いぢめスレ提供
  • ある怪談が元ネタになってます(大分内容変わってますが)




              『追いかけてくる者』





私こと霧雨魔理沙は博麗神社に降り立った
最近、霊夢の調子が悪いと聞いて様子を見に来たのだ


「お前最近ちゃんと寝てるか?」
私が神社の前を掃除している霊夢に最初にかけた言葉がこれだった
霊夢の目の下には大きなくまができていて睡眠をとっていないのがわかる


霊夢は掃除を終えて、休憩がてら事情を説明すると言って神社の中に入って行った
私もその後に続く




「ずっと前から『あいつ』のせいで眠れないの」
お茶で一息ついて霊夢が話し始めた
「『あいつ』?」

だれかが夜に騒いで霊夢の安眠でも妨害しているのか?

「そいつはどこのどいつだ?なんならこの魔理沙様が報酬次第で直々に退治してやるぜ?」
あの霊夢をここまで困らせるやつだ是非会ってみたいものだ
「本当ならそうしてもらいたいけど、魔理沙には会うことができないわ」
「どうしてだ?」
「どこにだって侵入できるあなたでも、さすがに夢の中までは入ってこれないでしょう?」
「夢?」
「そう夢よ、夢の中に『あいつ』が出て来るの」






霊夢はこれまでのことを話し始めた、相変わらず顔色は悪い
「レミリアが起こした異変の時のことを夢として見たのよ、最初にそいつが出てきたのはその時」


霊夢の話ではここ最近、過去にあった思い出を夢として見るらしい
内容も忠実に同じだそうだ


「紅霧異変の時か?しかし思い出を夢として見るなんて、婆々くさいな」
「ほっといて。・・・でっ、夢の中身はその時と全く同じ内容だった。紅魔館の連中が順番どおりちゃんと出てきて、使うスペルカードもみんな一緒だった。『あいつ』が出てきたこと意外は・・・・・」
「そこで『あいつ』か・・・・・・・で、何されたんだ?」
「なにもされてないわ、ずっと遠くの離れた場所でただ私のことを見ているだけ。姿も全く確認できないほど遠くにいた。気付けたのが自分でも不思議なくらいにずっと向こうから・・・・」
「別に何の害も無さそうだが?」
「私もその時は全く気にしなかったわ。でもその次に見た夢がフランと初めてあった時のことなの。『あいつ』はそこでも出てきた」

その時の霊夢の顔はそいつに対する恐れなのか忌々しさなのかよくわからない複雑な表情を浮かべる

「その時そいつは、紅魔館の外から廊下の窓ごしに私を見ていたわ、雨に濡れながら顔だけ覗かせてこっちを見ていたわ。ずっと向こうの廊下からね」
私は頭の中でその様子を思い浮かべる。なるほど確かにそれはおっかない
「しかし夢の中にまで妖怪につきまとわれるなんて災難だな」
そう言ったら霊夢がジト目でこちらを睨んできて、軽口を叩いたのを軽く後悔した


「次にそいつが現れたのは冬が終わらないって異変。冥界の連中が起こしたやつね」
「そのときもか?」
「そいつは幽々子と戦ってた最中に西行妖の下で私を見ていた。そのときも結構離れていたわ」
「じゃあ、そのあとの紫のときも出てきたのか?」
「ええ、でもその時わかったことがあるわ」
「なんだ、わかったことって?」


「『あいつが段々私に近づいてきている』のよ、夢を見るたびに『あいつ』が私に近づいてくる
 萃香の時も月の異変も時も花の異変の時も妖怪の山に行った時も『あいつ』私との距離を確実に詰めてきた」



「何者なんだそいつ?」
私は聞かずにはいられなかった
「近づいて来てわかったわ、そいつは女で『私と同じ巫女装束を着ていた』わ」


それは流石に驚く
「巫女装束!?おいおい!どういうことだ。夢の中で自分のドッペルゲンガーが出てきたのか!?」
思わず霊夢に詰め寄ってしまった
「顔は長い髪を前に垂らしていたからわからないわ・・・・・・・けどそいつはすごく不気味に笑っていたのが髪の間から見えた口元でわかったわ」


はじめ霊夢はそいつに対してどんな感情を持っていたかわからなかったが
霊夢は明らかに『あいつ』を恐れていた
私の知っている普段の霊夢ならそんなのただの夢だと一蹴したはずだ
今の霊夢には余裕が全く感じられなかった
霊夢はかなり追い詰められていた



こんな話を私に聞かせてくれたせいか、霊夢の顔色はさらに悪くなったように見える
それでもお茶を飲みながら平静を装っている姿が痛々しかった


「とりあえず、横になったほうがいいぞ。かなり疲れてるだろ?」
「そうしたいけど、寝たら『あいつ』がまた出てくるわ」
「だからそんなに顔色が悪いのか?」
「おかげで眠るのが怖くなってね。部屋に御札貼ったりもしたけど丸きり効果は無かったわ。もうお手上げよ」
「捕まったら何されるかわかったものじゃないからな・・・・」
それを聞いた霊夢は、あははと笑ったが強がっているのがこの私でさえ感じ取れる


「でもね、さっき掃除をする前につい、うたた寝をしてしまったの。そのときも『あいつ』は出てきたわ。この前の宴会をした時の夢よ
 『あいつ』は鳥居の下に突っ立ってこっちをずっと見ていたわ、その時も髪で顔は隠れていて、口元が不気味に歪んでいたわ」



あいつは私を追いかけてきている
怯えながら霊夢はそう私に言った

こんな霊夢は見たくなかった
勘と才能に恵まれ、誰よりも強く
その霊夢を超えるのが私の目標だ
そしてなにより私が心を許せる数少ない友人である



それを聞いて、いても立ってもいられず
私は神社から早々に帰宅して、本棚から次々本を取り出してはそれらしい文献を読み漁った


一睡もせず調べたが、結局それらしいものは出てこなかった


霊夢のことが心配になり
日が昇るとすぐに神社に向かった

朝早いのに神社の外には霊夢がいた
徹夜したのだろうか?
「おはよう魔理沙、珍しく早いわね」
そう言う霊夢の顔は以外にも顔色が良かった
昨日の不調が嘘のようだ

「寝不足じゃないのか?」
「その程度、一晩寝たら健康そのものよ。私を見くびってもらっちゃ困るわ」
本当にいつもの霊夢だった
「私より、魔理沙のほうが寝不足みたいだけど?」
「一晩かけて新しい魔法の研究をやってたんだ、そいつで今度こそ霊夢を負かしてやるから覚悟するんだな」
「それは楽しみね」

今更、霊夢を助けるために調べものをしているとは恥ずかしくて言えず
私としたことが思わず『日々努力してます』みたいなことを言ってしまった

しかし霊夢が元通りになったことが何より嬉しい


「ところで夢に出てきた『あいつ』はどうなったんだ?」
霊夢が無事だったとはいえ、これがはっきりしないことどうもすっきりしない

霊夢はついさっき起きたばかりで、『あいつ』の出て来る夢を見たばかりらしい
その夢の内容を話し始める
「魔理沙が帰ってからすぐのことよ、賽銭箱を確認しようと部屋の戸に手をかけて開けたら『あいつ』が目の前に突っ立っていたわ。相変わらず不気味に笑ってね」
それを聞いて動揺した
「追いつかれちまったじゃないか!?大丈夫なのかよ!?」
「大丈夫よ、現に私はピンピンしてるじゃない」
そういえばそうだ
思わず取り乱してしまい恥ずかしい

「たぶん、『あいつ』は『本当の博麗の巫女』なのよ」
急に霊夢が淡々と語り始めた
「どういうことだ?『博麗の巫女』は霊夢だろ?」
霊夢の言いたいことが良くわからない
「異変が起きた時も神がかり的な力を発揮して、全てを力でねじ伏せる。妙だと思わない?私のような小娘にこれほどの力があるなんて?
 博麗の巫女は代々『あいつ』の力を借りて異変を解決してきたんじゃないかしら?私自身、異変が起きた時は何かにつき動かされるような感覚に陥ってしまうわ
 異変が起きた時、『あいつ』が巫女の体を使い幻想郷の秩序を守るっているんじゃないかしら?
 そのうち『あいつ』が私に常に乗り移って、私は機械みたな人間になるような気がするわ」


それを話す霊夢は霊夢なのに霊夢じゃない。そんな気がしてきた

霊夢の言う事が本当なら
幻想郷には『本当の博麗の巫女』という神よりも高い地位の形無き存在がいて。そいつが霊夢に取り憑いて異変を解決していることになる
霊夢に挑むというのは幻想郷という世界に一人で喧嘩を売るのと同義語になってしまう
つまり私は一生霊夢には勝てない
そして何より全ての人格を否定されて、それを強制させられる霊夢が気の毒だ


だからなんとしてもその事実を否定しなければならない


私は霊夢の言ったことを否定しようとした時
「魔理沙、今日は家に帰って大人しくしていたほうがいいわ」

突然なにを言い出すんだ霊夢は?
わけのわからないことを語ったら、急に帰れなんて


「今日は異変が起こるような気がするわ」
霊夢の勘は必ずと言っていいほど当たる
おそらく霊夢の言うとおりになるのだろう


霊夢は私を無視して神社から出立しようとしている
もうすでに準備は出来ていたらしい


だが今は異変なんてものは後回しだ
霊夢の目を覚まさせなければならない
私は霊夢の前に立ちはだかった


「あら、今度の異変では魔理沙が1面のボスなの?」

急に霊夢の態度が冷たくなった

「そうじゃない!今回は私に任せてお前は神社で休んでろ!」
「私に休めですって?それは『博麗の巫女』の存在を否定するのと同じよ。どきなさい」

少し怖いがひるんでなんかいられない
今霊夢を行かせたら、もういつもの霊夢は戻ってこないような気がしたからだ

「お前、どこかおかしいぞ!『あいつ』に何されたんだ!?」
原因として『あいつ』しか考えられない



そういうと霊夢はパサリと髪を前に垂らして顔を隠した
髪の隙間から口元を不気味に歪ませて笑っているのがわかる

私の知っている霊夢はそんな笑い方しない


霊夢がゆっくり口を開く



「だから言ったじゃない、『追いつかれた』って」


fin






  • 元の怖い話はヤバいけど、アレンジされてもやっぱり怖えぇ
    しかし内容を上手く巫女と絡めてるのは見事としか言いようがない -- 名無しさん (2008-06-18 12:55:12)
  • 元ネタって何なのねん -- 名無しさん (2008-06-24 23:39:27)
  • ぐぐってるけど元ネタの話がみつからないな -- 名無しさん (2008-07-15 19:05:52)
  • プレイヤーのこと言ってるのかなって思った -- 名無しさん (2008-07-28 17:00:34)
  • 俺もプレイヤーのことかと・・ -- 名無しさん (2008-09-13 16:22:47)
  • しかし『あいつ』は巫女装束らしいしな
    プレイヤーにしてもその服装は怪しすぎるぞ -- 名無しさん (2008-09-14 02:21:32)
  • 「記憶を追って来る女」でぐぐれ -- 名無しさん (2008-09-24 09:28:35)
  • おもしろかったぜえ、いったいどうなっちゃったんだろうかって気になっちゃったぜえ。
    -- J (2008-11-23 00:44:19)
  • 元ネタ知らないけど面白かったw
    いや知らないほうが楽しめるか。 -- 名無しさん (2009-03-13 23:49:37)
  • すぐ近くまで迫ってきたと聞いて次の日「あいつ」について尋ねたら
    「なんのこと?」と言われるオチかと思った。 -- 名無しさん (2009-03-15 02:20:03)
  • 次回作は「コトリバコ」でよろしく。
    幻想郷流の恐怖アレンジが効いたSSを。 -- 名無しさん (2009-03-23 21:38:58)
  • なるほど。つまりこれは霊夢のコスプレをした俺の想いが霊夢に届いたということだな! -- 名無しさん (2009-04-08 19:05:54)
  • 旧作の靈夢・・な訳ないよな?・・ -- 名無しさん (2009-05-06 00:00:58)
  • 結局、『あいつ』に追いつかれた霊夢は怪死。霊夢を救えなかった事を悔やみ続ける魔理沙。
    でも魔理沙はそんなある日、遂に自分の夢の中に出てくる小さな"笑み"に気付いてしまう。
    …そんな終わりを想像したけど、そうならなくて一安心(?) -- 名無しさん (2009-05-22 00:19:20)
  • 怖イイ話がみたい -- 名無しさん (2009-05-31 00:57:43)
  • 元ネタ知っていても怖い。
    作り話と判っているにもかかわらず怖い。 -- 名無しさん (2009-10-06 21:17:45)
  • これは良いな。
    なんかしっくりきた -- 名無しさん (2010-04-05 07:34:11)
  • 霊夢なのが丁度良い -- 名無しさん (2010-04-11 21:36:56)
  • 早苗さんなにしてはるんですか? -- 名無しさん (2010-07-31 05:41:58)
  • 何度みても怖いwww -- れみレミリ☆あうあう (2011-03-28 11:06:48)
  • え、続きは?
    -- 前田麻衣 (2013-09-08 09:16:38)
  • 怖いの苦手なのに読み切ってしまった。
    後悔した。 -- キング クズ (2016-07-10 01:59:49)
名前:
コメント: