・主人公は明るい天然系 ・担任はクール ・委員長は同級生枠で空いてる方かな? 以上を想定して書いた。 ——————————————————————————————————————— ●真っ暗  ——進級試験に関する注意事項  1.受験は必ず2人1組で受けましょう。  2.登録日までにパートナーを見つけられなかった場合は受験資格を失うことになります。  3.試験期間中は時間割が通常授業とは異なりますので注意してください。  パートナーは必ずしも同学年の生徒である必要はありません。先輩後輩の垣根を越えて交流が持てる良い機会ですので、積極的に声をかけてみるとよいでしょう。  ——追試験について  試験当日にやむを得ない理由により試験を受けられなかった生徒は、決められた期日までに担任の方へ追試験の願い届を提出してください。  実施日は後日通達されます。この場合、パートナーは学生会及び諸先生方の選出によって決定します。  尚、試験結果によって合格判定を貰えなかった生徒は追試験の対象とはなりません—— ●職員室とか校長室みたいなとこ 先生 「——説明は以上です。後は先ほど渡したプリントに書いてありますので、きちんと目を通しておいてくださいね」 主人公 「はい、わかりました」 先生 「編入して早々進級試験というのも大変でしょうけど、そんなに難しい内容ではないですから」  あまり気負いせずに、と校長先生は笑いかけてくれたけれど……。 主人公 (……どうしよう)  私の頭の中はパニックでいっぱいだった。  これがただの筆記試験なら私だってそんなに深刻にならずにすんだんだけど……。 先生 「今年の試験内容は、ずばり愛です」 主人公 「あ、愛、ですか……」  予想通りの返答に思わず肩ががっくりと落ちた。  ——聖ヴィップ女学園。  魔法技術に特化した王都の中で、特に候補生の育成に力を注いでいる学園だ。  ついでにいうと、私のようなド貧乏人の懐にも優しい、とてもとても親切なところである。  幼い頃から何となく魔法と言う存在に憧れていた私は、両親を説得して田舎から上京。  晴れてこの学園の候補生として寮に移り住むこととなった。  ……なったのは、よかったんだけど。 主人公 「あの、試験で合格を貰えなかった場合は?」 先生 「授業態度やレポート提出などで多少は考慮されるでしょうけど……」  にっこり。  その笑顔の裏に「そりゃ落第ですがな」と容赦ないお答えが見て取れた。 主人公 「……ですよねー」  うふふ、うふふ、と淑女らしい2人分の笑い声が校長室に響き渡る。  ……はっきりいって私に魔法の素質はない。だから両親もこの編入には最後まで反対していた。  王都に住む親戚の一押しがなければ、今日この場所に立つことすら叶わなかっただろう。  それでも何とかやっていける。素質はないけど、その分、努力で追い縋ってやる。  そこまで覚悟していた。  ……でも、それは私1人でならの話だ。  まさか知らない学校で、落第に巻き込んでしまうかもしれない運命共同体を探す羽目になるなんて……。 先生 「まあ、詳しいことは生徒たちに訊いてみるといいでしょう。今、担任の先生を……」 ●こんこん 担任 「失礼します」  控えめなノックの後に、すらっとした長身の女性が入ってきた。 主人公 (……うわぁ)  思わず見惚れてしまった。  さらさらの髪にモデルさんのようなスタイル。切れ長の目がちょっと怖そうだけど、すごくきれいな人。 先生 「ああ、ちょうどよかった。今お呼びしようとしていたところなんですよ」  校長先生が席を立って、女性のすぐ隣に並ぶ。 先生 「紹介しますね、主人公さん。こちらがあなたの担任になる●●先生」 担任 「よろしく」 主人公 「よ、よろしくお願いしますっ」  ワンテンポ遅れて、ぼんやりしていた私も頭を下げる。 先生 「彼女が例の編入生の主人公さんです。必要事項はもう伝えておきましたので、後はお任せしてよろしいかしら?」 担任 「わかりました」  ●●先生は私の方をまっすぐと見つめ、 担任 「教室まで案内しよう。付いて来なさい」  そういって、先にすたすたと校長室を出て行ってしまった。 主人公 「え、あ、待っ……」  私も慌てて荷物をまとめ、先生の後を追う。  と、その前に。 主人公 「失礼しましたぁっ」 ●ばたん! ●廊下 主人公 「先生っ、待ってください!」  重い鞄をずるずると引きずるようにして●●先生の後を追う。  実は駅から直接校長室まで来たので、旅行慣れしていない私の荷物はパンパンなままなのだ。 担任 「校長先生の方から進級試験についての説明はあったか」 主人公 「は、はいっ」 担任 「君は編入生だから、親しい相手を作ることから始めなくてはならない。パートナーの登録日は2週間後だ」 主人公 「にしゅうかんご……」  友達を作るのはそう苦手な方ではないけど、あと2週間でパートナーを決めなくちゃいけないんだ……。 担任 「まずはクラス委員長を紹介しよう」  すたすた歩いていた先生の足が止まる。  階段の脇に控えていた女の子が、こちらを見て軽く頭を下げた。  みたいな感じでどーかなー?