる。

「ふざけんな!あんたの勝手な事情に俺を巻き込んでじゃねえ。
 その考えの犠牲で死んでちゃやってらんねーんだよ!!!」

啖呵一閃。サトリの言葉が神裂の胸に突き刺さる。

「そんなことは重々承知の上です。恨んでくれても構わない……
私は優勝して帰るって決めたんだ。今更この意志を覆すことなどありはしない」

神裂はサトリをキッと睨み返し、刀による激しい斬撃を放つ。

(まあ啖呵を切ったはいいんだが、こんな序盤からマジな戦いはやだね、後々響く。
悔しいがさっさと逃げるに限る。それにあの女まだなんか奥の手を隠してるっぽいし。
ここは一つ……うまくやるか)

サトリは後ろに大きく下がり、神裂から距離をとろうとする。
無論のことであるが神裂は距離を詰める。
離れては斬撃が届かないので当然だ。

「ほらよっ!」

サトリの剣が地面を這うように――いや違う。
地面――土の下に沈んでいるのだ。そのままサトリは剣を振り上げて土を神裂の顔めがけてかける。


神裂はなんとか目に入る前に腕で入らないようガードするが、そのガードしている隙にサトリは大きく後退した。
そして。

「古流剣殺法――――」

剣に闘気を集めて。

「二文字サマルトリア仕立て」

絡むような太刀筋の二つの斬撃を神裂に放つ。
神裂は咄嗟に躱すが、斬撃が通り過ぎた衝撃を受けて吹き飛んでしまった。

「今のうちにおさらばってね」

神裂が立ち直った時にはもうサトリの姿はどこにもなかった。
すでにこの場から離脱したのだろう。

「チッ!逃しましたか。不覚だ、あのような強烈な斬撃を放てるとは。
まだ私はどこかで甘く見ていたというのか」

手に持つ刀を鞘に仕舞い、ゆっくりと歩き出す。サトリの行方は知れず。追いかけることは不可能だ。

「できるだけ早く戻らないと。ステイルだけじゃあの少年に勝てない」

神裂はこの場にいない相棒のことを思う。
私がいないと多分だめだ、そう予言じみた想像をしていた。
実際にステイルはあの少年に敗北したのだ。自分はボコボコにしてやったが。
 とりとめもなく思考を神裂は続ける。

「インデックス……貴方は必ず私が――」

最後の言葉の語尾が掠れる。それはこれから何人も殺さないといけない苦悩からか。
それとも何よりも大切な少女の身を案じての苦悩からか。
今の神裂にはそれがわからなかった。



               ◆



「はぁ……うまくやれたか」

神裂のいる場所から幾分か離れた場所でサトリはため息を吐いた。
後ろを振り返ってみても追っ手はいない。
そのことを確認した後、ようやく足を止めた。

(さてと、どうすっかなこれから。当面の目標はロランを捜すこととして。
 まーできるだけ戦いは回避するよう心掛けっかな。
 戦うのはどうしてもって時だけだ)

サトリは知らない。探し人のロランは既に死んでいることに。
この会場に集められた幾人の参加者が戦いを望む者、優勝を狙う者だということに。
この時は知る由もなかった。

「ち、ちょっと貴方!」

されど運命は知る由を与えた。

「ああん?何か用か?」
「助けが欲しいの!!力を貸して!」

現れたのは龍咲海。前の戦闘でロランに救われたものだ。
息は切れ切れで肩で息をしている。
それに加えて急いで走ってきたせいでストレートの髪は乱れていた。

「早く行かないと、あの青い人が死んじゃう!……お願いだから付いてきて。
 もし死んだら……私!」
「青い人ね……よしそいつのところに案内しな。事情は走りながら聞いてやる」

サトリは思う。もしかしたら海が言う人物がロランではないかと。
海は思う。この人ならロランを助けてくれるのではないかと。
だけど。
すでにロランは――


【G-6 森林/一日目/深夜】

【神裂火織@とある魔術の禁書目録】
【状態】疲労(小) 、全身に軽い打撲
【装備】秋水@ONE PIECE
【道具】支給品 ランダムアイテム
【思考】基本:この殺し合いで優勝する
1: 一刻も早く優勝して元の世界に帰る
※参戦時期は小説の一巻の上条戦後です。

【F-6 森林/一日目/深夜】

【サマルトリアの王子@ドラゴンクエストⅡ 】
【状態】疲労(小)
【装備】ダマスクスソード@テイルズオブファンタジア
【道具】支給品 ランダムアイテム
【思考】基本:ロランを捜す
1:海(名前は知らない)についていく
2:戦いはできるだけ避けるか適当にあしらう。どうしてもという時だけ戦う。


【龍咲 海@魔法騎士レイアース】
【状態】疲労(大) 魔力消費(大)
【装備】無し
【道具】支給品 ランダムアイテム
【思考】基本:光と風を捜す
1:サトリ(名前は知らない)を連れてロラン(名前は知らない)の所に戻る
2:身を守る剣が欲しい




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