T×VSRS「風見 十和」/PC1

風見 十和(カザミ トワ)           PL:やんこつ

「全てなべて世はことも無し、今日も平和だね」
「人の道を貫くための飾り気のない力、それが私の武だ」

クラス

クラス名 Lv
ストライカー 10
生命操作系 10
達人系 10
エネルギー変成系 10
空間変成系 10
キャラクターLv:50
獲得経験点:2827+∞(初期作成時のものを含む)
消費経験点:2826あまり1+∞

コネクション

コネクション 関係
シャーリィ
神々廻翠 相棒
風見万尋

特徴

特徴 効果
艱難辛苦 耐久力・精神力ベース+1
宿る力 耐久力ベース+1

ライフパス

出自:犯罪者
覚醒:感染(?)
邂逅:ー
専門分野:体術


能力値


能力値
能力値 体力 反射 知覚 理知 意志 幸運
基本値 ∞+9
ボーナス ∞+3

戦闘値
未装備 現在値(合計)
命中 ∞+34 ∞+35
回避 ∞+27 ∞+27
心魂 ∞+31 ∞+31
抵抗 ∞+27 ∞+27
行動 ∞+33 ∞+33
耐久 ∞+139 ∞+139
精神 ∞+82 ∞+82
攻右 36 α
攻左 36 β

防御修正

移動力
戦闘移動 全力移動

VIPブースト


特技


特技
特技名 Lv 種別 タイミング 判定値 難易度 対象 射程 代償 効果
拳の業 1 メジャー 【命】+2 対決 単体 至近 なし 素手による物理攻撃
知略の業 1 自特 メジャー 【心】 対決 単体 10m なし 〈殴〉2D6ダメージ
勝利の鍵 1 常時 自動 なし 自身 なし なし 支援判定に成功した場合ワーカーへの修正にさらに+2
闘気集中 1 マイナー 自動 なし 自身 なし 2MP 物理攻撃のDR+1D6
練達の眼差し 1 常時 自動 なし 自身 なし なし 物攻C値-1
重ね掛け 1 DR 自動 なし 自身 なし なし 「発」の特技中のみ使用できる。DR+【体力】、HPを3点失う
アウェイキング:シャープ 1 常時 自動 なし 自身 なし なし 支配者の証に付加効果
諸刃の剣 1 常時 自動 なし 自身 なし なし スパイラルクラッシュに付加効果
コンビネーションスタイル 1 常時 自動 なし なし 自身 なし 物攻の達成値+2.効果に同意するキャラが同エンゲージに必要
コンビネーションスタイルⅡ 5 常時 自動 なし なし 自身 なし コンビネーションスタイルの効果中、物攻C値-1、DR+CL
捨て身の業 5 マイナー 自動 なし なし 自身 4MP 行う攻撃のダメージに+[CL+5]。命中しなかった場合、CL+5点のHPを失う
アレンジドアタック
突撃
徒手格闘
不屈の戦士 1 常時 自動 なし 自身 なし なし 体力+6
奪いし素養→空白の時間
魔性の美
クリエイトライフ
惑いの邪眼
驚愕の仮面
超巨体化
奪いし素養Ⅱ(あまり枠)
ミラージュボディ
燃え上がる命
クロスソード
技能研鑽 1 常時 自動 なし 自身 なし なし 体力+3
古強者 1 常時 自動 なし 自身 なし なし 物攻C値-1
硬気功 1 DR 自動 なし 自身 なし 3MP 実ダメージ軽減1D6+CL
極めし業 1 常時 自動 なし 自身 なし なし スパイラルクラッシュに付加効果
研ぎ澄まされし技 5 常時 自動 なし 自身 なし なし 物理攻撃のダメージ+CL
人外の業→ペネトレイトショック 5 オート 自動 なし 自身 なし 6HP 物理攻撃と同時、C値-1、ダメージ+CL
武器習熟
心頭滅却
技能研鑽
合気
戦いの年季
技芸練達
逆転の秘策
支配者の証 1 発・特 セットアップ 自動 なし 自身 なし 3+1HP 〈光〉〈神〉のDR+1D6+CL、命中+2
スパイラルクラッシュ 1 - メジャー 命中+4 対決 単体 武器 2HP ダメージ+1D6+5.命中しなかった場合5点HPを失う(諸刃の剣付加効果)
エネルギースプリット 1 - オート 自動 なし 自身 なし 3HP エネルギー変成系のダメージを与える特技と同時に使用。対象をCL+1体に変更、DR-1D6
エネルギーベンド
天空の王
金剛不壊
鋼の城
虚無の渦
エネルギーアベンジャー
反射防壁
エレメンタルロード(光)
環境激変
時空圧縮
御使いの盾
ディメンジョンリープ
デンジャーゾーン
空間選定者
環境激変Ⅱ
事象縮小
攻性結界
時間停止
オーバードライブ
上記は特技は能力値が30/18/18/8/9/12で南極大戦に挑んだ時のデータです


アドバンスドVIP
名前 コスト タイミング 対象 射程 代償 効果
幻想/溢れる可能性 200 いつでも 本文 本文 2 ワイルドカード
幻想/武技投影 100 イニシアチブ 自身 至近 1 即座に行動。使用後、コスト100までのAVIPの使用回数回復。そのメインプロセス中[隠密状態]として扱われ、シーンが切り替わる。使用後2D6点の〈光〉属性ダメージを受け、服がちぎれ飛ぶ。エキストラには効果がない。
幻想/覚醒体系 595 メジャー(自動成功) 範囲(選択) 至近 6 対象はシナリオ間、CLに+15し、行うDRが全て〈光〉属性に変更され、物理攻撃の射程が視界になる。また、〈神〉〈光〉〈闇〉〈炎〉〈氷〉〈雷〉〈斬〉〈刺〉〈殴〉属性に+10点の防御修正を得、BS及び封鎖の効果を受けなくなる。また、特技の代償を支払う必要がなくなる。このAVIPはクライマックスフェイズに使用することは出来ない。
全部変わる 組み替え(ワイルドカードでCL、実ダメージ軽減や防御修正が∞)

装備

  • アイテム
名前 種別 タイミング 効果
携帯電話 その他 この時期のケータイってどのレベル?

  • 装備
部位 名前 種別 備考
武器右 還相廻向 武器(白兵) 〈斬〉+(所持者のストライカーのクラスレベル+神々廻 翠のカテゴリ:P(達人系)のクラスレベル)
武器左 すごい刀 希が持ってた刀。光速で振っても光速同士で激突しても壊れないすごいやつ
防具
アクセサリー 愛用の品 アクセサリ 命中+1
その他1 暴走抑制剤 使い捨て マイナーで使用、AVIP1点回復
その他2 濃縮回復薬 使い捨て マイナーで使用、HP5D6点回復


設定・その他

名前:風見 十和
性別:女/VIP能力を使って一時的に男性機能を得ることもできる
年齢:16/27(南極大戦時)
身長:168cm(開始時)/176cm(南極大戦時)
体重:65-kg(開始時)/75-kg(南極大戦時)
誕生日:11/11
趣味:日曜大工・簡単な料理/左記+娘と遊ぶ事(南極大戦時)
好きなもの:鍛錬・ささみ/左記+妻と娘(南極大戦時)
嫌いなもの:銃を含む近代兵器/特になし(南極大戦時)
カバー:高校生/道場経営者(南極大戦時)
VIP能力名:幻想 -Phantasm-
星の数:★
外見:同世代の中では高い身長。髪は短くそろえられており、動きやすいようにズボンを着用している。

設定
最近幽霊に取りつかれたっぽい高校生の少女。
基本的には明るい性格で、裏表がない…というか、裏を演じられない程度には頭が軽いように見える少女である。
しかしその実、彼女はあまり一般的とは言い難い環境で育った。
父親が快楽殺人者だったのである。
いつからそうだったのかは覚えていない。小さいころから目の前でよく人が死ぬ。
母親は父親が怖くて何も言わなかったけれど、十和はそれがおかしいんだと言うことには気づいていた。
いつだっただろうか、父親のその手が自分に伸びたのは。
そろそろ家族にも手を出すんだろうなぁと思っていたから、特に驚きはしなかったけれど。
無感情に死を受け入れるつもりだったのだが、ついに死ぬことは無かった。
母親が父親を刺したのである。
娘が殺されるのを見ていられなかったのか、それとも愛する人を止められなかったことを悔やんでいたのか、
ただ恐怖のタカが外れただけなのか、或いはその全部なのかは分からない。
「あなたは優しく生きて、きっと誰かを救いなさい」
事切れた父の横で、母は十和の優しく頭を撫で、そう囁いて自刃した。
そのあとは何がどうなったのか覚えていない。
しばらく親戚をたらい回され、気付いたら今の家に引き取られていた。
その後は、母親の言葉に沿って生きるべく、体を鍛えたり勉強したりそれなりにきちんと生活している。
「見殺しにした数より多く救えれば、きっとそれは正しいんだ。遠くのことは分からない、たぶんそんな力もない。だから私は、目の前の人を助けられればそれでいい」

VIP能力は「幻想 -Phantasm-」。おおざっぱに言うと自分の抱いた幻想を現実世界に投影するもの。
ちなみに体重は重いが、太っているわけではない。単に筋量が多いだけである。
「十和さんの体は鉛かなんかで出来てるんです? 見た目以上に重いですけど……」 by体重計を覗き込んだ翠

幻想-Phantasm-:
一から十まで己の中で幻想を完璧に作り上げ、現実に反映させる。
Phantasmによって作り上げられるものは幻想であるが故に原典は必要なく、オリジナルを作り上げる能力。
空想と違い、具体性も根拠もないものさえ完璧に作り上げることが出来るため、 意識的に能力を発動させれば世界を望む方向に改変することも可能。
ただし、風見十和は原初の叡智の保有量が多いわけではないため、大規模な行使は基本的に不可能である。
また、他人の持つ能力をコピーすることも出来るが、限りなくコピー元に近い効果を全く別の工程で再現しているのであって、厳密には同じものではない。
また、ほとんど強烈な自己暗示と変わらないが、使い方によってはどんなに不可能なことであっても、それを実現できるかもしれないという可能性を生じさせる力になる。
あらゆる困難な状況でも打ち破る道を作り出すことが出来るが、あくまで作れるのは可能性のみ。
その可能性を実行に移せるか、移したとして掴み取ることが出来るかはまた別である。

とはいえ、実戦闘行為はVIP能力に依らない身体能力と武技によってなされることがほとんどで、本人はこの力についてあまり深いことは考えていない。せいぜい、誰かを救う手段の一つ、程度の認識である。あった。
南極大戦時では、一つ星ながらに能力は使いこなしており、空中に大量の矢を投影して放つ、両性化するなどの使い方をしていた。後者の使い方で娘をもうけたらしい。

最近は蔵でVIP能力の仕組みの理解や練習に勤しんでいる。
この間、持ち込んだ大きい瓦礫を「この瓦礫は粉々である」という幻想をリアルブートして実際に粉々にすることに成功した……のだが、そんな回りくどいことするくらいなら殴って壊した方が早いね、と言うのが本人の感想である。

「水面走りが出来る」「(裸足であれば)壁に直立し、自由に歩行できる」と言った特技がある。なお、靴を履いている時は壁や崖に足を突き刺して垂直に立ったり、移動したりする。前記の特技は自前の身体能力に依るものだが、VIP能力を用いた特技には「一瞬だけ空中に足場を形成し跳び回ることで空中移動が出来る」というものがある。ただし、空中浮遊は出来ない。
また、刀での攻防を無手でとり行う裏極意も習得しており、武器が無いから戦えないというわけでもない。
最も得意とする日本刀は凄まじいの一言に尽き、対峙したときにはすでに決着の後とも言われている。
斬り伏せたという結果が先に来て、斬るという過程が後に来る因果逆転の剣技は、まさしく神技と呼ぶにふさわしいものだ。
「さっきから間合いに入ってやってるんだ、四の五の言わず斬って来い」

本編終了後、数年の紆余曲折の後にシャーリィと結婚し、24歳の時に娘をもうける。
十和は表向きは道場の師範、裏では警察などの依頼を受けて生活費を稼いでおり、人呼んで“事件処理屋の”風見十和とは彼女のことである。
基本的に依頼は断らないが、筋が通らないと断じた場合は依頼主側を壊滅させることもあるため、ところどころで恨みを買っている様子。もっとも、十和の周りの人間に手を出したものがどうなったかなど、少しでも裏社会に足を突っ込んだものならば誰でも知っている。
なお、基本的に如何なる悪人であっても殺しはしない。2度目までは「文字通り死ぬほど痛い」お仕置きで済ませ、3度目になると記憶と人格を完全に破壊し、罪の清算をさせる。「罪を憎んで人を憎まず」とは本人の談。
南極大戦ではトリニティ側に参戦、ノインと11年前の決着をつけ、ついでにウーシエンダーを消し飛ばした。
当初積極的に介入する気のなかった南極大戦への参加理由だが……。
「娘が外で遊びたいって言うから、ちょっと世界を平和に戻そうかと思ってね」


この辺に後日談

+...
 私がまだ子供だったころ。
 自分の環境に何も出来なかったころ。
 私の目の前で父を刺し、自刃した母は、「優しく生きて、誰かを救え」と言った。それはふつうに聞けば、何てことはないただの願いだったかもしれない。けれどそれは、私の中で呪いになった。そう行動しなくてはいけないと思った。だって、あの場所から一人生き残ってしまったのだから。それ以外、私には何もなかったのだから。
 誰かが私を「優しい」と言った。そして「強い」と言った。それは違う。誰かが死ぬのも、私が死と隣り合わせなのも、怨嗟の声も憎悪も絶望も、ぜんぶ当たり前で、それがひどいことだって分からなかっただけなんだ。
 この世界に、私たちは要らなかった。希薄になった感情の中に大切なものなど何一つなかったのだから、生きる意味などなかったのだ。でも死んでしまっては誰も救えない。あの時は見ていることしか出来なかった。それを罪だと思った。生き残ってしまった。それも罪だと感じた。いっそ死ねば良かったのに。でもそれは見殺しにした人に失礼だ。何も感じなくなりたかった。こんな心を捨ててしまえば、楽になれるのだろうか。
 ずっと、そんなことばかりを考えていたんだ。

◇   ◇   ◇

 静かな夜だった。
 深い闇が沈殿していて、虫の音の一つもないような静寂が満ちている。
 それは小さかったころに慣れ親しんだものでもあるし、私はむしろ安心感を覚えつつ、目を開いた。
「いた……た」
 小さく呻きながら頭を振ってみるけれど、それすら少し億劫だ。体中に血液が行き渡っていないような、そんな気怠さに顔をしかめながら、感覚が戻るのを静かに待つ。
「はぁー……」
 大きく深呼吸をし、それから体を伸ばしたあたりで、ようやっと感覚が戻ってきた。どうにも見慣れない空間にいるみたいだけど――そうだ、ここはドイツ。退魔、除霊を執り行う一族、ローザ家の一室だ。
 そのローザ家の、客人である私に割り当てられた、比較的に広い洋室である。ベッドや机、クローゼットも完備された綺麗な部屋だったはずだけど、今は室内で嵐でも起こったのかと勘繰るくらいぐちゃぐちゃになっている。服は散乱しているし、椅子はひっくり返り、置いてあった花は土ごと零れている始末。
 ……昨日何したっけな? まさか室内で戦闘でもしたのかな?
「十和さん十和さん」
 部屋の惨状にそんな思考をしていたところで、自分に呼び掛けて来る声を察知し、私はそちらに視線を向ける。
 空中に女の子が浮いていた。
 神々廻翠。私の曾祖母にして、私に憑いてしまった幽霊だ。
 彼女は変な表現だけれど、まるで船を漕ぐようにうつらうつらと前後に揺れながら空中に漂い、こちらを心配そうな目で見ていた。
「どうしたの? なにがあったんだっけ」
 頭がぼんやりとしたままで、しっかり昨日の出来事を思い出せないのでとりあえず問いかけると、翠は不思議そうな顔で瞬きをしつつ。
「十和さん、昨日しこたまお酒飲んでたじゃないですか……。わざわざビール以外のお酒も日本から送ってもらって」
「お酒……」
 思い出すのは昨日の宴会である。宴会というか、シャーリィさんがビールを持って部屋まで来たので、せっかくだしみんなで飲もうって話になったというだけだけど。
 そうか。思い出してきた。飲んでみたらビールが美味しかったし、他のお酒も美味しいんじゃないかって、紅葉さんに頼んで日本からお酒を送ってもらって、それで……。
「……それでこの惨状かぁ」
「酔ったみなさんが愉快に暴れ出したり絡みだしたりするのでどうしようかと思いましたよ……」
 なるほど。言われてみればそんなこともあった気がする。つまり、私たち肉体がある組がお酒でしっちゃかめっちゃかになったのを、翠は心配して見ていてくれたわけだ。
「ごめん、翠。迷惑かけちゃったな……それにしても、私って酔うとああなるんだ。何か失敗をする前に気付けて良かった」
「いやそこそこ失敗してると――って、初めてなのにあんなにがぶがぶ飲んでたんですか十和さん」
 驚いたような顔をしながらこっちを見てくる翠。私はスポーツこそやっていないけど、体の鍛錬には気を使っているのだ。酒もタバコもやったことはない。今回はちょっと……そう、美味しかったからつい、というわけだ。
「まあ、それはともかく……どうしようかな、この部屋は」
 本音を言えばまだ記憶は曖昧なんだけど、とにかく片づけなければ今夜の寝床もままならない。
 はて、どうしたものか……。
「部屋を片づけて寝床を確保するのもそうですけど……」
 その前に、というように彼女はこちらを見据えて。
「酔いつぶれてる人たちをどうにかしないとですよ」
 とか、私が目をそらしていた現実を改めて突き付けてくれるのだった。
 やっぱり?

◇   ◇   ◇

「よいしょっと」
 そんなわけで、私の泊まっている部屋の、綺麗なベッドの上で寝ているシャーリィさんを抱きかかえる。
 今この部屋に残っているのはシャーリィさんだけである。さっきまでメディも床にすっ転がっていたんだけど、中途半端に目を覚まして駄々をこねはじめたので適当に殴って寝てもらった。彼女は呼びつけたアルバート君に任せてあるので、彼が送り狼なことをしなければ大丈夫だろう。
 翠には容赦がないとか言われたが、私の拳は下手な麻酔より安全確実に他人を眠らせることが出来るので。
 ところでその翠は、さっき寝てしまった。私たちを見ていてくれたということは、その時間まで起きていたということだから仕方ない。
そういえば最初のころは、幽霊も寝るのかって驚いた記憶がある。
 半年しか経っていないのにずいぶん昔のようだ。なんだか懐かしい。
 ともあれ。
 ローザ家は眠りについているらしかった。
 私の暮らす家とは違った、石造りの建造物の中。それなりに広い、つるつるする廊下を静かに進んでいく。全ての明かりが落ちているからなのか、物陰から何か出てきそうな、何かがひそんでいそうな、少しだけ不思議な雰囲気が満ちていた。
 私は小さいころの――なんというか、比較的特殊な家庭環境のおかげで夜目が利くので、転んだりぶつけたりする心配はない。とはいえ、そもそもこの家には不慣れだ。周囲を見回し、物珍しげに装飾を眺めたりしながら、物見遊山のような気持ちでシャーリィさんの部屋をめざしていると、腕の中でもぞもぞと動く気配。
 視線を落とすと、彼女は薄く目を開けてこちらを眺めていた。どうも起こしてしまったらしい。
「あれ……風見さん……?」
 私の胸でちいさくなっているシャーリィさんの、きょとんとした顔がこっちに話しかけてくる。状況がよく分かっていないのか酔いが醒めていないのか、ぼんやりとした様子。
「あれ……? さっきまでみんなで……あれ?」
「うん、ごめんね、起こしちゃったかな。みんな潰れてたから、部屋に運ぼうと思ってさ」
 とりあえず軽く説明をしてみるけど、頭に入っているかは怪しい。なんとなく呆けているようすはメディに似ていて、改めて姉妹だなぁとか実感する私だった。
 そうこうしているうちに、シャーリィさんの部屋に到着する。開けっ放しだった扉を足で閉めて、ひとまずシャーリィさんをベッドに座らせた。
「動けそう? そのまま寝たら服が皺になるよ」
「……うん」
 うんとは言うものの、普段着のシャーリィさんはどこか上の空な様子でこちらを眺めて来るばかり。
 酔ってるなぁ。
 酔っているシャーリィさんは、けっこう可愛いと思う。ドイツ人ゆえの外国人然とした――もっとも、ここでは私のほうが外国人だが――目鼻立ちとか、白い肌とか、同性の私が見ても見事なスタイルとか、人形みたいだ。
 そんなことを考えつつ、水でも持ってこようかと思っていたら。
「風見さん」
 今度は突然据わった声になり、はっと顔をあげた私に向かって――。
「風見さん。キスしてください」
 ……。

◇   ◇   ◇

「はいシャーリィさんばんざいしてー」
「あうっ」
 間髪を入れず、のお手本のように。何か言われる前にシャーリィさんの上の服を脱がせる。内心の動揺を悟られないように、最大限に表情を作ったつもりだけど――いや、彼女が酔っているのはある意味では幸いか。
「いやだよ? 明日から顔合わせづらくなるから」
「大丈夫ですよ?」
「そっか。つぎ、スカート脱がせるよ」
 ほんのり赤くなった、シャーリィさんの肌が目に入る。
 触れれば壊れてしまいそうで、それでいて柔らかそうな体は、緩やかな曲線を描き――と、そこまで目で追って、すこし慌てて視線を手元の服へと戻した。
 狼狽えたことが気付かれないようにそばを離れ、手際よく脱がせたシャーリィさんの普段着をクローゼットにしまいこむ。
後ろで、とさっと、ベッドに横たわる気配がした。
「風見さんのいじわる」
「今日のシャーリィさんは甘えん坊だね」
 いまシャーリィさんがどんな表情してるかくらいなら、見なくても分かるよ。
 わずかに微笑みながら、クローゼットを閉める。木製の扉は小さくきしむ音を立てた。カーペットの敷いてある床を踏みしめながら、私はベッドの横に立つ。
 案の定、何かちょっと拗ねたような表情で私を見上げて来るシャーリィさん。
「風見さんは、私のこと嫌いなんですか?」
  むすっとした表情のまま、水色の瞳にわずかな不安を混じらせて、それでも彼女はまっすぐに私を見据える。自分で何を言っているのか、あんまりわかってなさそうだけど……半分くらいは普段から思っていることなのだろうか、本音っぽい、そういう雰囲気。
 ライクの好きだなんて言わないでくださいね、などと先手を打って来るシャーリィさん。
 参ったな。
 冗談だと判断しますよいいですね、なんて軽く流せる感じでもなく――いや、お酒のせいとは言え、本音には本音で返さないと失礼か。
 そう判断して、ベッドの脇にしゃがみ込む。体を起こして、ベッドの裾に座りなおしたシャーリィさんの目を、私はしっかりのぞき込んだ。
「シャーリィさんのことは、親しくなりたいって思ってるよ。でも、酔っている時は違うかなって――それに、普段のシャーリィさんが、一番好きだから」
 ガラじゃないんだこういうの。本音をさらけ出すのはやっぱり気恥ずかしい。特にこういう話題では。
 ともあれ。
 納得してくれたかな?
「風見さんの……」
「はい?」
 風見さんの?
「風見さんのばか!」
 殴られた。
 下着姿のシャーリィさんは女の子っぽいチョップを私の頭に落とすと、私の襟首をつかんでがっくんがっくん揺さぶってくる。
 地味につらい攻撃(?) を受け、視界をぐらぐらさせながら、私は問いかけます。
「な、なにするのさシャーリィさん!?」
「うるさい! お酒が入ってないと言えないようなこと、素面でもう一回言えっていうんですかー!!」
 いや、普段から結構グイグイ来てるよねシャーリィさん。
 なんて、私の無言の抗議が通ろうはずもなく、私はされるがままの状態だ。
「据え膳ですよ! 女に恥をかかせちゃだめって言うじゃないですか!」
 絡み上戸だね。
「私も女なんだけどな……」
「そんなのっ!」
 どうしたもんか。
 キスくらいしてあげればいいじゃないか……というのは、そうかもしれない。
 私は単に、意気地なしなのだ。彼女が私の特別になってしまうのが、怖い。特別になったその人が、母さんのように、いつかいなくなってしまうのが……まだ、怖いんだ。
 厄介に成長したものだ、と我ながら思う。
 さて。
「シャーリィさん」
 私は揺さぶってくる手を丁寧に服から外して、向きなおる。
 さっきまでやいのやいのと騒いでいたのに、急にしおらしく、しどろもどろになった彼女の、思ったよりもずっと細い肩をしっかり抱いて、抱き寄せながら。
「ごめんね」
 私は能力を行使する。
 幻想-Phantasm-。私の幻想を、現実に移し替える力。
 全身から力が抜けたシャーリィさんをベッドに横たえて、眠ってくれたか、と安堵した。
 さすがはVIP能力――。
 穏やかに寝息を立てる彼女の髪にそっと触れ、その手で自分の唇をなぞる。
 ……危なかった、な。
「ねぇ、シャーリィさん」
 ベッドの脇に座り込みながら、誰にも届かない声でひとり呟く。
 窓からはわずかに白んだ空の光が差し込んでいた。
「私を好きになってくれて、ありがとう。いつかちゃんと、あなたの気持ちに向き合うから、その時は――」

◇   ◇   ◇

 もちろん当時の私にはそんなことを言う相手なんかいなくて、言ったところでどうにもなるものでもなかったし、気が付いたら新しい生活が手に入っていて、みさっちゃんと暮らしながら少しずつ心は色彩を取り戻した。
 やがて、一本の刀に始まる騒動を経て、私を包みこむ世界はあの時の呪いを塗りつぶしてゆく。かつて何かを求めて虚空を薙いだ手は、今度こそ何かを取りこぼさずに済むのだろうか。
 己の手のひらは小さい。たまにそれを忘れて、何もかもを握りしめられると、抱き留められるのだと思い上がりそうになる。
 自分ごときがそんなことを考えなくても、世界は流れ、地球は回り続けると言うのに。
 それでも、今回ばかりは、今度こそは、後悔なんかしたくないから。
 そっと目を閉じると、あのころの情景を思い出す。
 ……かつてのあの家には、今も絶望の跡が残っているのだろうか。
 助けることも、弔うことも出来なかった、彼らの姿を幻視する。その真ん中で、見覚えのある少女がこちらに手を伸ばしていた。
 臆病な、あのころの私。
 その手を取って、今なら言える。
 きっと、大変だよ。死んでしまうなら、今のうちがいい。
 だけど。
 生きていれば、きっとそれなりに報いはあるんだよって。

 私たちはきっと要らなかった。けれど、生きてきたことは無駄ではなかったのだと――すべてを見捨てた私に許された言葉ではないかもしれないけれど。
 きっと満足げに笑いながら、こう言うのだ。
 私、生きてて、良かったよ――と。




PLより

暫定的にAVIPを改変しました。
とりあえずAIPブースト回復を貰えば自前でしばらく動けます。
保険として軽減特技取りました。タイマン時用です。
みんなより1レベル低いなー、つらいわー
キャラ性をなるべく崩さずそれなりに強く、かつ趣味が多少ある組み方をしてあります
後日談の一番上の段と一番下の段は十和ちゃんの心内文なので読まなくていいです。

  • 奪いし素養でコピった支配者の証の属性と余った経験点とAVIPはあとで考えます -- やんこつ (2015-07-05 01:04:30)
  • Sフェイズワーク用にもう少し組み替えるかもです -- やんこつ (2015-08-02 04:21:35)
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