※このSSには独自の設定やキャラの崩壊、グロテスクな表現が含まれています。そういった展開が苦手な方はご注意ください。



































う、う~ん……。あれ? ここ何処?
あたい、なんでこんな所にいるんだろう。
………ちょっと待って。記憶を整理するよ。
あたいは火焔猫 燐。皆には、お燐って呼ばせてる。
最後に覚えてるのは……そうだ、あたいは……。





あの日は凄い雨が降ってて、外に出たまま帰って来ない古明地 こいし様を探しに行ったんだ。
それで見つけたまではよかったんだけど……。

「あ、こいし様そんな所に」
「お燐………どうしよう……」
「どうかしたの?」
「……帽子が…」

見ると、こいし様の帽子が崖の下の木に引っ掛かってたんだ。
こいし様の身体能力じゃ取りに行くのは難しそうだなぁ。
でもあたいなら、あれぐらいなんともないさ!

「あたいが取って来るよ! だからこいし様は先に地底に帰ってて」
「そう? ……お願いね。帽子にはお姉ちゃんにもらった大切な物が入ってるの」

帽子に入れてるの?
兎に角ちゃっちゃと拾って、あたいも帰ろう。
そう思って崖を降りて帽子を拾ったんだ。
そこまではよかったんだけど……。

「………………」

ちょっとさ、こいし様があたいの主の古明地 さとり様にもらった物ってのが気になっちゃったんだ。
それでちょっとだけ、ちょっとだけ見ようと思ったら……

「!!」

突然……鉄砲水が来て……それで……。





………ははは、ざまあないよ。
人の者を勝手に見ようとした結果がこれさ。
いくら罰でも神様もここまでやる事ないのになぁ。
……うっ! ………ああ、体中痛いよぉ。
これじゃ飛べそうにないなぁ。
仕方ない、歩いて帰ろう。
でも………どっちに行けばいいんだろう。













もう大分歩いた気がするなぁ。
でもさっきから見えるのは木ばっかり。
これじゃあ何処を歩いてるのか分からないよ。
本当にこっちでいいのかなぁ。
あまり怪我した状態で歩き回りたくないんだけど。
そういや帽子、濡れちゃったけど大丈夫かな。
手紙とかだったら、もうぐしゃぐしゃだよ。
こいし様、悲しむだろうなぁ。
ん? 急に開けた所に出たねぇ。
………あ、あそこに誰かいるよ。
やっと誰かに会えたんだ。此処が何処なのか訊いてみよう。
ちょいとごめんよ~。

「!?」

ありゃ? もの凄くびっくりしてるよ。
それにちょっと怯えてるみたい。
こんな可愛い黒猫に、普通怯えるかなぁ。
もしかして人間だったとか?
最近の人間は妖怪をあまり恐れないって聞いてたけどなぁ…。
でも場所だけ教えてくれればいいんだ。
頼むよ、お嬢さん。

「来ないで!」

酷い嫌われようだねぇ…。
さすがにちょっと悲しくなるよ。
でもあたいだって家に帰りたいだけなんだ。
他に頼れる相手もいないんだよぉ。
お願いさぁ。

「このぉ!!」

うわぁ! 突然、口から何か出してきたよ。
………ん? これは煙幕弾かい?
困ったなぁ。逃げられると手掛かりがなくなっちゃう。
…………ああ、煙が晴れて来たよ。
さすがに、もういないかなぁ。

「そ、そんな……」

あれ? 逃げてない?
どういう事なんだろう。
煙幕張ったのに逃げないなんて変わった奴だなぁ。
でも訊くなら今のうちだね。
ちょっと………あれ? この腕まるで人形みたいな…。

「!! 触らないでよ!」

ひ、酷いなぁ。
そんな乱暴に振り飛ばさなくたっていいのに。
あたいは此処が何処だか知りたいだけなんだよぉ。
………ああ、走って行っちゃった。
今のあたいは体中痛くて上手く走れないんだよぉ。
あれ? そういや結局さっきの煙幕は何だったんだろう。
なんだかよく分からない奴だったなぁ。
…………でもこんな鈴蘭だらけの場所は来た事ないや。
地底からは離れてるって事かな?
とりあえず逆方向に進んでみよっか。
何処か知ってる場所に着けばいいんだけど。













うぅ………全身ズキズキする。
痛いよぉ。苦しいよぉ。早く帰りたいよぉ。
森の中を歩いてたせいか、蟲まで纏わりついて来て最悪だよぉ。
……ん? あれは………そうだ! 博麗神社だ!
やったよ! ついに知ってる場所に着いた!
これでどっちに行けば帰れるか分かるよ!
此処からなら里を目指し森を抜けて暫く進めば……進めば……。
ああ、遠いじゃないかぁ。
こっから歩くなんて地獄だよぉ。地獄跡より地獄だよぉ。
でも博麗 霊夢はこういう時、頼れる相手じゃないからなぁ。
仕方ない。歩いて……行くか。
……ありゃ、正面から誰か来るよ。
あれは………確か鬼の伊吹 萃香だったね。
神社に用事かなぁ。上機嫌そうで羨ましい事だよ。

「ふんふふ~ん♪ ってうりっひうぇい!?」

な、何その驚き方は。
あたいの方がびっくりしたよ。
そんなにあたいがいちゃ、おかしいかな。
確かにあまり来ないけどさぁ。

「やるの!? やるのかい!?」

やらないよ。
むしろそのノリが何なのさ。
あたい、そんな誰かれ構わず襲うようなキャラじゃないよ?

「………あれ? なんか何処かで見た事あるような…」

気付いてなかったんだ。
知らないのに、あんなに驚いたの?
見た目ただの黒猫なのに?
傷だらけだから?
でも怪我してる相手にやるのって、ちょっとおかしな気が…。

「…………あ、地底の火車か」

おお、思い出してくれた?
じゃあ気付いたついでに助けてよ。
あたい、こんな状態でずっと歩いてなんかいけないよぉ。
おぶって行けとは言わないから、せめてさとり様に連絡を…。
ってああ! なんで近付くと逃げるのさぁ!
意地悪しないでよぉ!

「火車もこうなっちゃ、おしまいかな」

やめてよぉ……そんな哀れみに満ちた目で見ないでよぉ。
あたい、こんな事で終わる気ないんだからさぁ。
もう助けてくれなくていいよ。
自分の力で必ず帰ってみせるんだ。
帽子もこいし様に返さなくちゃいけないしね。
それじゃあ行くよ。そっちはそっちで精々楽しくやりなよ。













………なんか、だんだん苦しくなくなってきたよ。
かいふくしてきてるのかな?
ようかいの生めい力さまさまってやつだね。
でもかわりに体中がかゆいよぉ。
きず口がふさがるときの、あのかゆさなのかな。
なんか、かきむしりたくてしかたないんだ。
なんとかぶじに、かえれるといいんだけどなぁ。

「いらっしゃいませー!」

ん? 何だろう。
あれは、ようせいだね。
何か、くばってるよ。
これは………かみ?
『今………ミスティアの…き八目……』
なんて、かいてあるんだろう。
むずかしい字が、つかわれてるや。
と中しかよめないよ。

「あれ? んぎゃー! だ、ダメですよー!」

……なんかさっきから、よくにげられる気がするなぁ。
そんなにあたい、わるいやつに見える?
こんなにかわいい、くろねこなのに。
………たしかに死体は、もちさるけどさぁ。

「猫さんは、お金持ってないでしょー! お金持ってないとダメですよー!」

ああ、みせのきゃくびきか。
それはわるいこと、したねぇ。
たしかに今はもちあわせがないよ。
いつもないわけじゃないけどね。
それにいそいでるんだ。
のんびりしてる、ひまはないよ。

「…………行くですか?」

うん。
じゃましてわるかったね。
あたいのことは気にしないで、せっきゃくぎょうがんばりなよ。
さて、いそい…

「うらめしやあああ!!」

うわあ! びっくりした。
とつぜん何もないところから、出て来ないでよ。
みゃくはくないにも、ほどがあるでしょ。
………何そのしてやったりってかおは。

「表は焼き八目鰻屋~、なんてね」

わけ分かんないよ。
もう行くからね。
ついて来ないでよ。

「チラシですよー。『今夜営業ミスティアの焼き八目鰻屋』ですよー」
「へぇ~、折角だし寄ってみようかしら」
「美味しいですよー。是非寄ってくですよー」
「でも悪戯好きの妖精が、真面目に宣伝なんて珍しいね」
「春までアルバイトして生活してるんですよー」
「ふ~ん、私も何か始めようかな。びっくりさせるネタになるかもしれないし」
「………厄いわ」
「誰か来…」
「うらめしやあああ!!」
「はいはい、表はピアス屋」
「驚かせるには不意打ちが必須、と」
「チラシですよー」
「これはどうも。………それにしても今の猫、厄かったわ」
「厄、というと貴方は厄神ね?」
「ええ、そうよ。……でもね……ふふふ、厄神は私の仮の姿なの」
「……えっ」
「私の本当の姿、知りたい?」
「うん、知りたい」
「仕方ないわね。特別に貴方達には教えてあげる」
「わーい」
「実は私こそ人々を救う救世主様と愛の契りを交わした暗黒女神の生まれ変わりなのよ!」
「……………えっ」
「…………………………え? 何その反応…」
「…………………………………」
「……………………………………ちょっと…」
「………………………………………」
「…………………………………………」
「……………………………………………」
『……………………………………………………』













ああ、かゆい。かゆいよぉ。
体中かゆくてムズムズするぅ。
もうがまん出来ないよ。
思いっきりかきむしりたい。
何か、かくのによさそうなものはないかなぁ。
あたいのつめじゃ、血まみれになっちゃうよぉ。
何か、何かかけそうなもの……あ!
さとだ! さとが見えて来たよ!
くー、ここまで長かったなぁ。
さとまで来たら、あとは森をぬけるだけさ!
やっと、やっと家にかえれるんだ。
まっててね! …………え~と、あれ?
家には……だれがいるんだっけ?
…………ああ、そうだよ。
さとりさまとこいしさまが、いるじゃないか。
ほかにもペットなかまが、いっぱいいる。
………なんでこんなことを、わすれそうになったんだろ?

「止まれ! 何者だ! 名を名乗れ!」

ありゃ? どこかから、こえがきこえるよ。
あ、上だ。さとのにんげんがいるんだ。
見はりかな? 大へんだねぇ。
でもあたいはさとには、ようはないよ。
ちょっとちかくを、とおるだけさ。

「止まれと言っている! ……くっ! 撃て!」

え? うぎゃあ!
な、何するのさぁ!
いきなり、うつことないだろう!?
そんなにあたい、わるいやつに見える!?
こんなにかわいい、くろねこなのに!
………たしかに死体は、もちさるけどさぁ。
……………あれ? 同じようなこと、さっきも言った気が…。
ってそれどころじゃないよぉ。
うぅ………いたいよぉ。
いたいしかゆいし、さいあくだよぉ。

「弓を引け! 門に近寄らせるな!」

もうやだぁ。
家にかえりたいよぉ。
いたいよぉ。
かゆいよぉ。
さとりさまぁ。
たすけてよぉ。

「…………退いたか。慧音様に連絡だ! 謎の妖怪が里に向かって来たとな!」





うぅ………ひどいめにあったよ。
さとには、むやみにちかづくもんじゃないね。
しかたない。すこしはなれて、外がわをまわっていこう。
とおまわりになるけど、あんぜんにすすめるはずさ。

「はんらられ?」

ん? だれだろう。
知らないようかいから、はなしかけられたよ。
さとのちかくに、ふつうにようかいがいるなんて
さっきのあたいみたいに、ならないのかなぁ。

「ほのはっほうはらひへ、ふふうのへほらないひはいへ」

…………なんていってるんだろう。
うまく、ききとれないよ。
あれ? なんかボリボリって……ああ、アメをなめてたんだ。
だれかとはなすときにアメをなめるのは、どうかと思うけどなぁ。

「聖を縋って来た信者……って訳じゃないわね。里に何かする気ならやめなさい。私に貴方を倒す理由が出来てしまう。
 それとも正体不明とやり合ってみる? にひひ!」

う~ん。なんで会うやつみんなに、てきだと思われるんだろ。
そんなにあたい、わるいやつに見える?
こんなにかわいい、くろねこなのに。
………たしかに死体は、もちさるけどさぁ。

「にひひひひ! どうするどうする~? 私はどっちだって構わな…痛っ!」

ありゃ、ようかいがふえたよ。
めんどうなことに、ならないといいんだけど。

「こら、ぬえ! 聖に妖怪が来た時の対応を教わらなかったの!?」
「ううー! 何よ、一輪! 殴る事ないじゃない!」
「話をするのに飴を舐めてるのが悪い! それに敵対意思が見えない相手との戦闘は禁止よ!」
「何よー! 一輪のケチ! でべそ!」
「でべそじゃない!」
「五月蝿い! 雲山のおまけ!」
「おまけ言うな!」
「また殴ったー!」

どうやら2人は、しりあいみたい。
よくわからないけど、さとを守ってるみたいだね。
にんげんがわのようかいたちなのかな?
あたいはべつに、さとに何かするわけじゃないよ。
このさきに行きたいだけなんだ。
手出しはしないから、とおしてもらうよ。

「あ! あいつ行っちゃうわよ!」
「放っておきなさい。里に入るつもりがないなら、私達が戦う理由はないわ。
 それに信者なら私達に無関心な筈もない。ただの通りすがりよ」
「面白くないわー」
「……それにどうせ、もう永くは持たないわ」
「あ、空っぽじゃない。聖に新しい飴缶もらって来よ」
「あんたはもう少し真面目にしなさいよ! 私はあんたの事、認めた訳じゃないんだからね!」
「五月蝿い! おまけ!」
「もういっぺん、ぶん殴ってやる!」













もりのなか、すすんでるよ。
たしか、まほうのもりってなまえ。
くるしいのはだいぶ、らくになった。
でもかゆいのは、ぜんぜんおさまらない。
それにとても、おなかがすいたよ。
どこかに、おいしいのないかな。
おいしいのたべて、たいりょくつけなきゃ。
そんで、はやくかえらないと。
でも、なんでいそいでるんだっけ?
そうだよ。ぼうしをかえすんだ。
でも、だれに?
あれ?
そもそも、どこにかえるんだっけ?
おもいだせないなぁ。
きっとそのうち、おもいだすよ。
それより、はらごしらえしないと。
あれなんて、よさそうだなぁ。
ちょっといただこっか。

「ん? うわ! な、なんだお前!?」

そういわずに、なかよくしようよ。
あたいはすこし、たべものがほしいんだ。
ちょっとわけてくれるだけで、いいからさぁ。
しばらく、じっとしててくれないかなぁ。
かってにもらって、いくからさ。

「く、来るなよ! それ以上近付くと、痛い目見るぞ!」

ひどいなぁ。
あたいはたべものを、わけてほしいだけなのに。
おねがいだよぉ。
ひもじいんだよぉ。
めぐんでよぉ。
しんじゃうよぉ。

「警告はしたからな! 必殺!『マスタースパーク』!!」

うわ、まぶしい。
でもいたくないなぁ。
めつぶしなのかな?
でもあたいは、くろねこ。
めがみえなくても、みみがあるのさ。
だからこんなの、なんともないよ。

「お、おい……嘘だろ……。マスタースパークが効かない、だと…?」

さあ、はやくたべものをちょうだい。
あたい、もうペコペコなんだよ。
もうがまんできない。
はやく、はやくたべものを…。

「う、うわああああぁぁああああぁぁぁ!!」

ああ、そんな。
いえに、にげこむなんてずるいよぉ。
はやくあけて。
ひとりじめなんて、よくないよ。

「帰ってくれ………帰ってくれよ!!」

あたいだって、かえりたいさ。
でもおなかがすいて、どうしようもないんだ。
だからわけてよ。
たべもの。
そしたらかえるからさぁ。

「!!」

ほら。
こんなとびら、かんたんにこわれちゃったよ。
もうにげばはないね。
おとなしくたべものを、ちょうだい。

「た、助けてくれ! なんでもやるから!」

うんうん、それでいいよ。
じゃあ、おことばにあまえて。
いただきます。

「ぎゃあああああああぁぁぁああああぁぁああぁぁぁぁ!!」

うん、おいしい。
やっぱりしんせんな、おにくはおいしいよ。
こんなにおにくをもってるのに、ひとりじめなんてよくないね。
おにくだけじゃないよ。
のう。
め。
みみ。
した。
しんぞう。
はい。
い。
かんぞう。
すいぞう。
しょうちょう。
だいちょう。
じんぞう。
ほかにもいっぱい。
これだけたべものがあるんだ。
ちょっとぐらい、わけてもらってもいいよね。

「い、嫌だ……死にたくない……誰か……助けて……」

まってよ。
まだおなかのひょうめんしか、たべてないじゃん。
もっといっぱい、ちょうだいよ。
このおいしそうな、ふとももとかさぁ。

「ああ! ああああああ!!」

おいしい。
このままひきちぎりたいくらいだよ。
でもそれだと、しんじゃうなぁ。
しんじゃうまえに、ちょうをいただきたいんだよ。
やっぱりないぞうは、せんどがたいせつだからねぇ。

「うぐぉ! があ…あ…あああ…ああああああ………」

ありゃ。
うごかなくなっちゃったよ。
むりやりひっぱったのは、まずかったかなぁ。
…………………………。
しかたない。
おいといてもわるくなっちゃうから、ぜんぶいただこう。
………………………。
ああ、のどもおいしいなぁ。
のうは、ずがいをわるのがたいへんだね。
あとにしよう。
うでは、はいのあとがいいかな。
しんぞうはどうしよっか。
まだ、けいれんしてるうちにってのもいいねぇ。
う~ん。なやむなぁ。
おいしいものがいっぱいで、しあわせだね。













ああ。またおなかが、すいてきたよ。
ちかくにおいしい、おにくないかなぁ。
あそこのいえなんて、どうだろう。
おいしそうなの、あるといいな。
ちょいとごめんよ。

「………どちら様?」

ちょっととびらをあけて、でてきてほしいなぁ。
そんなにじかんは、かからないよ。
ていこうがすくなければの、はなしだけど……うぶっ。

「……一体、どういうつもりかしら? 随分と穏やかじゃないみたいだけど」

ひどいなぁ。
いきなりドアをあけたら、ぶつかるじゃないさ。
でもいいよ。
おなかいっぱいたべさせてくれたら、ゆるしてあげる。
だからしばらく、じっとしててもらおうか。
だいじょうぶ、すぐおわるさ。

「私とやる気? 何処の間抜けを喰ったのかしらないけど、私は簡単にはいかないわよ」

ていこうするき、みたいだね。
おとなしくしてくれれば、らくにたべられるのに。
よけいな、てまがかかってたいへんだよ。
ありゃ?
きゅうにちいさな、にんげんがいっぱいでてきたよ。
こびとかな?
……………ああ、わかった。
さては、おにくをわたすきになったんだね。
おねえさん、いがいとはなしがわかるじゃん。
それじゃあさっそく、いただこうか。
どれがおいしいかなぁ。
こっちのもいいなぁ。
でもそっちのも、よさそうだしぃ。
きめた。
あれにしよう。
いただきまぁす。

「!! こいつ………………」

………あれ。
ぜんぜんおいしくない。
それにかたくて、かみきれないよ。
だめだ。
こいつは、たべられないよ。
あっちのなら、おいしいのかなぁ?
いただきまぁす。

「………………」

だめだよ。
こっちもおいしくない。
あっちのならいけるかな?
これもおいしくない。
じゃあこっち。
だめだ。
ならそっちの。
ああ。
それは。
うう。
どれもぜんぜんおいしくないよぉ。
ひどいよぉ。
たべれないよぉ。
おなか、すいたよぉ。
かゆいよぉ。
うわあああああん。

「………………………………………………………………」

もういいよぉ。
おねえさんのこびと、おいしくない。
ぜんぜんたべられないもん。
あたい、ほかのおいしいのさがすよ。
じゃあね。

「待ちなさいよ。あんた他の奴、襲うつもりでしょ。逃がさない」

ああ。
こびとに、かこまれたよ。
どれもこれも、おいしくないのに。
あっちいってよ。
おいしくないこびとに、ようはないよ。

「この場で引導を渡してあげる。葬りなさい『紅毛の和蘭人形』」

うぎっ。
やめてよ。
なにすんのさ。
そんなの、いたくないよ。
がっ。
だから、やめなって。
いいかげんにしないと、おこるよ。
この。
かみくだいてやる。
うっ。
かたい。
ぐっ。
やめてよ。
もうやめてってば。
やめて。
うでが
とれちゃったじゃないさ。

「終わりよ」

あうっ。
ぎいっ。
ぎゃん。
もうやだ。
かえる。
ぼうしを
かえさなくちゃ
いけないんだ。
おねえさんに
つきあってる
ひまなんて
ないよ。
あれ?
からだが
ちゅうに
ういて。
あああああぁぁぁぁ……。

「!! 土竜の巣穴にでも落ちた……? ………まずいわね、犠牲者が増える前に始末しないと」













おなか
すいた
からだ
かゆい
にく
たりない
たべもの
ほしい
もっと
にく
………
かぜ
つよくなった
なにか
くる

「見つけました! あいつですね!? メディスンさん!」
「そうよ、文。鈴蘭畑に入り込んで来た正体不明の妖怪、さっきより酷くなってるけど間違いないわ」
「これはスクープですよ! 新たな異変の前兆かもしれません! さっそく取材しなくては!」
「気をつけて、あいつは毒も効かなかった。なんか危険な感じがするわ」

とり
くる
とり
にく
にく
たべたい
にく
とり
にく
にくにくにくにくにく

「あ、あれは!」
「姿が変わった!?」

にく
たべたい
とり
うちおとす
どうする
………
だんまく
あてる
とり
おちてくる
これなら
にく
たべれる
さっそく
だんまく
あてる

「こ、これはっ!『旧地獄の針山』!? という事は………うぐっ!」
「文!」

だんまく
あたった
にく
おちてくる
もうすぐ
にく
てにはいる
にく
………
また
えんまく

「め、メディスンさん!」
「しっかりして! ……一旦戻りましょう」
「……やむを得ませんね」

………
えんまく
はれた
にく
にげる
にがさない
にく
てにいれる
もういちど
だんまく
あてる

「!! 今度は『食人怨霊』!」
「か、囲まれたわ! ……ああ…きゃああ!」

だんまく
あたった
とり
おちてくる
こんどこそ
にく
てにいれる
もう
にがさない
………
つかまえた
さっそく
たべる

「……うぅ………! 文、後ろ!」
「…えっ? う、うぎゃああああああああぁぁああ!!」

とり
にく
おいしい
もっと
にく
たべる
もっと
はらわた
たべる
もっと
もっと
たべる

「……ああ……椛………椛ぃ……も、み…………」

とり
おいしい
つぎ
のう
たべる
けど
ずかい
じゃま
………
いし
つかう
ずがい
くだく

「……!! ま、待って……助け…………」
「あ……あああ………文あああああぁぁぁあああ!!」

………
あたま
くだけた
さっそく
のう
たべる
………
とり
のう
おいしい
………
とり
おいしかった
つぎ
もうひとり
たべる

「い、嫌よ……。来ないで………嫌あああ!!」

………
かたい
おいしくない
あじしない
いらない

「…………あ、あれ? 襲って……来ない?」

もっと
おいしいの
さがす
おなか
すいた
からだ
かゆい
にく
たりない
たべもの
ほしい
たべものたべものたべものたべものたべもの

「………………助かった、の?」













ニク
ニク
ニク
ドコダ
ニク
ニクニクニクニクニクニクニクニク
ドコダドコダドコダドコダドコダドコダ
………ニク?
ニク!
ニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニク!!

「……え? ぎゃああ! な、何なの!?」

ニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニクニク

「い、痛い! だ、誰か助けて! お姉ちゃん! お空!」
「………あ、こいし様だ。ってええ!? 何!? 敵襲!?」

トリ?
トリ
オイシイ
トリ!
トリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリ!!

「き、来た!」
「お空逃げて!」
「こいし様を残して逃げられる訳ないでしょ! ええい、喰らえ!」

……イタクナイ
トリ
トリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリトリ

「あああ、効いてないよ……」
「……お空…」
「く、喰らえ! 喰らえよ!」

イタクナイ
トリニクトリニクトリニクトリニクトリニクトリニクトリニクトリニクトリニクトリニクトリニクトリニク
オイシソウ

「ああ……来ないでよ………止まれ! 止まってよ!」
「お空逃げて! 早くぅ!」
「うわああああああ!! あああああ!」

トリ
ツカマエタ
タベル

「ぎゃあああああああ!! 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃぃ!!」
「お空! ……やめてよ……お空を食べないでよ……お姉ちゃんが悲しむでしょ……やめてよおぉ!!『無意識の遺伝子』!」

イタクナイ
トリ
ツヅキ
タベル
………
アレ?
ナニカ
オトシタ
コレハ…

「あ、あれ? なんでこいつ………私の……帽子………」

ボウシ?
……ボウシ
ボウシ!
ソウダ!
カエサナクチャ!
ボウシカエサナクチャ!
ボウシカエスボウシカエスボウシカエスボウシカエスボウシカエスボウシカエスボウシカエスボウシカエス
ボウシカエスボウシカエスボウシカエスボウシカエスボウシカエスボウシカエスボウシカエスボウシカエス
ボウシカエスボウシカエスボウシカエスボウシカエスボウシカエスボウシカエスボウシカエスボウシカエス

「……ねぇ、貴方………もしかして……」
「………!! こいし様危ない!」
「!! 待ってお空! 撃っちゃダ…」





イタクナイ
ケド
アツイ
トテモアツイ
デモ
トッテモ
ナツカシイ
アツサ
……だメダ
ナニモおもイダセナイ
ボウし
カエサなくチャ
イケナいのニ
ダレノぼウシカ
オモいダセない
かえサナくちゃ
たイセツなカタの
ダイじナモのナんだ
カえせなイト
あタい
シンでも
しにキレ
なイ



































「騒がしいわね、何事?」
「……ああ、さとり様………私……お燐を……」
「お空……」
「………だって……もう……所々白骨化してたし……襲って来たから……分かんなくて……」
「分かったわ。分かったから……無理に話さなくていい」
「…………うん」
「お姉ちゃん……」
「こいし……こんな所にいたのね…」
「お燐、帽子を渡しに来たんだよ。私の……お姉ちゃんに初めてもらったオルゴールが入ってた帽子…」
「…………」
「私が! 私があんな事言わなければ! そしたらお燐も死なずに済んだのに!」
「……こいし………貴方のせいじゃないわ。私がもっと早く探し出してあげられれば、こんな事には………。
 …………いいえ、誰のせいかなんて言いあってても仕方ないわね。………お燐、聞こえる?
 本当にありがとう。貴方は立派に役目を果たしてくれたわ。だから……もう安心して………眠っていいのよ……。
 ………うぅ……お燐……お燐! ごめんね……本当に…ごめん! うわああああああああああああん」




  • バイオハザードのかゆうま日記思い出した。 -- 名無しさん (2010-10-15 05:31:54)
  • お燐が豹変した理由がわからない… -- 名無しさん (2010-10-15 08:07:54)
  • 豹変したんじゃなくて死に掛けて思考が鈍ってるんでしょ -- 名無しさん (2010-10-16 01:43:52)
  • ↑×3
    同じく1のかゆうま思い出した。 -- 名無しさん (2010-10-16 17:31:36)
  • ↑↑死にかけっていうか、メディスンとかにも拒否されてたし鉄砲水に打たれた時点で死んでたんじゃない?
    で、ゾンビ化したっていうか…… -- 名無しさん (2010-10-16 18:00:48)
  • お燐のゾンビは怖いなw -- 名無しさん (2010-10-16 21:26:24)
  • 帽子の中にオルゴール? -- 名無しさん (2011-02-28 16:43:47)
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