mobieの制作環境

このページでは、外道mobieの独特な制作環境を紹介する。 また、かつて外道Taxi監督が企画したものの実現しなかった「バカ映画ワークショップ」のメモを用いてUSTREAM上で行われたワークショップUSTで紹介されたものをはじめとした、mobie制作における格言や表現技法も併せて記載する。


現場・編集の特徴

・撮影現場での人員はキャスト・スタッフ含め2,3名~7名程度。
・カメラは監督自ら回すのが基本だが、自身が出演する場面では止む無く他のスタッフに任せる。
・照明、マイクを使用しない。
・三脚は合成カットなど一部例外をのぞき、基本は使用しない。
・カット割り、絵コンテは存在しない。(監督の脳内にのみ存在)
・ほとんどの作品において、脚本が存在しない。
・時にはシナリオすら存在しない。(イベントのみをメモ帳に記載しただけ)
・役者経験のある役者がいない、または少ない。
・基本、ロケ許可が取って(取れて)いない。
・SONYが生んだ失敗さk…革新的ビデオフォーマット、Digital8のビデオカメラ(民生仕様)にて撮影を行う。一号機は「TRV-620」。現在四号機まで存在する。
・画面はアナログ4:3。ハイビジョンや3D化といった近年の風潮も気にしない。少なくとも現在100本あるというDigital8のテープが切れるまでは現体制のままとのこと。
・編集は基本Adobe Premireを使用。
・FLASHを使用した、切り絵アニメ(FLASHアニメ全盛期の感覚に近い)のような合成を多用する。
・そう思っていたら最近はPhotoshopも使うようになった。外道も進歩はするようである。


格言

  • 金と時間は反比例

学生やニートは時間はあるが金はない。社会人は金はあるが、今度は時間が無い。
それによって撮影をはじめとした制作がままならぬ、この世の不条理を嘆いた一言である。
監督の人生の標語に掲げられているという。

  • 正しい映画製作の知識を持ってから我流になりましょう

ピカソしかり、手塚治虫しかり、キュビズムや漫画絵にたどり着く前に、正統派の技法を高い次元で修めている。
確かな下地があってこそ、デフォルメや王道外しが出来るのである。
監督曰く「基本をシッカリ教えて、そっからバカやる。これ。受け身もとれないプロレスラーは存在しません。」
「わしの場合は我流になるのが早すぎたんだ。腐っちまったんだ。」※腐ってるのは奥様
外道』を歩む男からの、後へ続く者たちへの魂のメッセージ。


ルール

自主制作、その中でも上記のような仕様から一見ルーズなようにみえる製作体制だが以下のような『ルール』が存在している。
いずれも共通しているのは「安易な発想でとどめない」「観る人が“引く”要素を極力入れない」という考えである。

・オカマキャラは出さない
濃いキャラが数多く出、素人役者によって演じられている外道mobie。
その中で監督が唯一厳しくNGを出しているキャラクターが、いわゆる「オカマ」キャラである。
理由は「演技初心者がインパクトの強いキャラをやろうとした場合、いちばん安易に(最初に)思いつくから」。
もともとクオリティ面で「素人」「安直」感が出やすい作風ゆえ、出来る範囲内でそういった部分が出ないよう務めるためだそうだ。
別に同性愛差別とか嫌悪とか、そういうのではないらしい。
ただ安直にやらず、捻りを加えるならばOK、という例外もあるらしく
似たような喋り方をするが、フ○ーザな性格のハシコフ・ロジンスキーはセーフという事例がある。

・エロ、グロは避ける
クオリティの面から、ただでさえ初見の人は抵抗感のある自主制作映像作品。
その作り手がよく入れたがるのが、エロとグロ要素である。
だがこれらは苦手な人も多く、結果ビギナー層をますます遠ざける原因になっている。
外道Taxi監督はこれらを嫌い、観ていて不快にならないよう務めている。
劇中において出てくる下ネタはオナラとかウンコとか小学生レベルであり、グロ(流血)も過去に『D2』の事例しか存在しない。
あと監督本人が苦手、という理由もある。

・安易な時事ネタや流行りネタのパロディ等も(極力)控える
初期作品では多かったが、最近の作品では控えられるようになった。
理由はネタとしての『賞味期限』が早く、製作が長引いてしまった場合などに「賞味期限切れ」になりやすいから。
また、「安易な発想」と受け取られる要素の為、上記のルール同様避けようという思惑も絡んでいる。


mobie撮影技法

mobieにおける独特な呼び名の撮影技法。
中には、mobie以外においても別の通称で使用されている技法も存在する。
これを頭に入れておくと、現場で突然監督から言われても対応できて撮影が捗るぞ。

  • アクターズスロー

例)橋之巻末太郎の拳への大多喜寅信の頭突き
編集によってスロー映像にするのではなく、現場で役者がゆっくりと演技をすることによってスロー映像を創り出す撮影技法。
実速度では難しいアクションやタイミング合わせ等において効果を発揮する。
編集が不可能な演劇などでは頻繁に見られる技法である。

  • 肩車俯瞰

例)The Snow Hidingラストバトル
読んで字のごとく、カメラマンを肩車することでカメラ位置を高くし、俯瞰撮影を行う撮影技法。
登れる高台等がなにも無い場所においても、脚立など大きく重い道具を運ばずとも俯瞰撮影を行うことが可能で、平地で撮影する場合に重宝される。

  • シュワッチジャンプ

例)リクエストライダーキックの直前
特撮ヒーローもの等でも使用されている、演者がジャンプする瞬間に合わせてカメラを下方向にパンすることで、実際よりも高く跳び上がったように見せる撮影技法。
ヒーローであるblade二郎仮面の撮影でよく使用されている。

  • ランニングズーム

例)バックベアード様の顔の有意義なアップ
ドリー(台車)を使用してカメラごと被写体に寄っていくことでズーム効果を得る・・・という撮影技法を、ドリーを使わずカメラマンの脚で走り込むことで代用したものドド。
また亜種として、ズームではなく動く演者をカメラが追いかける「ドリー撮影」を、走る役者にカメラマンが自分の脚で並走して代用することも行われているドド。
ドリーが使える裕福な環境にある商業作品においても、あえて演出として使用されたり、三脚を用いない手持ちカメラのレポート番組等では見られることもあるドド。
ちなみに、ワークショップのメモには一応「(ドリー)」とも書いてあったそうドド。
台車を借りるなりして調達してちゃんとしたのを教えるつもりはあったらしいドド。

  • スローシャッター使用アクション

例)広島義兄弟終盤
カメラのシャッタースピードをあえて遅くすることで、アクションに残像等のスピード感のある効果を加える撮影技法。
一般的には「低速度(ロースピード)撮影」「コマ落とし」と呼ばれている技法が同様の目的で行われ、その際にコマ飛びの違和感を低減するために併せてシャッタースピードも落とすのが通例であり、その状態がこの撮影技法と同等のものである。
ただし、シャッタースピードを落とすと画面が明るくなる効果もあり、通常の明るさでこれを使用すると画面が白く飛んでしまうため、日の落ちかかる夕方以降にしか使えないという制約がある。

  • 環境闘法(環境利用闘法)

例)突如アップになる警備員
撮影時における、突然の風、飛び立つ鳥、周囲の音といった環境を上手く作品に利用する技法。
時には、映像に映り込んだ民間人を勝手にエキストラにするというえげつない行為にも出る。まさに外道
エキストラ達は突如アップになる警備員、ロベルト・ヨーンのセミへの恫喝に反応してコースを離れるウォーキング中の女性、バリアを貼って決めポーズをするロテンショウの後ろを絶妙なタイミングで通過する自転車等、非常に良いエッセンスを加えてくれる貴重な存在である。

  • アナログマトリックス

例)Sai-Tamao VS The Mosquito
映画「マトリックス」に使用されたことで話題になった、大量のカメラを周囲360度に並べて順に撮影していくことで、被写体は静止またはスローモーションであるにもかかわらずカメラワークは高速で回り込む、という映像を実現する「バレットタイム」と呼ばれる撮影技法・・・を、人力で再現したもの。
静止またはゆっくりと動く演者の周りを、カメラは被写体に向けたまま、円を描くようにカメラマンが走って一周することで完成する。
これは先述のアクターズスローと、ランニングズームの亜種にあたるドリーではなく自らの脚を使った回り込みとを組み合わせた技法であると言え、mobie撮影技法の集大成とも言うべき技である。
たった一台のカメラで贅沢な撮影技法と似たようなものを再現している点で、「一方ロシアは鉛筆を使った」的な素晴らしさがある。


その他の制作用語

  • 超・素人

演技未経験者でありながら、役柄との絶妙なマッチによって輝く役者。未経験だからこその型破りな演技の出来る役者。
ワークショップUSTや日記では、監督の認めた初めての超・素人である松田秒吉の中の人を筆頭に、松越一族の中の人、陳炒飯の中の人、犀多摩男の中の人、 司令塔ジョージの中の人が挙げられていた。
この次元までいかなくとも、演技経験の無い役者であっても、適切な役柄を与えることでキャラクターとがっちり噛み合えばキラーキャラクターを創ることが出来る、というようなことを監督はワークショップで語りたかったようである。

  • 必殺技・得意技

監督によれば、必殺技は「必ず殺す技」であり、乱発は避けとどめの一撃として使うべきで、使われれば勝敗が決するべきであるとのこと。
そのために、それまでのつなぎに使う攻撃として「得意技」があり、長編シリーズの登場キャラクターはこれらをしっかり分けて設定されていたらしい。
当wikiでは、残念ながら公式ホームページにて未紹介のキャラクターについては得意技・必殺技の区分が不明であるため、分かるもののみ技の説明にどちらであるかは記載しているが、基本的に区別なく並べられてしまっている。
なお言うまでもないが、この考え方はプロレスによって監督の心に刷り込まれたものである。

  • お約束

「このBGMが流れるとこのキャラが来るぞ」と言うテーマソングによる刷り込みや、松越一族が登場すると「あ…(察し)」となるような、“お約束”によって次の展開をあえて予想させたり期待させたりする演出の手法。
言うまでもないが、これもプロレスが源流である。
ちなみに、外道Taxi氏の大学の卒業論文のテーマはこの「映画におけるお約束効果」についてである。

  • NGテイク拾い

外道Taxi監督は、金銭的に楽とはいえない在学中の撮影においても、NGテイクを含めたすべてのテープを上書きせずに保管している。
NGテイクの利用はこれを有効に利用した手法で、例えば「VSロテンショウ戦のラストで彼が倒れるよりも早く一瞬振り向いてしまうミッコウシャ」や、「お前もウクライナに魂を売り渡してしまったのか!?(言えてない)」等が挙げられる。

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最終更新:2015年07月10日 15:32