【注意】
いぢめスレwiki 『ゆかりん いぢめ:20スレ28』『レミリア いぢめ:22スレ521』 と同じ設定
  *殺傷、流血描写あり
  *キャラの性格に改変あり




※ ※ ※ ※

妖怪の山、守矢神社
その一室で八坂神奈子は目を覚ました

戸の隙間から漏れる日の光を見て、そろそろ起きる時間だと布団から身を起こす
着替え、廊下に出て改めて朝日を見ると、まだ日は昇ったばかりなのだと分った
「いつもの早苗はまだ寝てるのかね?」
普段、一番早く起きるのは朝食を準備する早苗である

言って神奈子は口の両端を尖らせた

「『いつも』か・・・」
愉快な気持ちになりながら手に持っていた紙を広げる。起きたときに枕元にあった物だった


_____________________________________________

『 モリヤジンジャ ノ イシダン ヲ オリレバ アナタ ノ カチ 』

【やってはいけないリスト】







※ ※ ※ ※	
_____________________________________________


「『守矢神社の石段を降りればあなたの勝ち』・・・・・さて、どうしたものか」
とりあえずその紙に書いてある通り、鳥居の向こうにある石段を目指す
そのために玄関に向かった

廊下を歩いている途中、背に視線を感じた
振り向くとそこには早苗が巫女装束で立っていた
「早苗、あんた何時からそこに?」
「・・・・」
早苗は答えない
顔を若干俯かせているため、その表情は窺えない
「・・・・」
静かな足取り、しかし決して遅くない速さで早苗は神奈子に近づいてきた
言い知れぬ不気味さを感じ、神奈子は体を反転させ歩速を上げ早苗から離れる

そう広くないない屋内
追いかけっこをするには逃げる側が圧倒的に不利だった
どう逃げても隠れても早苗の視界に入ってしまう
室内をぐるぐると回っている時に、自身は弾幕を張れないことに気がついた
「ああもうっ!」
気味の悪い鬼ごっこに痺れを切らした神奈子は廊下の曲がるとすぐに立ち止まり向き直る
待ち伏せの常套手段である

「このっ」

現れた早苗の顎に右手の甲を叩き込んだ。足音で距離を測っていたためタイミングは完璧だった
早苗の膝はがくりと崩れ、そのまま仰向けに倒れこむ
「夢の中とはいえ、早苗に手を上げるというのは些か気分が悪いねぇ」
早苗の顔に触れ首の脈を取り軽い脳震盪だと確認する
「夢っていうのはここまで鮮明なものなのかね?」
顔の輪郭、肌の張り、髪のツヤと色。どれも全て自分の知る早苗だった

人の夢に現れ説法や天啓を授けるのが神である
過去、神徳として他人の夢の中に出た事は幾度となくあるが、それらは全て曖昧で現実味とは丸きりかけ離れたものだった
「これでは現実とまるきり変わらない」

早苗の顔を覗き込みながらあれこれ考え、立ち上がろうとした瞬間。腕に重みを感じた
「ッ!?」
気絶したはずの早苗が神奈子の腕を掴んでいた
早苗は静かに目を開ける
ガラス玉のような無機質な目が、神奈子を捉えていた
「八坂様」
ようやく早苗は言葉を発した
けれど。自分を呼ぶ声が酷く冷たく他人行儀なように感じがして、その手はいつもより冷たい気がした

「**********」

早苗が神奈子にとって、ひいては神に対して最も口にしてはいけない言葉を唱えた
それは誰もが知っていながら、神の存在を否定し偶像あるいは空想にしてしまう言葉
「あんた・・・・なんて事を」
自身を祀る巫女から決して聞きたくはなかった言葉
直後、体に違和感を感じる
体の中身が空洞になるような、霞んでしまうような奇妙な感覚
手を見ると向こう側の景色が透けて見えた。体が半透明になりつつあった
早苗の一言で神奈子の信仰は全て消失した
それは神としての生命が終わるということ
こうなるのを恐れて現世から幻想郷に越してきたというのに

白んでいく景色の中で見たのは、感情の一切篭らない目で虚空を見つめる巫女の顔だった








※ ※ ※



「待っ!!」
神奈子は布団の中で、天井に手をかざしていた
「あ・・・・夢?」
一拍子間を置いて今の自分の状況を思い出す
体を起こし着替え、懐にしまっておいた紙を取り出す

_____________________________________________

『 モリヤジンジャ ノ イシダン ヲ オリレバ アナタ ノ カチ 』

【やってはいけないリスト】

・早苗に捕まるな





※ ※ ※	
_____________________________________________


「『早苗に捕まるな』・・・か。やなルールだね」
布団の上で胡坐をかき頭を掻く
これから先、あんなことを何度も繰り返さなければならないと思うと気が滅入った
「やれやれ。付き合ってられないよ」
紙を床に置き、首をコキコキと鳴らして肩を回す
「どれ、少しばかり楽をさせてもらおう」
戯れで参加した遊び、一部ではクリア出来る速さを競っている輩がいるそうだが自分は興味などない
「元からルール違反を犯している身だ。私の神徳がどこまで通用するか」
紙に両手を乗せ力を流し込む



『諏訪子の帽子に触れるな』
『文の取材を断るな』
『厠を開けるな』
『にとりとの勝負に負けるな』
『石段の端を歩くな』




次々と紙に文章がまるであぶり出しのように浮かび上がる
「これが禁止行動か」
さらに文字は追加され続ける

紙の裏側を見る

『東風谷早苗:プレイヤーの居る方向に向かって常に歩き続ける。捕まるとプレイヤーは死亡』
『洩矢諏訪子:記録者』
『射命丸文:取材を受けた時点で死亡イベントが発生』




「すごいね、どんどん書き込まれて・・・・・ん?」
浮かび上がる文字が急に赤くなる

『警告。不正な処理が行われています』

『プログラムに悪意のある改竄が抽出されました』

『Error!! Error!! Error!! Error!! Error!! Error!! Error!! Error!! Error!! Error!! Error!! Error!! Error!! Error!! Error!!』

「なんだこれは?」

『WARNING WARNING WARNING WARNING WARNING WARNING WARNING WARNING』

危険を感じ慌てて紙から手を離すが文字の暴走は止まらない

『CAUNTION CAUNTION CAUNTION CAUNTION CAUNTION CAUNTION CAUNTION』

『WARNING WARNING WARNING WARNING WARNING WARNING WARNING WARNING』

『CAUNTION CAUNTION CAUNTION CAUNTION CAUNTION CAUNTION CAUNTION』

赤い文字が紙を埋め尽くす
冷たい汗が神奈子の額ににじむ。頭の中で警鐘が鳴り止まない

「なにやってんのさ」
「諏訪子っ!」
何時からそこにいたのか、部屋の隅に諏訪子が立っていた
「妙だと思ったんだ。始まって早々あんたはこれが夢だと知っていたのが。あんたはこのゲームの参加者でありながら
 この世界の構築に関わっていた一人だからね。設定をいじって記憶を消してない状態でスタートしてないみたいだね」
「これは・・・」
「始める前にみんなで決めただろう、ズルはしないって」
腕を組み、呆れた表情で神奈子を見る
「ペナルティだ」
「ペナルティ?」
「すぐにわかるよ」

諏訪子が一歩下がり部屋から出た瞬間、部屋から一切の明かりが失せた

「不正発覚でリタイアなんてさせたら、それこそ願ったり叶ったりじゃないか。ゲームは続行だよ、ただし、少し精神的にキツイ思いをしてもらうよ」

暗闇の中でそんな声が聞こえた






※ ※




真っ暗な部屋で目を覚ます
「・・・・ここは?」
目がまだ暗さに慣れていないため触覚に頼る
床に触れると板張りだとわかった。今自分がもたれている壁も同様の材質だった
起き上がろうとした時だった
「 ? 」
左手に違和感を感じた
右手で触れてみると硬い質感が返ってきた
「手錠?」
手錠にくっ付いていた鎖を手探りで辿る、20cmほど手を滑らせるともう片方の輪にぶつかった
右手がその輪の戒めているモノに触れた。柔らかい皮膚の質感
「ひゃぁっ!!?」
神にあるまじき乙女のような声を出し、思わず手を引っ込める
「人?」
手錠は自分と何者かを繋いでいた
相手は眠っているのか、一切の反応を示さない
恐る恐る手を伸ばしその顔に触れ、そして髪を撫でる。髪に二つの飾りが付いていた
その全ての手触りに神奈子は覚えがあった
「早苗?」
ようやく目が慣れてきて、相手の顔を見る
「やっぱり早苗だ」
あたりを見回す、この部屋はどうやら神社内のどこかのようだ
知っている者・知っている場所だとわかり安堵するのもつかの間、神奈子は考えを巡らせる

(まさか早苗を担いだ状態でクリアをしろと?)
早苗に捕まれてはいけないという決まりも思い出す
(つまりこの子の意識が戻る前にって時間制限もあるから難易度はぐっと上がるというわけか)
“早苗”というハンデを抱えてゲームに挑むのだと察する

「それでも楽勝さね」

禁止行動は先ほど見てだいたい覚えている
早苗の体重など問題なく担げる
「これがペナルティとは些か甘い気もするが、まあ妥当といえば妥当か。よし、善は急げだ」
動かない早苗の手を引っぱる

だが

「ん?」
引く手に大きな抵抗を感じた
抵抗の具合から早苗の体が何かに引っかかっているのだとわかった
慣れてきた目を凝らす
右手だけでなく早苗の左手にも手錠が取り付けられていた
その手錠の先は神社の室内に装飾として据え付けられている金具に繋がっている
装飾金具―(左手)早苗(右手)―(左手)神奈子という数珠繋ぎになっていた
これでは早苗を担ぐことはおろか、動かすことすら出来ない

「どういうこと・・・・?」
これではゲームが成立しないと思った矢先。早苗の懐から白い紙が姿を覗かしているに気が付いた
「これは」
手にとって床に広げる

_____________________________________________

『 ジカンナイ ニ コノヘヤ ヲ デレバ アナタ ノ カチ 』

【やってはいけないリスト】

このステージに限り無し




※ ※	
_____________________________________________


「『時間内にこの部屋を出ればあなたの勝ち』? さっきと条件が変わってるね。つまりこれは違うゲームってことかい?」
紙を見てあれこれ考えていると視界の端に何かを見つけた
床に広げた紙のすぐ近く、手の届く場所にソレが落ちていたので自由な右手で拾う
「鎌?」
錆び一つ無く、劣化の形跡はみられない。先が鋭利に尖っている型のものだった

「そういえば、錆びないかねこれ。諏訪子の鉄の輪みたいに」
鉄製の農具を見てかつて諏訪子の国に攻め入った時のことが脳裏に過ぎった
鎌を置き、早苗の手錠を握り蔓の力を顕現させる
しかし何の変化も現れない
神としての力は全て使えないようにさせられているようだった
「やっぱり駄・・・え、あれ? ちょっと?」
早苗の手に触れて数秒、あることに気づいた

「早苗? ちょいと早苗?」

右手で彼女の頬を少し強めに叩く
続いて口元に耳を近づけて呼吸を確認する
叩く手を止めて、首筋の脈の上に手を当てる
「ちょっと・・・」
神奈子の顔は一気に青ざめた

自身が気絶していると思っていた東風谷早苗の生命活動は停止していた

「落ち着け。まず落ち着こう」
浅く何度も呼吸するも、まったく予期してない早苗の死という事態に動悸が収まらない
「これは夢、そう夢なんだ」
娘同然の少女の死に未だ心を激しく揺り動かされる
「現実じゃあない、これは現実じゃないんだ」
何度も自分に言い聞かせて、平静を取り戻そうと努める。頭ではわかっていても心が理解してくれない

状況を整理する
  • 部屋を出るというクリア条件
  • 金具に繋がれ動かせない早苗
  • その早苗に繋がれたている自分
  • 落ちていた鎌
  • 死んでいる早苗

――『少し精神的にキツイ思いをしてもらうよ』

思考の最後、諏訪子が残した言葉が頭をよぎる
「そういうことか諏訪子ぉぉ!!!!」
全てが一本の線で結ばれた
何処かで自分の動きを観測しているであろう記録者の名を恫喝まがいの声で叫んだ

ここを脱出するには早苗の腕を切って手錠を抜けるのが一番手っ取り早い

もちろん鎌の切れ味で人間の腕を切断することは出来ない。だが手首から先をゴボウのささがきのように削れば手錠を抜けられる
「早苗の体を傷つけてここを抜け出せって!? 冗談じゃないよっ!!!」
この状況の意図を知り憤慨する
けれども今置かれている状況の全てが神奈子がそう行動するように膳立ててある
今の自分はそうせざるを得ない

「畜生!!」

鎌を掴み、振り下ろす
鋭い刃先は二人を繋ぐ手錠の鎖をかすめ木板の床に突き刺さる
「抗うに決まってるだろ! 神を舐めるな!!」
鎖が切るために何度も鎌を振り下ろした
10、20、30と休むことなく神奈子は鎌で鎖を打つ
途中、手元が若干狂い鎌の落下地点が僅かにずれる
「おっと」
反射的に手を引いた
必然的に鎖で繋がっている早苗の右手も引かれる
「あっ」
幸いにも刃は早苗の手を擦っただけだった
かすめた部分に赤い線が走り、血がにじむ
「ご、ごめんよ早苗!!」
咄嗟に罪悪感に駆られ物言わぬ巫女に謝罪する。当然なんの反応もない

尖っていた鎌の先は丸みをおび始めていた

鎖を断てないと判断した神奈子は早苗を縛り付ける左側――金具の面に移動する
「これ、外せないかねぇ」
金具を壊せれば早苗を担いでここを出られる
壁と金具の隙間に鎌を刺しいれる
そのままテコの原理で鎌を傾けるが、鎌の地金が曲がる嫌な感触が柄を通して伝わったので断念した

駄目もとで手錠の鍵穴に鎌の先を入れたが開錠されることは無かった

今度は早苗の右手首を両手で掴む
「切るよりはマシだ。少し我慢しとくれよ」
関節を外す“手錠抜き”をしようと考えた
左手が自由に使えないせいか二度、三度と引いても成功しない
相手が早苗ということもあって、力を出し切れないというのもあった
仮に外せたとしても、神奈子と早苗の手錠の輪は手首を隙間無くお互いを捕縛しているため、それは出来ないであろうことは薄々わかっていた
けれどもほんの少しの可能性があるならと試してみた

時間が経つにつれて神奈子の焦燥感は増してきた
「『時間内』ってどういうことだ?」
紙に書いてある文章が頭をよぎる。この部屋には時計や日の光といった時間を計るものは無い
不確定なその言葉に神奈子は恐怖を感じていた
「やるしか・・・ないのか」
血を吐くようにそう言う
鎌を持つ手が初めて震えた

「これは早苗じゃない・・・・これは早苗じゃない」
呪文のようにその言葉を続けて手を動かす
早苗の手首――小指の側面がわに鎌の刃を当てる
角度に気を津つけて刃を入れると簡単に肉に入り込んだ

『痛いです神奈子様』

「っ!!」
心臓が跳ね上がった
あたりを見回した後、慌てて早苗の首に手を当てて脈をとる
相も変わらず冷たい皮膚
「幻聴なの・・・・か?」
自分がどれだけ取り乱しているのか実感した
結局、早苗の手は薄皮が剥けた程度だった

再び早苗の手に刃を当てて滑らす
「痛いなら痛いって言っとくれよ」
今度はちゃんとぷちりとした手ごたえを感じた
あっと言う間に血があふれ出す
大事な血管を破いたらしい
決して少なくは無い量の血が床に流れ出す
時間が経てば経つほど血は広がっていく
「・・・・・・はっ」
気づけばその光景に見入っていた
これから早苗の手を4分の1ほど切除しなければならないのに、この程度に時間を掛けるわけにはいかない。まだ切れ込みを入れただけである
刃を再び切り口に当てる
(これは早苗じゃない、早苗の形をした人形なんだ。本物は今頃、私や諏訪子のために朝食を作ってくれている)
その言葉が頭の中でグルグル巡る
(待っててね早苗、すぐに起きるからね)
次第に罪悪感は薄れていった
大きく息を吸い、傷口に当てた刃を引こうとした瞬間

(これは本当に夢なのか?)

突然そんな疑問が降って湧いた
夢はもっと曖昧で、体が浮き上がるような感覚。視界は歪で起きたら忘れてしまうほど実感の無いものである
(これが夢だとどうやって証明する?)
一度考えてしまったら、その不安はもう拭えない

神奈子は記憶を辿り、なぜこのゲームが出来ているのか思い返す
この世界は夢を【医学・科学】【魔法・魔術】【信仰・神徳】【深層心理】それぞれの見地から調べ上げ、妖怪の賢者が境界を操作し、それらを一つに束ね合わせたものだ
と、神奈子は認識している
「本当にそうなのか? その記憶は正しいのか? 私の頭がおかしくなっただけじゃないのか?」
自分は何者かに嘘の情報を与えられたのかもしれない?
実は自分はもう起きていて、これは現実の出来事ではないのか?
もう何処からが夢で、何処からが現実なのかを区別する境界線が見つからない
手を止め、早苗の髪を撫でる
「この感触は・・・」
本物となんら変わらない。間違えるはずが無い

幼い時からずっと見守ってきた
神が廃れた現代でも、熱心に信仰を集めようとしてくれた
幻想郷に越すこと決めた時も嫌な顔一つしないで一緒に来てくれた
時々、空回りをする時もあるが日々守矢神社の信仰集めに従事してくれている

「もう、何がなんだか分かんないよ早苗。頭がどうにかなりそうだよ」
かつて神の最高位に君臨し誰からも崇め奉られ、今も威厳に満ちた姿で人妖の前に現れる彼女からは想像できない姿
泣きそうな声で命無き巫女に語りかける彼女は神と呼ぶにはあまりに頼り無かった
鎌を強く握りしめて手に当てる
「だからさ・・・さっさとゴールするよ」
早苗の亡骸ににっこりと笑ってみせた
もうその手に躊躇は無かった
鎌を持つ手を力いっぱい引いた





5分ほどで作業は終了した

床には赤黒い血溜まりが出来ている
「うぅ・・・・・」
神奈子は泣いていた。泣きながら出口に向かい歩いていた
歩くたびに床に新しい血痕が出来る
その足取りは酷くおぼつかない
「ぁぐっ!」
何も無いところで彼女は躓く。床に倒れた衝撃で左手に激痛が走った
左手には自分の着ていた上着が巻かれ、普段髪に巻いてある細い縄は左腕の根元に巻きつけてある
「出来るわけがないよ。例えこれが全部私の妄想で、嘘っぱちの出来事だとしても。早苗の死体を汚すなんてことは・・・」
神奈子が鎌で削った手は、早苗ではなく自身のものだった
赤い服のせいでわかり辛いが、上着は血を吸ってかなりの重さになっている
気絶しないよう痛みに耐え正気を保ちながら、鎌で自分の手をささがきにした
痛いのは確かだが神はこの程度では死なない
先ほどから転んでは起き上がる動作を何度も繰り返す。10メートルにも満たない距離が長く感じられた
「あと、少し」
出口は目の前、あと少しでここから開放される

「八坂様」

背後からそんな声が聞こえた
(やれやれまた幻聴かい・・・)
痛みで朦朧とするためそう思った
「神奈子様」
「 ? 」
振り返ってみると早苗が目を開けて神奈子を見ていた

「早苗、あんた生きて・・・」
「タイムオーバーです」
先ほど神奈子に切られた部分を舐めながら早苗は言った
早苗は蛇の髪飾りを外すとその尖った蛇の尾の部分を手錠の鍵穴に刺し込んだ
するとあれだけ強固だった手錠は簡単に開き早苗を開放した
(忘れていた)
このゲームは理不尽なのだ。全てが夢である以上どんな荒唐無稽なことでも理論も理屈も抜きに起きてしまう
あるのは“そうするとそうなってしまう”という原理だけ

立ち上がった早苗は神奈子の肉の一部と血で固まった鎌を拾う
「あんたまさか」
「・・・・」
鎌を持ち無言で近づいてくる
早苗は鎌を持つ手を大きく振りかぶった





「・・・・・・・」
真っ暗な部屋。体温をまったく感じない壁にもたれる神奈子は暗闇に目が慣れてくるのを待ってから血で汚れた紙を取り出した

_____________________________________________

『 ジカンナイ ニ コノヘヤ ヲ デレバ アナタ ノ カチ 』

【やってはいけないリスト】

・このステージに限り無し
・仮死状態の早苗が息を吹き返すのは20分後



※
_____________________________________________


――仮死状態の早苗が息を吹き返すのは20分後
横にいる死体に目をやる
先ほどまであれほど愛しいと思っていたのに、今は何も感じなかった

鎌を手元の鎌を拾う。これは最初に見たとき同様、新品の光沢を放っていた

「お前はただの肉の塊だ、早苗じゃない」
鎌を振り下ろしたくなる衝動に駆られる
今ならこの鎌一つで手首どころか、全身解体出来るような気がしていた
「くそっ!!」
鎌を向かいの壁に投げ捨てた
神奈子は諏訪子のような祟り神ではない。怨恨を引きずってはならないと自分の本来あるべき姿を思い起こす

早苗の蛇の髪飾りを外し、左手の手錠に刺し込む。戒めは簡単に解かれた
一度も振り返ることなく神奈子は出口に向かった
外に出ると光があまりにも眩しくて、神奈子は目を閉じた
(全部終わったら覚えてろ)
心の中でそう呟いた。それが誰に対してなのかは本人以外わからない






『プログラム修復中しばらくお待ちください』







『修復完了。引き続きゲームをお楽しみください』







※ ※ ※ ※


神奈子は守矢神社に続く石段の前にいた

「ファーストステージもとい、ペナルティステージクリアおめでとう。難易度的には難しくなかったでしょう?」
「諏訪子」
守矢神社のもう一柱の神がトントンとリズミカルに石段を降りてきた
「ステージクリアってのは一体どういうことだい?」
身に覚えないことを話されて眉を寄せる
「うん、その様子だとちゃんと記憶はリセットされてるみたいだね。プログラムは正常っと」
諏訪子の言葉に神奈子は首を傾げる。そんな彼女に一枚の紙が手渡される
「はいこれ、セカンドステージの紙」
意味がわからないまま神奈子はとりあえずそれに目を通してみた

_____________________________________________

『 ハクレイジンジャ マデ タドリツケバ アナタ ノ カチ 』

【やってはいけないリスト】








※ ※ ※ ※
_____________________________________________


「ゲームルールがわからないままセカンドステージってはキツイと思うけど、まぁそれも含めてペナルティってことで」
「なんだいこの紙は? それにさっきからあんたは何を?」
ついさっきまでの出来事を神奈子は忘れてしまっていた
「大丈夫。じきにわかるよ」




長い長い夢がようやく始まった




  • 神奈子様…流石だ。格好良いな。 -- 名無しさん (2009-05-05 10:03:02)
  • 神奈子好きじゃないが、今回の作品はグッときたね
    いよいよ真相に近づいてきたという感じだ
    【医学・科学】【魔法・魔術】【信仰・神徳】【深層心理】
    かなりの上位勢力が開発に関わってるんだな・・・・・
    正直これはいじめネタとは別の作品としてみてるよ -- 名無しさん (2009-05-05 17:55:50)
  • これ読んでから
    神奈子様の事考える度に勃起してるんだけど
    どうすればいいの? -- 名無しさん (2009-05-06 00:49:48)
  • CAUNTIONじゃなくてCAUTIONじゃ・・・ -- 名無しさん (2009-05-07 00:03:36)
  • とりあえず神奈子は今までの2人の世界の構築に関わっていたという事?
    はてさて黒幕は一体誰なのやら。 -- 名無しさん (2009-05-09 00:45:24)
  • いじめながら展開にワクワクしてしまうとは。次は誰かねえ。
    ときに、射命丸の取材は受けても断ってもダメってことなのかな? -- 名無しさん (2009-05-09 11:01:39)
  • SAWですかい!?
    -- 名無しさん (2009-05-09 17:53:19)
  • あと巻き込まれそうなのは、輝夜、さとり、天子、映姫ぐらいか? -- 名無しさん (2009-05-09 18:13:21)
  • むしろ幻想郷が総力を挙げて「夢でゲーム」みたいなのを
    作ったんじゃね? 諏訪子の言った事から考えると
    夢の中限定で記憶消す→夢の中でプレイ
    じゃね? -- 名無しさん (2009-05-09 22:43:33)
  • 面白い。ゲーム化するって言ってた人がいるけど期待してる
    ところで早苗が神奈子に大して言った言葉は何? -- 名無しさん (2009-05-09 23:55:45)
  • 下手すると眠り続ける可能性もないんだろうか
    だとすると霊夢が異変として出動するんだろうか -- 名無しさん (2009-05-10 02:01:40)
  • 続きが気になるなんてレベルじゃないな期待w

    おぜう様は別としてもw 神奈子様 紫
    記録者が妹様 藍 諏訪子 -- 名無しさん (2009-06-15 18:23:46)
  • SAWにしか見えんw
    でも面白かった。続きに期待。 -- 名無しさん (2009-06-15 20:11:16)
  • 次は永淋か輝夜がゲームに参加させられるとみた。 -- 名無しさん (2009-06-15 20:39:11)
  • 早く、早く続きを...! -- 名無しさん (2009-06-18 20:02:56)
  • 次回作はこちら
    http://www35.atwiki.jp/th_izime/pages/1109.html

    次のターゲットはかぐや! -- 名無しさん (2009-06-20 23:48:57)
  • まっさきに自分の左手を切り落とせばいいんじゃないかと思ったんだが。
    神様ならそのくらい耐えれる……かな? -- 名無しさん (2009-06-28 15:26:50)
  • ↑結果的に切り落としましたね。まあ神でも痛いのは嫌でしょうし、自分を信仰してくれてる人を傷つけるのは憚られたのではないでしょうか。 -- 名無しさん (2009-06-28 22:53:14)
  • 理不尽さで言えばこのシリーズ中最高だよなあ
    >全身解体出来るような気がしていた
    ここら編の描写が大好きだ -- 名無しさん (2010-06-13 13:47:40)
  • 僕らも記憶を消されて別の世界で別人として暮らす、
    というゲームをプレイしている幻想郷の妖怪あるいは神かもしれない!
    なんて思いついたけどむなしいだけでした…… -- 名無しさん (2010-11-02 01:18:19)
  • 医学・科学=永林
    魔法・魔術=パチュリー
    信仰・神徳=神奈子・諏訪子・早苗
    深層心理=さとり
    境界=紫 -- 名無しさん (2010-11-02 12:03:37)
  • 医学・科学=永林
    魔法・魔術=パチュリー
    信仰・神徳=神奈子・諏訪子・早苗
    深層心理=さとり
    境界=紫
    かな? -- 名無しさん (2010-11-02 12:05:11)
  • ↑いまさら気付いた連続すまん -- 名無しさん (2011-11-02 14:07:44)
名前:
コメント: