【当主フランドール】

「まったくパチェと咲夜ッたら…私を置いてどこへ行ったのかしら?」
 レミリアは見当たらなくなった自分の親友と従者を探していた。
 屋敷で二人の行きそうなところはあらかた探した。
 残るはこのフランドールがいる部屋だけであった。
「まさか、ね…。」
 そう思い扉に手をかけたときだった。
 扉の向こうから楽しそうな談笑が聞こえてきたのだ。
「ありがとう咲夜。やはりあなたの紅茶はいつ飲んでもおいしいわ。」
「ありがとうございますお嬢様。」
「さすがねフラン、あなたの考えにはいつもたすけられるわ。」
「ふふ…私よりもはるかに知識をもっているあなたが何を言うのかしら。」
「知識があるだけでは駄目、それをどう生かすかによるのよ、その点で考えればあなたのほうがよっぽど頭脳明晰よ。さすがは紅魔館の真の主ね。」
「まったくですわ。なぜレミリア様の記憶をいじって紅魔館の主にしたんですか?自分が狂ってるふりまでして。」
「お姉様はね…とても可哀想な子なの。精神が少し安定しないというだけで何百年も閉じ込められて、本当に気が狂ってしまった…。だから、幻想郷では彼女の夢を現実にしてあげたかったの。」
「あなたの思慮の深さと優しさにはいつも感心するわ。レミリアももう少しあなたみたいならいいのに。」
「本当ですわ。わがままで困ったものです。」
「そんなこと彼女の前で言ったら駄目よ、なにがきっかけで記憶改変の魔法が溶けるか分からないんだから。お姉様の夢を、せめてできるだけ長く見せてあげたいもの…。」
 これは…どういうこと…?
 フランが当主…?そんな…当主は、わ、私…あっ。ああああああああああ!!!!
 そのとき、レミリアの脳内で数々の記憶がフラッシュバックする。

 気が狂ってしまった私…!

 地下に500年間閉じ込められていた私…!

 フランと楽しそうに歩いているパチェ…!

 こんな私に優しい言葉を掛けてくれる数少ない人物だった美鈴…!

 自分が紅魔館の主だったらと妄想する私…!

 紅魔館の当主としてその力を発揮するフラン…!

 思い出した。
 全てはフランが私のために用意してくれた茶番。
 皆が本当に慕っていたのはフランだったのだ。
 私はどうすればいいのだろうか。
 打ち明けるべきなのか、黙っているべきなのか。
 本当に、私はどうすれば…。
 自然と涙が溢れてくる。
「ひっぐ…えっぐ…。」
「だれかいるの?」
 咲夜が扉をを開けると、そこには泣きじゃくっているレミリアの姿があった。
「もしかして…今の話を…?」
「うん…うっ、ううう…」
「咲夜、パチェ、ちょっと二人にしてくれる?」
 そういってフランは二人を追い出しレミリアと二人っきりになる。
「記憶が戻ったのね…お姉様。」
 フランは赤ん坊を包み込むような優しさで問いかけてきた。
「う゛ん…ごめんなざい…ごめんなざい…いままで、迷惑ばっかかけてたんだね…ひっぐ…。」
「いいえ、謝るのは私のほう。あなたの夢を壊してしまって…。」
「う゛う゛ん、悪いのはわ、私…えっぐ…私、地下室に戻るね…皆から…えっぐ…我侭だから…嫌われてるし…ひっぐ。」
「そんなことないわ。」
「だっで…えっぐ…さっき咲夜たちが…。」
「確かにあなたを嫌ってる人もいるかもしれない。でも、美鈴みたいにあなたを好いてくれる人だってるのよ。」
「ほ…ほんと…?」
「少なくとも、私は愛しているわ、お姉様。」
「う、うわああああああああああああああああああああん!!」
「泣かないで、これからは一緒の部屋で過ごしましょうね。私たちは、これから始まるのよ…。」


 後日、紅魔館は真の姿を取り戻した。
 フランが当主に戻ってから紅魔館はレミリアの時よりもよりいっそう機能するようになった。
 咲夜は幸せそうな顔でフランに仕えている。
 パチュリーは親友と気兼ねなく話せるようになって喜んだ。
 美鈴は相変わらずである。
 レミリアは妹と同じ部屋で生活するようになった。
「お姉様、美鈴がクッキーをつくってくれたわ。」
「うん、美味しそうね、美鈴も来ればいいのに。」
「お昼になったら来るそうよ。」
「そう、だったらそれまで待ちましょう。咲夜にもそういっておいて。」
「ええ分かったわ。お昼は皆で楽しくティータイムといきましょう。」
 レミリアは当主の座を失った。
 しかし、変わりにもっと大切なものを手に入れたのだ。





  • うおお!ストレートにいい話じゃないか!
    なんか逆に新鮮味があるな -- 名無しさん (2009-05-06 18:41:42)
  • お嬢が幸せなら万事オッケー -- 名無しさん (2009-05-08 19:26:10)
  • ええ話や -- 名無しさん (2009-07-22 03:10:34)
  • あれ?虐めじゃなくない? -- 名無しさん (2009-07-22 18:17:54)
  • 中和剤みたいなものと思えばいいさ -- 名無しさん (2009-09-02 17:26:30)
  • このフランは好きになれそうにない -- 名無しさん (2009-09-03 02:08:17)
  • まぁ確かに口調とかがきもいかも -- 名無しさん (2009-09-03 19:17:00)
  • あれ?イイハナシダナー -- 名無しさん (2009-09-07 20:48:53)
  • フランちゃんのヌクモリティ半端ねw -- 名無しさん (2010-03-15 08:55:52)
  • いい話はいいんだけど
    記憶が戻ったレミリアとフランが戦うのを期待した -- 名無しさん (2010-03-15 12:13:05)
  • パチェしね -- 名無しさん (2011-03-20 16:27:50)
  • ↑パチュリーさん だッ! -- 名無しさん (2011-03-20 22:07:08)
  • 一見良い話だけど、よく考えたらかなり精神的にキツイ拷問だよな…。


    思慮深く、優しく、強い能力もあって皆から慕われてる妹と、妹が言うんだから仕方ないと『茶番』に付き合う形で自分を慕っているふりをされてた姉…。 -- 名無しさん (2011-06-06 15:30:40)
  • なんでパチュリーってどの話でもうざいの?w -- 名無しさん (2012-06-17 03:38:04)
  • ↑でもいじめられることは少ないよね -- 名無しさん (2012-06-17 20:23:24)
  • れみりあいじめじゃね・・・・・・・・・・ -- 名無しさん (2012-10-29 11:30:31)
  • パチュリーはどの話でもうざいキャラだけど、
    こんなやついじめても面白くないからいじめにくい -- 名無しさん (2012-12-01 04:17:32)
  • ごく普通な話(フランが当主)という話に過ぎないのだが・・・ -- 名無しさん (2013-03-01 20:16:53)
  • ふらんーw -- みるく (2013-03-22 18:13:45)
  • 珍しくここの美鈴はいい奴だな -- 名無しさん (2014-08-03 08:29:48)
  • なにこのいい話 -- 名無しさん (2015-05-12 16:19:07)
  • 美鈴かわいいよ美鈴 -- 名無しさん (2016-01-06 09:04:50)
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