心構え編

1. 協調ではなく引率

 RT 3v3は少なくともUS Westサーバー(Lordaeron)ではぶっちゃけますと大部分(9割以上)のプレイヤーが「初心者」レベルに過ぎません。ここでいう初心者とは経験の長短を言うのではありません。Arranged TeamやSoloといった本来の「競技」であるフォーマットにおいて「平均」のレベルに実力が達しているかどうかを基準にしています。RT 3v3のプレイヤーのうち、ATやsoloでマトモに戦うことのできる者は実はほとんど皆無なのです。
 RT 3v3をひたすらプレイするだけの5年間より、プロのリプレイなどを鑑賞し、自己のプレイを反省しながらATやsoloをこなす1年間の方が、得られるものは何倍にもなる。RTだけを何千、何万回とこなすのはWar3というゲームの上達を考えた場合、害あって益なしです(1つのプレイスタイルとしてRT特化を否定している訳ではない。というより自分もRT特化型でした)。なぜなら、RT 3v3に特化したユーザーは本来の「競技」としての「War3」が何であるかを知らず、誤った認識を保ったままで思考停止してしまうからです。ATやsoloはtournament指向ですが、RT 3v3はむしろcustom gameに近い感じがします。そのためRT 3v3ヘビーユーザーの世界では「井の中の蛙の争い」という側面がどうしても出てきてしまいます。
 このような環境で大事になってくるのは、「協調」ではなく「引率」するという意志です。言い換えると「上から目線」が必要だということです。この辺はHPに掲載の実際の筆者のリプレイ(くらいしか見本がないでしょうし...)を見て何となく感じをつかんでもらうとして。ともかく、周りは初心者だけなので彼らの上に立つことは何も難しくありませんし、また、勝つためにはそうする必要があります。ただし初心者同士が足を引っ張り合う(=井の中の蛙)現状から、RT 3v3プレイヤーは互いに疑心暗鬼になっているので、何でもかんでも指示することはお薦めしません。第一、指示などマトモに聞いてくれないです。(指示の仕方で工夫すべき点は、後述します)


2. 連携ではなく個人技

 RT 3v3の経験が長いプレイヤーほどrush(RTではhero rushとmass rushが混同されているため紛らわしい事この上ない)ではなくCC(RT用語でcreep & counterの意。このような概念自体ATには存在しない)を好む傾向にあります。rushは味方と呼吸を合わせて行わないと効果がなく、中途半端な戦力で突っ込んでしまうと大きく消耗する危険性があるからです。強引にrushしようと指示しても、味方がno barracksでtechし始めることも頻繁にある。
 このため最初から自己完結して確実にアドバンテージ(creepingによるhero levelアドバンテージ、expansionによるresourceアドバンテージ、techによるtechnologyアドバンテージ)を取りにいくスタイルが多数派になります。筆者もこの方針を推奨します。ATとは異なり、RT 3v3では味方は初心者です。そのため理に適った戦略が実行できず、マトモな意思疎通も成立しない。彼らと「連携」するのは強めのクリープを同時に狩るとか、せいぜいその程度が限界だと考えるべきでしょう。つまりRT 3v3はteam gameの一種でありながら、実は連携技よりも個人技が試されるフォーマットなのです。
 もっとも一人で何でもやれというのではなく、あくまでteamを構成する一員として最低限のプレイをこなしつつ、teamを一歩引いた立場で見る軍師のような役割でリードをも出来るかという点が問われてきます。といっても難しく考える必要はなく、ATやsoloといった「競技」フォーマットの基本を抑えていれば十分です。RT特有の足を引っ張り合う空気には辟易するかも知れませんが、その点は、彼らを「AI」と見なせば問題ありません。一定のプログラムに従ってユニットを自動で生産してくれる(たまに訳の分からないお茶目な事をchatでのたまうけれど)人工知能。もしくは自分のショウを見に来てくれているお客様。そういう風に引いた視点を維持すると何が起こっても大して苛つかなくて済むかと思います。


3. 能動ではなく受動

 競技としてのWar3(AT、又はSolo)において「能動的でなければならない」という事は前提です。scoutをしない、有利な時間帯に動かない、このような消極的な姿勢でいる限りは、勝ちのチャンスを自ら放棄する事と変わりありません。ところがRT 3v3では事情が相当に変わります。「2.」でも触れたように味方は初心者ばかりであるため、理に適った戦略を取ろうとしても、味方が協調してくれるという甘いことは期待できません。むしろ思い通りの展開になることの方が稀と言っていいでしょう。
 War3ではアドバンテージを取るための方法が大きく分けて2つあります。1つはharassやhit and runなど「相手のリソースを奪うこと」であり(ここで得られる経験値はオマケ程度のものと考えて良いでしょう。ガチcreepingの方がずっと早くlevel up出来るのですから)もう1つはcreeping、expo、techなど「自分でリソースを得ること」です。「2.」の2パラグラフで触れた各アドバンテージはこれを指しています。
 AT 3v3では後者は勿論、前者も必要不可欠なもので、チームは一般的にはharasserとcreeperに分かれることになります。しかしRT 3v3ではこのような基本的な役割分担すら満足に行われないのが実際の所です。そうした環境ではharassやhit and runといった「味方と共同すべきアクション」よりもcreepingなど「自己完結するアクション」の方が得てして有効となります。rushが機能しない危険性については「2.」で述べた通りです。
 「味方」との関係から受動的なプレイングスタイルを推奨しましたが、「相手」との関係でも同様です。「相手」との関係でRT 3v3でharassやhit and runといった能動的なアクションを行っても効果が薄い理由は3つあります。1つは「格上」である自分と、「格下」である相手の時間を交換するのは損な取引である。2つめは「初心者」である相手プレイヤーの動きが読みにくい。3つめは味方がマンツーマンで勝てるとは限らない。
 少し長くなりますが順番に説明していきます。まず1つめの「時間の交換」。RT 3v3では大抵の場合、AT/soloで平均程度の実力者でもゲーム内で最強のプレイヤーになれてしまいます。この記事をしっかり読んでくれている人は「ゲーム内で最強」なので、誰とマンツーマンしても「格上プレイヤーの時間」と「格下プレイヤーの時間」の交換となり必ず損をします。理屈っぽいですが机上の空論ではなく実際的事実です。
 2つめの「相手が初心者」。例えばマンツーマンを挑む相手が、低ELL帯にありがちな引き籠もりの場合。効率の良い動きが出来ていない相手をharassするくらいなら最初から全力でcreepしておいた方がアドバンテージ差は開いていたという話になる訳です。それにマンツーマンしていない相手の動きも至極読みにくい。最適効率のcreepもせず、どこからともなく現れて1v2、1v3の状況に持ち込まれることが頻繁にあります。勿論、ATなら自分が一時的に1v3していれば味方がフリーなのでますます有利になります。ですがRTでは、自分が身を挺して稼いだ時間を味方が有効に使ってくれることは期待できませんからね。TPを失った分だけ損してオシマイとなりかねません。
 3つめの「味方のマンツーマン」。ここでは接敵シーンのみならず、単純なcreeping速度の優劣なども含みます。後述しますが「自分はチーム内最強」という前提と、「自軍と相手軍の戦力は大体等しい」という前提を理解して下さい。ここから言えることは、単純に自分がマンツーマンのharass、他の5人がcreepを選択したと仮定すると、自軍の2番手・3番手と、相手軍のうち2名とがcreeping速度を競い合うことになる訳です。mapにもよりますが自分がマンツーマンできるのは自陣に近い相手陣なので、そこが相手側の1番手である可能性は1/3。これは決して分の良い賭けとは言えないでしょう。相手側の1番手を抑えるのでない限り「格上と格下の時間のトレード」になってしまいますからね。
 ほかにも受動的であることのメリットとして自陣をあくまで自分で守れるなどがあります。harassで自陣を空にしてしまうと攻められたとき、TP backしたり味方に頼らざるを得なくなり格好が悪いですからね。
 もっとも、全てのことに「例外」は付きものですが、特にこの「3.」については状況次第ということもあり、自信をもって言い切ることは筆者にも難しいのが本音です。能動的なアクションの素晴らしいところは、きっちりと隙をついて決め切った場合にそれだけでggにすら出来ることです。hero harass然り、rush然り。そのため理想をいうならば状況次第で的確に押し込むのがベストなのでしょう。
 しかし、前書きで触れたように、筆者は技量もさほどではなく、味方や相手の性質に依存するようなブレには対処できません。これらに流されることなく一定のアベレージ(平均勝率)を稼ぎ出したいと考える人間です。自分に判断力が備わっていないなら、それに頼らずとも勝てる方法を採れば良い。実際、20連勝については全て受動的なアクションを徹底することで達成しましたよ(ついでに言うとATでは自分くらいの実力がある某ダチも、RTで能動的に動いて自らアドバンテージを失ってくれたので簡単に勝つことが出来ました)。
 ※ただしdestsやfrostsを得て制空権を握り、1on1では誰にも負けなくなった場合はATと同様にbase harassが極めて有効なので膠着した場では積極的に行うべきです。戦わずして勝てます。


4. 具体的目標を持つ

 Battle.netのAMM(マッチメイキング)はいくつか問題点はあるものの基本的にはよく出来ていて、各ユーザーの勝率を50%に近付けようというシステム上の「重力」が働きます。詳しい部分までは筆者も知らないのですが、現行のAMMは基本的に「強いプレイヤーと弱いプレイヤー同士を組ませる」という要素もなくはないけれども、それよりは「両チームのレベルをなるべく同質に保つ」ことに重点を置いていると判断できます。というのも連勝すればするほど敵・味方ともに各プレイヤーの戦績内容が洗煉されていき、1ゲームが見つかるまでのサーチタイムも長くなっていくからです。自分が強くなるほど味方も弱くなるのなら、高ELL(=内部レート)のプレイヤーと低ELLのプレイヤーが同一ゲームに存在するはずですが、このようなことは実際には起こりません。もしそう見える状況があったなら、それはまだ低ELL帯に居る場合だと思われます(例えば5-0と149-152あたりはELL上ほとんど変わらない)。
 となると、味方のチームと相手のチームは基本的にあまり戦力差がない訳なので「味方のせいで負けた」という言い訳はナンセンスということになります。勿論、実際にエラーをやらかすプレイヤーが巷に多いことも事実ですが、何十、何百回とプレイしてアベレージを算出したなら全員の条件が均等であることは間違いない。だからこそRT 3v3という一見カオスにみえる環境でも技量次第でSage)のように38-2(Random!)、Logon_OpAiのように43-6(Undead)、ABCNest(Orc)の40-5のように図抜けた戦績を達成するプレイヤーが現実として何人も存在する訳です。実際、ATやsoloで平均程度の実力に達している人なら10連勝は全く射程圏内ですし(というよりAT未経験時代の自分もHumanで16-0してましたし)しっかりと技量が成績に反映されるのだという認識を頭に置いてプレイするのが大事と思います。なおRT 2v2では74-10を達成した非プロのプレイヤーも存在します。
 ATは尚更ですがRT 3v3においてもAMMの「平均」という重力から逃れること自体は、少なくともnew accountにおいては、そう難しくはない筈です。(RTSは「平均」を超えてから上達することの方が何倍も難しいと言えます)一言で「4.」をまとめると「RT=luck」という考え方は嫌いです。前述のSage)も試合中にRT=luckだと言ってはいたけど、戦績を味方に褒められたことに対する謙遜だと思います。


5. 補足

 「2.」「3.」の補足というか雑感。rushを自分から指示することは、数十、数百戦という単位のアベレージを考えるとマイナスだと筆者は思います。しかし、味方Aがrushを指示し、味方Bも同意してきた場合は難しい。このような状況では第一段階である意思の統一はクリアーしているように思えますが、それを実行できるかどうかを別問題なのですよね。技量の問題以前として、例えばfast techを決め打ちするが味方に突っ込まれるのが嫌なのでrushに同意する振りをする人間もいるからです。rushが決まりさえすれば低ELL帯を中心にmass buildで即ぼこれますので、とりあえず26/30 foodの時点で3rd zigを建てるか、t2 upを押すかを検討すれば良いでしょう。ただし、DKがLv3に到達するまでは極力hitには加わらないようにしましょう。あえてそれ以前に仕掛けるのは、味方にそれを強制され、どうしてもcreepingを継続できなくなった場合のみです(pingをパシパシ打たれる場合)。
 また「1」の補足として、AT/soloでは同格や格上のプレイヤーもRT 3v3についてはまるで素人、という場合も考えられますので物怖じする必要は全くありません。格下と同じように上から目線で扱ってやれば大抵は正解だと思われます。

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最終更新:2011年06月18日 15:09