(注意)
  • 四肢切断の描写があります苦手な方は読まないことをおすすめします
  • 過剰ないぢめ表現が含まれています
























フランドールが紅魔館の地下室からいなくなった

地下室に食事を運びに行ったメイドが血相を変えて報告にやって来た

レミリアは急いで捜索を開始した

数日たってもフランドールの手がかりすら掴めなかった

そんなある日、紅魔館に一通の手紙と箱が送られてきた

それが全ての始まりだった




「で、その手紙には何て書いてあるの?」
レミリアが手紙を持った咲夜に尋ねる
咲夜が手紙の文章を読み上げる
『そちらの妹君は、我々永遠亭が預かった。返して欲しくば、製作中のロケットを中止せよ。こちらの本懐を遂げられることを期待する
 なお妹君を預かった証拠としてこの箱を一緒に送る。返事はこちらが指定した場所に持ってくること』
その後の文章に返事の方法についてのこと細かな内容が記載されていた
どうやら直接会わずに手紙のやりとりで連絡を取り合いたいらしい

それを聞いたレミリアはこめかみに青筋を浮かべる
「あいつらが?そういえば月と何か関わりがあるみたいなこと言ってたわね。フランをさらうなんて、命知らずもいいところね・・・・」
「外に出してやるって言われたらホイホイ付いていきそうね、教育不足よレミィ?」
ロケット製作を一任されているパチュリーが言う
彼女もレミリアも中止にする気などさらさら無い

「でも、この箱の中身は何ですかね?『さらった証拠』って・・・・」
箱をここまで担いで運んで来た美鈴が中身についてあれこれ考える
その一言でその場にいる全員の視線が箱に集まる

送られてきた箱は外の世界で『クーラーボックス』といわれているもの
肩にかけるベルトがついていたため運び易かった
新鮮なものを入れるのに使う


「中身を見ないことにはわからないわ、さっさと開けなさい」
「はい」
美鈴が箱を開ける
底が深いため、最初開けた美鈴しか中身がわからなかった

「ヒィ!」
一拍子置いて、美鈴は短い悲鳴を上げる
「どうしたの、美鈴?びっくり箱だった?」
中身が気になり、レミリアをはじめ一同が箱に歩み寄る

「「――――――――――――――!!!!」」

『それ』を見て一同がショックを受けた

箱の中には、皆の見慣れた小さな手足が入っていた
右手、左手、右足、左足
頭と胴体以外の全てが入っていた
切断面は綺麗に縫合してあり、後で分かったことだが防腐加工も施されていた

切られてから履かされている紅い靴が残酷さを際立たせていた








フランドールが目を覚ますと、いつもと違う風景であることに気が付いた
そこは和室だった
かなり長い時間寝ていたためか、頭がぼんやりしている


これまであったことを思い出そうとする
地下室に赤と青の服を着た女性と兎のような耳をした女性が入ってきて
兎のほうの目を見た瞬間周りの景色が歪んで
気が付いたらここにいた

どうやら自分は誘拐されたらしい
この状況を楽しむのも悪くないが、とりあえず起き上がろうと思い体を起こす
出来なかった
なんで?と口にしようとしたが言葉が出なかった

自分の口が糸で縫いとめられていた

あまりの出来事に驚き、頭が一気に覚醒した
手足を必死にバタつかせる

服はいつもどうりのものを着ているのに
その先にあるはず手足が無かった
羽もがっちり拘束されていた

「だめよ、急に動いちゃ。まだ少し薬が残っているから頭が馬鹿になるわよ」
いつからそこにいたのか、地下室で見た赤と青の服を着た女性がいた
「はじめまして、あなたをその姿にした八意永琳よ。あなたに暴れられると困るから、寝てる間にちょっと切らせてもらったわ。麻酔を使ってたから痛くは無かったでしょ?」
ちなみに年齢は17歳と最後にどうでもいいことを付け足した
フランドールはここに運ばれてから、一週間ほど強力な薬で眠らされており、その間に今の状態にされたらしい
「ちょっと特殊な技術を使ってね、手足が再生しないようにしたわ。あと噛まれると危険だから口も縫っといたわ」
フランドールが永琳を睨む
「あら、反抗的な目ね・・・・これからその態度がどう変わっていくのか楽しみ・・・・・」
永琳は悦に入っていた


「師匠、紅魔館から返事が来ました」
その時、兎の耳をした女性が部屋に入ってくる
「どうだったの、ウドンゲ?」
鈴仙が届けられた手紙を読み上げる
「『断る』だそうです」
「そう、残念ね」
そういうが顔は喜んでいた
「おかげでこの子をいたぶらなきゃならないじゃない・・・・・」
嬉しそうに言って、口の端を不気味に吊り上げフランドールに近づく
フランドールは久しぶりに恐怖を感じた。しかし逃げようにも手足が無いためあっさり捕まった
軽々と永琳に持ち上げられ運ばれた
なぜ自分がこんなことに?フランドールはレミリアからロケットの件を一切知らされていないため事態が全く飲み込めなかった
その気持ちを見透かしたように永琳が言う

「あなたが『なぜ自分がこんな目にあうか』なんて知る必要は無いわ。ただこれから『毎日理不尽な暴力を受ける』それが全てよ」



フランドールが運ばれたのは先ほどの部屋と同様、ちいさな部屋だった
彼女が想像していた拷問器具の類は無い
それで少し安心した
だが
「もう時期が過ぎちゃったけど」
永琳が節分豆を取り出すと、それを開封して床にぶちまけた
また取り出し開封、床にぶちまける。取り出し開封、ぶちまける
それをなんども繰り返した
床には節分豆が散らばっている
「吸血鬼は豆に触れると火傷するんですって?」
満面の笑みでフランドールを見つめる
豆を床にぶちまけた時点で永琳のやろうとしていることがわかった
必死に首を振り、やめてほしいと懇願する
その懇願を無視して
「適当な時間になったら、拾ってあげるわ」
フランドールを床に放り投げた

「――――――――――――――――――――――――!!」

声にならない叫びが部屋中にこだまする
どうのたうち回っても豆が体に触れる、顔も首も羽も激痛が走る

永琳が興奮気味に実況する
「あははははははははは、すごい、すごいわ!!鉄板で焼かれてる虫みたいに踊ってる!!ねえウドンゲ、ちゃんと撮ってるわよね?
 あとで紅魔館に送るんだから、あの泣いてる顔もアップで撮りなさい。 あははは!!ただの豆なのにあんなに痛そう・・・・」

鈴仙はそのおぞましい光景を怯えながら記録した
本当は耳を塞いでその場から逃げ出したかった






その次に日
「ふざけるな!!」
レミリアは送られてきた『ビデオカメラ』を叩き壊した
これも外の道具らしく、手紙に書いてある操作方法を読みながら映像を再生させた
写っていたのは、手足をもがれた妹が豆の散らばった床でのたうちまわる姿だった
再生中、あの薬師の忌々しい声が部屋中に広まった
その映像は、レミリア、咲夜、パチュリー、美鈴の前で流されていた

レミリアは箱が送られてから何度も永遠亭に向かった
しかし、永琳の結界が働いているらしく今日までどうやってもたどり着けなかった
「もう霊夢に相談しましょう。霊夢なら結界を破れるはずです」
咲夜が提案する
「だめよ、咲夜。永遠亭に妹を誘拐されて脅されてるなんて表に知れたら、紅魔館のメンツにかかわるわ」
「今はそんなこと言ってる場合じゃありません!!こうしてる今だって、どんな目にあわされているかわかんないんですよ!!巫女に頼るか、ロケットを中止しましょう!」
美鈴が必死に救出を提案する
「だめよ、一度でもあいつらに屈するわけにはいかないわ。それにさらわれたフランにも責任はある。そしてあいつらの侵入を許した美鈴にも落ち度があることを忘れてないかしら?」
そう言われ美鈴は黙ってしまう
「私だって何とかしたいわ。でも要求を飲むわけにはいかない・・・・」
フランドールを助けたい、レミリアのその気持ちに嘘は無い
「中止する気は無いってこと?」
「そうよ、パチェ」
「状況が状況だけに、素直に喜べないわ。妹様を見殺しにするってことでしょう?」
「一度でも屈したら、紅魔館は一生あいつらになめられる。それだけは避けなければならないのよ」
レミリアには妹も大切だが、紅魔館のメンツもそれと同等に大切だった



紅魔館にビデオが送られたその日
フランドールに対する拷問は無かった
前日の豆の床に転がされたことで体がひどく衰弱していたということもある
口が塞がれているため、食事は点滴で直接栄養は血管に送られる
吸血鬼に対しての嘲りなのか、点滴の針は首筋に刺されている

リクライニングのベッドで半分体を起こした姿勢で点滴を受けるフランドールを永琳は楽しそうに見つめていた
「なんでお姉さん達は助けに来ないのかしら?その気になればここまですぐにこられるのに?」
体への拷問が出来ない代わりに、言葉責めを行っていた
フランドールは永琳を前日と変わらない目で睨みつける。まだその元気はあった
「495年も閉じ込められていたんですって?やっぱりお姉さんにとってあなたは要らない子なのかしら?」
しかし段々と目に涙を浮かべ始める
「お姉さんだけじゃなくて、皆があなたのことなんてどうでも良いと思っているんじゃないかしら?・・・・・だからだれも来ないのよ」
フランドールはついにうつむいてしまった
胸元には涙が滴り始めた

「相変わらず悪趣味なことしてるわね」
永遠亭の主、輝夜が部屋に入って来て声をかける
「あら、姫様。妹紅との殺し合いは終わったのですか?」
「負けちゃったわ、せっかく連敗が止まったと思ったら、またよ・・・・」
輝夜は殺しあいの報告をし終わったあと、ベットの上のフランドールに興味を示す

「起きてるところは初めて見るわ。できれば泣いてないところを見たいわ」
「泣いてる顔が良いんじゃないですか」
「・・・・・本当にえげつないわね。まあいいわ、お腹が空いたわご飯にしましょう」
「わかりました」
そういって2人はそそくさと部屋から出て行った


2人が出て行って一人残されたフランドール
助けにきて欲しい者の名を言いたくても
口を塞がれているため、それはできなかった





次の日、永琳のビンタからフランドールの一日が始まった
「起きなさい、フラン。お姉さんから手紙が来たわよ」
永琳が一枚の紙をペラペラとフランドールの前にちらつかせる
その紙に書いてある文章で自分の運命が決まる
永琳が楽しそうに読み上げる
「『断る』・・・・・・以上!!」
嬉しそうに文章をフランドールに見せる
フランドールの顔が絶望に染まる
「嘘じゃないわよ?ほらこの通り。やっぱり、お姉様はあなたのこと要らないって。さあ行きましょうか・・・・・・」


連れてこられたのは縁側だった、竹林が良く見える場所である
「今日は良い天気ね、快晴よ快晴。495年も幽閉されていたんだから、さぞお外で遊びたかったでしょう?」
フランドールは永琳の手から逃れようともがく
「たっぷり遊んでらっしゃい」
フランドールを日の良くあたる庭に放り投げる








その次の日紅魔館にまた新たにビデオカメラが送られる
内容は手足のもがれた妹が日の良くあたる庭に放り投げられというものだった
焼かれながら必死に芋虫のように這いずって、縁側に戻るとする
縁側は高いため、上ることはできず。その下に潜り込もうとする
羽が邪魔で上手く下に入り込めない
なんとか、潜り込んで日光から逃れて一息つくと
「そんな遠慮しなくて良いのよ?」
と永琳がフランドールを掴んで引っ張り出して、また庭に放る
焼かれながら必死に戻る。掴んで外に放られる
ひたすらその繰り返しだった
周りの兎達がそれを見て笑っていたのが妙に気に触った
そんなやりとりが続いて映像は終了した

その間レミリアは唇を強く噛んでいた
叶うならすぐさま永遠亭の連中を全員、八つ裂きにしたかった
「これを見ても中止しないの?」
「・・・・・・・・・・・・・それでも・・・・・・・・・・しないわ」
「日光に焼かれる痛みは、家族であるあなたが一番理解しているでしょう?」
「私は姉である前に紅魔館の主なの、ここを守る使命がある・・・・・・・・・」
パチュリーはもう半ば呆れていた
咲夜も美鈴も救出すべきたと訴えるが聞きいれられなかった







その日再びフランドールはベットの上で点滴を受けていた
昨日の日光による怪我はもう治っているがあまりの疲労でとてもじゃないが平気とはいえなかった
永琳の言葉に耳に入らず、全く反応しなかった

フランドールは起きながらにして夢を見ていた
助けてほしいとずっと願ったせいか、皆が自分を助けに来てくれるという内容の夢だった
助けに来た皆が自分に笑いかけてくれた
そのなかの姉はとても優しくて、自分を優しく抱きしめてくれた

「コラ!なにか反応しなさい!つまらないでしょう?」
永琳にそう言われ、首が火傷する痛みでフランドールは現実に引き戻された
永琳の手には小さなペンライトが握られている
「おもしろいでしょう?紫外線が出るようになってるのよ、これ」
光がフランドールの体を何度も往復する
そのたびに残った体の部分に激痛が走った
「あはははははははははは!!そうそう、ちゃんと反応してくれなきゃつまらないわ。あんなのじゃ死体相手にしてるのと変わらないわ」
新しいおもちゃを手に入れた子供のように永琳ははしゃぐ

「あら、今日も泣いてるところじゃない・・・・・・」
輝夜が部屋に入ってきた
「ああ、姫。今日はどうでした?」
「ハクタクが忙しいから手伝うって、ドタキャンされたわ・・・」
「あーそれわ、それわ。姫もどうです?ウサ晴らしになりますよ?」
フランドールに光を当てながら誘う
「いい、妹紅以外の相手をする気はないわ。もうやめてあげたら?その子、身内ってだけであんまり関係ないんでしょう?」
輝夜の手がフランドールの頭を撫でようと伸びる
それを見たフランドールが恐怖で体がビクリと震え、逃れようと身をよじる
「可哀相に、こんなに怯えて・・・・・・今晩ぐらいゆっくりさせてあげなさい」
「姫がそういうなら、今晩ぐらいは・・・・・・・」

永琳が部屋から出て行って輝夜とフランドールの2人きりとなった

輝夜がフランドールの体に毛布を掛ける
「ごめんなさい、本当はそこまでしてロケットを止める理由が無いの・・・・・ただこの件を黙って見過ごしたら永遠亭のメンツにかかわるって永琳が言ってこんなことになったの」
ロケットと言われてもフランドールには何のことだかわからなかった
「そのメンツのせいで、お姉さんはあなたを助けられない。メンツを守るのが大事なのは分かるわ。でもそのせいで沢山の大事なものを失った人たちを私は大勢見てきた・・・」
輝夜は長い長い自分の過去を振り返る
貴族のメンツとやらのせいで犠牲になったものたちのことを想い起こした
周りに振り回されて、人生を大きく変えられる、昔の妹紅と今のフランドールがどこか重なって見えた
「変ね、あなた達全然似てないはずなのに・・・・・・・今日はゆっくり休みなさい」
そう言うと部屋を出て行った
ほとんど彼女の独り言だった

しかしなぜか、フランドールはこの日ここに来て初めて熟睡できた







次のの日もまたその次の日もまた次の日もフランドールに対する理不尽な暴力は続いた
2日に1回のペースで拷問が行われた
そのたびに紅魔館にその映像が送られた
皆、フランドールを助けようとそれぞれ水面下で動いていたが大した成果は挙げられなかった



あの日の朝、フランドールが目を覚ますとやはり目の前に永琳がいた
ここに来て何日経ったのか彼女にはもうわからなかった

今日はビンタはされなかった
そのかわり手には紙切れがあった
いきなり読み上げられる
「『断る』・・・・今日も変わらずこの文章よ!お姉さん、あなたがひどい目にあうのが楽しみなんじゃない?」
フランドールはその返事を聞いても特にショックは受けなかった
嬉々としてフランドールを片手で持ち上げ移動する
「今日は何がいいかしら?また川まで行ってみる?あと聖水も取り寄せたのよ?それともペンライトで遊びましょうか?皆でそれを持って
 あなたを追い回す『コックローチゲーム』も面白そうだわ!それとも豆の代わりに画鋲を撒いてそこに放り込むのもいいわね?
 もがけばもがくほど体に画鋲がどんどん刺さっていって最後は全身きらきらになってとても綺麗なのよ?あ、でもオシャレなら銀のピアスを開けるのも魅了的ね?ねえ何がいい?」

尋ねられたフランドールの目は虚ろで生気が全く感じられなかった
心を空っぽにする
それが今の彼女に許された唯一の自己防衛だった

「なにか反応しなさいよ、死んでるの?」
突然、空いている方の手がフランドールの腹にねじ込まれた
「――――――――――!!」
フランドールは大きく身をよじる、口で呼吸できない代わりに鼻息が荒くなり必死に酸素を求める
「そうそう、ちゃんと生きてるわね」
ハンドバックのように軽々とフランドールを振り回し廊下を進む
途中、ある部屋の前でピタリと止まった

手術室と書いてある

「この前、あなたの手足をお家に送ったの。また何か送らなきゃ」
永琳はしばらく考えこむ
「耳と目ね・・・・・鼻も捨てがたいわ・・・・・・・・・よし全部切っちゃいましょう」
良い案でしょ?と誇らしげにフランドールを見る
フランドールの顔は恐怖に引きつっている

手術台に彼女を寝かせる
「今日は麻酔は無しよ、吸血鬼だからまた再生するしいいしょう?」
フランドールは首を振って抵抗する
ドスっとメスが顔の真横の台に突き刺さる
「抵抗するともっと痛い目にあうわよ?」
低く真面目な声で脅す
そのせいで恐怖で体がこわばり動けなくなった
「は~い、痛くないでちゅよ~。すぐ、すみまちゅからね~」
お医者さんごっこの感覚で刃物をゆっくりゆっくり近づける
メスが耳たぶの下、耳に付け根に触れた瞬間

「待ちなさい、永琳」
後ろから輝夜の声が掛かった
「姫、どうなさったんですか?今いいところなので邪魔しないでください」
「私の私物に手を出して良いと思ってるの?」
「私物?何のことですか?」
輝夜は手術台を指差す。正確にはその上の少女を
目いっぱいに涙を浮かべているフランドールに指を向ける
「それは私の『抱きまくら』よ、さっき決めたわ・・・」
永琳は輝夜のスッとんだ発言にキョトンとする
その間、永琳はいろいろと考えをめぐらせた
「くくく・・・・・・あはははははははは・・・・いいですよ、いいですよ。なら仕方ありません。お返ししましょう」
「やけにあっさり引くのね。もっと抵抗するのかと思ったわ」
「あなたが他人に関心を持つなんて1000年に一度有るか無いかですからね。貴重な機会です」
「ありがとう。・・・・・・・・・じゃあ金輪際これに手を出すことは許さないから。いいわね?」
「ですけど、その『抱き枕』。もし飽きたら私が頂きますからね?」
「大丈夫よ絶対飽きないから」
「ではもう何も言いません」

そう言って永琳は手術室から出て行った

「あら、やっぱり軽いのね・・・・・確かに片手で持てるわ」
輝夜もフランドールを大事そうに両手で抱え部屋から出ていった










その次の日、紅魔館にビデオカメラは送られてこなかった
フランドールに対する一切の暴力が禁止となった今、それはできなかった
代わりにこんなことをしたという報告書の形で送りつけた
当然その内容は嘘であるが(執筆したのはてゐ。永琳に頼まれた)
前回まで送られてたビデオカメラと上手に作られた文章のせいで
これから先、報告書の形で送られることになるが
それが嘘だとだれも見破れなかった
紅魔館に住む一同はそれだけ切羽詰っていた



その日の夜の永遠亭
輝夜はフランドールを引きとった昨日は、彼女の心労も考えて別々の布団で寝た
だが今は座椅子にもたれて、フランドールを抱きかかえていおり、抱き枕として活用していた
「別にいやらしいことしようとして引き取ったわけじゃないから、安心して。プラトニックな関係でいきましょう」
緊張気味のフランドールの頭を優しく撫でながら言う
昨日まで散々、辛い目に遭ってきたのだ無理も無いと心の中で思う
この日から輝夜の世話が始まった
フランドールの着替え、体の清掃、点滴、排泄まで。全て彼女が面倒を見た
「明日、永琳に頼んで。口の縫合だけでも抜糸してもらうように頼むわ。本当は全身、元に戻してあげたいのだけれどもう少し待ってて」
それを聞いたフランドールの顔が明るくなる「ほんとに!?ほんとに!?」と目が語りかけてくる
「ええ、本当よ。私はここで一番偉いんだから。点滴ばっかりで、胃がいつまでも空っぽじゃ辛いでしょう?のども渇かない?」
コクコクと何度もフランドールは頷いた
「約束ね。じゃあ、早く寝ましょう」
フランドールを抱え一つの布団にもぐりこむ
大きく長い枕を一つ用意して、それを2人で共有する
「ここにはもうあなたを傷つける者はいないから、安心して」
フランドールを優しく胸元まで抱き寄せる
いつも危険だからという理由で皆から恐れられ疎まれてきた彼女にとってここまで誰かに優しくされたのは生まれて始めてだった
目から次々と痛みとは違う理由の涙があふれてきた
輝夜は彼女が泣きやみ、眠るまで頭を撫で続けた

(抱き枕ってその場で適当に言ってみただけなんだけど、なかなかどうして、心地良いじゃない・・・・・・・)
これが母性というものなのか、ただ単にフランドールの抱き心地が良いのかは輝夜にはわからなった
新調した二つの枕のおかげで輝夜はその日いつもよりずっと安眠した

そして次の日、フランドールとの約束は果たされることになった



フランドールが輝夜の私物になり一週間が過ぎた
「ただいま」
昼間、妹紅との恒例の殺し合いを終えて輝夜が部屋に帰ってきた
「おかえりー」
フランドールは無い手足と拘束を解かれた羽をばたつかせ輝夜を迎える
芋虫のように這いながら、輝夜の元まで近づく
羽があるため飛べなくもないが手足が無いため上手くバランスが取れないので這っている
「あまり這うと体を擦るわよ」
輝夜は近づいてきたフランドールを抱えあげる
「ガグヤは今日はモコーって人に勝ったの?」
「お互いの技が同時に決まってドローよ」
「そうなんだ、惜しかったね」
「今度あなたにも妹紅を紹介するわ。きっとあなた達は気が合うと思うわ」
「そうなの?いつ?ねえいつ?」
「次の満月の晩にやろうって決めたから、その時ね。せっかくだし3人でそのあと遊びに行くのもいいわね
 妹紅わたしから誘ってもなかなか付き合ってくれないのよ・・・・・・・・あなたが居るとOKしてくれそうな気がするわ」
「約束!約束だよ!」
「ええ、約束ね」
七色の羽がぱたぱたとはためいて喜んでいるのがわかる

「ねえ、カグヤ・・・・・・その・・・・」
フランドールが何か言いづらそうに言葉を濁す。目がさっきより色が濃くなっている
「ああ、お腹が空いたのね?」
「うん・・・・」
輝夜は服を軽くはだけさせると、首筋を露にした
フランドールがそこに噛み付く、吸血そのものに慣れていないため、上手く飲めず服に血が滴っていく
まるで授乳する母親のようにそれを輝夜は優しく見守る
しばらくしてフランドールが首筋から口を離す
「ご馳走様」
「もういいの?どうせ死なないんだから、好きなだけ飲んでいいのよ?」
「大丈夫、もうお腹いっぱい」
「そう」
その後しばらく2人の会話が続いた

満腹になったためかフランドールが段々眠そうな顔になる
今はだれでも昼寝したくなる時間帯だ
「眠いの?今布団のところまで」
眠そうになりながらもフランドールは首を横に振る
「いい、せっかくカグヤがいてくれるから起きてる」
「ここにいる時は、いつも一緒にいるでしょう?」
「でも、できるだけお話したい・・・・・・」
輝夜は彼女の境遇を思い出す
館ではずっと地下室にいるため、姉ですら構ってはくれないのだろう
今のこの時間は彼女にとって非常に濃密なものである

輝夜は抱えていたフランドールをいったん降ろし
自分も腰かけてフランドールに膝枕をする
「昔話をしてあげる」
「古典の言葉はだめだよ?」
「大丈夫、ちゃんと現代語訳してあげるから」
「それならいい」
「眠くなったら寝ていいのよ?どうせ続きなんていつでも話せるのだから」
「わかった」


輝夜の昔話は部屋の外まで聞こえてきた
それを聞きつつ話をする永琳と鈴仙
「もう完全にお母さんですね」
「最近、あの子がいるから生活サイクルもしっかりしてきたし。いい傾向ね」
鈴仙が手紙を懐から取り出す
「また『断る』って書いてあります」
流石の永琳も呆れる
「ほんとにつまんない意地張ってるわね、あの吸血鬼は。今はもう無いけど、少し前まで妹は地獄を味わったのよ」
「味あわせたのは師匠でしょうに・・・・・」
「あの子の怯えた顔を見ていたら私のドSセンサーが思いっきり反応したのよ。それで・・・」
「折を見て、私達ちゃんと謝りましょう。許してもらえるとは到底思えませんが」
「はい」
最近、弟子が強気である。確かにあれだけの拷問を手伝わせたのだ、評価が下がって当たり前である
拷問風景を見て、月の軍にいた時の精神も復活したのかもしれない
「もう、姫に懐いていますし。暴れることは無いでしょう。手足全てとは言いませんが、せめて片手か片足だけでも自由にさせましょう。異存ありませんね!?」
ズイっと鈴仙が睨みを効かせながら目の前まで詰め寄る
「はい」
ウドンゲに言葉責めされるのも良いかもしれない
返事をしながら永琳はそう思った




夕飯のあとのおやつを輝夜とフランドールは食べていた
自分が食べたらフランドールにフランドールが次は自分にと交互に食べされる
「そうだフラン」
「なに、カグヤ?」
「永琳があなたの右手だけ元に戻すって言ってるわ。」
それを聞き驚く、そして永琳の名前を聞いて全身強張る
「えっ、で、でも私がありとあらゆるものを破壊する程度の能力を持ってるってこと知ってるよね?」
「きっとフランがいい子にしてたからよ。あと折りを見て謝りたいも言ってるわ」
いい子と言われてフランドールの顔が綻ぶ、だがその後の謝るという言葉に困惑する
「私がエイリンを壊しちゃうかもしれないよ?」
「永琳があなたにやったことは許されることじゃないわ、フランが永琳を壊しても私は文句は言わないわ」
「カグヤはエイリンが居なくなると悲しい?」
「ええ、ここにいる皆が悲しむわ」
それを聞きしばらく思案するフラン
そして
「じゃあ、壊さない。謝ったら許してあげる」
輝夜がフランドールに抱きつき頬ずりする
「やっぱり、あなたはいい子ね~」
フランドールは照れたように笑う
「でも、私が言ったからって無理にいきなり許すことは無いのよ。時間をかけて少しずつでいいから、許してあげて」
「わかった・・・」
輝夜の熱い抱擁はそれからしばらく続いた



「歯を磨いて寝ましょうか?」
「うん」
いったん抱擁を解き、洗面所まで移動した
洗面台の前でフランドールの歯を磨く
はじめの頃は慣れない作業に苦労したが、今ではお互いに意思疎通ができスムーズにできる
今度は自分の歯を磨き終えて、部屋に戻り布団に入る

輝夜がフランドールを胸元まで抱き寄せて眠る
この姿勢は初日から変わらない
部屋は静寂に満ちていた
不意に声が胸元から声がする
「ねえ、カグヤ、起きてる?」
「眠れないの、フラン?」
「昼寝しすぎちゃった・・・・・」
「そういえばそうね」
「すこしお話しよう?」
「いいわよ」

フランドールは雑談したいというより何か相談したいという雰囲気だった

「なんで、あいつは一度もここに来てはくれないの?」
あいつとは姉のレミリアのことを指すと輝夜は理解する
「永琳の結界で入ってこられないのよ」
事実を包み隠さず伝える
「私より月に行くほうがそんなに大事?」
「あなたのお姉さんの気持ちはわからない、ロケットの方を優先しているのかもしれない。メンツのせいで助けたくても助けられないのかもしれない」
「メンツのためなら私はどうなってもいいの?私は必要ないの?」
輝夜の顔を見つめ、フランドールは悲しそうな、今にも泣きそうな声で訴える
そのフランドールを落ち着かせようと背中を優しくさする
「そんな顔しないで。大丈夫よ、きっと迎えに来てくれるわ」
「でも、もし要らないって思われてたら・・・・・」
悪い方へ悪い方へ感情が流れていく
永琳の言葉責めが今頃になってまた彼女に効いてきた

「ねえ、もし紅魔館にもう私の居場所が無かったら・・・・・・・」

ここでいったん言葉を切る
この先に言う言葉は彼女の今後の人生を大きく左右する
輝夜もそれを理解して、彼女の言葉をいつまでも待つ
まるで愛の告白をするように
彼女は勇気を振り絞る

「・・・・・・・・・・・・・・ここに居てもいい?」

「ええ、良いわここの主の私が許可するわ。館に帰ったとしてもいつでも遊びに来なさい」

それを聞き彼女は歓喜する
「本当!!ねえ、本当に!!いいの!?いいの!?捨てたりしない!?」
「ええ、本当よ。私は永遠に生きるのよあなたの気が済むまで、いつまでも、いつまでも一緒にいてあげるわ」
手足が無いのも忘れて夢中で飛び跳ねる
安心したのか、ひとしきり飛び跳ねたあとフランドールはそのまま眠ってしまった
フランドールの乱れた髪を輝夜は手串で丁寧に整えたあと、そのまま眠りについた



次の日 フランドールの右手を戻す手術が行われた
手術をするまえ、永琳と鈴仙がフランドールに土下座した
鈴仙は耳が全て床にぺたんと付くまで頭を床にこすり付けた
「師匠、反省の態度が足りません」
そういい、自分より頭の位置が高い永琳の後頭部を掴んで床にガンガンと打ちつける
それを見た2人は軽く引いた
永琳はなぜか顔が悦に入っていた

手術は腕の付け根の縫合した部分を解くという簡単なものだった
永琳がなぞの液体と塗布したあと、傷口を開いた瞬間、途端に腕が再生しだした
麻酔をしていたため本人にはその感覚がわからなかった



フランドールの右腕が完全に元に戻った
手術が終わり、鈴仙と永琳は部屋を出て行った
手術台の上で手をグーパーと何度も開いて感触を確かめる
今ならこの部屋にある全てのものが簡単に壊せる
「どう調子は?」
輝夜が尋ねる
「うん、いい感じ」
満足げに答える
「これであなたは何でも壊せるようになる」
「うん、そうなる」
輝夜は真剣な表情で話始める
「それはあなたが持って生まれた力だから、使うなとは言わない。でも力を使う前によく考えてほしいの」
「よく考える?」
「そう、壊した後。それによって自分の周りがどう変わってしまうのかを」
フランドールは意味がよくわからず首をかしげる
「難しいことじゃないわ、あなた昨日、私に『永琳を壊したら悲しい?』って聞いてきたでしょ。それと同じことよ
 ちゃんとフランにはそれが出来ている。それさえできればだれもあなたを閉じ込める理由はないわ」

なんとなくではあるがフランドールは輝夜の言いたいことを理解した




この日の夜は満月、つまり妹紅と輝夜が殺しあう日だ
輝夜に担がれて竹林を進む
「とりあえず、勝負がついてからあなたを紹介するわ。危ないから離れて見ててね」
「うん、わかった」
そう言って、その場所にフランドールを置く
「私を見失ったら、この道をまっすぐ行きなさい。永遠亭に続いているわ。もしもの時は朝になる前にイナバに迎えにくるように頼んであるから」
フランドールの頭を撫でて、妹紅のいる方向に向かっていく
その後姿を見送ると、しばらくして遠くで大きな炎が上がった






長い時間、花火のようにそれはどんどん上がった
場所はここからかなり離れてしまっている
手足が戻ったら自分もあれに混ざりたい、そう思った
もっと近くで見えないかと思い、右腕と羽を器用につかい竹林を進もうとする

しかし、そこへ
「フラン?」
後ろからよく知っている声が聞こえた
「お姉様?」
そこには姉のレミリアがいた




レミリア・スカーレットは何とか永遠亭に入れないかと思い、力が強まる満月の晩に迷いの竹林にやってきていた
遠くで派手な弾幕ごっこが始まり
輝夜があそこにいると踏んで向かおうとした途中、フランドールを発見した




「よかった、心配したのよ。そんな姿にされて・・・・・・・早く帰って治療しましょう。パチェならすぐに元通りに・・・・」
「来ないで!!」
妹に歩み寄ろうとした瞬間、拒絶された
助けに来たレミリア戸惑う

「どうしてもっと早く迎えに来てくれなかったの!?」
一番聞きたかったことを姉にぶつける
「私だって助けたかったわ!!でもこれは紅魔館全体に関わることなの!!しょうがなかったのよ!!」
必死になって弁解する
レミリアだっていち早く助けたいと思っていた、しかしメンツのためそれが出来なかった
「メンツのためなら、私がどうなってもいいの!?ずっと待ってたんだよ!!たくさん、たくさん痛いことされてそれでも迎えに来てくれるって信じてたんだよ!!」
信じていた、何度も夢を見るほどに
「ロケットって何!?私何にも知らなかったんだよ!!私、全然関係ないじゃない!!どうして・・・・・どうして私が・・・・・こんな目に・・・・・・・」
最後のほうは嗚咽混じりで上手く話せなかった
「フラン・・・・・・・・・」
目の前で悲しんでいる妹を抱きとめようと、フランドールに歩み寄る
「来ないでって言ったでしょ!!」
今度は右手をレミリアに向ける
「カグヤは違った、皆敵ばかりしか居なかった場所で私を助けてくれた。優しかった・・・・私に生きる権利をくれた・・・・・」
レミリアは話の内容で、永琳がフランドールを拷問して、輝夜がそれを慰めるというアメとムチの方式を使っているのかと推測した
形的にはあっているが、輝夜の優しさは彼女の純粋な愛情から来るものであって、計算してやっていることではない
しかし、レミリアにそのことを知る由は無かった
フランドールは洗脳されかけていると勘違いした
「フランあなた騙されてる!!あなたにそう思わせるのが輝夜の手なの!!気づきなさい!!」
輝夜の愛情を否定され激怒する
「ガグヤを悪く言うな!!」
怒りに任せレミリアに弾を放る

しかし地面に寝そべって、しかも片手だけで放ったものであるため
あっさりとかわされ、死角に回りこまれて一瞬で取り押さえられた
フランドールはレミリアに背中を乗っかられて、右手を押さえられる
それだけでもう抵抗できなかった
もとより右手だけでなど勝負にならなかった

「今のあなたには何を言っても無駄なようね。無理やり連れて帰るわ、みんな心配してるの、いいから戻るわよ」
フランドールはそれを聞いてもう観念した
でも一つだけ頼みたかった
「ねえ、お姉様。これから私も外出できるようにしてくれない?毎日とは言わないからたまにでいいから?」
館に帰ってからも輝夜は遊びに来ていいと言ってくれた、妹紅にも会ってみたい
それを聞いたレミリアは怪訝な顔をする
「だめよ、怪我が治ってから洗脳が解けるまで当分はおとなしくしてなさい」
当然、レミリアは断った
「これから『よく考えて』力を使うから・・・・・・・お願いします!!」
輝夜は『よく考えた』ら自由になれると教えてくれた
しかしそれを聞いたレミリアはまたも怪訝な顔をする
「『よく考える』?なにわけのわからないことを言ってるの。どこでそんな嘘吹き込まれたの?いいからさっさと戻るわよ」

それを言われ、フランドールの目の前は真っ暗になった

(よく考えて行動したらもう閉じ込められないんじゃないの?壊したあとのことを考えて、誰かが困ったり。悲しんだりしたら力を使わないようにしたら良いじゃないの?
 輝夜が私に嘘を言ったの?ううん、あれは嘘を言っている風じゃなかった・・・・・・・・・)

様々な考えが頭を駆け巡る

「ほら、行くわよ」
レミリアはフランドールの羽を片手で掴んで持ち上げる
ちょうど永琳の時のように

あのときの恐怖が頭にフラッシュバックした
「うわああああああああああああああああああ!!!」
考えていたことが全て停止して叫び声をあげる

右手が折れんばかりの勢いで思いっきり振舞わしレミリアの拘束を解く

「ちょっと、フランどうしたの急に!?早くしないと輝夜が戻ってくるわよ」
思いがけない抵抗を受けレミリアはひるむ
フランドールは右手と羽を使い少しでもレミリアから離れようと体中に擦り傷をつくりながら這いずる

這いずりながら輝夜の言っていたことをもう一度さっきの思考を再開する
カグヤはよく考えろといってた
だから今ここで能力を使いレミリアを殺せばどうなるか考えた
皆が悲しむ
咲夜、パチュリー、美鈴、小悪魔みんな絶対にこいつがいなくなったら困る







じゃあ

私は?

このまま連れ戻されて、自分の意思で誰にも会うことも出来ないで館の中で一生を終えるの?

使わなきゃ私はずっと悲しいままだよ?
でもみんなが悲しむから使えないよ?






一方のレミリアはフランドールを刺激しないようにゆっくり近づく
芋虫のように這い回る姿はなんと醜いことか
妹はもともと情緒不安定なところがあるが今のようになるまでひどくはなかった
もしかしたら本当に地下室で一生閉じ込めなればならないかもと不安になった
妹を心身共にそこまで追い詰めた永遠亭の連中を忌々しく思った
「フランをこんなふうにしたやつら・・・・・・皆殺しにしてやる」
そう独りごとをした






それはフランドールの耳にも届いていた


殺すの?

永遠亭のみんなを?

私は許すって言ったよ?

みんなが死んだらカグヤが悲しむよ?







レミリアがフランドールの近くまで歩み寄り
今度は抱きかかえようと両腕を伸ばす
フランドールもこちらに右手を伸ばした
(やっぱり持ち方が悪かったのかしら?)

「いろいろ考えたよ」
「え?」
当然フランドールがにこやかに微笑んで言った

動揺しながらも妹に尋ねる
「何のこと?わかるように話なさい」
「私が能力を使うとどれだけの人が悲しむのかを、こんなに自分の能力で頭を使ったの初めてかも」
「いい心がけね。でどうだったの?」
ことの重大さも知らずレミリアはのんきに訊く






「おまえなんか・・・・・・・・・・・いらない」

グッとフランドールが手を閉じる

レミリアは一言も発する暇なく破壊された

蝙蝠一匹残らなかった
























輝夜は今日勝利した
妹紅も連れ来る予定だったが派手に吹き飛ばしたためどこに行ってしまったのかわからず連れてこられなかった

戻って来て見ると
ボロボロの姿になったフランドールが待っていた

慌てて駆け寄ると近くに見慣れた衣服の破片があった
レミリアのものだとわかり
ここで何があったのか、大体の想像は出来た

フランドールの体を起こす

「ねえ、カグヤ?」
「なあに、フラン?」
「私ね・・・・・・・よく考えたよ・・・・あいつがね・・・・ここの皆を報復に殺すって言ったからね・・・・カグヤが悲しむと思って
 ・・・・・・そうじゃなくてあいつがいると私はずっと悲しいままで・・・・・・・紅魔館のみんなが悲しむのは知ってたよ・・・・でも・・・」
混乱するフランドールにそれ以上言わせないために頭を抱えて抱きしめる
きっと姉を殺したことで自分を責め続ける
「そう、良く考えて使ったのね?えらいわよフラン・・・・ちゃんと私の言う事、守ったのね・・・・・偉いわよ・・・・・帰ったら残りの手足を全部元通りにしましょう」
フランドールも右手を輝夜の背中に手を回し服を掴む
「あなたに罪は無い。これはどうしようも無かった。だから気にしては駄目・・・・・・・・・」
もし自分がフランドールによく考えるなんて言わなければこんな悲劇は起こらなかったかもしれない
もちろんそれが間違っているとは思わない
しかし、結果的に
フランドールを悲しませたのは他ならぬ自分のせいだ
この罪は永遠に消えない




「ねえ、フラン・・・・私はあなたのお姉さんにもお母さんにもなれないけど・・・・・・それでも家族になれないかしら?・・・・」

迷いの竹林に2人の少女のむせび泣く声が響いた

その日、永遠亭に一匹の吸血鬼が家族として加わった



地下室の吸血鬼の少女は血のつながりの無い、しかし温かな家族を得て
永遠に生きる少女は、永遠に消えることのない罪とその温もりを手にいれた









  • 最初のノリのままグロオンリーかと思ったら、後半スゲー良い話
    レミリア殺害までの流れも違和感ないし、うまいな~
    それぞれの関係性の歪さがいいね
    この流れのウドンゲとエーリンの話も読んでみたい -- 名無しさん (2008-06-18 12:15:06)
  • 余裕で泣いた -- 名無しさん (2008-06-23 23:20:55)
  • 全幻想郷が泣いた -- 名無しさん (2008-07-11 01:40:38)
  • 座布団100枚くらいあげたいよ -- 名無しさん (2008-07-29 03:38:22)
  • いじめるっていうか普通にすごいいい話だなぁ;; -- 名無しさん (2008-07-30 09:03:09)
  • 輝夜いい奴すぎる -- 名無しさん (2008-07-30 09:11:02)
  • 涙腺が決壊した。何回読んでも素敵 -- 名無しさん (2008-08-04 02:28:15)
  • ニート良い奴すぐる・・・ -- 名無しさん (2008-08-08 17:50:28)
  • 「フラン誘致」に見えた俺は疲れてるな -- 名無しさん (2008-08-10 01:35:32)
  • こんないい話が幻想郷にあったなんて・・・ -- 名無しさん (2008-08-18 04:32:50)
  • グロ部分に怯えつつも最後まで読んでよかった。いい話だな・・・
    えーりんがMに目覚めた所には吹いたけどw -- 名無しさん (2008-08-18 19:33:37)
  • 良い話だった。
    しかしこのえーりんいろいろと駄目すぎるww -- 名無しさん (2008-08-21 20:25:32)
  • 結局紅魔館の人達は悲しんだんだよな。
    ハッピーとかバッドとか関係なく、ためになったな。 -- 名無しさん (2008-08-26 22:27:52)
  • ありのまま今起こったことを話すぜ・・・
    いじめSSを読んでいたら普通に良い話だった・・・
    目から汗が・・・・ -- 名無しさん (2008-08-28 01:05:23)
  • 序盤の酷さからは想像がつかないほどいい話だった -- 名無しさん (2008-08-31 01:00:22)
  • レミリアが典型的な無能上司になってたな
    だからこそ、ラストが光った訳だが -- 名無しさん (2008-09-09 05:56:57)
  • でもこれ本質的にはフランを虐めてるんじゃなくレミリア虐めだよね。
    まぁこの話に限った事じゃないが。 -- 名無しさん (2008-09-20 02:39:02)
  • その考えはなかったわ。 -- 名無しさん (2008-10-05 13:50:20)
  • 感動した -- 名無しさん (2008-10-11 01:30:10)
  • 輝夜大好きになった -- 名無しさん (2008-10-13 10:35:18)
  • んーこの面白さは二次創作ならではだな
    -- 名無しさん (2008-10-17 21:30:32)
  • その後の話も見てみたいな
    レミィがいなくなって、紅魔館の連中はどう考えるか、とか -- 名無しさん (2008-11-01 23:25:27)
  • とりあえず
    美鈴が永遠亭に何度も特攻かけてはボロボロになるのを見て
    フランが「家族はここに居るけど、私の本当の居場所は紅魔館なんだ…」
    とかなんとか思って紅魔館に帰宅する所までは幻視できた。 -- 名無しさん (2008-11-02 19:00:30)
  • ここのSS見るといつも慧音に助けを求めたくなるな -- 名無しさん (2008-11-13 00:54:17)
  • 歴史消すのか……
    まあ無理だと思うがな…… -- 名無しさん (2008-11-13 11:09:52)
  • ( ;∀;) イイハナシダナー -- 名無しさん (2008-12-11 22:49:13)
  • 余裕で泣いた! -- 名無しさん (2008-12-25 23:41:28)
  • 輝夜とフランと妹紅の話も聞きたいなぁ。このえーりん色々と面白いw -- 名無しさん (2009-01-08 22:23:11)
  • えーりんが安定しないwww(sm的な意味で) -- 名無しさん (2009-01-12 05:29:57)
  • この作者毎回おぜうさまの扱いひどすぎてワロタwww -- 名無しさん (2009-01-26 00:44:25)
  • やべぇ・・・話が暖けぇ・・・
    俺涙目・・・ -- 名無しさん (2009-02-08 13:38:09)
  • 永琳てめぇと思ってたら輝夜の優しさに泣いた。 -- 名無しさん (2009-02-15 22:31:25)
  • えーりんがSMの狭間に傾く変態すぎて困った -- 名無しさん (2009-03-02 04:55:43)
  • 画面が・・・見えねぇ・・・・・・。 -- 名無しさん (2009-04-18 17:46:33)
  • 普通に感動作じゃないか…泣ける…

    しかし、えーりん…( ´艸`) -- 名無しさん (2009-05-11 07:26:08)
  • いい話だなぁ
    レミリア・・・妹なんだからロケットくらい諦めろよ・・・
    ところで、この後紅魔館はどうなるんだ?
    そして、輝夜が好きになった -- 名無しさん (2009-05-16 22:13:10)
  • 泣いた -- 名無しさん (2009-05-27 02:09:46)
  • 皆幸せでハッピーエンドで良い話だった
    レミリア?レミリアは死んでなんぼだしねぇ -- 名無しさん (2009-05-27 11:32:27)
  • いい話だわ本当に
    俺にもこのような話が作れたら・・・(’A` -- 名無しさん (2009-05-27 13:02:03)
  • ロケットじゃなくて人工衛星だと言い張ればよかったのにな -- 名無しさん (2009-05-29 23:18:42)
  • まぁいつものレミリアだな -- 名無しさん (2009-05-29 23:45:27)
  • えーりん変態すぐる -- 名無しさん (2009-07-11 15:29:13)
  • たまらん -- 名無しさん (2009-07-13 19:42:58)
  • あれ?目から汗がでてきたよ。 -- 名無しさん (2009-07-14 20:40:18)
  • 感動した -- 名無しさん (2009-07-16 14:32:00)
  • 目から色んな物が・・・。
    流石に蝙蝠一匹残らずに破壊されたら、再生できないのかな、レミィ。
    おじさん複雑な気持ちだよ!それはともかく凄く良い話でした。 -- 名無しさん (2009-07-18 00:38:02)
  • 何だ神か。
    ストーリー上手すぎるよ・・・
    全俺が泣いた。。 -- 名無しさん (2009-08-26 00:29:31)
  • 輝夜がいい人すぎて泣いた -- 名無しさん (2009-08-29 23:01:50)
  • いいよいいよ!泣いたっ・・・
    輝夜がいい人っ・・・ -- 名無しさん (2009-08-30 20:34:43)
  • ゆがんでるな・・・ -- 名無しさん (2009-09-22 07:02:01)
  • 話が良すぎて興奮してしまった。
    -- 名無しさん (2009-09-24 09:34:45)
  • 目から水が流れてきたぞ…… -- 名無しさん (2009-11-19 19:56:45)
  • う、うーん…いい話なのかー? -- 名無しさん (2009-11-19 22:21:06)
  • 最後のほうは、やっぱいい話だと俺は思う!
    まぁ、えーりんがちょっと異常だったけど。 -- 外道 (2009-11-20 09:01:55)
  • ここでちょっと紅魔館側の視点で考えてみよう
    ハッピーエンドとは言えない -- 名無しさん (2009-11-20 21:19:52)
  • なにこの色々超越したえーりんwwww -- 名無しさん (2009-11-21 20:59:07)
  • 輝夜がいつフランを悲しみのどん底に叩き落すのかドキドキしながら読んでたが
    普通にいい話で吹いた
    フランこれからは幸せに暮らせよ・・・ -- 名無しさん (2010-01-19 06:59:04)
  • ハッピーエンドとかしねばいいのに   フランもっといじめられてればいいのに おぜう様が可哀想だわ
    かぐや助けなくて良かったのに… -- 名無しさん (2010-01-24 01:08:55)
  • てるフラって考えたこともなかった…
    新しいカップリングに目覚めたぜ! -- 名無しさん (2010-01-26 23:55:04)
  • 頭に蛆わいてんのかコイツてはじめ思ったが後半イイハナシすぎて感動した ラストまでグロなら糞SSだったな -- 名無しさん (2010-03-16 20:15:17)
  • オチまでの流れが上手かったな
    フランちゃんの心情の変化が手にとるように伝わってきた -- 名無しさん (2010-05-08 18:02:17)
  • ↑↑ラストまでグロなら糞って、ここをどういうところかちゃんと認識しているのか?


    それにしても、のこった紅魔メンバーはどうするんだろう
    主人も殺されちゃったしなあ -- 名無しさん (2010-05-08 23:19:11)
  • えーりん17歳?嘘つき!オバサンのくせに… -- 名無しさん (2010-05-10 00:30:20)
  • その後、咲夜も永遠亭に乗り込んで
    フランに壊されて紅魔館消滅ですねわかります。 -- 名無しさん (2010-06-02 07:13:36)
  • 紅魔館の末路は?行方不明のレミリアは? -- 名無しさん (2010-06-02 22:18:45)
  • おかあさん。。。 -- 名無しさん (2010-06-07 13:16:09)
  • すごくいい話しだったけど紅魔館のフランを助けようとしたメンバーまでなんか可哀想 -- 名無しさん (2010-09-23 07:27:24)
  • あれ? レミリアいぢめだっけ?
    それはそうと、てるよお母さん可愛いよ -- 名無しさん (2011-01-26 08:49:39)
  • 輝夜かっこいーーーーーwww
    このスレまぢgood
    レミリア、フランの気持ち考えていてくれたら
    こんな事にならなかったのに・・・
    てるよS☆A☆S☆U☆G☆A -- れみレミリ☆あうあう (2011-03-02 05:59:34)
  • 輝夜が好きになった -- 名無しさん (2011-04-04 16:20:35)
  • 自業自得だよレミリア。つーかレミリア胸糞悪いから
    さっさと死ねよと思った。てゆーか東方キャラから消えろと思った。
    -- 名無しさん (2011-04-14 15:09:28)
  • 結局レミリアが悪いんじゃん。
    -- 名無しさん (2011-04-14 15:10:20)
  • 2次では大概レミリアはうざいのでざまあだな、輝夜が良い奴すぎてwwwwだ
    -- 名無しさん (2011-04-15 22:24:16)
  • レミリアがうざいのに同意 -- 名無しさん (2011-04-29 05:48:29)
  • フランは邪魔者なんだからほっとけよ -- 名無しさん (2011-04-29 08:19:45)
  • えーりん△ -- 名無しさん (2011-04-30 07:53:51)
  • お医者様の様子がおかしい・・・ -- 名無しさん (2011-11-07 23:36:56)
  • 泣いた
    かぐフラ可愛いよ -- 名無しさん (2011-11-18 12:03:41)
  • レミリアめちゃくちゃ性格ワリーな -- 名無しさん (2011-11-24 21:55:04)
  • レミリアの存在自体が糞すぎる・・・
    おぜうなんかそこらのゴキブリと変わんねーよ -- 名無しさん (2011-11-28 19:27:26)
  • 泣いた。
    -- 名無しさん (2011-12-01 19:34:00)
  • わかってると思うが、こっちのレミリアとその他のレミリアは別物だからなww
    おぜうは悪役やってもカリスマキャラやっても光るよ -- 名無しさん (2011-12-01 20:26:32)
  • レミリアほど糞キャラは他にはいない。 -- 名無しさん (2011-12-08 17:33:22)
  • 2chで話題のやつです+.(・∀・).+♂ http://ylm.me/index.html -- 名無し (2011-12-09 00:32:19)
  • レミリア消えろ政府以上に世の中の汚物だ。
    人間から出る老廃物はうんこじゃなくてレミリアだな。
    -- 名無しさん (2012-01-20 18:27:23)
  • ↑まあ確かにこのレミィがうざいのは認めるが
    本家レミィは可愛おぜう様だから忘れないでほしい -- 名無しさん (2012-01-20 18:47:14)
  • レミィwwwww扱いワロスwwwww
    えーりん異常すぎる← -- 名無しさん (2012-02-09 11:24:59)
  • 極限まで持ち上げて落とすんじゃないかと警戒していただけに泣いた
    輝夜とレミリアが対比されているけど結局レミリアがホンノちょっとだけ臆病だっただけなのよね
    それで分かれてしまった明暗が自業自得とも言えるが切ないものもある


    そしてえーりんwwwwwwガチ狂人じゃねーかwwwwwwwww -- 名無しさん (2012-06-19 21:57:48)
  • とりあえずえーりんが色々おかしいwwwww -- 名無しさん (2012-07-22 18:19:28)
  • フランちゃん、良かったね。
    輝夜さん良い人過ぎる…
    …えーりんどうしたww


    レミリアっていつもフランに酷い事する>.< -- フランちゃんうふふ (2012-07-30 08:40:51)
  • 輝夜優しい -- 名無しさん (2016-11-02 00:07:35)
  • 輝夜に惚れた(( -- 名無しさん (2017-01-12 11:37:08)
  • 昔外国で暴れてたテロ組織が仲間増やすために使った洗脳方法思い出した。
    確か誘拐して数日間監禁し、心がボロボロになるまで恐怖を与えてから1人が救いを与えて安心させ、居場所を与えるって方法だった。 -- 名無しさん (2017-02-23 00:38:18)
  • かくしてレミリアは、幻想郷の礎となった。
    マッドサイエンティスト・永琳の罠に落ちながら…… -- 名無しさん (2017-04-20 14:38:29)

  • 人工衛星ってか
    どう考えても結界にぶつか
    ...ん?なんだ結界の上に乗せるのか -- 名無しさん (2017-05-14 22:23:31)
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