※ ※ ※ ※

「んん…」
いつも通りの朝、八雲紫は目を覚ました
焼き魚とお味噌汁のいい香りがする
耳をすませば台所で藍と橙が仲睦まじく朝食の支度をする声が聞こえる
「?」
自分の枕元に紙切れが一枚落ちていた。手を伸ばして拾う


文面にはこう書かれていた
_____________________________________________

『 チョウショク ヲ タベテ コノ イエ カラ デラレレバ アナタ ノ カチ 』

【やってはいけないリスト】

・二度寝はするな
・布団は押入れに片付けるな
・スキマを使うな								
・藍の出すお茶は飲むな
・幽々子に醤油を渡すな

※ ※ ※ ※	
_____________________________________________


「『朝食を食べて家の外に出られればあなたの勝ち』? やってはいけないリスト?二度寝? 意味がわからないわ……」
紙をくしゃくしゃに丸めて部屋の隅のクズかごに投げ捨てた。綺麗な放物線を描きカゴに入った
「さてと」
布団をかぶった。温もりを噛み締める
「寒い時期にする二度寝は格別ね」
再び紫は目蓋を閉じた



一方の食卓
調理が終わり、あとは出来たものを配膳するだけだった
「橙、そろそろ紫様を起こしてきてくれ」
「はい!」
元気良く返事をする。廊下を歩き紫の部屋の襖を開ける
「おはようございます紫さま。ごはんの仕度が出来ました」
紫は気持ち良さそうに寝息を立てていた
「紫さま?」
両手で主人の主人を揺すり起きるように促す
「起きて下さい。ごはん冷めちゃいますよ? ゆーかーりーさーまー?」
それなりに強く揺すった
「ああ~~~。起きるぅ・・・・・起きるからぁ・・・・・・・もう少し寝かせて・・・・・・」
「むぅ」
紫がこう言うときは昼まで起きないと相場が決まっている。橙は諦め、藍の元に戻った
藍は居間で座布団に座り待っていた
紫が起きるかどうかわからないため自分と橙の分しかまだちゃぶ台の上に並べていない
「紫様は?」
「寝てました」
「そうか」
橙は藍の隣に座ることなく台所へ向かいまな板の上の包丁を手に取る
「待ちなさい」
藍がそれを制した
「その野菜包丁は後で漬物を切るときに使うから、魚包丁にしなさい」
「はい。わかりました」
自然なやりとりだった。異常さを感じさせないほどに


襖の開く音がした
その音で紫は薄目を開けた
自分のすぐ隣で橙が正座した
「ああ、橙。すぐ起きるからちょっと待っ…」
「えい」
躊躇うことなく橙は紫の腹に包丁を突き立てた
「か、、、は、、ぁ!」
酸欠の金魚のように口をパクつかせて、紫の意識は途絶えた
「紫さま、二度寝なんかしたら駄目ですよ」













※ ※ ※

「はっ!」
紫は布団から飛び起きた。急ぎ橙に刺された箇所を確認する
「・・・・・・って、あら?」
体にはどこも異常は見られなかった
額に浮いた油汗を拭う
いつも通りの朝。焼き魚とお味噌汁のいい香りがする
「・・・・夢?」
今までの出来事が全部夢だとわかり安堵する
「なんだ」
体全体が脱力して布団を背中から倒れこんだ
しかし今しがた見た夢のせいか二度寝をしようなどという気は起きなかった
名残惜しさを感じながら布団から出る
着替えて廊下に出るとすぐ橙に出会った
「おはようございます紫さま。ごはんの仕度が出来ました」
夢で最後に見た光景。無表情のまま自分の腹に包丁を刺す姿が一瞬フラッシュバックする
「え、ああ、うん。ありがとう」
一緒に食卓へ向かう
すでに朝食の用意は済んでいた。しかし自分の席にはまだ何も置かれていなかった
「おはようございます。紫様」
藍が挨拶する。橙は藍の隣に座ることなく台所へ向かいまな板の上にあったものを手に取った
それを見て紫はギョッとした
橙は包丁を握っていた。夢で見たのと同じ光景だった
「ちぇ、橙。そんなもの持ち出してなんのつもり?」
藍も立ち上がり橙を見る。この時、紫は橙を叱り付けるのだと思った
「その野菜包丁は後で漬物を切るときに使うから、魚包丁にしなさい」
「はい。わかりました」
「は? 藍、あなたまで何言って・・・」
不自然な会話であるはずなのに、それを当たり前のように話す二人に紫は目を疑った
夢で見たのと同じ形の包丁を手に取り、橙はそのまま廊下の向こうへ消えていった


「一体どうしたのあなた達?」
二人に憑いている式にこれといったバグは見あたらない。この二人が狂っているのは事実だがその原因がわからない
やはり自分の見た夢と何か関係があるのかもしれない
「そんなことより、お部屋のお布団は片付けましたか?」
「質問に答えなさい」
紫のその声は僅かに怒気を孕んでいた。普段の余裕さが無くなっていた
「それですと、ご質問にお答えすることが出来ません、朝食をお出しすることも出来ません。お手数ですが布団を片付けてきてください」
「今はそれどころじゃないわ!!」
「・・・・」
「いいから答えなさい!!」
「・・・・」
紫の言葉に反応せず、貝のように黙りこんだ
「何か言いなさい!!」
「・・・・」
口を閉ざす藍に紫は折れた
「わかった。行けば良いんでしょ行けば!!」
なぜか今だけは藍の言葉に従ったほうが懸命な気がした
「ありがとうございます」
紫が立ち上がると藍は普段の表情にもどっていた


「全く。布団がどうしたっていうのよ・・・」
悪態をつきながら、部屋に続く廊下を進む
廊下に橙の姿は無かった
自室の襖に手をかけようとして、その手がピタリと止まった
中から物音がした
(ここに、橙がいる?)
夢通りに事が進んでいるとしたら、この部屋に橙がいる公算は高い
開けた瞬間、夢そのままに不意打ちでグサリでは洒落にならない
だから恐る恐る開けた

部屋にはだれもいない

「はぁ、馬鹿馬鹿しい。橙ごときに私は何を恐れているのかしら…」
あんなものは所詮夢だと自分に言い聞かせる
ぼやきながら布団を畳み押入れの戸を開けた
何か重大なことを忘れているような気がしたが無視した

「あっ」

押し入れの中で体育座りして隠れていた橙と目が合った
橙は手を前に突き出した
「ご、ほ・・・」
手にしていた包丁が紫の腹に深く沈みこんだ
「な・・・ん、で・・・・・」
「紫さま、こっちは間違いです。天気のいい日は縁側に出すのが正解です」
紫が最後に見たのは橙の屈託の無い笑顔だった












※ ※

「うわっ!!」
体をくの字に曲げながら紫は飛び起きた
「はーーーーっ、はーーーーーーっ、はーーーーーーーーーっ」
何度も何度も深呼吸する
布団の中で十分に温まっていたはずなのに両腕に鳥肌がたっていた
「何なの、一体何なの・・・今わたしに何が起きているの!?」
覚めたと思ったらそれもまた夢だった
「おはようございます紫さま。ごはんの仕度が出来ました」
この言葉を聞くのは三度目だった
「ひぃ!!」
いつの間にか橙がすぐ隣に立っていた
「き、着替えるから先に行ってて・・・」
「わかりました」
橙を先に行かせて着替える
なんとか気持ちを落ち着ける
「しかし変な夢だわ。二回も橙に殺されるなんて」
夢は深層心理に深く関わっているというが、自分は橙に苦手意識でも持っているのだろうかと思いを巡らせる
「ふふふ。あれが正夢なら今度橙がここに来る時は包丁を持ってくるのかしら…あら?」
着替えて廊下に出ようした途中。昨日までカラだったはずのクズカゴに紙が入っているのを見つけた

「これは?」

くしゃくしゃになった紙を広げる
_____________________________________________

『 チョウショク ヲ タベテ コノ イエ カラ デラレレバ アナタ ノ カチ 』

【やってはいけないリスト】

・二度寝はするな
・布団は押入れに片付けるな
・スキマを使うな								
・藍の出すお茶は飲むな
・幽々子に醤油を渡すな	

※ ※			
_____________________________________________

「なによ・・・・・これ?」
  ・二度寝はするな
  ・布団は片付けるな
夢の中で自分が殺された理不尽な理由と一致していた
「どういうこと。あれは全部夢はなかったの…」
紙を持つ手が震えた
恐怖が背中からのしかかり、徐々に全身を覆う
何が夢で何が現実かわからない
眠気などすでに吹き飛んでいた

紙は皺を綺麗に伸ばして袖に仕舞った

居間に向かう途中の廊下で包丁を持った橙とすれ違った
すれ違いそのまま橙は紫の部屋に入っていった
不思議と驚きはしなかった
(デジャヴ? 予知夢? 時間が巻き戻ってる?)
何かの異変かなどとあれこれ考えながら藍の元へ向かった

「おはようございます。紫様」
「色々聞きたいのだけれどいいかしら?」
居間で座っている藍に開口一番そう告げた
「シナリオを進めたいなら、まずはお布団を片付けて来てください。お話はそれからです」
「シナリオってどういうこと? 今までのは全部夢じゃないの?」
言われた通り部屋に戻り布団を畳む
「……」
布団を押入れには仕舞わず今度は縁側に出て広げた
すると自室の押入れの中からパチパチと拍手らしき音が聞こえた


「片付けてきたわ」
紫が戻ってきた頃には自分の座る位置にご飯と味噌汁、焼き魚と玉子焼きが置かれていた
「ご苦労さまです」
戻ってきた紫の前に藍は湯のみを差し出した
「ありがとう」
体が冷えて喉も渇いていたので丁度良かった
勧められるまま飲む
「・・・っ」
飲んで数秒、心臓に強烈な痛みを感じた
「私が出すお茶を飲んではだめだと紙に書いてあったでしょうに? いい加減学習してください」
やれやれと藍は呆れ、首を左右に振った
紫は自分の心臓が停止して脳が徐々に死んでゆく感覚に苛まれる
「わ、た…し、しぬ…の?」

「死ぬわけないじゃないですか。これも所詮夢なんですから」
意識を手放す直前、そう答えてくれた









「またこれも夢?」
再び布団の中で紫は目を覚ました
「・・・・・一体」
誰かの足音がして。襖が開いた
「おはようございます紫さま。ごはんの仕度が出来ました」
これを聞くのは四度目である
「煩いわね。どうせ次にここに来る時は包丁持ってきてるんでしょ? 何なら入りやすいように押入れの戸も開けておいてあげましょうか?」
声と目で橙を威嚇した。今は恐怖よりも不快感のほうが強かった
しかし紫の態度で特に顔色を変えることもなく橙は部屋から出て行った

居なくなったのを確認して着替えると袖に違和感を感じた
「この紙は・・・」
取り出すとそれはあの紙切れだった
_____________________________________________

『 チョウショク ヲ タベテ コノ イエ カラ デラレレバ アナタ ノ カチ 』

【やってはいけないリスト】

・二度寝はするな
・布団は押入れに片付けるな
・スキマを使うな								
・藍の出すお茶は飲むな
・幽々子に醤油を渡すな	

※		
_____________________________________________

紙には皺を伸ばして綺麗にした後があった

「※(こめじるし)の数が減ってる?」
最初に4つあったそれは今は1つになっている
「私が3回死んだから?」
自分が死ぬごとに※が減っていることに気付いた
(もしこれが無くなったら?)
想像して何故か血の気が引いた
「失礼します」
突然橙が部屋に入ってきた。案の定、手に包丁が握られている
紫を無視してそのまま押入れを開けて下の段に座り、戸を閉めた
「・・・・・」
先ほど夢でしたように布団を縁側に干すと、また押入れの中から拍手の音が聞こえた
段々と仕組みとルールがわかってきた

「おはようございます。紫様」
「ええ、おはよう」
やはり紫の分はまだ用意されていなかった
「朝食の前にお布団を…」
「知ってる。もう片付けたわ。だから質問に答えなさい」
「私が答えられる範囲で良ければ」
言いつつ藍は味噌汁の鍋の蓋を開けた。味噌の香りが鼻腔をくすぐった
「これは夢? 現実?」
まず自分の置かれている状況が知りたかった
「夢です。全ては紫様の脳内で起きていることです」
「どうやったら抜け出せるの? もとい私は起きられるの?」
「ゲームに勝つ以外に方法はありません」
紫は袖に仕舞っておいた紙を取り出した
「朝食を食べてこの家から出たら、このゲームは私の勝ちってこと?」
藍は急須を取り、湯のみに茶を注ぐ
「そうです。私も橙も皆あらかじめ決められた行動パターンしか取りません。それを上手く掻い潜り脱出するのがこのゲームの趣旨です」
紫の前に湯のみが置かれた
「悪いけどこれは飲めないわ」
「左様ですか」
スキマに捨ててしまおうと考える

――スキマを使うな

「ッ!」
紙にその項目があったのを思い出して紫はスキマを広げるのを思いとどまった
「もしここで私がスキマを開いたらどうなるの?」
「スキマを使った時点で紫様の残機は無条件で一つ減ります」
「残機?」
怪訝な顔をする紫を他所に、藍は彼女の持つ紙を指さす
「そこに書いてある ※ のことです。それが減ります」
「これが減るとどうなるの?」
「紫様が私にその質問をするのは4度目ですね」
「4度目?」
ますますワケが分らなくなる
「分るように言いなさい。残機が無くなると私は死ぬの?」
「いいえ。コンテニューされます。残機量がはじめの数に戻り記憶がリセットされた状態で再スタートします。ちなみに紫様は既に4度コンティニューなさっています」
「なッ!!?」
藍はおひつに移したごはんを茶碗に盛り付けながら言ったそれは、紫にとって衝撃的だった
「私は16回もこんな茶番を繰り返しているというの!?」
「正確には19回です。現在までの死亡内訳は橙で9回、私で5回、スキマを開いての強制死亡が4回、幽々子様で1回です」
「幽々子?」
「もうすぐお見えになります」
藍が言い終わると同時に勝手口が開いた
「おはよう紫。朝ごはんをもらいに来たわ」
上機嫌な幽々子はそのまま紫の対面に座る
藍はテキパキと幽々子の前に紫と同じ料理を並べていく
「いただきます」と手を合わせて幽々子は食べ始めた

紫は幽々子の姿をつぶさに観察し警戒する。自分は一度彼女に殺されている。どんな不意打ちがくるかわからない
「ねぇ紫」
「な、なに?」
箸が突然止まると朗らかな表情で紫を見た
「“それ”取ってくれないかしら?」
「それ?」
幽々子が目配せをした位置には、醤油、塩、一味、と3種類の調味料が置かれていた
「どれかしら?」
「私とあなたは以心伝心の仲でしょう? 言わなくてもわかるじゃない」
ゾクリと紫は自分の背後に冷たいものを感じた
振り返ると桜色の蝶が一匹、懸命に羽ばたいていた
「ちなみに紫様はここで選択を間違えて4度目のコンティニューになりました」
横から粛々と藍が告げた
「藍は正解を知っているの? 知っているなら教えなさい」
「それは出来ません。私の役割はこのゲームの説明と数字の記録、そして禁止行動を取ったあなたを殺害することです」
「ねぇ早く取って頂戴な」
幽々子に急かされて紫は焦った
(醤油は駄目だとすると・・・・・塩? 一味?)
醤油以外のヒントが紙には記載されていなかった
「なぜ正解が書かれていないの?」
「【やってはいけないリスト】の項目は、紫様が死亡した場合その原因を『○○してはいけない』という形で追記していきます
 禁止リストは、過去の紫様が未来の自分に宛てたダイイングメッセージだとお考えください」
もし新しいイベントで選択を間違えて死亡した場合は、その原因が記録されて後のヒントになるらしい
「つまり新しいイベントは自力で解決するしかないというわけね?」
「そうです」
「ねぇ早く取って頂戴な」
先ほどと変わらぬ表情で幽々子は同じセリフを吐いた
(醤油が駄目といことは、普通は塩ね)
塩の小瓶を取って幽々子に向けて手を伸ばす
幽々子は「ありがとう」と礼を述べて、それを受け取ろうとした

「やっぱり待って!! 変更するわ!!」

慌てて塩の瓶を引っ込めた。受け取ろうとした幽々子の手が空を切る
(亡霊に塩渡してどうすんのよ私!!)
塩を置いて、一味を渡した
「そうそう、最近辛いのに凝ってるのよ♪ 家じゃ妖夢がうるさくて…」
「そ、そうなの」
味噌汁に並々と一味が注がれる
紫の選択は正しかった



食事を終えて幽々子は帰っていった
幽々子が居なくなってから、紙に直筆で『幽々子に渡すのは一味』と書き込んだ
ここで死んだら記憶がまた消されてしまうため、その予防策だった
それを藍に見せる
「残機が減って時間が巻き戻されても、この紙に書き込んだことだけは消されないのよね?」
「はい。消えません」
「じゃあこの紙は失くしたらどうなるの?」
「コンテニューされると紙は自動で再発行されます。その際、そこに書き込んであった文字が消えていることはありません」
「そう、安心したわ」
「ちなみにその方法を思いついたのは今回が初めてです」
「流石は私ね」


それから少しあとに紫も朝食を食べ終えた
「後はここから外に出ればいいのよね?」
「そうです。それでステージクリアです」


慎重に廊下を進む
ここから先は未体験の領域。どこで何が起きるか分らない
橙がまた襲ってくるかもしれない
余計な行動は取らないようにして玄関に向かう

橙に出会うことなく目的地に着くことができた
靴を履き、背後に気をつけながら玄関を開ける
「おーーーす。紫。遊びに来たぞーーー」
「なんでここに萃香が…?」
玄関から5mほど先に友人の伊吹萃香が立っていた
手には拳大の岩が握られている
「お、いたいた♪ 紫発見♪」
紫を見るなり萃香は投球モーションを取った
反射的に紫は身をのけぞらせる
たった今顔のあった位置を岩が通過してそのまま後方の壁に深々とめり込んだ。萃香の投げたものだ
「ありゃ? 外した?」
残念そうな顔をする。しかしその表情も一瞬
「まあいいや。次~♪」
疎と密を操り萃香は手に小石を集め始めた。小石が集まり押し固まって再び拳大の岩が作られていく
「ちょっと!! なんで萃香が私をっ!??」

玄関を閉めて慌てて藍のいる居間に駆け込んだ

「あれじゃあ外に出られないじゃない!! スキマを使わずに萃香を倒せっていうの!!」
紙に『玄関に萃香有り。注意』と書き込んでから、藍に問い詰める
「攻略方法は紫様の考えを尊重させていただきます」
「おーーーす。紫。遊びに来たぞーーー」
廊下から萃香の声がした。家に上がって来ているようだ

「何かヒントらしいヒントは…」
紙を広げてみた
_____________________________________________

『 チョウショク ヲ タベテ コノ イエ カラ デラレレバ アナタ ノ カチ 』

【やってはいけないリスト】

・二度寝はするな			幽々子に渡すのは一味
・布団は押入れに片付けるな		玄関に萃香有り。注意
・スキマを使うな								
・藍の出すお茶は飲むな
・幽々子に醤油を渡すな	

※		
_____________________________________________


それでハタと気がついた
「ようはこの家から出ればいいのよね? 別に玄関から出ろとかいう条件は無いのね?」
「ええ。そうです。攻略方法は紫様の考えを尊重させていただきます」
「お、いたいた♪ 紫発見♪」
すぐ近くで声が聞こえた。廊下の先、お互いが見える位置に萃香は居た
萃香が投球モーションを取る
「くっ!!」
姿勢を低くして紫は幽々子が入ってきた台所の勝手口に飛び込む
その紫目掛けて萃香は岩を投擲した

紫の頭上を掠めた岩が勝手口のドアをぶち破るのと、紫がそのドアに体当たりをしたのはほぼ同時だった

「うぐっ」

背中から地面に落ちて転がる
顔を上げて周囲の安全を確認する

紫の体は外に出ていた

「どうよ藍!! 家の外に出たわよ!!」
額から血が流れていたが気にならなかった
「おめでとうございます。ステージクリアです」
淡々と藍が宣言すると、紫はそのまま大の字になって地面に倒れた
「良かった。これで起きられるわ・・・」

そのまま紫の視界は暗転した



















「え? なに? どういうこと?」
気がつくと自分は先ほどの勝手口に立っていた
壊れたドアが直っている。頭の怪我も治っている

「どういうことよ藍! さっき『ゲームクリア』って!?」
居間まで戻り藍に詰め寄った
「ファーストステージをクリアしたという意味です。これは2面、つまりセカンドステージです」
「ふざけないでちょうだい!! あんなこともう沢山よッ!!」
「このやり取りをするのは6回目です」
「ろ、6回目? へ?」
自分が紙を握り締めていることに気付いた
___________________________________________

『 ハクレイジンジャ マデ タドリツケバ アナタ ノ カチ 』

【やってはいけないリスト】

・家に長居するな
・魔理沙に構うな
・妖精を無視するな
・スキマを使うな
・右足から着地するな
・賽銭を忘れるな

※ ※ ※ ※	
_____________________________________________

「なにこれ?」
「紫様は既に5回コンティニューなさっています。その成果がソレです」
「う、嘘…何よそれ、聞いてないわよ」
声が震えていた
「どうして私はこんなことになってるの? だれの陰謀? あと何面あるの?」
表情も声も今にも泣きそうだった
「その答えにはどれもプロテクトが掛かっていてお答えできません」
藍の胸倉を掴む
「出して!!!! 出してよッ!!!!!!! 一歩間違えば死ぬ世界になんてもう居たくないのよ!!!!」
声を荒げた。幼児がダダをこねるように泣いた
「何言ってるんですか? 安全が絶対に約束された世界なんてどこにもありませんよ」
「死ななくても先に頭が狂うわよ!!」
「記憶はリセットされるので狂う心配もありません。現に紫様は同じことを違う場面で既に8回仰っています」
「う……うううううっ」
頭を抱えてその場で泣き崩れた

「紙に『家に長居するな』と書いてあるでしょう? このままだと無意味に残機を減らしますよ?」
藍は冷たく言い放つ




夢はまだ終わらない


  • まるで世にも奇妙な物語みたいだ。
    面白かったです!! -- JN (2009-03-07 15:41:51)
  • 元ネタがあるんだろうか・・・・
    CUBEとSAWに他のネタが混ざったような感じがする -- 名無しさん (2009-03-08 01:30:02)
  • こういう話は後々ジワジワくるから怖い…。
    とっても面白かったです。

    >賽銭を忘れるな
    これだけは何があったのかが容易に想像できるwww -- 名無しさん (2009-03-08 03:42:56)
  • 一面ごとに残機が回復するなら何とかなると思う -- 名無しさん (2009-03-11 00:23:28)
  • いや、256面まで行ったらまた1面に戻るのかもしれんぞ -- 名無しさん (2009-03-11 00:49:39)
  • すげえ気持ち悪いな…ゾッとするわ -- 名無しさん (2009-03-11 03:22:45)
  • これ紅魔館でやっても面白そうだな。妹様の相手とかいろいろ分岐しそうだ。 -- 名無しさん (2009-03-11 11:25:26)
  • このSSを元に選択シュミレーションのノベルゲー作っていいか?
    作者さんいたら返事よろ

    -- アレル (2009-03-11 13:25:44)
  • シャドウゲイトですね分かります -- 名無しさん (2009-03-11 22:52:00)
  • おお、ゲーム化したら楽しそうだな -- 名無しさん (2009-03-12 21:33:14)
  • こういう所に作者が出てくると『自己主張強いなコイツ』と思われそうな気がして今まで書き込むのを躊躇ってました

    ノベルゲー云々が本気か冗談かはわかりませんが
    この話自体、ありふれたリピート物を東方キャラで書いた二次創作に過ぎないのでどうぞお好きなようにして下さい

    ちなみに少し前から、これのレミリアverを書いています。近いうちに完成しそうです -- 書いた奴 (2009-03-13 02:15:01)
  • 君には期待している -- 名無しさん (2009-03-13 08:15:36)
  • もしゲーム化するとしたら題名は「ゆかにっき」がいいな -- 名無しさん (2009-03-14 00:06:58)
  • すごく嫌な鳥肌がたった。GJ -- 名無しさん (2009-03-15 01:22:09)
  • 2面以降がものすごく気になる -- 名無しさん (2009-03-15 22:42:58)
  • 続きを超期待 -- 名無しさん (2009-03-24 17:09:45)
  • おもしれええ。テンパるゆかりんがかわいい -- 名無しさん (2009-08-08 23:46:59)
  • なんかジョジョの六部に<~しろ>とか徐倫が体に書いてたのを思い出した -- 名無しさん (2009-08-12 20:35:13)
  • エンポリオに会え -- 名無しさん (2009-08-12 20:57:01)
  • なんかびびっと来た。
    いいねこうゆうの。 -- 名無しさん (2009-10-14 22:46:14)
  • これ一番つらいのは藍さまだよね -- 名無しさん (2010-04-04 13:14:30)
  • やあ。ゲーム製作は順調に進んでいるよ。 -- アレル (2010-08-22 04:46:29)
  • ゲーム製作とな!?
    完成を楽しみにしています -- 名無しさん (2010-08-22 08:00:59)
  • ゲームだと…
    期待しないわけにはいかないじゃないか -- 名無しさん (2010-08-26 02:44:12)
  • 何ゲーになるんだろうか。主の新作も楽しみだが、ゲーム化も楽しみだ。 -- 名無しさん (2010-08-26 20:03:54)
  • ってノベルゲーと書かれていたな、失礼。読み手ができるのは選択肢を選ぶのみという制約の中で、どれだけ「クリア方法はプレイヤーの意志を尊重」したゲームに仕上がるか期待…… -- 名無しさん (2010-08-26 20:07:29)
  • 続きへ誘導「レミリア いぢめ」http://www35.atwiki.jp/th_izime/pages/940.html -- 名無しさん (2011-01-06 03:01:32)
  • 橙こえぇwww -- 名無しさん (2011-06-12 22:34:07)
  • 紫の生活習慣を直したり反応を見たりするために皆でワイワイガヤガヤ楽しく
    ステージ設定をしたんじゃないかと勘ぐってしまうぞ俺 -- 名無しさん (2011-10-10 23:18:48)
  • 続きはまだかなぁ… -- 名無しさん (2012-11-19 16:07:10)
  • 面白かった
    やり取りを繰り返しているのがハルヒに似ているね -- 名無しさん (2013-05-26 08:36:36)
  • 私はあと何回死ぬの…私は…私はッ‼
    私のそばに近寄るなアアアアアーーーーーッ‼ -- 名無しさん (2013-10-19 12:28:06)
  • エキストラあったら笑い死ぬかも -- 名無しさん (2014-03-01 15:16:27)
  • 普通に怖くなった -- 名無しさん (2016-07-31 05:50:16)
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