放課後の夕暮れの教室 いじめられっこ「や、やめてください……」 懇願するか細い声が、誰もいないはずの教室から聞こえてくる。 レズ先輩「そんなこといって、好きなくせに。大丈夫、あたしはいじめたりしないよ」 艶かしい吐息を吐きながら、嫌がるその子ににじりよっていく。 いじめられっこ「お、おねがいです。やめてください……やめてください……」 執拗に迫ってくるその手から逃れようと、後ずさる。 ガンッ いじめられっこ「あっ……」 もう後ろはない。逃げ場がなくなり、これからされることが頭に浮かんだのだろう。か細く震え始める。 レズ先輩「こんなに震えちゃって。かわいい子。優しくするから、ねっ」 しゅるしゅるしゅる 少女のリボンを、ゆっくりと解いていく。 いじめられっこ「いっ……いやっ……」 震える手では抵抗にもならず、されるがままにされる少女。 レズ先輩「ふふふっ、こんな過疎部屋。だあれもこないわよ」 主人公「嫌がってるよ。やめて!」 バタンっ。清掃用具入れの中から現れた私。 レズ先輩「なっ!?」 急な侵入者に戸惑いを隠しきれない。その隙にいじめられっこちゃんの手をとり、逃がしてやる。 いじめられっこ「主人公ちゃん……なんで」 目に涙をたくわえながら、驚いて私の顔を見つめるいじめられっこちゃん。 本当はこの部屋に出るという幽霊を待っていたんだけど。 レズ先輩「ふふっ……あはははっ!!」 急に大声をあげながら笑い出すレズ先輩。 主人公「なにがおかしいの?」 自分がしていたことにまったく反省している様子も無い。 レズ先輩「その子を助けるってことが、どういうことかわかってるの? あなたも明日からいじめられっこよ」 ほら、どいた。という風に手で私を払うしぐさをする。 いじめられっこ「そ、そうだよ。主人公ちゃんを巻き込めないよ……。単なるクラスメートなんだし……」 まるで自分がいじめられるのが、さも当然のように言う。そして自分の心配より、私の心配をしている。 レズ先輩「ほぉら、その子もそういってるだろう。関係ない奴は消えた消えた」 単なるクラスメートか。そうかもしれない。 主人公「関係なくなんかないよ」 レズ先輩「あん?」 手を広げ、レズ先輩の前に立ちふさがる。そう私はどくわけにはいかない。 主人公「だって友達なんだから」 単なるクラスメートからはじまった出会い。でもそれでも日がたつごとに、少しずつ私たちの関係は縮まっていた。 いじめられっこちゃんは何も言わなかったが、熱くなる背中が私たちの関係を物語っていた。