☆喉元すぎれば、熱さを忘れる…


 特定秘密保護法案が可決されたことで、自民党の採決の強硬さに反発している人たちがいるようです。
 いや、まあ、反発するのはいいんですが、このことで自民党や安倍政権への支持率が下がったそうですね……
 どういうこと?
 と、いうのも、これが、自民党政権のやり方だ、っていうのは、過去の経験で、とっくの昔にわかっていたことだと思うんですよ。 わかっていたことが、普通に露見したからって、何で、自民党政権に対する評価を、ここでひっくり返す人がいるんでしょうね?
 このやり方が嫌だから、人々は、民主党政権を選んだんじゃなかったんでしょうか?
 まあ、他に政権を運営できる政党がいないから、という悲しいネガティヴな理由もあったんでしょうが、それなら、選ぶのは選んだけど、自民党政権に期待をしているわけじゃない、という評価が自然だと思うんです。
 こういうのが、政治をテーマにした小説や映画、漫画やアニメなんかで「馬鹿な民衆」とか書かれてしまう典型的な例なんでしょうね……


 まあ、政治の話はおいておいて。

 やや、時期が遅れてしまいましたが、今、私が気になっているのが、全日本男子バレーの今後についてです。

 グラチャンで、トータルで1セットしかとれず、1勝もできずに最下位に終わった全日本男子チーム。 新しく監督に就任したゲイリー・佐藤氏に対して、早くも、一部の人々がネガティヴな評価を下しているようですが……

 言ってみれば、今の全日本男子の戦績だけを見て、サトウ氏を酷評する人たちがいるのなら、それこそが、全日本男子バレーが長期低迷した原因だと思うんですよね。

 「アタック№1」が女子バレーの物語であったせいで、高速コンビバレーが、女子の戦術だと思っている人たちがいるみたいなんですが、実は、原型のクイックとかは、男子が編み出したもの。 拾って拾って、正確なパスを廻して、そこから早い攻撃をする……ロンドンで見せた女子の奇跡は、もともと男子がやっていたことのリプレイだったのです。

 では、男子では、高速バレーが上手く機能しないのでしょうか? 試合を見ていれば、速い攻撃が有効である、というのは、ポイントポイントで見えているのに、何故、サトウ・ジャパン(龍神ジャパンという呼称は、私、嫌いです)は、高速バレーを放棄したのでしょうか?

 かつて、クズといわれた男子バレーチームは、とにかく、地味な反復練習をひたすら繰り返すことで、世界を取りました。 しかし、世界を取ったことで人気者になったとたん、後に続く選手たちは、人気者になることがバレーをやる目的となり、結果、地味な練習を嫌がるようになりました。
 聞いたことがありませんか? 「男子バレーと女子バレーは違う」と、男子バレーの選手が言ってるのを?
 違わないですよ。 まあ、体格や、身体能力の差は確かにあって、とれる戦術に差異は生じるのでしょうが、それは、例えば同じ女子のチームで、とっている戦術が国ごとに違う、とか、その程度のものでしかありません。 男子と女子で、決定的に何かが違う、なんてことはバレーボールにはありません……ていうか、あったら、それは同じ競技ではない。
 初期メンが、何もないところから努力してきた、その努力を、人気者になってから加わった後輩がやろうとせず、凋落していく……いやにデジャヴを感じるシチュエーションですが……

 チームが上手く機能しなくなるごとに、正確なレシーブだ、高速バレーだ、とのたまい、一時的に熱心に練習をするものの、すぐに地味な練習が嫌になり、「男子バレーと女子バレーは違う」と言って、体格や身体能力に頼ったプレイに逆戻り……結果が出ずに、また、やっぱり正確なレシーブだ、高速バレーだ……これを、全日本男子は、30年以上繰り返していたわけです。 30年です。 おお、恐ろしい……

 そうこうしているうちに、他の人気スポーツに押されたこともあり、男子バレーの競技人口自体が減少……今度は、人材の確保という新たな深刻な問題が発生してきました。

 バレーボールが好きな方は、見かけたことがあるかもしれませんが、他のサイトで、何故、男子バレーボールは弱いのかを検証しているものがあります。 要点をまとめると、試合を見ている限り、体格差が世界と日本の差だ、と言われる局面がちょくちょくあるのだけども、身長差、ということでは、日本と世界では、そこまで極端な差があるわけじゃない。 身長の高い選手が他の競技に流れ、バレーボールで十分に確保できていないだけなんだ、と。 そして、何故、バレーボールに人材がこないのかというと、バレーボールをしても、将来的に食っていくことができないからなのだ、と。

 そんなこんなで、人材確保に苦労するバレーボール関係者は、高校や大学で「君、背が高いね? バレーボールやらないかい?」という勧誘をすることになります。 そして、これが決定打。 もはや、そこには地味な練習を繰り返すことで高速バレーにつなげる要素は皆無。 人気者になるためにバレーボールを始めた、そしてそれを指導者に容認された選手たちが、地味な練習をしてくれるわけがありません。 全日本に召集されるようになると、さすがに、勝ちたいという気持ちがあるので、そこそこ頑張ってはくれるものの、そもそもの「レシーブしたくない病」が、今更どうにかなるものではありません。
 見たことないですか? ちょっとイレギュラーしたボールに飛び込んでいくときに、男子、とくに全日本の男子が、他では見ない動きをするのを。 ワンテンポもツーテンポも遅れて動き出した挙句に、完全にボールが床についてしまってから、これみよがしにスライディングして見せるようなシーン……

 ア・ホ・か

 ここまで来ては、競技として日本における男子バレーボールが置かれている状況、人材の発掘、育成システムが変わらなければ、正確なレシーブからの高速バレーなんてのは、絵に描いた餅でしかありません。
 そして、それを変えられないのであれば、取る戦術を変えるしかない……

 遅すぎるのかも知れませんが、サトウ氏は、現状にそった正しい決断をしただけです。
 なので、まあ、今のところなんですが、私はサトウ氏を支持しますね。 彼が掲げる、スパイクの滞空時での状況判断によるクレバーな攻撃、それもそれなりに説得力がある。

 ただ、気になるのは、サトウ氏の作り出そうとしている新しいバレーボールに、必ずしも周囲の関係者が協力的ではない印象を受けること。 新しいものを作ろうとしているのですから、ある意味では、高速バレーを復活させるのに匹敵する困難が伴うのは目に見えてます。 周囲がきちんと協力してやらないと、目的の達成にはほど遠い……

 なのに。

 どうも、とにかく目先の1勝のために、高速バレーを主張する人たちが、結構いるみたいですね。 それが結果として堂々めぐりを繰りかえすことを終結させられるならいいんですけど、無理でしょう、30年以上、同じことを繰り返してるんですよ。 いい加減、目を覚ませってんだ。

 今の、競技としての男子バレーボールが置かれている状況を変えられるのか? 変えられるんなら、ちゃんとやって。 できないんなら、堂々巡りは確定なんだから、そのルートは諦めて、全力でサトウ氏に協力してやれよ!


 結構、本気でイラついています……

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最終更新:2013年12月15日 18:11