「宇宙の果てのどこかにいるわたしの下僕よ! 神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ!
私は心より求め、訴えるわ! 我が導きに応えなさい!!」
ハルケギニア大陸に存在するトリステイン王国の王立魔法学院2年生の行事である使い魔召喚。
この儀式の日、トリステインの名門貴族たるヴァリエール家の三女であるルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが
高々と呪文を唱え、使い魔召喚魔法『サモン・サーヴァント』を発動した。
途端に巻き起こる大爆発。立ち昇る土煙で学院の中庭にいた者たち全員が身体を伏せたり顔を覆ったりした。
そして土埃が収まっていくと、銘々が中庭の中央、爆発の中心地に出現していた「それ」を発見した。
「な、何これ!?」
「こんなの見たことないぞ!」
「ルイズ、一体何を呼び出したのよ?」
ルイズの召喚を見守っていた生徒たちから声が上がる。一方召喚主のルイズもまた、
事態を呑み込めずにただただ呆然としていた。
「……これ、何……?」
ルイズの目の前に現れたのは、彼女が望んだドラゴンやグリフォンとかとは丸で異なる、
そもそも生物としての形すらしていないものだった。人が一人スッポリ収まるくらいの
大きさの赤い球体だったのである。
私は心より求め、訴えるわ! 我が導きに応えなさい!!」
ハルケギニア大陸に存在するトリステイン王国の王立魔法学院2年生の行事である使い魔召喚。
この儀式の日、トリステインの名門貴族たるヴァリエール家の三女であるルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが
高々と呪文を唱え、使い魔召喚魔法『サモン・サーヴァント』を発動した。
途端に巻き起こる大爆発。立ち昇る土煙で学院の中庭にいた者たち全員が身体を伏せたり顔を覆ったりした。
そして土埃が収まっていくと、銘々が中庭の中央、爆発の中心地に出現していた「それ」を発見した。
「な、何これ!?」
「こんなの見たことないぞ!」
「ルイズ、一体何を呼び出したのよ?」
ルイズの召喚を見守っていた生徒たちから声が上がる。一方召喚主のルイズもまた、
事態を呑み込めずにただただ呆然としていた。
「……これ、何……?」
ルイズの目の前に現れたのは、彼女が望んだドラゴンやグリフォンとかとは丸で異なる、
そもそも生物としての形すらしていないものだった。人が一人スッポリ収まるくらいの
大きさの赤い球体だったのである。
かつて、ある次元の宇宙に浮かぶ「地球」という星に暮らす人類は、
たくさんの恐るべき怪獣や宇宙からの侵略者の魔の手に脅かされていました。
人類には強大過ぎる外敵たちによって彼らの命が奪われそうになった時、
遠い星からやってきた巨大なる光り輝くヒーローたちが彼らを助け、凶悪な怪獣たちを撃退してくれました。
人類はこの救世主たちを礼賛し、こう呼んで称えたのでした。「ウルトラマン」と……。
そうして長い時が流れ、人類は大宇宙へ進出。地球に怪獣が出現することはなくなり、
ウルトラマンは伝説に語られる存在となりました。
しかし地球が存在する次元とは違う、別の次元のハルケギニア大陸がある星に今、
大いなる脅威が人知れず忍び寄っていたのです。
これから、あなたの目はあなたの身体を離れて、この不思議な時間の中へ入っていくのです……。
たくさんの恐るべき怪獣や宇宙からの侵略者の魔の手に脅かされていました。
人類には強大過ぎる外敵たちによって彼らの命が奪われそうになった時、
遠い星からやってきた巨大なる光り輝くヒーローたちが彼らを助け、凶悪な怪獣たちを撃退してくれました。
人類はこの救世主たちを礼賛し、こう呼んで称えたのでした。「ウルトラマン」と……。
そうして長い時が流れ、人類は大宇宙へ進出。地球に怪獣が出現することはなくなり、
ウルトラマンは伝説に語られる存在となりました。
しかし地球が存在する次元とは違う、別の次元のハルケギニア大陸がある星に今、
大いなる脅威が人知れず忍び寄っていたのです。
これから、あなたの目はあなたの身体を離れて、この不思議な時間の中へ入っていくのです……。
ウルトラマンゼロの使い魔
プロローグ
プロローグ
『……きろ』
赤い光に包まれた空間の中で、どこからか仰向けになって眠っている少年に呼びかける声がした。
この少年の名前は平賀才人。特徴がないのが特徴とでも言うべきで、簡単に言えばどこにでもいるようなごく普通の高校生男子だ。
『おい、起きろ……』
「ん……」
再び才人に呼びかける声がしたが、才人は閉じた目蓋をピクリと動かすだけだった。すると、
『起きろっつってんだよ! いい加減目ぇ覚ませッ!!』
「うわぁッ!?」
声が怒声に変化し、驚いた才人はガバッと起き上がった。
「あれ……ここは……?」
目覚めた才人はまず周囲を見回し、自分が不可思議な空間にいることを理解した。
「ここはどこなんだ……? 確か俺、鏡みたいなものをくぐって……」
『やっと起きたか。ねぼすけな奴だぜ』
困惑する才人の目の前に銀と青と赤の三色で構成された肉体を持つ巨人の姿が投影された。
頭には刃物のようなトサカが二つ並んでおり、目つきが若干鋭い。これを見た才人が大いに驚く。
「うわぁぁッ! あんた誰だ!?」
『人に名前尋ねる時は、まず自分から名乗るのが礼儀ってもんだろ?』
巨人に諭され、才人はひとまず落ち着きを取り戻して名乗った。
「俺は平賀才人。地球人だ」
それから、今度は巨人が名乗りを上げた。
『俺はゼロ! ウルトラマンゼロ! ウルトラセブンの息子だ!』
「へぇ、ウルトラマン……えぇッ!?」
ゼロという巨人の言葉を聞いた才人が再び驚愕した。ウルトラマンといえば、
かつて地球を長きに亘り様々な脅威から守ってくれた伝説の戦士の名だ。
地球人である才人ももちろん彼らのことは知っている。そして今目の前の巨人は、
確かによく見てみればウルトラマンの特徴をしっかりと持っていた。
ウルトラセブンの息子と名乗った通り、昔写真で見た赤い光の戦士、
ウルトラセブンの面影が見て取ることが出来る。興奮した才人はついこんなことを口走った。
「本物と会えるなんて! サ、サイン下さい!」
『……この状況でそんなこと言うなんて、のん気な奴なんだな』
ゼロは才人にあきれていた。確かに今はどう見てもサインなんて状況ではない。
我に返った才人は恥ずかしくなった。
『それに、俺は今からお前にサインなんかよりもっと重要なものをやるんだぜ』
「え?」
ゼロがつけ加えた言葉に才人が呆けた。が、そのすぐ後に自分の置かれている状態に気が回って慌てて質問をぶつける。
「い、いや、それよりここはどこなんだ!? 俺は一体どうなっちまったんだ!?」
問いかける才人にゼロは彼をなだめる動作をした。
『まぁ落ち着け。順を追って説明してくから』
「わ、分かった……」
そう言われて才人が口を閉ざす。
『まず、この俺、ウルトラマンゼロはある事情から地球やウルトラの星がある宇宙とは
別の宇宙で仲間たちと一緒にウルティメイトフォースゼロっていう宇宙警備隊を作って、
その宇宙の平和を守る日々を送ってた。そんなある日、故郷の光の国からこんな連絡があったのさ。
「宇宙と宇宙の狭間で大規模な次元震が起こり、大いなる邪悪の気配がある次元の宇宙に侵入した」ってな』
「そ、その大いなる邪悪ってのは……?」
『残念だがそこまではわからねぇ。で、そのままほっといたらその宇宙の生命が全て滅ぼされてしまうかもしれないってことになったんで、
別の宇宙での活動の経験がある俺が調査も兼ねて問題の宇宙へ出発したんだ。けどこれがまた大変な旅でよぉ。
何せ位置情報が次元震の観測で得られたデータしかねぇんだ。見つけるのに苦労したぜ』
「はぁ……」
ペラペラしゃべるゼロに才人は若干呆然としていた。ウルトラマンは神聖で厳かというイメージを抱いていたが、
このゼロというウルトラマンはかなり砕けた話し方をする。
『そんな訳でこの宇宙にたどり着いたんだが……ここで問題が起こっちまったんだよ……』
「その問題って?」
『……』
ゼロが一旦黙り、こう言い放った。
『宇宙に突入した瞬間……妙な力に身体が引っ張られちまって……お前と衝突しちまったんだよ……』
「へ……?」
ゼロのひと言で、才人の顔が青ざめる。
「じゃあ、俺の身体は……?」
『……粉微塵』
才人の気が遠くなった。
『おい! しっかりしろ!』
「そ、そんなぁー!? 俺、死んじまったのかよ!? 嘘だろ!? まだやりたいこといっぱいあったのに!
彼女だってまだ作ってないのに!」
『落ち着け!!』
メチャクチャ取り乱す才人をゼロが一喝した。
『そう心配するな! このことには俺にも責任がある。だから、俺の命をお前にやる』
「え? 命をやるって……?」
『俺たちウルトラマンには他の生物と一体化し、命を共有する能力がある。俺と一心同体になることでお前は蘇るんだ。
そうすりゃ、お前自身の命が戻る日もきっとやって来るぜ』
「そ、そうなのか。よかったぁ」
とりあえず死ぬことはないことが分かり、才人は安堵した。
『俺もこの星じゃ、このままの状態を保つことが出来ないみたいだからな。持ちつ持たれつって奴だ。
じゃあ話が決まったところで……』
ゼロが才人に青いサングラスのようなものを渡した。
「これは?」
『ウルトラゼロアイだ。こいつを顔に当てりゃ、お前の身体から俺に変身することが出来る。
怪獣や宇宙人とかが出てきて、もうどうしようもなくなったって時に使いな。俺が片づけてやる!
あ、光線銃としても使えるぜ。トリガーと発射口はそことそこだ』
使い方を説明するゼロ。変身アイテムってこういうものなのかと感心する才人だが、
あることに思いが至ってガバッと顔を上げた。
「そ、そうだ! 別の宇宙とか言ってたけど、もしかして俺も!?」
『ようやく気がついたのかよ。そうだ、お前はどうやらある奴に呼ばれて、地球から遠く離れた違う宇宙の星に移動してきたみたいだ。
その途中で俺とぶつかったんだな。今この空間の外は、その星の大地だ』
「えええええ!?」
三度仰天する才人。ゼロは構わずに話を続けた。
『お前はこれからこの星で生活してかなきゃならねぇ。否応なくな。俺もこの星には来たばっかだから、
詳しいところはこの星の奴に聞いてくれ。言葉は通じるみたいだ。じゃあそろそろ外に出すぜ。
上手いことやってけよ』
「ち、ちょっと待ってくれ! まだ心の準備が……!」
懇願する才人にゼロが言い聞かす。
『心配するなよ。いつでもどこでも、この俺が側にいる。才人、お前は一人じゃないんだ!』
そして、才人はトリステインの地に降り立った。
赤い光に包まれた空間の中で、どこからか仰向けになって眠っている少年に呼びかける声がした。
この少年の名前は平賀才人。特徴がないのが特徴とでも言うべきで、簡単に言えばどこにでもいるようなごく普通の高校生男子だ。
『おい、起きろ……』
「ん……」
再び才人に呼びかける声がしたが、才人は閉じた目蓋をピクリと動かすだけだった。すると、
『起きろっつってんだよ! いい加減目ぇ覚ませッ!!』
「うわぁッ!?」
声が怒声に変化し、驚いた才人はガバッと起き上がった。
「あれ……ここは……?」
目覚めた才人はまず周囲を見回し、自分が不可思議な空間にいることを理解した。
「ここはどこなんだ……? 確か俺、鏡みたいなものをくぐって……」
『やっと起きたか。ねぼすけな奴だぜ』
困惑する才人の目の前に銀と青と赤の三色で構成された肉体を持つ巨人の姿が投影された。
頭には刃物のようなトサカが二つ並んでおり、目つきが若干鋭い。これを見た才人が大いに驚く。
「うわぁぁッ! あんた誰だ!?」
『人に名前尋ねる時は、まず自分から名乗るのが礼儀ってもんだろ?』
巨人に諭され、才人はひとまず落ち着きを取り戻して名乗った。
「俺は平賀才人。地球人だ」
それから、今度は巨人が名乗りを上げた。
『俺はゼロ! ウルトラマンゼロ! ウルトラセブンの息子だ!』
「へぇ、ウルトラマン……えぇッ!?」
ゼロという巨人の言葉を聞いた才人が再び驚愕した。ウルトラマンといえば、
かつて地球を長きに亘り様々な脅威から守ってくれた伝説の戦士の名だ。
地球人である才人ももちろん彼らのことは知っている。そして今目の前の巨人は、
確かによく見てみればウルトラマンの特徴をしっかりと持っていた。
ウルトラセブンの息子と名乗った通り、昔写真で見た赤い光の戦士、
ウルトラセブンの面影が見て取ることが出来る。興奮した才人はついこんなことを口走った。
「本物と会えるなんて! サ、サイン下さい!」
『……この状況でそんなこと言うなんて、のん気な奴なんだな』
ゼロは才人にあきれていた。確かに今はどう見てもサインなんて状況ではない。
我に返った才人は恥ずかしくなった。
『それに、俺は今からお前にサインなんかよりもっと重要なものをやるんだぜ』
「え?」
ゼロがつけ加えた言葉に才人が呆けた。が、そのすぐ後に自分の置かれている状態に気が回って慌てて質問をぶつける。
「い、いや、それよりここはどこなんだ!? 俺は一体どうなっちまったんだ!?」
問いかける才人にゼロは彼をなだめる動作をした。
『まぁ落ち着け。順を追って説明してくから』
「わ、分かった……」
そう言われて才人が口を閉ざす。
『まず、この俺、ウルトラマンゼロはある事情から地球やウルトラの星がある宇宙とは
別の宇宙で仲間たちと一緒にウルティメイトフォースゼロっていう宇宙警備隊を作って、
その宇宙の平和を守る日々を送ってた。そんなある日、故郷の光の国からこんな連絡があったのさ。
「宇宙と宇宙の狭間で大規模な次元震が起こり、大いなる邪悪の気配がある次元の宇宙に侵入した」ってな』
「そ、その大いなる邪悪ってのは……?」
『残念だがそこまではわからねぇ。で、そのままほっといたらその宇宙の生命が全て滅ぼされてしまうかもしれないってことになったんで、
別の宇宙での活動の経験がある俺が調査も兼ねて問題の宇宙へ出発したんだ。けどこれがまた大変な旅でよぉ。
何せ位置情報が次元震の観測で得られたデータしかねぇんだ。見つけるのに苦労したぜ』
「はぁ……」
ペラペラしゃべるゼロに才人は若干呆然としていた。ウルトラマンは神聖で厳かというイメージを抱いていたが、
このゼロというウルトラマンはかなり砕けた話し方をする。
『そんな訳でこの宇宙にたどり着いたんだが……ここで問題が起こっちまったんだよ……』
「その問題って?」
『……』
ゼロが一旦黙り、こう言い放った。
『宇宙に突入した瞬間……妙な力に身体が引っ張られちまって……お前と衝突しちまったんだよ……』
「へ……?」
ゼロのひと言で、才人の顔が青ざめる。
「じゃあ、俺の身体は……?」
『……粉微塵』
才人の気が遠くなった。
『おい! しっかりしろ!』
「そ、そんなぁー!? 俺、死んじまったのかよ!? 嘘だろ!? まだやりたいこといっぱいあったのに!
彼女だってまだ作ってないのに!」
『落ち着け!!』
メチャクチャ取り乱す才人をゼロが一喝した。
『そう心配するな! このことには俺にも責任がある。だから、俺の命をお前にやる』
「え? 命をやるって……?」
『俺たちウルトラマンには他の生物と一体化し、命を共有する能力がある。俺と一心同体になることでお前は蘇るんだ。
そうすりゃ、お前自身の命が戻る日もきっとやって来るぜ』
「そ、そうなのか。よかったぁ」
とりあえず死ぬことはないことが分かり、才人は安堵した。
『俺もこの星じゃ、このままの状態を保つことが出来ないみたいだからな。持ちつ持たれつって奴だ。
じゃあ話が決まったところで……』
ゼロが才人に青いサングラスのようなものを渡した。
「これは?」
『ウルトラゼロアイだ。こいつを顔に当てりゃ、お前の身体から俺に変身することが出来る。
怪獣や宇宙人とかが出てきて、もうどうしようもなくなったって時に使いな。俺が片づけてやる!
あ、光線銃としても使えるぜ。トリガーと発射口はそことそこだ』
使い方を説明するゼロ。変身アイテムってこういうものなのかと感心する才人だが、
あることに思いが至ってガバッと顔を上げた。
「そ、そうだ! 別の宇宙とか言ってたけど、もしかして俺も!?」
『ようやく気がついたのかよ。そうだ、お前はどうやらある奴に呼ばれて、地球から遠く離れた違う宇宙の星に移動してきたみたいだ。
その途中で俺とぶつかったんだな。今この空間の外は、その星の大地だ』
「えええええ!?」
三度仰天する才人。ゼロは構わずに話を続けた。
『お前はこれからこの星で生活してかなきゃならねぇ。否応なくな。俺もこの星には来たばっかだから、
詳しいところはこの星の奴に聞いてくれ。言葉は通じるみたいだ。じゃあそろそろ外に出すぜ。
上手いことやってけよ』
「ち、ちょっと待ってくれ! まだ心の準備が……!」
懇願する才人にゼロが言い聞かす。
『心配するなよ。いつでもどこでも、この俺が側にいる。才人、お前は一人じゃないんだ!』
そして、才人はトリステインの地に降り立った。
「あんた誰?」
気がついたら、自分の顔を女の子がまじまじと覗き込んでいた。才人はこう答えた。
「誰って……。俺は平賀才人」
こうして、別次元の王国トリステインに召喚されてしまった少年才人と、彼の主となる少女ルイズ、
そして才人と一心同体になったウルトラマンゼロの物語が幕を開けたのだった。
気がついたら、自分の顔を女の子がまじまじと覗き込んでいた。才人はこう答えた。
「誰って……。俺は平賀才人」
こうして、別次元の王国トリステインに召喚されてしまった少年才人と、彼の主となる少女ルイズ、
そして才人と一心同体になったウルトラマンゼロの物語が幕を開けたのだった。