銀河のはじっこの、ありふれて何もないシケた太陽を回る、青と緑色の惑星の文明は、呆れるほど遅れているが、その中の隔離空間に、呆れるほど遅れた文明の中の、更にいらんものや忘れ去られたものが集まって、傷の舐めあいをしている場所がある。
そこは惑星の文明よりますます遅れていて、住人たちはいまだに弾幕ごっこをいかした遊びだと思っており、それがもう十年来も続いている。

ところで、その隔離空間では、なぜだか、一人の少女がいぢめられており、生きながらゴミクズ扱いをされていた。
彼女は宇宙で最も醜悪な種族、ヴォゴン人に比べると月とスッポンというほど可愛らしいので謎であるが、これはその少女が、逆に皆をいぢめるという話だったりする。




銀河ヒッチハイク・ガイドによれば、霧雨魔理沙とは宇宙で最も可愛いゴミクズであり、
同時に宇宙で屈指の、いぢめられる姿の似合う美少女であり、ゴミクズであるとされている。
また、魔理沙をいぢめるための4096種類の方法、魔理沙をいぢめた777種類のシチュエーション凡例、
魔理沙に首っ丈になったときに矯正するための手段と必要なものといった魔理沙に関するあらゆることが網羅されている。

それはいい。
なぜあの銀河ヒッチハイク・ガイドが、魔理沙をいぢめる対象として記述しているのだろう。
答えは42だが、具体的には42である。
つまり、ここがいぢめスレだから、そう補正がかかるのだ。
銀河ヒッチハイク・ガイドは、あのギャラクティカ大百科より売れているのである。




ところで、無限不可能性ドライヴの作用によって、幻想郷のあらゆる植物はきのこになってしまった。
それは植物を用いていた建築物などの人工物までもが例外でなく、家はファンシーにしてメルヘンなきのこの家になっており、橋がきのこなら水車もきのこ、神社の鳥居も冥界への門も、紅魔館も永遠亭もやっぱりきのこなのである。
外の世界ではサボテンばっかりになっていたというが、それは別の話。

「私好みの世界になった」

きのこの帽子を被ってご満悦の魔理沙は、極上の笑みを浮かべながら霊夢の淹れたきのこ茶を味わっていた。
霊夢はきのこで埋め尽くされた風景をにこにこ眺めている魔理沙を、溜息をつきながら見ていた。
ちなみに霊夢は袖がきのこになっている。

「食べるに困らないのはいいんだけどね、これは明らかに異変よ」
「異変だな、解決しようのない異変だ」

魔理沙はきのこ茶の最後を飲み終えて幸せそうに息をつく。
きのこの胞子であたりはなんだか霞がかって見える。目が痛いとかそういうのがないのは救いだが、掃除は大変そうだ。
霊夢はきのこの卓袱台にきのこごはんを出しながら今後を考えた。
きのこの異変といえばあれか、やはりカメの魔王を倒してこないとだめなのか。金貨100枚で命が買える世界だが、金貨ならそのまま欲しいなぁと、きのこ型になった賽銭箱を見ながら思う。

冥界では西行妖がきのこになって大騒ぎらしいし、永遠亭では輝夜がきのこヘアになってしまったらしい。
自慢の舟がきのこになった死神は珍しくも落ち込んでおり、氷の妖精はきのこしか凍らせるものがなくて不満だった。
妹紅はきのこを焼いてご満悦だが、ZUN帽がきのこになった慧音はそうも言っていられず、筆がきのこになって文字がかけない阿求は泥酔していた。

「本当にこれでいいのかしら」
「解決の糸口はあるのか?」

そういわれると弱い。なにしろきのこである。きのこ妖怪など幻想郷には今までいなかったし、魔理沙がこんな異変を起こせるとも、起こそうとするとも思えなかった。
もしそうであるなら勘が訴えているはずである。
考え込みながらふりかえると、さっきまでお茶を淹れていた湯飲みがきのこ模様になっていて驚いた。

「やっぱりだめよ、このままじゃ私たちまできのこになるわ。マタンゴ異変よ!」
「カッカするなって霊夢。きのこになるのもそう悪いもんじゃない」

そう言われた霊夢が振り返った先、魔理沙は既にきのこだった。霊夢はそれを見てうぎゃぁとか叫んで飛び上がってしりもちをついて気絶した。

「まったくしょうがない霊夢ねぇ」

どこからともなく出てきた紫はやっぱりきのこ柄の服を着ている。ちなみにスキマではなくキノコから出てきた。
そして魔理沙ならぬきのこを見ながら苦言を呈するのである。

「こんなのはネタ的に長続きしないわ。はやく他のに切り替えてちょうだい」
「残念だが私の意志によるものじゃないんだ。自然に戻るのを待つしかないな」

紫はうへえとした顔で、茶を啜るきのこを胡散臭そうな表情でしげしげと観察するのであった。




銀河ヒッチハイク・ガイドの「いぢめ」の項目には、次のようにある。

――それはいずれにせよキャラクターに対する歪んだ愛情の度し難いかたちの発露であり、大変気持ちよく、そして度し難いものである。
対象が想像上の産物で、スレッドまたはネットワーク、脳内などで実行する場合はノープロブレムだが、基底現実にこれを持ち込む行為は度し難い犯罪である。
愛しいからいぢめる、もしくは憎いからいぢめる、主としていぢめにはこの度し難い二種類が存在する。
そして、いぢめの更なる段階では、それらを包括する概念として「魔理沙だからいぢめる」というとんでもなく度し難いものが存在する。
これはいぢめネタに妄執的に取り付かれてえんえんやり続けた者が陥る症状で、末期的であるが、概ね正しい。
いぢめに理由を求める行為が度し難く不毛であるのはかなり前から証明されている。
いずれにせよともかく度し難い。度し難い度し難い。




いまだ幻想郷はきのこ異変の傷跡を引きずっている。
きのこは元が元なので、簡単には破壊できないのだ。里の建物も、植生も、まだ半分ほどきのこのままであった。

だが、元来きのこが得意な魔理沙には、怖いものはあんまりなかった。

魔理沙が次に目指したのは紅魔館。IMEが弱体化したvistaではべにまかんで変換すると楽である。
なぜに紅魔館か。魔理沙がよく本を「死ぬまで借りていく」とする描写にあてこんだいぢめだとか、フランドールとの関係を因縁にいぢめを描写される機会が多いためだ。
しかし最大の動機は気まぐれであり、42である。

「あら、魔理沙じゃない。こないだのキノコはもうやらないn……むがぐぐ」

失言した美鈴があっという間に咲夜に口を押さえられる。否、口にきのこを突っ込まれた。
おばかであるが、むしろ咲夜が止めてよかったというべきだろう。
お嬢様はもうきのこ館は勘弁だといっている。まぁ半分くらいはまだきのこなんだけど。

「本を借りるのと返すのが面倒くさいから電子化しにきたぜ」

魔理沙ののたまったその台詞に、咲夜は目を白黒させた。

「あなたはグ○グルの回し者かしら……って、ひっ!?」

それ言い終える前に、突如として魔理沙の後ろから巨大なバイクがやってきて急制動をかけたではないか。
どぎゃぎゃぎゃ、がこん、ばくん。
驚く間もなく、バイクから操縦者が降り、ヘルメットを脱ぎ去ると、そこにはにとりが存在した。
彼女は、咲夜にむけてこう言い放つ。

「グリモワール電子化の支援のためにグー○ルから派遣された者だ」

まるでどこぞのSF漫画の合成人間じみた台詞を吐くにとり。
咲夜はなんだか末恐ろしくなった。これは本当に魔理沙か?いや、ここは本当に幻想郷なのか?
なんだかこのまま幻想郷の住民がきのこに侵食されて歩く屍になるドローン禍異変とか起こりそうな勢いではないか。
しかし、それも答えは42以外にありえない。少なくともこのSSではそう定義されている。

「そういうわけでな。書籍を電子化していくぜ」
「具体性がないわ」
「書類をもらっていくんだよ。パチュリーを説得してな」

ああ、なるほど。そういえば○ーグルの書籍電子化はあちらさんが勝手にやってくれるという。
魔理沙が適切な手段を持っている必要はなく、必要なのはそれを認可するための書面であるということなのだろう。
咲夜は得心し、そして青ざめた。
止めようと慌てて大腿のキャニスタに手をやるも、ナイフを取り出してみればきのこになっている。
こりゃだめだ。だめだが、そうもいってられないので叫ぶ。

「魔理沙、やめなさい。承知しないわよ」
「わかった。ほっぺにちゅーしてくれたらやめる」
「え」

あまりにも唐突な答えにうろたえる咲夜。心なし顔が赤い。
魔理沙はきにせず続けた。

「ほっぺにちゅーだよ。わかるだろ?それができないくらいレミリアべったりでもないだろ?」
「ぇ、ええ、できるけど、なんでそんな唐突な行為でやめるって断言できるわけ?」
「してくれたら『咲夜がほっぺにちゅーしてくれたんだv』って皆に言いふらすからだ」
「!」

究極の選択。あのゴシップ天狗の知るところとなれば自分は窮地に立たされるだろう。お仕置き的な意味で。

「交渉の余地はないわ。ナイフくらいなくたって止めてみせる!」

しかしクナイ弾も中型弾も炎弾もみんなきのこだった。
きのこを床に投げつけて地団太踏む。瀟洒さのかけらもない。
真っ赤にした顔に涙を滲ませて咲夜は叫んだ。

「わかったわよ!どうせパチュリー様から役立たずの猫ねって謗られるだけだもの、勝手になさい!」
「ちぇ。ちゅーしてくれないのか。ちょっと期待したのに」

たっぷり咲夜をいぢめた魔理沙は、上機嫌で、なんか灰色っぽい無機質な雰囲気の合成妖怪と共に図書館を目指した。
真っ赤になって、それでも必死で泣くのを我慢している咲夜は、やっぱり美鈴になぐさめられるのだった。




銀河ヒッチハイク・ガイドの咲夜の項目だが、血が滲んで読めない。
おかしいことだ。同書は書籍といっても電子ブックの一種であり、項目を呼び出してもページが血塗られているなどということはありえない。
断片的にはかつてPADがどうのとか、お嬢様が好きであるとか、でも美鈴も大好きとか、最近は自機の機会にうんやらと書かれているようだが(血が滲んで読めない)。

銀河ヒッチハイク・ガイドは、あの幻想郷縁起より何億倍も多く出版されているのである。




際限なく膨れがある蔵書を収納するために、このごろの図書館は壁や天井からも書棚が飛び出す有様であったが、それも今はすっかりきのこ畑の様相を呈していた。

「いいなここ。見てるだけで幸せだ」

魔理沙は極上の笑顔で薄暗く湿った上下左右がきのこで覆われた空間を賞賛する。
小悪魔は邪魔なのできのこの中に埋めた。これでより素晴らしくなった。

「パチュリー、この図書館のグリモワールを電子化したい」

パチュリーはきのこの胞子で喘息が悪化したのか、ベッドでマスクを装着しながら咳き込み、返事もできないほどだった。
そんな様子は意に介した風もなく魔理沙は述べる。

「書面が必要なんだ。事後承諾でもいいんだけど」

かたやにとりは既に作業に取り掛かっていた。
なんだかよくわからないプロセスを経てグリモワールが次々に電子化されていく。
やがてはこの幻想郷のどこからでもアクセスできるようになるだろう。

「返事がないのは肯定、だよな。じゃあ、お前は休んでろ。あとは私が――」




当然だが、きのこの強度で紅魔館サイズの構造重量を支えきれるわけがない。
半分が倒壊したきのこ館からほうほうのていで逃げ出した魔理沙は、必死に腕をつかんで引きずってきたつもりだったはずの、にとりの身体のほとんどが失われていることに気がついた。
具体的には胸から下がなく、腕と肩から首までがかろうじて繋がっている程度。

「残念だがもうだめだな」

魔理沙はなんの痛痒も抱かず合成妖怪を投げ捨てた。死体は既ににとりではないからだ。
彼女の関心は次にうつっている。どこの誰をいぢめるか、である。
切り替えがはやいのも、だんだんバイオレンスになってきているのも、主題の影響なのだろう。

手帳を取り出してチェックリストに罰点をつける。
霊夢、アリス、紅魔館、紫と藍にもつけていいだろう。早苗と幽香がまだだな。永遠亭勢は、長くなるし今回はあきらめよう。
どうせ竹林の方向からはきのこ雲も見えることだし。

ふむ、どちらかにするか。妖怪の山は弐瓶勉ネタが少し落ち着いてからにしたほうがいい。
今行くと早苗→サナちゃん→サナカンになっていて手がつけられない恐れがある。
似ているが霧雨魔理沙は霧亥ではない。レベル6セーフガードと正面からやりあうのはごめんだ。
そういうわけで魔理沙は太陽の畑に向かうことにした。




予想通り向日葵はみんなきのこになっていた。その中央で、幽香は、地面にじかに女の子座りになってひんひん泣いていた。

――既にいぢめ終わっていたと見るべきか。

魔理沙はしらけて、それでも一応確認をと幽香に近寄る。
幽香はかなりマジで泣いていた。顔も目も真っ赤で、ハンカチはずぶぬれ、肩と背中が振るえていて、嗚咽、否、号泣はだいぶ遠くからでも聞こえる。
魔理沙は無感動な声で問いかけた。

「幽香、どうした。なんで泣いてる」
「っ……魔……っ、りざっ……?や……いやぁ!いや!もうやめて!もうっいやぁ!!」

座ったまま後ずさる幽香。普段の彼女ならありえない状態だ。
魔理沙は更に問う。

「どうしたんだよ。お前がそんなにおびえるなんて。何があったんだ?」
「ぇうっ、み……み"、み……なが、いじめ……たぁっ」

――そりゃあそうだろうな。

どのようにいぢめられたのだろう?
容易に想像がついた。向日葵はどれも、松茸に変化していたからだ。
松茸である。高級品である。しかし、匂いはきつい。海外では軍人の靴下の匂いなどと揶揄されることすらある。
それだけではない。形状があれに似ている。あれだ。そう、あれ。

「わ……わた、しっ!私やらしくなっ……やら……く、ないもん!」

泣きじゃくる幽香の言葉がその想像を肯定する。彼女の傘も、立派な松茸になっていた。
立派な巨大な太くて長い。松茸。

幽香みたいなかわいくて綺麗で高飛車な女の子妖怪がそんなものばかりの場所にいれば、妖精どもがどんなちょっかいを出すかは知れている。
連中は容赦しない。連中は限度を知らない。連中は残酷だ。
妖怪は精神的な攻撃に弱い。幽香は強いが弱点は同様だ。そして幽香はいたいけな女の子だ。

「ひ、向日葵……がっ、かってに松茸になっただけなのに!私なにもしてないのに!あんなの私の好みじゃないのにっ!」

もはや最強妖怪とかアルティメ(ry)と呼ばれていた幽香はそこにはいない。
いるのは魔理沙に抱きついて、薄い胸に顔をうずめてわんわん泣きじゃくる、か弱い少女だけだ。
その姿に、いつもの幽香とのギャップを見出し、そしてそれが嗜虐心を大きく刺激することに魔理沙は気づいていた。
ただそれを頭でその理屈を理解していたかは定かでない。なにせ42であるし、魔理沙はいつもいぢめられる側だからそういうのに疎い。
すくなくともこのSSではそう定義されている。

「こんなことができるやつは、奇跡でも起こせるやつだろうな」

幽香の頭を撫でつつ、魔理沙はうそぶく。悪党である。こんなことばっかりやってるからいぢめられるのである。
しかし幽香は心のよりどころのないときにそんなこと言われたもんだからあわわわわ……




銀河ヒッチハイク・ガイドのきのこの項目にはこうある。

「おおむね無害」




「嘘だッ!!」

絶叫するのは早苗である。
きのこがもたらすカオスが幻想郷を包み込んでいる今、きのこが無害であることはありえない。
いや、あるいは外の世界のきのこが無害であるから、幻想郷では有害なきのこが生えてきたということか。
ヒッチハイク・ガイドの出版元もこう主張している。「ガイドに間違いはない。現実のほうがしょっちゅう間違っているのだ」と。
いや、このさい、そんなことはどうでもよい。むしろきのこは幻想郷の敵となりつつある。このままではきのこの里になってしまうのだ。
いや、42なのはわかっている。しかし度し難い。許せぬ。早苗は激怒した。

「汚物は消毒しましょう。こんがり焼きあがってきっと諏訪子様も気に入る筈――」

そこで守矢神社は光線に包まれた。というか妖怪の山ごと光に包まれたのだった。
大質量が分解されてゆく。山を構成していたあらゆる元素が素粒子まで還元され、おびただしい熱エネルギーが輻射される。
諏訪子シールドがなければ、早苗も同じ運命をたどっていたであろう。

「あぶないあぶない……こっちがこんがり焼きあがるところでした」

えぐられて質量の90%を失った妖怪の山を見てぞっとしながら早苗は呟いた。
その早苗を更に光線が襲う。どうにか回避し、回避しきれないものは諏訪子シールドではじいた。

「やぁ幽香、相変わらずよい動きをしているね」

シールドに使われたにも関わらずピンピンしている諏訪子がそのように語りかけたが、幽香は再度の元祖マスタースパークで返答した。

「今日はあんたに用はない、そこの現人神を消し炭に変換しにきた」
「現人神?私はきのこですよ」

すると、そこにいたのは緑色の髪の巫女ではなく、緑色に白の斑点がついた気持ちの悪いきのこであった。
本能的に危険を察知した早苗は、奇跡の力で自らをきのこにしたのである。
驚くべき変わり身の早さだが、おおむね正解である。なにしろ、いまさらきのこなど珍しくもない。

「おかしいわね。さっきまで居たような気がしたのだけれど」

だから幽香もすっかり騙された。
彼女は腕組みしてうなりながら百面相するのである。

「きっと里にでも信仰集めにいったんじゃないでしょうか?」
「そうね。他をあたってみるわ。ありがとう、親切な1upきのこさん」

いくらかの後、早苗ならぬきのこは幽香のおなかの中にすっかりおさまっていたのだった。
腹を満たしてパワーを回復した幽香が里に向かう。えらいことになったが、ここから先は本筋とあまり関係ないので省くことにしよう。




永遠邸のきのこ雲の正体は、どうやら地底から噴出した爆発によるもののようだった。
実際は、制御棒がきのこになってしまったので炉心が暴走したお空が異常加熱し、地底の圧力を増加させ、いわば地底そのものを一種の圧力釜にしてしまったのだ。
圧力は臨界に達したものの、重コンクリートでふさがれた間欠泉はもはや貫通できず、かわりに永遠邸の地下から噴出したのである。
姫や医者は即時リザレクションして無事だったのだが、兎たちは一匹も残っていなかった。
もとよりきのこになってしまっていたので、兎の痕跡は存在しない。そんな中、ひときわ大きな紫色のきのこを見て永琳は言う。

「私は大永久生命エイリン。きのこ化の洗礼を受けし者達よ、今こそきのこの肉体に魂を呼び戻そう。脳を目覚めさせるのだ!」

いつまで引っ張るのだといわんばかりのセリフだが、要するに彼女もどうかしてしまったようなのだ。
永琳がナレインならば、キャラ的に輝夜はニアルディだが、彼女はただの不老不死者なので、全壊した屋敷の庭でぼうっとしていた。
茫然自失に近い状態で彼女は問う。

「えーりーん。これからどうするのー?」

人里のほうがえらく明るい。まるで最終戦争のようだ。
こっちの世界に戻ってきた永琳は述べた。

「そうね。とりあえず水が必要だわ。あと、スペルカードは捨てて」
「なんで?」
「ケツを拭く役にしか立たなくなるからよ。それと、できたら派手な服とモヒカンヘア……は酷だから、ボウガンでいわ」
「殺人拳法なんて知らないんだけど……」

永琳はそこらへんのきのこを指で押した。きのこは内部からはじけ飛んだ。

「簡単よ。輝夜もすぐ会得できるわ」

そのときの輝夜のきらきらした目といったらなかった。
兎たちがもとにもどるのは当分先になりそうである。




「いぢめるというのも、案外難しいもんだな」

きのこ・・・じゃなかった、魔理沙は服屋でアリスを着せ替え人形扱いして遊んでいた。
何回も試着を繰り返している間に店員の視線が怖くなったのか、泣いて逃げ出してしまった彼女の後姿を眺めながら思う。
あ、コケた。

「だいたい私はいぢめ慣れていないんだ。このスレでは」

もっともである。魔理沙攻めというのはあんがいないものだ。今のように気がつくとナチュラルに攻めに回ってることは多いが。
とりあえず試着したフリルたっぷりのスカートと背中がざっくり出る挑発的なデザインのノースリーブをハンガーに戻しつつこれからどうするか思案する。
幽香のところにいって昼寝させてもらうか。あったかいからいいよね、そのかわりイタズラしてもいいぜって言えば許してくれるだろう。
でも中身が乙女の幽香は「いたずらする」っていう響きにすごくイケナイことを考えてしまって結局手が出せなくて歯噛みするんだ。
そのあと私が耳を甘噛みして「幽香が可愛いから私を委ねたのに、何もしてくれなかったのか?」って寂しそうに言えば一発さ。

いや、こういう女たらし的なキャラクターがかえって叩かれる原因なのかもしれない。自重しよう。
それならやっぱりきのこ世界のほうが……

「やめて!!!」

霊夢が試着室に飛び込んできた。まだ着替え中の魔理沙に泣きついて懇願する。
あんな異変もうたくさんだという。きのこライフもなかなか快適なのに、つまんない霊夢だなぁ。
魔理沙は霊夢に首を絞められながら、つくづくそう思うのであった。





  • 42か
    42なら仕方がない -- 名無しさん (2009-12-03 22:59:32)
  • 読み終えた後、もう一度タイトルを見て深く納得した
    42なら仕方がない -- 名無しさん (2009-12-04 08:39:22)
  • ググって出直してきたが、なるほど
    42なら仕方ない -- 名無しさん (2009-12-04 20:03:44)
  • 幽花すげぇ可愛い -- 外道 (2009-12-05 10:49:23)
  • 42なら仕方ないな -- 名無しさん (2009-12-05 23:25:18)
  • なんというkinoko… -- 名無しさん (2009-12-06 21:11:33)
  • 42なら仕方ないぜ -- 九連宝燈 (2010-01-03 18:55:01)
  • これウモ屋さんに漫画化してほしいw -- 名無しさん (2010-01-27 02:29:50)
  • 42と弐瓶勉作品ならしょうがないな -- 名無しさん (2010-02-03 13:04:48)
  • 意味がわからん
    だが42なら仕方ない -- 名無しさん (2010-06-10 16:33:01)
  • 42か……なら仕方ないね -- 名無しさん (2010-06-30 18:22:00)
  • こんな所でこのネタを見ることになるとは・・・
    案外有名なのかな
    まぁ42で説明つくからいいか -- 名無しさん (2010-09-14 20:45:28)
  • まさかの42w -- 名無しさん (2010-09-25 09:16:48)
  • 12なら仕方ないな -- 名無しさん (2013-12-21 01:53:37)
  • 42なら仕方ないな -- 名無しさん (2013-12-21 01:56:24)
  • 42なら仕方ないと俺は言う -- キング クズ (2016-07-03 01:48:49)
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最終更新:2016年07月03日 01:48