fuku0376.txtの蛇足です。見なくてもいいですいぢめ表現は無いです




気が付くと少しずつフランを目がうとうとしはじめる
添い寝での温もりを噛み締めながら目を閉じようとしていた

(最悪な結末を望むなら私もここで目を閉じてしまおう、そうすればもう全部終わるんだから)


まどろみのなか、二人の意識はどこまでも落ちていった
もう後戻りできない道を二人は共に歩み続ける









目を閉じる直前、美鈴は一度だけ思考する



(・・・・・・・でももし、ハッピーエンドを望むなら)


「ねえ、フランちゃん」
「ん?」

もう少しで眠りの堕ちそうなフランをこちらに引き戻した

「もし、まだ紅魔館が元通りできるとしたら、あなたはどうします?」
「できるの?」
「ええ、小悪魔の作った薬を使えば」
「えっと『刷り込み』だっけ?『絶対に解けない暗示』のことでしょ?」
「はいそうです、まだみんな死んでいないんです。ちょっとその薬を使って記憶をいじれば、みんな元通りなんです」
「そうなんだ」




「私はもう、どちらでも良いんです。フランちゃんが決めてください」

本当は明日朝市で薬瓶を壊すつもりでいた
でも全てをこの子に委ねようと思った

「うん、わかった」

言ってフランは美鈴の腕から離れて、机の方まで引き出しを開ける

「コインいっこ」
「?」

フランは引き出しからコインを取り出した

「表が出たら私たちはずっといっしょ。裏が出たら・・・・・」

言葉を言い終える前にフランはコインは指で弾く

コインは光の少ない地下室でキラキラと輝きながら空中を舞い、呆気なく床に落ちた




























ちょうど日も沈んだころの紅魔館の門の下

「お嬢様、お出かけですか?」
「ええ、これから神社の宴会なの」
「そうですか。楽しんできて下さい」
「当然よ。ずっと体調不良で寝込んでいたんだもの」

門番をする美鈴は、主人を快く送り出した

「お待ちください、お嬢様」
咲夜が駆けつけてきた、手には日傘
「朝帰りになるかもしれないんです。これをもっていったほうがよろしいですよ」
レミリアは面倒くさそうな顔をする
「あなた主人に荷物を持たせる気?」
「は?」
「咲夜、今日はあなたも来なさい、傘持ち係よ」
「え、その・・・・・いいんですか? 先ほどは久しぶりに霊夢に会えるとお喜びになっていたじゃありませんか? それに水をさすわけには」
「私がいいと言ってるの。いいから来なさい」
「・・・・・・はい!!」
一瞬だけ、咲夜は言葉に詰まるも瀟洒に返事を返した
咲夜は軽快な足取りでレミリアに付き従う







紅魔館の図書館

「小悪魔、この本の続き持ってきて」

本の整理をしている小悪魔に見えるように、自分が読み終わった本を高く掲げる
そんな本好きの主人に呆れるため息をつく

「そろそろお休みになりませんとお体に障りますよ?」
「この本の続きが気になって寝付けないわ」
「私をこちらに呼び戻したばかりで、ただでさえご負担をかけてしまっているのに」
「いいのよ、魔法の実験に失敗して。あなたを一度死なせてしまったんだから」

数日前にパチュリーは魔法の実験に失敗
それにより、小悪魔を失い。自身も怪我を負った。その後なんとか一命を取り留める
そして無理を言って早期退院して真っ先に小悪魔を呼び戻した
その時の小悪魔の表情をパチュリーは今でも鮮明に覚えている
しかし、肝心の実験の無いようについては、二人ともイマイチよく思い出せない
おそらく失敗した影響だろうと特に気にも留めていなかった

「また永遠亭に再入院させられますよ?」
「本が読めるならどこでも良いわ」
「その時は私もお供します。一度着てみたかったんです。ナース服。しかもサイズが一回り小さいパッツンパッツンのやつを・・・」
「なんという小悪魔」

復活しても、その小悪魔っぷりは健在である
もう道を間違えることは恐らく無いだろう




再び紅魔館の門の下

美鈴は体を大きく伸びをする、そろそろ交代の時間だ。今日も仕事が終わる

「さて、行くか」

美鈴は地下室に向かった
途中の廊下でこの前のことを思い出していた

フランの投げたコインは裏だった

だから、みんなが日常に戻ってこられた
どちらでも良いとが言ったが、正直コインで裏が出た瞬間、美鈴はその結果を残念に思っていた
だが最近裏が出てよかったと思えるようになってきた

小悪魔の作った薬でみんなの記憶の一部をいじった
元々数人で共有していた秘密だ、多少の矛盾は生まれても大きな歪みには繋がらなかった

小悪魔は薬を服用していない、美鈴とお互いの過ちを認め「この悲劇を繰り返さないためにも忘れたくない」と言った
その言葉に嘘は無いと美鈴は理解し、薬は飲ませなかった

そうこい考えているうちに地下室の扉にたどり着く
軽くノックをして、扉を開ける

「あ、めーりん」
「こんにちは、フランお嬢様」

美鈴の姿を確認してフランは机の引き出しを開ける

「あれ? なんで私、引き出しなんて開けたんだろう?」
「さあ、私に訊かれましても」

フランも薬を服用していた

美鈴が目を離した隙に残った量を全て飲み干した
暗示が効く直前にスペルカードを使い一人分だけ分身しその分身に「美鈴とのことを忘れなさい」と一言だけ言わせた
言わせた直後分身は消滅した

その瞬間、二人の関係は終わりを告げた



引き出しから首輪を取り出して不思議そうな顔をする
「変だね? 私動物なんて飼っていないのに」
「そうですね。おかしいですね」

あははと笑うフラン


その笑うフランを美鈴は抱きしめた
フランは急に抱きしめられて驚いたが、美鈴の背中に腕を回し体を預ける

「また寂しくなったら、いつでも言って下さい」
「?・・・別にさみしいたんて思ってないよ?」
「そうですか、どうやら私の思い違いのようです」

名残惜しそうに美鈴はフランから離れる

部屋を出る直前

「めーりん」
「はい、なんでしょう?」

振り向いた瞬間、フランにキスされた
唇と唇が重なり合う
(え?)
美鈴は目の前で起きたことが信じられなかった

フランはすぐに唇を離した
「また来てね!」
美鈴はすこし戸惑ったが
「はい、是非!!」

元気良く返事をして、美鈴は地下室を出た



地下室を出て美鈴は考えていた
なぜフランは紅魔館のメンツを救う選択肢を用意したのか? なぜ薬を自身も飲んだのか?

何か深い理由があったのか、それともただの気紛れか

紅魔館の主レミリア、その従者咲夜、友人のパチュリー。その3人はこれからも幻想郷の表舞台に立ち活躍し続けて
それとは対照的に妹のフランはこれからも紅魔館の暗部として存在し、日が当たることはない
この現実に彼女を不満に感じていなかったのだろうか?

美鈴はいつかの姉妹の会話を思い出す
日のあたる場所を吸血鬼が好むのは異常だと
表舞台に立たない彼女こそ、吸血鬼の思考かもしれない

あれこれ考えて美鈴は頭を振って、中断した
もともと彼女の性格を掴める人物などこの幻想郷にはいない
考えても堂々巡りになり答えはきっと出てこない
自分が彼女を理解できるのは何時の日か、美鈴の苦悩は続く


美鈴は気付かない。フランの口付けの意味を
それに気付いたとき、美鈴とフランがどうなるのかを









美鈴が出て行ってから、フランはベッドにうつ伏せになって寝転ぶ
接吻をした恥ずかしさに足をばたつかせて感情の昂ぶりを抑える

何時の間に手にしたのか、自分は先ほどの首輪を持っていた。それを手で遊ばせながら、空想を広げる
「でもこれだれのだろう? こんなの貰った覚えないし・・・・いつかこの持ち主がこれを取り戻しにここにやって来たりするのかな?」

もしそうだとしたらそれは楽しみだ。そう思い自然と笑みがこぼれる




光届かぬ地下室で、彼女は今日も首輪の持ち主を待ち続ける

fin











  • 別に全然蛇足じゃないでしょ
    むしろ俺はこっちの終わりの方がいい。。
    次回作にも期待してます! -- 名無しさん (2009-04-17 22:32:28)
  • いじめスレなのにハッピーエンド。だがそれが良い。
    後味スッキリで今夜は良い夢が見れそうだ。 -- 名無しさん (2009-04-18 00:32:58)
  • うん、いい話だ。普通にいい話だ。 -- 名無しさん (2009-04-18 02:07:17)
  • 全然蛇足じゃないですよ。イジメレスでも救いが
    あった方がいいじゃないですか。むしろ救いが
    あったほうが良いです -- 名無しさん (2009-04-18 22:40:11)
  • もしかしてフラン冒頭に飲んだ漢方で記憶あるんじゃ…。
    それでキスが平気になったという意味でしたんじゃないか。
    とご都合妄想した俺がいる。 -- 名無しさん (2009-07-23 19:29:13)
  • 首輪の持ち主=ペット
    つまりフランは自分が飼うペットを待っているということだろう -- 名無しさん (2009-07-23 21:52:19)
  • ほう、俺が来るのを待っているという事が -- 名無しさん (2009-08-09 09:32:35)
  • ↑いや、俺だ

    それにしてもいい話だ -- 名無しさん (2009-09-28 19:35:08)
  • バットエンドの終わりが良かっただけに、俺の中じゃはっきり言って蛇足だ。作者の言うとおりにね。だが、これでもいいや。
    この物語の中国の気持ちが少し理解できるよ。ほんとは彼女も、皆殺しをすることが救いに繋がらない事を理解してたんだろうな。
    だからフランにあんな選択肢を与えたんだろう。幸せが何なのか自分でも見失ってしまったんだ。それが歪んで歪んで・・・
    だけど、最後は救われて良かった。紅魔館の住人ではなく、美鈴自身が救われて良かったと思うよ。ああ、悪くなかった。
    作者には見事だと言わざるを得ないだろうな。ほんとにお疲れさまでした。


    -- J (2009-10-24 18:20:44)
  • ああ、そっか
    フランは美鈴とキスしたかったから薬飲んだのか
    あの記憶がある限りできないもんな
    気付いて泣いた -- 名無しさん (2010-05-23 22:54:08)
  • これ読んで正直救われた


    それとフランの潜在的にもつ優しさに大いに惹かれたよ


    -- 名無しさん (2010-06-11 18:49:17)
  • いい話じゃないか。 -- 名無しさん (2011-04-06 19:17:34)
  • 良い話だ… -- 名無しさん (2011-06-15 23:03:31)
  • とても良い話です。
    感動しました。 -- 名無しさん (2011-09-16 23:00:42)
  • 良いセンスだ。 -- 蛇 (2014-10-19 16:55:32)
  • 良かった… -- 名無しさん (2015-03-21 07:35:42)
  • いい -- 名無しさん (2015-03-21 07:36:11)
  • 良いものだな -- キング クズ (2016-07-06 03:32:21)
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