fuku0123.txtの続きです
蛇足です







自室でレミリアが目を覚ますとそこにはまず従者がいた
「お嬢様、私のことわかりますか?」
「咲夜でしょ?いくら私が長生きしてるからってそこまでもうろくしてないわ・・・・・ってあら?」
咲夜は泣き出していた
次に部屋に現れたのは美鈴
レミリアの姿を見た瞬間、「お嬢様がお目覚めになられましたー!」と絶叫しながら館中を駆け回って周囲に報告した
次に部屋にやって来たのはパチュリーと小悪魔
「あなた一年も寝てたのよ」と知らされてレミリアは驚いた
どおりで頭が少しぼんやりしているのかと納得した
そのぼんやりした頭で、レミリアは紅魔館のメンバーで最後の一人が現れるのを待った
しかし、待てども待てどもその子はやってこない
だから気になって聞いた
「ねぇ、フランはどうしてこないの?せっかく一年ぶりに目覚めたというのに薄情な子ね」
皆の空気が一気に重くなるのを感じた


ああそうか、フランは霊夢が持って行っちゃったんだ


一年前の出来事をつい昨日のことのように思い出す
「でもまあ、霊夢のことだから悪いようには・・・・・・・」
「あの子はもう、この世には居ないわ」
「へ?」
パチュリーの言っている意味がわからず、もう一度聞き返す
「あの子なら、半年前に死んだわ」
「何を言い出すのパチェ?驚かすならもっとマシな嘘を・・・・・」
レミリアが咲夜、美鈴、小悪魔と視線を送っても、全員顔を伏せてしまう
「冗談でしょ?」
「これ。妹様のよ・・・・・」
パチュリーが差し出したものは透明な低い円柱型のプラスチック、実験室で良く見るシャーレだった
その中にコロコロと転がる、小さな白いものが二つ
吸血鬼の牙だった
「・・・・・・・・こ、こんな歯、他の妖怪にだってあるじゃない!」
「じゃあ、これを見れば理解してくれるかしら」
次にパチュリーが取り出したのは布で包んである長物
布を僅かに解くとまず見えたのは
宝石のような装飾品
「うっ!」
レミリアは口を押さえ、その場で嘔吐した
姉妹だからわかる、あれは正真正銘、妹の羽だ
「大丈夫ですか!お嬢様」
咲夜が替えの服を持ってきて、手早く着替えさせ、シーツを取り替える
なおもパチュリーは続ける
「そしてこれが妹様の・・・・・・」
「もう、止めて下さい!」
美鈴がパチュリーを制する
「ごめんなさい・・・・・ちょっとムキになってたわ」
「いいんです。お気持ちはわかりますから・・・」
美鈴も声を荒げてしまい反省する
パチュリーの手にはフランが生前被っていた帽子があった

レミリアはその帽子を見るやいなや、強引に引ったくり胸に抱え大声で泣き始めた


体中の水分を全て出し切るほど泣き
ようやくレミリアは落ち着いた
「フランはどうして死んだの?事故?病気?」
「「「・・・・・・・・・・」」」
皆、答えようとしない
ベットから起き上がり外へ出ようとするとドアの前で美鈴が立ちはだかる
「ベットにお戻りください。まだお体は本調子ではないんですよ?」
「いいから、どきなさい」
「・・・・・・・・・・・・・・失礼しました」
眼力だけで美鈴をねじ伏せて、道をあけさせる
外は日が差していたため適当な傘を取り神社に向けて出立した
(お気に入りの傘はどこにいったのかしら?)
なぜか、ふとそんなことを思った


部屋に残された4人
美鈴が口を開く
「いいのでしょうか・・・・・・お嬢様を行かせて・・・・」
その問いに答えられるものはどこにも居なかった





博麗神社の遥か上空にレミリアは到着する
彼女の手には日傘、もう片方の手にはグングニルが握られている
彼女の眼下には巫女装束を着て、箒で庭を掃除する赤いリボンをした黒髪の女性
「フランの仇・・・・・ここで討たせてもらうわ」
レミリアは大きく振りかぶった



初撃は外れてしまった
原因は距離があったこと、体がまだ本調子でないこと、傘をさしていたことが挙げられる

ターゲットが建物の中に逃げ込んでからは、真上から出鱈目に槍を投げ続けた
家が半壊するまで、投擲を止めなかった
その間、一度も反撃されることは無かった

投げ終えて戦果を確認するために、庭に降り立ち、中に入る
傘を捨てて両手を自由にして奇襲にそなえる
「!」
床に血痕を見つけた
それが足跡のように奥のほうへ続いている。血の量からして結構な深手だ
その血を指ですくって舐める。間違いなく霊夢の血だった

少し進んだ奥の部屋でうつぶせに倒れている巫女を見つけた
腹部から結構な量の血が流れている
レミリアは巫女の黒髪を容赦なく掴み無理矢理体を起こさせる
「・・・・・霊夢じゃない」
無理矢理起こされた少女は痛みに耐えかねて小さくうめき声を上げた

近づいた時から体格に違和感を感じていた
この巫女の体は霊夢に比べて遥かに小柄だった

(新入りかしら?)
一年の時間が過ぎたのだ、霊夢が弟子を取っていても不思議ではない
しかし、一つの疑問が残る
(じゃあなぜ、こいつの体から霊夢の血の匂いがするの?)
苦痛に顔をしかめて悶える少女の顔を観察する
この顔に見覚えがあった

















「あなた・・・・・・・・・・・・・フラン?」

目の前にいたのは、レミリアの妹のフランドールだった
巫女装束と黒髪、彼女を象徴する羽が無いことで気付かなかったが、間違いなくフランだった
「ちょっと、これ・・・どういうことよ・・・・・・・」
「嫌な予感がして、急いで戻って来て見れば・・・・・・・・・ずいぶん早いお目覚めじゃない?レミリア?」
背後から自分の良く知っている声がした、一度は恋焦がれた相手だ
「霊夢」
振り返ると同時に視界全てを塞ぐほどの御札がレミリアを襲い、そのまま体に張り付き床に貼り付けられた
「壊れた神社の修理費の請求は、紅魔館でいいのかしら?」
「そんなことよりもその子を・・・・・・・・フランを!!」
レミリアにとって今の自分の身よりも妹の方が心配だった
「大丈夫よ、この子ならこの程度じゃ死なないわ」
霊夢がフランを抱き起こして、腹部の具合を確認する
「良かったもう塞がってる・・・・」
霊夢が心から安心したのが見て取れた




「貴様・・・・・フランに何をした!?」
抜け落ちた羽、黒髪、霊夢と同じ血液、日光にさらされても大丈夫だった体。今のフランには不可解なことが多すぎる
「最初はね、部屋に閉じ込めてずっと一緒にいようと思ったの。でもそれじゃ、あんたとやってることが同じだと気付いたのよ、それじゃ可哀想じゃない?」
霊夢は思い出を語るように話し始める
「フランに自由を教えてあげたかったの。だから体を少し改造(イジ)らせて貰ったわ、辛かったけど、全てはこの子のためよ」
聞きなれない言葉にレミリアが反応する
「改造(イジ)った?」
構わず霊夢は話を続ける
「まずは、フランの体から全部の血液を抜いて、仮死状態にするの。それから毎日少しずつ私の血を輸血していって。そのあとの工程がまた大変なのよ・・・・
まあこれ以上説明すると長くなるし企業秘密だから省略するけど。最終的に羽と牙が自然に落ちて、私と同じ髪の色になれば、こんにちは新しい博麗の巫女ってわけよ」
「貴様・・・・・・・」
それを聞いてレミリアは体に力を込める、しかし拘束が解ける気配はない
霊夢の話はさらに続く
「博麗に代々伝わる術式と私の手にかかれば吸血鬼を巫女に変えるくらい造作もないことよ。まあそのために魔理沙並に努力と研究を重ねたけれど
だけどこれなら私が引退してもフランがいるから数千年は代替わりする必要はないわね。紫と組めば最強なんじゃないかしら?」

吸血鬼の長所と博麗の力をもった究極の存在
そしてフランには巫女としての才覚があると、霊夢は褒める

「あと記憶も消したわ、495年も地下室に居ても良いことなんて無かったでしょうから。かわりに新しい記憶と名前をあげたわ」
「なんですって!」

調度その時フランの意識が回復する

「うう・・・・」
「○○・・・・・・しっかりして○○・・・・」
○○とはフランの新しい名前らしい、レミリアの耳には全く馴染みそうに無い名前だった

目を開け、レミリアの姿を確認するやいなや、飛び起き。針と札を構える
「れーむ様こいつが、この妖怪が神社を!!」
「大丈夫よ、もう捕らえてあるわ」
フランが札まみれのレミリアを睨みつける
「貴様よくも神社を・・・・」
「フラン待って、私よ!!姉のレミリアよ!!」
「レミリア?紅魔館に住む吸血鬼がなぜここを襲う?それにフランとは誰のことだ?」
以前のフランからは想像をできない口調と態度を取られレミリアは困惑する
「・・・行きなさい吸血鬼。今回は特別に見逃がしてあげるわ」
霊夢がそう言った瞬間、札が離れ体が自由になった
「れーむ様。それでは!?」
「いいのよ・・・・・・・・・・・・・・・レミリア。ほら、さっさと消えなさい」

霊夢の言われるがままに、自分は立ち去るしかなかった










紅魔館にもどり、レミリアは一同に問い詰めた
そしたらパチュリーが彼女の知っているかぎりの全てを話してくれた



世間でのフランに対する認識はこうだ
○○は捨て子で身寄りが無いため、博麗の巫女が引き取った
まだ年齢は幼いが、巫女としての隠れた才能が頭角を表し始め、霊夢の後継者として修行の毎日を送っている
というもの

「でも、フランは吸血鬼と同じペースで歳を取るのよ?周囲が不審に思うんじゃない?」
「その辺は、上手く誤魔化すんじゃない?協力者に隙間妖怪にハクタクもいるし。もしかしたらその体質でも構わないと周囲が受け入れてくれる日がくるかもしれない」

幻想郷縁起にはフランドール・スカーレットは死んだものとして扱われている

「確かに・・・・・あれじゃフランは死んだも同然ね・・・・・・」
記憶を消され、人格は別人。顔以外にフランらしいところはなに一つ残っていなかった

ちなみにフランの前で吸血鬼の話をするのは、秘密を知る者たちの間で最大のタブーとされている

「ねぇパチェ?」
「なに」
「あなたの目から見て、今のフランは幸せだと思う?」
これだけがレミリアにとって最も重要なことだった
「・・・・・・巫女としてはじめは、紅白の後にくっついてるだけの存在だったらしいわ。でも、次第に知り合いや友達は増えているそうよ
自分が吸血鬼並の力を持っているとは知らないから、人間と同等の力しか使えないと思い込んで自然と力をセーブしてあるから、安全なんですって
あと自分の能力は空を飛ぶ程度だと思い込んでるから、破壊する能力も使えないんじゃないかしら」

どうやらパチュリーは幸せだと言いたいらしい


過去をリセットして新しい人生を歩みだした妹
「私はその事実を喜ぶべきなの?悲しむべきなの?」
「私の口からはどうとは言えないわ。でも今レミィはすごく悲しい顔をしているわ」


これからフランだった者とどう接していいのかレミリアにはわからなかった
もう自分にとってもフランにとってもお互いに会わない方がいいのかもしれないと思った






ある別の者からは、神社で夜な夜な2人の嬌声が聞こえるらしいという噂を聞いた

どうやら妹は自分とは違い、身も心も満たしてくれる相手と居場所をみつけたらしい





fin