ウィザードのやり方に逆らい、自らの道を進もうとするエルファバ。
事を荒立てず穏便にと考えるグリンダ。
二人はここで道を分かちます。

最初はお互いをなじる二人ですが、最後は互いを案じ、行く末の幸福を願います。
迫る追っ手 - 箒にまたがり、空高く飛び立つエルファバ。

間違いなくミュージカル中最大の見せ場です。



グリンダ:エルファバ - 怒りに我を忘れず、おとなしくガマンしていればよかったのに!
 本当にそれでいいというの?引き返すことはできないのよ。
 自分でバカなことをしたと思わなきゃいいけど!

エルファバ:あなたこそそれで満足なのね。従順にひれ伏して、取り立ててもらうつもりなの?

両者:あなたが分らないわ。本当にそれでいいのね?

グリンダ:エルフィー、聞いて。これじゃあなたが報われないわ。
 今ならまだ間に合うわ。ウィザードのもとにいられるのよ。
 そのために今までがんばってきたんだし、それこそがあなたの望みでしょう?

エルファバ:ええ、分ってるわ・・・
 でも、私はそれを望まない・・・
 いいえ、望むことはできないのよ、もう。

 私の中で何かが変わってしまった。
 元の私じゃないの。
 もう他の人の作ったルールに振り回されるゲームの駒ではいられない。
 「二つ目のヒント」を求めるにはもう遅いわ。
 「一回休み」にももう遅いわ。
 自分の心の声に耳を傾けるの。
 目を閉じて、飛ぶのよ。

 そう重力に逆らってみる。今がその時よ。
 重力に逆らって、きっとやれるわ。
 あなたにはそれを止めることは出来ない。

グリンダ:分ってもらえないかしら?あなたは誇大妄想に陥っているのよ。

エルファバ:私はもうただ受け入れつづけるだけではいられないわ。
 だれかが言ったように、挑戦することではじめて変えられるものもあるのだから。
 私は長い間気づかずにいたわ。
 私は、愛を無くすことが怖かったの・・・私はそれをよく無くしてきたから。
 もし、それが愛と呼べるものならだけれど。
 私はいつもそれを得るために、あまりに大きな代償を支払ってきたわ。
 お別れのキスをしてちょうだい。
 私は重力を乗り越えていくわ。
 あなたは私を止められない。

 グリンダ・・・一緒にきて。私たち二人ならなんだってできるわ。

グリンダ:(エルファバの箒に手をかけ)そうね、私たち二人が一緒なら・・・

両者:誰にも負けやしない。重力にだって打ち勝てる。
 あなたと私なら。

エルファバ:そして、だれも私たちを引き下ろせない。
 どう・・・来てくれる?

グリンダ:(そっと箒から手を離し、エルファバにマントをかけてやる)あなたならきっと大丈夫ね。それがあなたの選んだ道・・・

エルファバ:あなたもね。あなたの選択があなたに幸福をもたらしますように。

両者:あなたがそれを成し遂げられるよう、心から願うわ。
 きっと幸せでいてね。お別れよ、私の、大切な友だち・・・

(追っ手に向かい)

エルファバ:私を見つけたければ、西の空を見なさい。
誰かさんが言ったように、「誰にでも飛ぶチャンスはある」のだから。
もし私が一人きりで飛んでいたなら、それは私が自由だということ。
私を虐げてきた人たちに、伝えて。
私がどんなに自由に飛んでいたかを。
私は重力に逆らい、どこまでも高く飛ぶわ。
すぐに私のことは人々の口に上ることでしょう。
そして、オズ中の誰も、あのウィザードでさえ、私を引き下ろせない!

追っ手:悪い魔女め、お前が死んで悲しむものなどいないぞ。

(エルファバ、掛け声とともに天高く舞い上がる)

追っ手:必ずしとめてやる!

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最終更新:2007年07月25日 21:23