コーヒー&パーラーToki は、(有)トキ・ナガノにより昭和33年5月16日から平成25年5月17日まで営業されていた「江古田で一番古いキッサ店」。定休は毎週火曜日。愛称は「トキ」「パーラートキ」など。mobie内では基本的に「トキ」と表記される。名前のみ第一弾『The Snow Hiding』のエンドロールで初登場し、その後も様々な作品にネタとして仕込まれている。
注意:以降の記述にはコーヒー&パーラーTokiに関するネタバレと哀しい結末に関する記述が含まれます。
昭和33年5月16日、初代マスターの誕生日に、江古田で初めての喫茶店として創業。
昭和40年代には喫茶店ブームが起き、40~50年代頃の最盛期にはアルバイトが15人も居り常時二階席も埋まっているほどだったという。
長らくそんな平和な日々が続いていたが、平成13年頃から、年中バンダナを巻いた不審者率いる迷惑な集団がたむろするようになる。悲惨なことに、年々その人数は増えていった
平成21年11月、音楽ユニット「ザ・ムーンライツ」がトキの2階を撮影に使用したミュージックPV『僕等の未来を』を発表。在りし日の「お二階」の貴重な映像となる。
平成21年末、牛焼肉定食、ツナ関連のメニューの販売を終了。カレーの具材からもビーフが外され、ポークカレーとなる。創業以来のトキカレーの歴史で唯一のレシピ変更だという。
平成22年7月、従業員減少などにより手が回らないことから半閉鎖状態だった二階との分断工事を行い、二階部分を貸店舗に。
同月、氷屋の廃業によりかき氷の販売を終了。
平成22年8月、トマト料理店「赤茄子」が二階にオープン。その後、店名はそのままに居酒屋を経て、平成23年4月、猫居酒屋としてリニューアルし、現在に至る。なお、内装やテーブルなどの家具はトキであった頃のものが現在もほぼそのまま使用されている。
平成25年4月末、創業者の一人でもある高齢の大女将の介護に専念するために閉店を決意。
空くことになる店舗の貸出先が見つかるまで(夏頃と予測)は時間を短縮したりしつつも運営は続けていく予定だったが、不動産屋に話した翌日には早々に借り手が決まったため、閉店は5月中に繰り上げられた。
客に閉店の予定を口頭で伝えたところ、瞬く間にその噂はインターネットを通じて広がり、数多くのファンが詰めかけるようになる。
店舗側としてはゴールデンウィーク明けに正式発表する心積もりであり、まだ告知の張り紙などもしていなかったため、予想外に急増した客の対応に追われることとなった。
それに伴い仕入れの停止、材料切れによる一部料理提供の終了が起き始め、4月末にはアサリが終了、5月5日には最後のカレールーの仕込みが行われ、9日提供分にて完売、11日にはミートソースとごはんものも完売、16日には他のスパゲッティも尽きるなど少しずつメニューが消えていき、最後は甘味と飲料のみとなった。
ゴールデンウィーク前頃から、滅多に動かなかった「トキ人形」が閉店を前に連日稼働を始める。道行く人々に首と手を振り続けるその姿に「バイバイしてるみたい」との感想も見られた。
この頃から形見分けが始まり、年季の入った漫画本に始まり、メニュー、ショーウインドーの食品サンプル、果ては調味料に至るまで様々なものがファンに土産として手渡されていった。
5月9日には、ついに店頭と店内に計2枚の閉店を告げる張り紙が掲示される。
閉店日については、材料の残量と客足の兼ね合いなどから揺れに揺レオン「ゴールデンウィーク中」「5月20日頃」「5月中旬」「創業記念日の5月16日」「5月14日か15日(14日は定休だと客からツッコミが入った)」と幾度も移り変わったが、5月15日、出書きの張り紙により正式に「5月17日閉店」と告知された。
そして創業記念日翌日の平成25年5月17日金曜日。惜しまれながら、55年の長い歴史に幕を閉じた。
江古田最古の喫茶店として、たとえ訪れたことはなくとも、その存在を知らぬ江古田の民は居ない。
某塾生にトキの定休日である火曜日を「江古田が死ぬ日」と言わしめたことはあまりにも有名だが、閉店間際のTwitterでは塾生以外からでも「江古田=トキ」の声が聞こえてくるほどの、江古田に無くてはならない存在。
腰の低すぎるほどの接客と過剰なサービスは、一見さんから常連まで万遍無く来店した者を幸せにし、提供されるボリュームたっぷり過ぎる料理はその胃袋を満たしたり、もしくは破滅させたりしていた。
少しでもオーダーや提供が遅れようものなら「サービスだから」とお菓子や飲料を配り歩き、酷い時にはお菓子を袋ごとドカン。名物でもあるボリュームについては、女性客やはじめての客、デザートを一緒に頼もうとする客に対して「うちは量が多いけど大丈夫?」とサイズ指定についてのアドバイスも欠かさない。
また、芸術系の学生の多い土地柄、客からの公演や展覧会のポスターなどの掲示のお願いにも快く応じてくれており、一階東側の壁はいつもそういった広告物でいっぱいになっていた。
そのうちの1枚の持ち主であるシンガーソングライターのジョフィーランデブー氏は、最終日に感謝を込めて自身の楽曲『ねぇ、マスター』を歌い上げた。なお、ご本人のレポに、我らが監督がカメラを回す様子が見事に写り込んでいる。ついでに言うと、なぜか一人だけプライバシー保護の目隠しの☆が貼られていない。
そんな人情あふれる店であったが、混雑時にうまく厨房との意思疎通が図れなかった場合などに、客なんてお構いなしにマスターの叱咤が飛びまくるのが玉に瑕であった。
またマスターは、某アルバイトが突然いなくなった裏事情など、それ客に言っちゃってもいいの?! というような事をニコニコしながら話してくるおしゃべりでもあった。
追加料金、または減額よってオプションをつけるサービスの総称。「セット飲料」「量の増減」「単品料理」の3系統に大別される。
白地に明るいオレンジ色で書かれているため目立たず見逃されがちであったりするが、その分丁寧に、セット飲料の件などは別ページにも書かれている。
料理を注文した場合、100円増しでコーヒーか紅茶を付けることが出来る。冷温も選択可。
ただし、サービスとして無料で提供してくれることも多かったため、通っている場合は実際に使用される機会は少なかった。
なお、声優・スーツアクターとして活躍している中澤まさともという男は、トキに来た際は毎回必ずと言っていいほど料理を注文せずに居座り、「コーヒー、セットにさせてもらってもいいかな?」と他人が頼んだ料理にセット扱いでホットコーヒーを付けて100円にし(本来は単品注文なのだから350円払わなければならない)、それだけ飲んで帰る、という卑劣な手段を用いるセコケチ野郎であった。まさに外道。
150円増しで「大もり」、400円増しで「特大・大もり」にし、大食い自慢の客の胃袋を粉砕する。
ただし、女性客などに対しては50円引きの「ちょっと少なめ」で手加減することもある。とはいえ、「ちょっと少なめ」でやっと他店の普通盛りと同程度であり、それでも食べ切れなかったという小食の人の感想も散見される。
これらは通称「大もり」「特もり」「少なめ」と呼ばれるが、料理に付ける場合は主に、例えば「大ナポリタン」「特大ナポリタン」「ナポリタン少なめ」といった呼ばれ方をされる。また、量の多さが名物のような店ゆえに大もりにされる率が非常に高いため、普通サイズを客がわざわざ「普通もり」と注文したり、サイズ指定が何もなければ確認されることが多い。
対応メニューはスパゲッティ、カレー、ピラフ、グラタン、定食(グラタンは大もりのみ、とんかつ定食は大もりと少なめのみ)。スパゲッティの大もり以上、カレーの特もりはステンレスの大皿(というか多分本来の用途はトレーではないかと噂される)で提供される。また、メニューによっては特もりにコロッケが付属する。
その他、特殊な事例については後述する。
170円増しで、以下の4種類の揚げ物などの単品料理を追加できる。特にカレーやミートソースとの相性はバッチリで、肉が食いたいお年頃にも便利である。
カツ……所謂ロースカツ。相棒であるカレーとのユニットであるカツカレーはレギュラーメニューとして記載されており、パスタ側にもナポリタンとのセットメニューあり、さらに10種類ものとんかつ定食という主役メニューまであるため、単品で注文されるのを見ることはそう多くはない。
コロッケ……2個1組で登場する。テーブルに装備されている「スパイスソース とんかつ」をかけてもよし、ミートソースやカレールーに飛び込ませてもよし、そのまま食べてもよしの素朴な万能選手。
魚のフライ……こちらも2個1組。しかし、タルタルソース、和からし、レモンという3種の調味料が最初からオプションで付いてくるため、その味は多彩である。
ただしそれ故か、オプションの中では、いや、単品メニューのない「元祖いか天プラ」「エビフライ」といった揚げ物類を含めてもなお、唯一カレーやスパゲティとユニットを組んだメニューが存在しない、孤高の戦士である。(レギュラーメニューでは、ミックスフライ定食にのみ参戦している)
ウインナー……これのみ揚げ物ではなく茹でられている。小ぶりのウインナー。4本組だったり5本組みだったりするのは、サービスかはたまた重量基準か。
某ショタコンの人が毎回これ見よがしに注文していたのが印象深い。
とんかつ定食には、「ロースカツ」「みそかつ」「おろしかつ」「山菜おろしかつ」「甘だれ醤油かつ」「梅ソースかつ」「梅と青しそソースかつ」「ゴマ酢ソースかつ」「特製からしマヨネーズかつ」「つぶマスタードかつ」の10種類のフォームに変身できる能力があり、店外でもこのことを単独の看板で宣伝している一押しメニューとなっている。
この技により、ある者は10種類制覇の欲求にかられ何度も通う羽目になり、いつのまにやら常連に。またある者は、既に常連だがローテーションの幅を広げるのに便利すぎて、気がつけばとんかつ定食ばかり食べているという事態に陥ってしまう。
なお、定食ではないがミートソースとカレールーに絡まるとんかつもまた絶品なので、実際には12種類の味のとんかつが楽しめる。まさにとんかつ地獄、いや、とんかつ天国であった。
とんかつ定食を大もりにすると、カツそのものが2倍以上に巨大化し、初めて注文した者を圧倒する。
ただし、カツカレーやロースかツとナポリタンを大盛りや特もりにしてもカツが大きくなることはない。これは「とんかつ定食(680円)の大盛り(+150円)」とは違い、メニューとしてはカツカレーとなっているが計算上は「カレーライス(580円)の大盛り(+150円)と、ロースカツ(170円)」であるためである。一度、ジャンボカツでカツカレーを食べてみたかった。
なお品切れの場合、普通サイズのカツが2枚とコロッケが出てきたりすることもある。また、これ以上のカツはないため特もりには出来ない。
グラタンを大もりにすると、大きな器にするわけではなく、なんと普通サイズのものを2個提供し、客の「盛り」の概念を崩壊させる。
その分追加価格は他のメニューの大もり(+150円)と違って特もり相当の+400円必要だが、普通サイズの価格と比べればお得にも程があるだろう。ただし、器のサイズの都合、少なめには出来ない。
出てくるグラタンは、マカロニがたっぷり使用されたものと、代わりにぶつ切りのスパゲッティが使用されたもの(要するに焼きホワイトソーススパゲッティ)の二通りがある。
カレールーとミートソースが足りなくなった場合におかわりをかけてくれる。
おかわりのため皿を預けている間、客は置く場所の無くなったスプーンやフォークを手に持たされてそわそわと待つことになる。
個々人で異なるルー、ソースとご飯、スパゲッティのバランス感覚に対応出来、増減するトッピングとの相性も抜群の良心的な技である。
ただし、ホワイトソースミート添えのミートソースに対しては発動できない。
なお、米俵スグル&高倉蜂コンビの中の人達がターリー屋に凸した際、二人して誤ってルーだけを先に全部食べつくし、「そうか、ルー注いでくれないんだった……」と絶望することとなったので、今後訪問する方は注意されたし。ターリー屋は逆に、ルーではなくライスとナンの方がおかわり自由である。
フロート系の飲み物を頼むと、飲み物とは別皿で生クリーム等でデコレーションされたバニラアイスクリームを出し、注文した客を戸惑わせる。
アイスコーヒーなどの飲み物を単品で頼むと、デコレーションの無いバニラアイスクリームがサービスで付いてくることが多かったため、むしろこちらの方が純粋なコーヒーフロートなどに近かったかもしれない。
派生技として、カレーやスパゲッティにトッピングを複数載せた場合も別皿でキャベツとコーンを添えて提供したり、プリンホットケーキを頼むとホットケーキと別皿のプリンアラモードを運んで来たりする。
ちゃんと小声や耳打ちで告げてくることもあるが、大抵の場合ないしょといいつつ割と大きな周りにも聞こえる声で「あとでサービスで持ってくるから、アイスティーとアイスコーヒーどっちがいい?」と言った風に聞いてきて、サービス品を届けてくれる。
主に常連客や子供を対象とした技だが、込み合っていて料理の提供やオーダーが遅くなってしまった場合や、直近の来店時に注文しようとしたメニューが品切れになってしまっていたのを覚えていた場合などにもお詫びとして発動される。
内容は季節に応じた温度のコーヒーや紅茶、常温の缶ジュース、せんべいや飴といったお菓子、アイスクリームなど。また、時にはみかんの缶詰のシロップをコップに注いだだけの扱いに困る飲料(?)をくれたり、大盛りで注文したメニューを「サービスで特もりにしておいた」などと、サービスと言うより挑戦状に近い無茶ぶりをしてくることもあった。
どこぞのバンダナ野郎率いる集団のような、長時間居座り回転を悪くし、さらに騒いでうるさいという迷惑な一行は、二階へ隔離し、一階の善良な客達を保護する。
ただし、喫茶店ブームの時代は二階も含めて常時満席になるほどの盛況ぶりであり、最後の時期は二階を分離し別店舗に貸していたため、この技は使えなかった。
「ロース」と「ツ」、究極の選択を迫る恐ろしいメニュー。
「ツ」とはいったい如何なるものだったのか、最後までその正体が明かされることはなく、ナポリタンコピペのように永遠の謎となってしまった。
塾長&塾生&外様一同(ごちそうさまでした)