ちびっこ「ボクは空を飛べる! ブ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!」 なにこの音? ダダダダダッ! 廊下のはるか彼方から、轟音と悲鳴が聞こえてくる。 ダダダダダダダダッ!! あれ……だんだん近づいてない? ちびっこ「この列車は恋の超特急になります。白線の内側までおさがりください〜!」 ダダダダダダダダダダダッ!! 主人公「え? な、なに? 白線の内側って」 私がうろたえている間にも、その音は確実に私に近づいてきて…… そしてその騒音の元凶が現れた。 小学生ほどの小さな子が、両手を広げながら猛スピードで煙をまきあげながら突っ込んでくる。 ちびっこ「ちょっ、どいてよぉ〜〜! 白線の内側に下がって〜!」 主人公「は、白線のうちがわってどこ〜!!」 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!! 狭い廊下、避けられるはずもなく、その恋の超特急は止まってくれるはずもなく……。 先輩「柔らかなるベールよ。かの者を包み込み、守る盾となれ」 ドカーン……と予想していた衝撃はこず、私を何か柔らかく心地よいものが包みこんでいる。 先輩「危なかったね。怪我は無い?」 目を開けた私の前に、気高いまるでどこかの貴族のお嬢様のような人が現れる。 先輩「大丈夫? 立てる?」 きれい〜。かっこういい〜 先輩「もしかしてどこか打った?」 私があまりの出来事に呆けていると、その人が私の顔や首に触れてくる。 先輩「頭は打ってないみたいだけれど」 その手が私の体にふれようと……ってええええっ!? 主人公「あ、ああ、あの。大丈夫れす! なんともないです!」 うわ、まずい。もしかして私、赤面してる? 自分で顔が熱くなっていくのがわかる。 ちびっこ「ちょっと、そこの人! ボクの先輩から離れてよぉ〜!」 さっきの暴走特急娘が、こちらをすごい形相でにらんでいる。私、被害者のはずなんだけど……。 先輩「まったく、この子はまた校則違反の魔法なんか使って」 ちびっこ「そんなあ〜。先輩にあうためなら高速でスピード違反もどうってことないですよぉ〜。やだっ、恋のスピード違反! 先輩のエッチ〜ぃ!」 照れながら妄想にふけだすちびっこ。もはや目の前の憧れの人も、その目には映ってないだろう。 先輩「はぁ……こまった子だ。ごめんねキミ。今のうちに私は退散するとするよ」 主人公「い、いえ、いいんです! 助けて頂いて本当にありがとうございました」 やっぱり改めて見るときれい〜。女の子でも惚れるのは分かる気がする。 はぁ〜、今日はいい日かも♪ ちびっこ「で、そのぉ、これからお昼なんて一緒にどうで……あれっ!! 先輩まって〜〜!」 再び恋の超特急が発車した。 いじめられっこ「きゃ〜」 ちびっこ「人身事故発生! 人身事故発生!」