追加デート
〇〇「設楽先輩は、好きなテレビ番組ありますか?」
設楽「なんで。」
〇〇「え?」
設楽「言わなきゃいけないのか?」
〇〇「無理にってわけじゃないですけど……」
設楽「…………」
〇〇「……テレビ、見ないんですか?」
設楽「……おまえな。聞きたいなら聞きたいって、ハッキリそう言え。」
〇〇「だから今、聞いてるじゃないですか……」
設楽「別にいい、みたいなこと言ったじゃないか。」
〇〇「言ってないです。すごく聞きたいです。」
設楽「なら最初からそう言え。ちなみにテレビは見ない。」
〇〇(……うう、納得いかない……)
〇〇「好き嫌いってありますか?」
設楽「あったら何だ。」
〇〇「ただ、あるかなぁと思って。」
設楽「教えない。教える理由がない。」
〇〇「もう。じゃあ、いいです。」
設楽「あぁ、もう……あぁ……」
〇〇「……どうしたんですか?」
設楽「思い出しただろ、納豆のことを。あぁ……どうしてくれるんだよ。」
〇〇(納豆、嫌いみたい……)
〇〇「スポーツって、やってますか?」
設楽「やらない。」
〇〇「やっぱり。そんな感じですよね。」
設楽「……なにが?」
〇〇「え?」
設楽「だから、何が“そんな感じ”なんだ?」
〇〇「それは、設楽先輩って、運動が苦手そうっていうか――」
設楽「苦手って言ったか? 言ってないよ。やらないって言ったんだ。」
〇〇「えっ!? 運動、得意なんですか?」
設楽「得意とも、言ってないだろ。」
〇〇「どっちですか……」
設楽「男は運動が出来なきゃいけないのか? じゃ、女のおまえは料理が得意なんだろうな?」
〇〇(……苦手なんだろうな、運動が)
〇〇「設楽先輩は、やっぱりクラシック音楽が好きなんですか?」
設楽「……」
〇〇「あの……こういう質問、良くなかったですか?」
設楽「おまえは食べ物が好きか?」
〇〇「え?」
設楽「食べ物だよ。好きか?」
〇〇「えぇと、ただ食べ物って言われても――」
設楽「そういうことだ。質問の次元が低すぎるんだよ。」
〇〇「ごめんなさい……」
設楽「……」
設楽「好きだよ、ピアノ曲なら。派手な協奏曲もいいけど、組曲とか、小曲集がいい。これでいいだろ。」
〇〇「はい!」
〇〇「設楽先輩は、なにか趣味ってありますか?」
設楽「趣味、ピアノ。」
〇〇「それはつまり……冗談ですね? 音楽のこと以外で、何かありますか?」
設楽「くだらない質問を受けること。」
〇〇「じゃあ、今は趣味の時間だ。」
設楽「タフになってきたか。……趣味、そうだな。海外の切手とかコインを集めてた。旅行に行った先のな。」
〇〇「へぇ! よく海外旅行に行くんですか?」
設楽「前は。ほとんどウィーンとパリだけどな。欧州ばっかり、10カ国は行った。」
設楽「あの頃は、楽しかったな。」
〇〇(やっぱり、ピアノの関係かな……)
〇〇「中学時代の設楽先輩ってどんな感じでしたか?」
設楽「バカだったよ。」
〇〇「バカ……でしたか。」
設楽「…………」
〇〇「?」
設楽「おまえにバカ呼ばわりされる程じゃないけどな。」
〇〇「自分で言ったクセに……」
設楽「でもまあ、バカだったよ。ピアノなんて分かりもしないバカどもにチヤホヤされて、その気になって――」
設楽「時間と才能を浪費した。俺が一番バカってことだ。」
〇〇(設楽先輩……)
〇〇「設楽先輩の将来の夢はやっぱり……」
設楽「…………」
〇〇「ピアニスト、なんて言いませんよ?」
設楽「おまえが俺から連想するのは、ピアノ以外にないのか?」
〇〇「えっ、ピアノ以外?」
設楽「……」
〇〇「えーと……」
設楽「……悪かったな、他に何もなくて。」
設楽「そういうおまえは何か素晴らしい回答を用意してるんだろうな? 将来は何になるつもりだ?」
〇〇(うう……)
〇〇「設楽先輩の理想の女性って?」
設楽「…………」
〇〇「……そんな顔しなくても。」
設楽「それを聞いてどうするんだ?レポートでも書くのか?」
〇〇「違います。わたしが知りたいだけです。」
設楽「あ、そう。」
設楽「……俺の家の近所に、花屋敷って呼ばれる家がある。」
〇〇「花屋敷?」
設楽「門も庭も窓も花だらけで、いつも一人の女性が世話してるんだ。家の前を通るたびに見かける。」
設楽「本当に花が好きなんだろうな。水をやったり、肥料やったり、枝を整えたり、毎日毎日。」
〇〇「へぇ。じゃあ、その人のことが……」
設楽「そうだな、真っ先に思いついたくらいには理想かな。もう80過ぎてたと思うけど。」
〇〇「……」
〇〇「設楽先輩は、恋愛ってどう思います?」
設楽「暇つぶし。」
〇〇「お、大人ですね……」
設楽「……どこが?」
〇〇「だって、なんだか慣れてるみたいに言うから。」
設楽「慣れてない。」
〇〇「慣れてないんですか。」
設楽「…………」
設楽「慣れてないわけじゃない、わけじゃない、かもしれない。」
〇〇(ど、どっち?)
告白未遂イベント
※「恋愛について」を聞いた次の回のデート後に起きる会話イベント
設楽「おまえがあんなこと聞くから、考えちゃっただろ。」
〇〇「あんなことって?」
設楽「恋愛はどう思うか、とか。」
〇〇「えーと……聖司先輩にとっては、暇つぶしなんですよね?」
設楽「俺にとってっていうか、時間とか余裕がないと無理だろ、実際。」
設楽「俺なんか忙しすぎて、今までそんなの考えもしなかったし。」
〇〇「なるほど……」
設楽「でも、一度考え始めると止まらないんだよ。」
設楽「どんなに時間がなくても、せっぱ詰まってても、勝手に頭が考えるんだ。そいつのこと。」
〇〇「え、誰ですか?」
設楽「決まってるだろ。おま――……」
〇〇「…………」
設楽「誰が言うか。もったいない。」
〇〇(ええ~っ!)
- 枠内に書き込み、投稿ボタンを押すとここに表示されます。
最終更新:2018年10月19日 13:20