2010年度1年生懇親キャンペーン第1話(ナツミ視点)

29回目の転校。しかも今回はド田舎。
連続殺人事件を解決するために増援として派遣された。
しかし、共に仕事を組むことになった相方の館林という名字に何か引っかかった。
支部長に頼んで内部資料を見せてもらった。
館林理樹。
館林孝一の息子が失踪したという話を美亜から聞いたことがある。
でも、考える時間はなかった。
遠くからワーディングの気配を感じた。殺人犯?
とにかく理樹と現場に行ってみると、メガネを掛けた高校生の男子が自分の影を使って同じ高校の女の子を襲っているのが見えた。女の子を助けようとしたら、その男子は気を失った。
勘違いしていたが、この男子は露出狂の連続殺人犯から女の子を守ろうとしていただけだ。連続殺人犯が逃げたところに私たちが鉢合わせたんだ。
その男子の名前は山名龍之介というけど、それよりも理樹のことが気になった。
後で美亜に電話で聞いてみたら、間違いなく館林孝一の息子だった。名前だけじゃない。生年月日や血液型も一致した。なぜ、いるのだろう?まさか、スパイ?
謎は深まるばかりだ。
同じくらい気になることが次の日に起きた。
またワーディングの気配。
そこに向かうと、龍之介君が敵と思しきものと対峙していた。
その男の名は谷島俊彦。
1年前にUGNを裏切ってFHに入った研究員だ。顔には仮面をつけている。
この男が連続殺人犯・・・ではなかった。凶器である刃物を持っていなければ、目的も違う。彼の目的は特殊な二重人格のオーヴァードのサンプルを入手すること。そのために“マスクズセル”という新興セルをつくり、龍之介君の幼なじみの雫ちゃんを襲った。連続殺人犯とは違う。
雫ちゃんについてちょっとだけ話しておこうか。
雫ちゃんは落ち着いた感じの子だ。しかし、ここにいる雫ちゃんは姿形が違う。髪は白く、赤い瞳を持っている。連続殺人犯が出たときからその姿が度々目撃されている。この子からの話によると、雫ちゃんが以前襲われたときに、このレネゲイドビーイングが取り憑いて助け、以後雫ちゃんの身体を宿主にして生活しているという。
だが、もっと気になったことは、突如別のレネゲイドビーイングが白髪の雫ちゃんを襲って、私たちと一悶着したのである。しかも、このレネゲイドビーイングを味方だった。名前はアシュレイという。
この話は副支部長である石崎修平から聞いた。そう、理樹と同じくらい気になる人はこの人のことだ。
いつも酒ばかり飲んでいて、とても仕事をしているように見えない。アシュレイや夏常さんのとても人が食べたとは思えない量の代金を肩代わりし、プリンマシンガンという訳わからないがものすごく高いのだけはわかる機械を持っている。・・・UGNで仕事しなくていいんじゃないのかな?
とにかく、この人が私たちに何も言わないせいで大惨事だった。
翌日。
放課後、またワーディングの反応。
そこには龍之介君が一人茫然と立っていた。雫ちゃんが連続殺人犯にさらわれた。一緒にいたところを狙われたらしい。ワーディングの痕跡が微かに残っていた。これなら追うことができる。
集まってきたメンバーと一緒に犯人を捜した。彼は廃屋の中に隠れていた。
なぜ人を殺すのか。彼に聞いてみた。
『人を理解するため。』
彼の口から答えが返ってきた。人の姿をしているが人の様に感じない。彼もまた、レネゲイドビーイングだった。
人じゃないものからの視点なんて私にはわからない。だから私には彼の言っていることが理解できなかった。でも、1つだけ気になることがあった。
「どうして、雫を誘拐したの?」
これまでの彼の行動は獲物に近付いて刺す、それだけだった。少なくとも誘拐なんて彼の行動には当てはまらない。
『谷島という男から依頼を受けたのだ。』
やっぱり。裏に谷島がついていた。なぜ依頼したのかとか他にも聞いてみたが、特に有益な情報はなかった。どうやら、谷島には興味がないようだ。元々人を理解したいだけのレネゲイドビーイングだから谷島も自分の手を汚さずに済む手段だと見てこいつを使ったのだろう。
もうこいつから聞くこともない。そしてこいつは連続殺人犯だ。危険物でもある。雫ちゃんの命も危険だ。だから・・・、だから、

殺しても、いいよね?

先に動いたのは殺人犯のほうだった。刃物を構えて私たちに襲いかかった。
そこに龍之介君が強引に拳を交えた。
「!?」
雫ちゃんを助けるため?それともただ単に相手が憎いから?どちらにしても危険だ。力が暴走したらとか考えていないの?
とにかく支援を。
全身から気分を高揚させる物質が霧状に散布される。この霧を吸った仲間は敵を攻撃することに興奮を覚える。私は“幸福への導き”と呼んでいる。
龍之介君やアシュレイ、さらには夏常さんや理樹もそれぞれの技で敵を攻撃した。理樹に関してはまだ何とも言えない。でも、疑っていいのかな?こういう姿を目の前で見てそれでも疑うべきなのかな?
だが、相手はまだ倒れない。手に握っている刃物で私たちを斬りつける。
そこにまた龍之介君が拳を交えた。止めても無駄だったでしょう。彼にはもう向こうの刃しか見えていないかもしれない。
彼の拳は相手の体を深く抉った。同時に殺人犯の刃も彼の体に深々と突き刺さった。
倒れたのは龍之介君だった。独断専行を止めるべきだったかもしれない。
「山名君・・・。」
雫ちゃんの寂しい声が背後から聞こえてきた。かと思ったら、液状になって龍之介君を包んだ。
液体に包まれた龍之介君の傷がみるみるうちに消えていった。彼はもう大丈夫だろう。しかしその力を使ったために、雫ちゃんがジャームになってしまう。
ふと、気の流れを感じた。邪になるのを防ぐ気を。
夏常さんだ。夏常さんが調和(ハーモナイズ)して雫ちゃんの負担を和らげた。
力を使い果たした雫ちゃんはそのままジャーム化することもなく地面に倒れた。
夏常さんは殺人者のほうに向き直った。相手は立っているのが精いっぱいのように見えた。
獅子奮迅のごとく拳を振りかざす!
相手は虚空を見上げ、そのまま倒れた。すぐに雫ちゃんと龍之介君のほうに駆け寄った。どうやら、命に別条はないようだ。これも夏常さんのおかげだ。
殺人犯は倒したけど、まだ裏に谷島がついている。それに支部も上手く連携がとれていないし、信用できない人間もいる。どう動けばいいかわからない、そんな状況。
そんなことよりも雫ちゃんに父親がいるなんて嘘をついてしまったことを謝ろう。
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