470 名前:名前が無い程度の能力 投稿日:2006/10/07(土) 04:19:09 [ Awb1kxbw ]
フランは
最近鍵を誰も開けてくれないので
部屋で不貞寝の毎日だった

「お姉様どうしたのかしら」
今日こそは!と思えば、その日もお姉様はやってこない
それどころか最近は食事を運ぶメイドもやってこなかった

別に食わなくても耐えられるがこの仕打ちはどうしたことか
フランは日々不安を募らせた
ドアを壊して出ていこうか考えたが
レミリアに叱られると思うと自分から出て行くのがためらわれた

やがて耐えられなくなったフランは、力づくでドアを開けようと決心し
実行した

それは考えていたのと違って、いとも容易く壊れた
「え?」
廊下は廃墟のようだった
そこかしこで煉瓦や漆喰が破れ、内側の木枠が顔を出している

そして廊下の先には何もなかった
そこは廃墟だった
紅魔館は存在していなかった
「―お姉様?」
ただ日中の光が容赦なく降り注いでいた

遮蔽物を伝って移動し、周囲を見回した
湖が干上がっていた
その向こう側にあるはずの森は砂漠化していて
山々はほとんどすべて禿山のようだった

フランは泣きそうになりながら廃墟の中をさまよった
光に当たらないように注意しながら、誰か居ないかと叫び続けた
レミリアも、咲夜も、パチュリーも、門番も、メイドたちも
見当たらなかった

フランは夜を待った
いつまで待っても夜が来なかった
太陽はいつまでも真上にあり続けた

フランは地下室に戻らざるを得なかった
すると地下室へと連なる廊下の壁に
文字が刻んであることにきがついた

私の最愛のフランドールへ
太陽が沈まなくなったので異変を解決してくるわ
いい子にして待っているのよ
すぐに戻ってくるからね
光に当たってしまうから
外に出てはいけないわ

ところどころ消えかけて読めなかったが、概ねそんな具合だった
フランは涙をこぼしながらそれを何度も何度も読んだ
寝て起きて更にそれを読む日々がいつまでも続いた
いつまでも




  • この話悲しくて切なくて大好きです。 -- 名無しさん (2009-04-07 02:11:08)
  • 悲しい。お嬢悲しすぎる -- 名無しさん (2009-04-07 22:45:05)
  • 原因は空? -- 鳥 (2011-04-15 14:20:04)
  • 太陽神アポロを怒らせるからだ -- 名無しさん (2011-04-15 19:49:09)
  • ロイヤルフレアの暴走ですか? -- 名無しさん (2011-04-24 11:58:37)
  • これが世にいう東方永昼抄ですか? -- 名無しさん (2011-04-25 00:47:02)
  • レミリア… -- 名無しさん (2013-08-05 12:15:06)
  • えげつねぇな、太陽 -- カールグスタフ (2013-08-16 22:17:04)
  • 地霊殿組と永夜抄組が手を組んだらマジでおきそうな異変だな -- 名無しさん (2013-09-27 00:16:38)
  • なぜこの異変にお前が立ち向かった…… -- 名無しさん (2014-10-28 23:12:33)
  • おいフラン、ちょっとチョコパン食わねえ?美味いよ? -- 空気を読まない男 (2016-05-10 22:45:29)
  • おいフラン、ちょっとソーセージ食わねぇ?美味いよ?(ポロン -- 名無しさん (2016-05-12 00:31:32)
  • 文字が消えかけてるってことは、フランの知らない間に少なくとも数十年の月日が流れてた、ってことだよな・・・。
    そして異変が解決されてないってことは、レミリアたちは数十年前にはもう・・・。 -- 名無しさん (2016-06-20 19:24:43)
  • 誰も異変を解決出来ず、その結果痺れを切らしたレミリア自らが異変解決に出向いたってパターンだろうな。
    恐らくレミリアが出向いたときには既に幻想郷はかなり追い詰められた状態だったんだろうね。 -- 名無しさん (2016-10-13 20:07:50)
  • 続きが気になる。 -- 名無しさん (2016-10-18 14:26:10)
  • これだけ短い文章であるにも関わらず色々と状況・経緯等を察することが出来るのだから、そういう意味ではこの作品はスゴいと思う。 -- 名無しさん (2016-10-22 14:36:28)
  • おぜうさま〜 -- 名無しさん (2018-02-16 20:02:40)
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最終更新:2018年02月16日 20:02