☆『生まれたての小鹿に触らないでください』


 というわけで。
 『リオデジャネイロ五輪男子バレーボール最終予選1枠残し』が始まりました(どういう理由で最終予選を2つに分けるのかがわかりません)。
 去年のワールドカップでは、『NEXT4』の活躍によって、なかなか将来性を感じさせる試合を繰り広げた全日本男子チームが、どのように進化したのか楽しみにしていましたが‥‥
 あ、以前にも書きましたが、『NEXT4』にフジテレビがつけた解説文が、実は重大な暴露情報になっていたという話。代表メンバーは、野球やサッカーの全日本チームと同様に考えれば、当然、所属チームとの交渉はあるにせよ、監督が原則全員を選抜できると思われるところですが、そうではなかったという‥‥『NEXT4』に、わざわざ『監督が自ら選んだ』、と但し書きがつくということは、それ以外のメンバーの選抜に関しては監督の権限に制限がかかっているということ。どおりで、監督が何度変わっても、選ばれるメンツが代わり映えしなかったわけだ。NHKの紅白歌合戦の出場者の選抜によく似ているかも知れません。
 ただ、これ日本のスポーツ界の体質みたいなもので、バレーボール連盟が特別なわけではないかも知れませんけどね。バスケットボールもそうだし。サッカーも昔はそうだった。だからキング・カズはブラジルに武者修行に出かけることになったんですよね‥‥。野球だけは特殊で、高校野球、大学野球、社会人野球、プロ野球が、それぞれ独立した組織として長い間存在していたため、逆に話し合いの余地が生まれたという‥‥あと、こうした歴史の中で、日本の高校野球が特殊な人気を得たということも関係しているでしょう。

 さて。
 ゲイリー佐藤監督が、レセプションをAパスで返してコンビバレーを展開する→レシープしたくない→無理にレシーブしなくていいよ→全然勝てない→レセプションをAパスで返してコンビバレーを展開する→(以下回文)の四半世紀にわたるループを破ったことで、ようやく何かを変えなくてはならない、という機運が全日本男子バレーにも訪れたか、と思えたのですが‥‥

 あれ?
 何も変わっていませんね。強いて言えば、上記の無限ループはやめにしたのかも知れませんが、じゃあどうするの、という部分で、あまりにも普通というか、何の戦略も戦術もないというか‥‥

 あちこちに書かれているとおり、石川頼みのバレー、或いは石川と柳田頼みのバレー‥‥

 石川は、確かに低迷する全日本男子バレーにとっては救世主だったかも知れませんが、ある意味登場するタイミングが悪かったのかも知れません。
 せっかく、何かを変えなければいけないという機運が連盟に生まれたのに、たった一人のスーパープレイヤーが登場したことで、それが『何かを』変えたというように、関係者を錯覚させているようにしか見えません。
 当然、石川を抑え込まれれば、全日本には打つ手がないわけで。

 この状態を、良く知られた言葉で表現すると「不死鳥が蘇るためには、完全に灰にならなくてはならない。生焼けでは再生は叶わない」「倒れたのならば、起き上がればいい。だが、起き上がる前にやることがある。完全に倒れきることだ」ということになるでしょうか。

 あと心配なのか、石川の膝ですね。
 石川をジョーカーとして、新たな戦術を展開することができれば、未来を切り開くことができるのかもしれませんが、石川一人に得点させているようでは、すでに故障を抱えている彼の膝がもたないでしょう。彼が、20代前半にして、潰れてしまったら、一体どうするつもりなんでしょうね‥‥

 関係ないですが、観光地などで鹿が放し飼いになっているところがありますが、そこで、可愛いからといって生まれたての小鹿に触ることを観光客に自粛するよう要請するという記事を見かけました。生まれたての小鹿は非常にデリケートなので、あまりいろんな人に触られると最悪命を落とすかもしれない、という‥‥

 なんか、ちょっと今の男子バレーに似ているな、と思いました。生まれたての小鹿は、将来に期待しつつ、今はそっと見守ってやるのがいいのではないでしょうか?

 本人が望んでいたとしても、野次馬が(あえてファンとは言わない)がキャーキャー言って、彼を取り囲むのを放置したり、彼に取材を殺到させたり、試合を彼中心に組み立てたり‥‥そんなことを続けていたら、小鹿は死んでしまわないでしょうかね?

 できれば。

 生まれたての小鹿には触らないでください。

 そう、切に願います。


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最終更新:2016年06月03日 18:32