津田・真

津田・真 (tsuda・makoto)


概要・データ/Personal & System Data

【性別】男
【年齢】16
【国籍】日本
【シンドローム】サラマンダー/バロール
【コードネーム】"lifetime in the duck" 通称duck
【ワークス/カヴァー】GPO隊員C/GPO第四班隊員
【ライフパス】
  • 生まれ:双子
  • 経験1/スラム:陰謀
  • 経験2/GPO:反発
  • 覚醒:命令
  • 衝動:加虐
【ロイス】
  • [弟]津田・心 (tsuda・kokoro):□尽力/■悔悟
  • [仲間]滝口・圭吾 (takiguti・keigo):■庇護/□憐憫
  • [同僚]端望・紗奈 (hashimoti・sana):■連帯感/□隔意

  • 他PCの印象(第二話終了時点)
○PC
“ドラゴンヘッド”リュウイチ 噂はかねがね聞いていましたが、これほどの方とは……
レベッカ・グロスター あのレベッカ隊員と一緒の班になれるなんて!
“lron ONE”品田・鉄一 時折、子供達に飴をあげていたのは、あなただったのですね
●NPC
“ドラゴンテイル”タツヒト あの街で、あんなに生き生きと……。羨ましいです
アマネ 何か困ったことがあったら言ってくださいね。出来ることならすぐにしますから
“The FOOL”未亜 未亜先輩! よろしくお願いします!
“伯爵”レオン・サンジェルマン す、すごい方ですね。(今度から、この人の下で働くのかぁ……)
“鮮血に染まった百万の星”百萬 僕が、少しでも彼のためになれたら、なっているのであれば、いいのですが

【能力値・技能】
肉体:3
感覚:1
精神:7 〈機械操作〉2 〈RC〉4 〈意志〉1
社会:1 〈調達〉1 〈情報:GPO〉1 〈情報:魔街〉1

【副能力値】
侵食率基本値:30
HP:20
イニシアティブ:9
経験点:30

【エフェクト】
名称 LV 技能 侵食値 目標値 対象 タイミング 効果
《リザレクト》 宣言 後述 - 自身 後述 [LV]DのHPを回復
《ワーディング》 宣言 - - 後述 後述 特殊な結界を張る
①《氷の加護》 宣言 - 自身 マイナー 攻撃力+[LV×3]
②《ブレインコントロール》 シンドローム - - M/R クリティカル-[LV(最大3)]
③《氷の塔》 RC 対決 1体 メジャー 射撃攻撃、攻撃力+[LV-2]、相手の防御判定にダイス-[LV]個
④《冥界の檻》 RC 対決 1体 メジャー 射撃攻撃、そのラウンド中相手のすべての判定にダイス-[LV]個
⑤《闇の鎖》 シンドローム - - メジャー 対象の[避け] [受け]にダイス-[LV+1]個
⑥《因果歪曲》 シンドローム - 範囲 メジャー 対象を[範囲]にする。至近距離に攻撃不可
⑦《炎陣》 宣言 - 自身 後述 いつでもカバーリング
⑧《氷壁》 RC 対決 1体 リアクション 対象の攻撃を無効にする
⑨《時の棺》 宣言 - 1体 後述 チート
⑩《氷の理》 RC 対決 1体 メジャー 白兵攻撃として扱うが、“受け”不可
⑪《暗黒螺旋》 宣言 - 後述 リアクション 攻撃してきた相手に[LV×5]の実ダメージ
⑫《孤独の魔眼》 宣言 - 1体 後述 範囲攻撃の対象を自身一人にする
⑬《エネルギーマイスター》 RC - - メジャー セカンドアクション
⑭《死神の瞳》 RC 対決 1体 メジャー 次のダメージに[LV+1]D10
⑮《フェザーライト》 - - - 自身 常時 軽くチート
⑯《ハードボイルド》 意志 対決 自身 リアクション (取ってはみたものの、やっぱり津田は違うかも)


【コンボ】
名称:(現在、未定)
(①後)②+③+(④+⑤(+⑥))
技能:〈RC〉
クリティカル:8→7
ダイス:7+α
攻撃力:(最大値)2→6
侵食率:(2)+3+2(+2+2(+3))=5~14
各エフェクトの追加効果は上記表参照

【アイテム】
名称 固定 詳細
コネ:親父さん 〈情報:GPO〉にダイス+2個
コネ:魔街情報屋 〈情報:魔街〉にダイス+2個

外見・性格/Image & Character

 髪、瞳ともに黒。前髪は目にかからない程度、後ろ髪は制服の襟にかからない程度。
 肌の色は薄く赤みを帯びた淡黄色。つまりは肌色。
 普段の服装はGPOの制服。姿勢よく、いつも乱れなく着用している。
 その面持ちは、真面目で明るい印象を相手に与える。

 仕事中などの真面目な表情の時には、どこか子供らしさを残しているが、子供達に囲まれて笑みを浮かべる時は、どこか大人びた雰囲気を感じさせる。

 大体のことにははきはきとした態度で対応する。
 慣れないことや、突然のことには少し尻込みしてしまうこともあるが、すぐに気を取り直して、前に一歩踏み出すことのできる勇気を持っている。

 初対面の人でも、警戒しながらも大抵の場合はその人を信用するし、自分が思っていることを何の衒いもなく相手に直接伝えてしまう。
 だから、よく人にだまされるし、隠そうとしていることもすぐにばれてしまう。

 そんな自分に対して時折ため息をつきながらも、今日も今日とて、GPOの任務に励むのであった。

 ただ、そんな彼も、決して詳しく語らないことがある。
 震夜の時の出来事と、GPOに所属する前にいた、天使たちの家での出来事である。
 そのことを尋ねられた時だけは、普段の陽気な笑みは失われ、鈍重にかぶりを振るのだった。

設定/Setting

身長/体重/血液型/星座:167cm/58kg/A型/誕生日がいつだったか忘れてしまいました
好きなもの:(朗らかな笑みを浮かべながら)そりゃ、一緒にいる子供達ですよ。
嫌いなもの:(暗い表情になり)……なんというか、組織というもの、ですかね。

 GPOに所属する16歳の少年。第五班に配属され、任務に励んでいた。

 基本的に人の良い彼につけられたコードネームは "lifetime in the duck" 
 ここでのduckとはmandarin duck 、鴛鴦のことである。鴛鴦(おし)の中の一世(ひとよ)、すなわち、おひとよし。
 また、いつもはduckと呼ばれているが、duckには、すぐだまされる馬鹿、という意味もある。ちなみに、本人はコードネームの意味を知らない。

 また、彼は天使たちの家で育った経歴がある。彼はそこで暮らしている間に“レネゲイド”の能力を手に入れた。
 しかし、数年前の騒動の際、ある事情で、身近な子供達を連れ、家を抜け出した。
 そして、その子供達を養うための手段を考え抜いた結果、彼は一人、登録市民となり、GPOに入り、こっそりと子供達に物資を運ぶようになったのだった。
 子供達を守るためとはいえ、ゾーンで自立することを放棄し、GPOという組織に入ったことに対して、負い目を感じている。

 今回の事件で、レオン・サンジェルマンが班長の第四班に転属となった。子供達に物資を運んでいるのもばれたし、これからどうなることやら。

PLより

このキャラクターが出来上がるに至った経緯。
①途中参加で足手まといにならないように《時の棺》を取ることが決定。
②〈RC〉での攻撃キャラがいないそうだったので、〈RC〉で攻撃することに決定。
③カバーリングキャラがいなそうだったので、カバーリングをできるようにすることに決定。
④つまり、ブラックドックorモルフェウスorサラマンダー/バロールまで絞り込まれる。
⑤《フルインストール》をとるか《クリスタライズ》をとるか《氷壁》をとるか……。
⑥《氷壁》を使ってみたくなったのでサラマンダー/バロールに決定。
そんなこんなで出来上がりました。スタンスは、《時の棺》があればなんとかなる。

あと、下記のストーリーは、三章を書くつもりはありません。続くと書いてますが、続きません。

ちなみに、津田の人の良さは10%は天然で、25%は打算で、65%は成り行きで構成されています。65%の成り行き分をとったらデモンズラインの津田真になります。

物語/Story

以下、PLの妄想。GMがすべてをひっくり返しても、文句は言わないつもりです。

 この街がまだ、魔街と呼ばれる前のこと。
 街の片隅にあった、それほど大きくはない産婦人科の病院で、一つの産声が、そして、少しの時間を開けて、もう一つの産声があがった。
 五体満足で何の障害もなく元気に生まれてきた双子の兄弟に、両親は温かな願いを込めて次のような名前を付けた。
 『真』と『心』。
 この子たちがまっすぐに純真な心で育つようにと、そして、兄弟がお互いにいがみ合うことなく、真心を持って接し合えるようにと。
 それは、当たり前の願い。親ならば、誰もが抱くであろう、何の変哲もない、至って普通の祈り。

 そんな両親の思いがどこかに通じたのか、子供たちはすくすくと健やかに育っていった。
 ピーマンや人参が嫌いだったり、おもちゃの取り合いでケンカをしたり、そんなこんなでお母さんに怒られたりすることもあったが、その家から笑顔の絶える日はなかった。
 その内兄弟は、幼稚園を卒園し、小学校に入学し、クラスメートとはすぐに仲良くなって、先生はとっても美人で、勉強はちょっと難しいけれど、楽しく学校での生活を送っていた。

 彼らは毎日に何の疑問も持たなかった。これ以外の世界がありうることを考えもしなかった。
 そんなことを考えられるほど彼らは大きくなかったし、そうでなくとも、そんなにすぐ、今が変わってしまうなんて、想像もしないだろう。
 暖かい日差しが燦々と降り注ぎ、穏やかな微風がどこからか、甘く、鼻孔をくすぐる花の匂いを運んできて、大切な人や、大切にしてくれる人がすぐそばにいて、誰もがそこでは笑っていた。

 でも、それはあまりに理想的過ぎる世界。たとえ、幼い子供であったとしても、普通はいられないはずの世界。
 傾きすぎた天秤は壊れるしかなく、膨らみすぎた風船は破裂するしかない。
 つまり、正しい予定調和。

 それは、彼らが八歳になった年に起こった。

 “震夜”

 普段と変わらない景色、香り、音、そして手触り。その日も、それはそこにあるはずだった。
 いや、あった。
 けれども、瞬きする暇もなく、握りしめた手の指の間を、すべてがすり抜けていった。

 ――どうして家がなくなってるの?
 ――どうしてこんなに変な匂いがするの?
 ――どうしてみんな叫び声を上げてるの?
 ――どうして誰も手を握ってくれないの?

 ねえ、どうして、どうして、どうして――。

(その日、彼らの身に何があったのかに関しての記録はない。いくつかの推測はあるが、そのすべてに信憑性がないため記述しないことにする。真実を知っているのは、津田真、ただ一人なのである)

 震夜直後の崩壊した街を、一人の男の子がフラフラとさまよっていた。
 いくつかの建物は原型を留めないほどに倒壊し、かつて大通りだった道は、そのほとんどが瓦礫に覆われている。
 少し前まで、明るすぎるほど輝いていた街灯の列は、いくつかは横倒しになり、いくつかは頑なに沈黙し、あたりは暗がりに包まれていた。
 それでもうっすらと当たりを見渡すことが出来るのは、夜空のおかげではない。遠くに見える、真っ赤な、大きな篝火のせいだった。
 彼は、中には自分の身の丈以上もある瓦礫の間をかき分けながら、進んでいく。
 道ではない道に転がっているのは、瓦礫やゴミだけではなかったが、彼はもう、目をつむることをやめていた。すぐそばに呻き声を上げている人がいても、その人と会話できそうにないなら、足を止めなかった。
 小さな体が抱え込むには大きすぎる、肉体的、精神的疲労。両手を脇の大きな瓦礫の壁に付け、足を止めた。乱れた呼吸が余計に体力を奪うように感じられる。壁に体をもたれさせながら、ゆっくりと地面にひざを突いた。
 その時、
 前方に人の影が見えたかと思うと、それが彼のほうへと近づいてきた。見知らぬ男性が、わき目もふらずに走っているのだった。
 彼は満身創痍の体を奮い立たせ、男が走り込んでくる前に立ちふさがり、叫んだ。
「弟を、心を知りませんか!」
 しかし、
「邪魔だ! 退け!」
 男は彼の脇を走り抜け様に、彼を横へと強く振り払った。
 壁に叩きつけられ、口からはくぐもった声がもれる。そして、力なく地面に倒れ伏した。
「お、弟を……」
 かろうじて顔だけを走り去る男のほうに向け、届かないと分かりながらも、声を出す。
 そして、気づく。男の前方にうずたかく積まれた瓦礫の上の方が、微かに揺れたことに。男はそれに気づかず走っている。
 見計らったかのように、その山が男に向かって崩れ込んだ。
 悲鳴はすぐに轟音にかき消された。もうもうとした煙が上がり、その周辺を包み込む。それが消えた後に見えたものは、単なる瓦礫だけだった。
 呆然としてそれを眺めるしかなかった彼の上へ、不意に影が落ちた。首を曲げ、顔をその主の方へ向ける。
 黒のそれは、二本の足で立ち、二本の腕を持ち、胴体の上に頭があった。けれど“ヒト”ならば、胴体から何本もの長い突起物を生やし、腕の先端が鋭く尖っていることはないはずだ。
 口を開けても、喉を震わせることが出来ない。赤銅色をした爛々と輝く目に射竦められ、体はただ震えるばかり。
 その瞳が一瞬不気味な光を放ったかと思うと、腕が振り上げられた。
 目を強くつぶり、体をこわばらせる。息もせず、その時を待つ。
 頬に伝った滴が、小さな瓦礫の上に落ちた。
 そして、ほんの少し、時間が流れた。十秒にも満たない、僅かの時間。けれど、彼の上に腕は振り下ろされなかった。
 限りなく小刻みに呼吸をし、ゆっくりと瞼を開き、恐る恐る顔を上げる。
 それはまだそこにいた。
 しかし、瞳を彼に向けてはいない。さっき振り上げられた腕はだらりと下がり、顔を少し上げ、辺りを見渡している。
 彼にはもはや意識を向けておらず、一瞬屈んだかと思うと、その姿はすでに消えていた。
 彼は、意識を手放した。


「あの! 弟が……」
「何だこの餓鬼? テメェの相手をしてる暇はねぇんだよ!」
 靴底が少年の腹部に深くめり込む。その衝撃で小さな体は後方に吹き飛ぶ。そして右肩から地面に衝突し、転がっていく。

「返して下さい! それは弟のなんです!」
「はぁ!? 文句あんのか!」
 握り拳が少年の頬に打ち込まれ、吹き飛ぶ。口の中に鉄の味をした液体が広がり、止まらない。

「……お願い、します。もう、止めて、ください」
「あぁ? 何も持ってないやつは、素直におもちゃになってりゃいいんだよ! なぁ、みんな!」
 服を掴まれ、体を抱えられ、そのまま壁に投げつけられる。何度も、何度も、何度も――。


 何もかも打ち捨てられた路地裏。人の気配はない。物陰に傷だらけの少年が壁に寄りかかってへたり込んでいるが、人の気配はない。そこには、必要とされないもの、ゴミしかない。
 彼の目はうっすらと開かれ、足先に向けられている。けれど、それは何も見つめていない。視界に写るものを、何も認識していない。
 単に、生きるための器官だけが動いている状態。緩慢に、着実に、その停止も近づいてきている。
 たとえ雨が降り始めても、指先さえ動く様子はない。段々と強くなり、どれだけ体に打ちつけられようと、それは変わらない。
 そうして、瞼が閉じられようとした、
 その時、
「大丈夫、ですか?」
 雨音から零れ落ちたような、柔らかな、優しい、女性の声。
 彼は、重く、青く腫れている瞼を今一度上げ、声がした方を見る。
 雨に濡れた黒の艶やかな外套を着、同じ色のベールを被った女性が、悲しげな色を宿らせた目で、少年を見下ろしている。
「大丈夫では、ないようですね」
 そう言って、少年に触ろうと屈もうとする。が、
「――近寄るな」
 女性は中腰の姿勢でその動きを止めた。
「どうせお前も、あいつ等と同じなんだろ」
 少年はどんよりと濁った眼差しを向ける。女性はじっと、その瞳を見つめている。目線を最初に反らしたのは少年の方だった。
「同じだ。みんな、みんな、同じなんだ」
 言葉が地面に向かって発せられる。それは、気持ちが誰かに届くことをあきらめた態度。けれど、何よりも伝えたい思いを抱いている仕草。
 女性は優しく微笑んで、その体をさらに少年に向かって傾ける。
「近寄るなって言ってる、だ、ろ……?」

 彼はもはや何にも希望を抱いていなかった。世界がもう一度変化することなどあり得ないと思っていた。
 そんな風に思ってしまうほど彼の境遇は悲惨なものであったし、変わってほしいと思う気持ちは、何度となく叩き壊されてきた。
 冷たい雨が容赦なく降り注ぎ、冷気を含んだ風が、酸味を帯びた、吐き気を催すような何かの匂いを運んできて、大切な人や、大切にしてくれる人は知らないところへ行ってしまい、泣くかいなくなるかしかできることはなかった。

 でも、それはあまりに歪んだ世界。どんな狂った世界であったとしても、それ一色に染まっていることはあり得ない。
 湛えすぎた竈の底は破れてしまうし、圧縮されすぎた金属はとろけてしまう。
 だから、正しい予定調和。

 女性は少年の腕の脇から背後に向かって腕を伸ばし、ゆっくりと抱き抱えると、少年の体を自分の方へしっかりと引き寄せた。少年の体が女性に抱え込まれる。
 少年は突然のことに言葉を失い、少しの間ぼんやりとしていたが、段々と自分の今の状況がわかりはじめた。そして、女性を振り放そうしたが、それと同時にあることが頭をよぎった。

 ――感じたことがある。
 ――何を? この温かさを。
 ――人の温かさを。心臓の鼓動を。
 ――いつ? 誰かといた時。

 お母さん、お父さん、みんな、心――。

 体中が麻痺したように何も感じなくなる。ただ、瞼の裏が熱くなり、涙が止めどなく溢れだしていることはわかった。少年は自ら、女性の体に自分の顔を深く沈め、泣きながら訴える。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
 何に謝っているのか分からなくて、誰に謝っているのかわからなくて、それでも謝らなければいけない気がして、自分がここにいることはとても悪いことのような気がして、だから、だから、
 少年は泣き叫び、女性はそれを優しく包み込んでいた。

 雨はまだ、止まないというのに――。

 第一章 了


(それからしばらく先の一連の出来事については、断片しか残っておらず、それを追うことは、極めて難しい)

『天使たちの家』
「あの人は言ったのです。私たちを守ってくれると。そう言って優しく抱きしめてくれました。どこにも行く当てのなかった私たちをかくまってくれました。もし、あの人がいなければ、私たちは今頃どうなっていたのでしょう。私は、あの人にいくら感謝しても、したりないのです」
「あの人は言いました。あなたたちは犠牲者なんだと。多くの心の汚れた人にだまされた、心の清い子供たちなんだと。そして、こうも言いました。あなたたちはあの人たちのようになってはいけないと。その清い心を汚してはいけないと。私がそうならない方法を教えてあげると」
「あの人は告げました。復讐の力を得ることができるそうなのです。この町に、私を裏切った人たちに、一矢報いるための力が、手に入れられるそうなのです。優しく囁かれました。このままでいいのかと。この町を、どうしようもない人々で溢れさせたままでいいのかと。私にそれを変えることができるはずだと。だから、私は、」
 ある子供がシスターに、櫻井翔香に駆け寄っていく。
 微笑。
 女神の如く。


『???』
「これは、復讐の力なんだ」
「いいや、この力は誰かを守るためにある」
「違う、壁を打ち破る力だろ」
「まさか! 生きていくための力じゃないのか?」
「……なんでもいいよ、けどさ」
 一人がみんなの顔を見回す。
「僕たちは、あの人の為に働くんだ。そうだろう?」
 一斉に頷いた。


『???』
 希望を打ち砕く。
 相手の最後の渾身の一撃を、一蹴の元にねじ伏せる。
 腹の底から笑いが込み上がってくる。
 その顔。絶望に塗りつぶされた表情。
 もっと、もっと、もっと!
 さぁ、僕の為に苦しんでくれ!


『どこかの廃墟らしき場所』
 傷ついた誰か。
 心に生まれる何か。


『???』
「あの子は、どうです? 十分、素質はありそうですが」
「ふむ、確かに彼の能力は興味深いな」
「本土に送って精製する価値はあるとおもいますが」
「そうだな。送るのもやぶさかではない。彼も、いるからな」
「彼? 誰のことです?」

「……、希望を打ち砕くもの、hope crusher。彼自身の希望がいつ砕かれるのか、楽しみだな」


『天使たちの家の片隅』
「いったい何が起こっているのですか? FHとは、何なのですか? 私は、こんなこと許せません。こんなの間違っています。どうして、どうしてこんなことに。どこで、狂ってしまったのですか? あぁ、私は、どうすることもできないのでしょうか。彼らは、彼女らは、私の声に耳を傾けようとはしません。なぜ? なぜ止められない? あの子たちにあのような行動をとらせているものは、いったいなんだというの?」

「なんかさ、何も知らない人って、愚かというよりも、ただ単に哀れなんだよね。まぁ、とりあえず、目障りなんで死んでくれ」

「せっかくのお誘いですが、お断りさせて頂きます。僕はもう、あなたたちには従いません」


『???』

「お兄ちゃん、どうかしたの?」

「逃げるって、何?」

「ねぇ、どこに行くの? 何で、行かなきゃいけないの?」

「どうして、あそこに戻っちゃいけないの?」

「何で、みんな一緒じゃないの? いない人はどこにいったの?」


「……真さん。どうして僕たちのことを。一番危険なのはあなたの方ではないですか! 僕たちを守っている暇なんてあるんですか!? あなたはもっとあなた自身のことを守ってくださいよ!」


『今は誰も住んでいないであろう建物』
「……あなたは、誰?」
「圭吾、何も、覚えてないのか?」


 第二章 了



 ――続く。




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