(注)吸血鬼に関する独自設定あります


「珍しいじゃないの、人間がここまで来れるなんて」

「レミリア=スカーレット、悪いけどあなたの命を貰う」


今から何年前だったか・・・その夜、私はお嬢様と出合った。
やはり紅い満月の夜だったと、思う。


「あら、あなた平気で恐ろしいこと言うのね? こんなか弱いお嬢様を殺・・・
 ・・・・・・ぐくぅっ!?」

「・・・終わり」

あの時、時を止めて放った無数の私のナイフがお嬢様を突き刺した。
お嬢様のどこにそれぞれ何本刺さったか、今でもハッキリと覚えてる。

まず手足に計12本。
次に頭に8本。
胴体に23本。
うち、心臓を貫いたものは5本。

私とお嬢様の物語は、その時終わった筈だった。


「へえ、凄いわね・・・あなた、時でも止めたのかしら?」
「な・・・?」

そんな筈は無い。聖水で十分清めた銀製のナイフで心臓を一突き。
それまで私が殺してきた吸血鬼達は、皆それで死んだ。
なのに、お嬢様はむくりと立ち上がった。

「あなたがそんなに頑張るなら・・・私もやり過ぎてあげる!」

「!? ・・・きゃ・・・きゃぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」


お嬢様が爪で一薙ぎ。
それだけで部屋の壁と天井は全て吹き飛んだ。
私は直撃こそ避けられたが、瓦礫の下敷きとなり身動きが取れない。

「レベルの差がありすぎると、正確な実力が測れなくなるものよ。
 この私が、あなたが今まで殺してきた凡庸な吸血鬼達と同じだと思った?」

「・・・・・・・・・」


正直、敵わないと思った。
殺されるとも思った。
だけど感じていたのは恐怖じゃない。

「やったじゃない? これは人間にとっては凄いことよ?
 普通のハンターは本物の吸血鬼には中々出会えない。
 その前に、紛い物に食い殺されるからね」

「・・・・・・・・・」


そしてお嬢様は、翼を広げてこう言った。
ちょうどその後ろに月が輝いていたのもよく覚えている。

「それも夜の王、このレミリア=スカーレットと戦って死ねるなんて・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・!」


まだ酒の味を知らなかった私は、込み上がってくる感情がよく分からなかった。


「あら? ひょっとして・・・・・・

 ふぅん・・・

 ねえ! もしかしてあなた、この私のこと・・・」


私はすっかり酔っ払ってしまった。



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「咲夜ぁ! また野菜いっぱい入ってるじゃない!」

「ええ。お嬢様も長い目で見れば育ち盛りということで、いっぱい入れておきました」
「この前、あれほど少なくしてって言ったじゃない!」

「駄目ですよ、食事は栄養のバランスが大切です。
 まずは主食、次にお野菜、そしてお肉やお魚、最後にお菓子や果物。
 いくら不死身のお嬢様でも、この黄金の逆ピラミッドに従って貰いますよ?」

「納得行かないわよ! ケーキやクッキーが一番下だなんて・・・」
「でも、世の中ってそんなものなのではないでしょうか?」

「違う、これは農家の陰謀よ! 奴ら、自分の食い扶持確保するのに必死なの!」
「なるほど・・・それは気が付きませんでした」

「だからね、さっき買った・・・」

そう言いながら、お嬢様はフォークで皿の上の野菜を器用に除けだした。


「それでは・・・お菓子屋の陰謀に乗せられて買ったこのケーキも・・・」
「待って! それは駄目!!」



あれから私はお嬢様の下で働いている。
かつて敵だった者達と仲良く一緒に暮らしている。
人からはよく悪魔の犬だと言われる。

そんな犬としての生活は、私にとってはとても幸せだ。
自分の幸せを見つけることが人生の目標だとするならば、私は既にそれを達成した。
この幸せの中から決して出てはいけないことも分かる。


だけど、それじゃ叶えられない夢がある。


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「本日の西館のメイド達のノルマ達成率は24%、彼女達にはキツい罰を与える予定です」
「残りの76%はどうしたの?」

「私が代わりに・・・」
「それなら問題ないか」

「それと本日13時23分の霧雨魔理沙の強襲の件ですが・・・」
「うん?」
「奴の攻撃のせいで門番ごと門が大破。他、図書館の蔵書数十冊が盗まれました」
「・・・借りはいつか返さないとね」


一日の終わり、私はその日に館であったことを報告する。
お嬢様はいつも眠くてしょうがないという様子だが、一応は館の最高責任者だ。
ソファーの上で目をこすりながらも、私の話を真面目に聞いてくれる。

「・・・また、過剰気味な家事担当の妖精メイド達の中から
 戦闘が得意なものを数人、門番隊へ配置転換するという案も提出されています。
 いかがいたしましょうか?」

「まあ、そこらへんは全部、咲夜に任せるよ」
「はい。それでは明日にでも適任者を探しておきます」

「報告はこれだけ?」
「はい。以上です」
「う~ん、それじゃお休み、咲夜。また明日」


「あ、それと・・・お嬢様?」
「まだ何かあるの?」



「そろそろ私・・・お嬢様のこと、殺そうと思います」



「・・・・・・・・・咲夜、ここに座りなさい」


お嬢様はソファーの端に寄り、自分の隣をポンと叩いた。
私は言われるままにそこへ腰掛ける。


「悪いけど、今日はもう眠いから。私を殺すのは明日にして」
「はぁ・・・」

お嬢様が私の膝を枕にして寝転がった。

「お嬢様、お行儀が悪いですよ? 寝るのはベッドでお願いします」
「咲夜が連れてってよ。私はもう眠いから」



「・・・それにしても、随分突然だよね」
「そうでしょうか?」

「そうよ。だって今までずっと私の犬やってきたのにさ、なのに今夜になって突然・・・」
「あら? 私はいつだってお嬢様の命を狙ってましたよ?」

そう言いながら私はお嬢様の髪の毛を撫でた。
それが気持ちいいのか、お嬢様の顔が緩む。


「だけどさぁ。今になってそんなこと言うなんて、何か私の弱点でも見つけた訳?」

私の膝の上でお嬢様が寝返りを打った。


「いえ、何一つ」
「何一つ? だったら何で今頃そんな事言うのよ?」

「ええ・・・そろそろ頃合かなって思いまして。
 お嬢様は私の憧れですから、いつかは殺したいってずっと思っていたのですが・・・
 でも、今のままだとズルズルと引き伸ばしにしてしまいそうで・・・」


「・・・どうせただの気紛れでしょ?」


「そんなこと、ないですよ? こう見えて私は結構、本気です。
 何しろ長年の夢なのですから。
 それこそ、遮二無二、我武者羅になって・・・って、あれ?」


「すぅ・・・すぅ・・・すぅ・・・」


お嬢様はもう、眠っていらした。
私はそんなお嬢様を抱え上げ、ベッドまで連れて行った。
そして毛布を掛けて、優しく頬にキスをする。



 ・・・お休みなさいませ、お嬢様。



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お嬢様殺害計画、1日目。
「お嬢様、起きてください、お嬢様」

「う・・・ん。おはよう、咲夜」
「おはようございます、お嬢様」

お嬢様を起こした後、私は朝の紅茶と朝食を振舞った。
そしてお嬢様の朝支度をして差し上げる。
手足の爪の手入れから、髪のセット、お着替えなど。

この時ばかりは私も時を止めない。
二人にとって、この時間が大切なものだって分かっていた。



「法法華経はまだかしらね?」
「? 何がですか?」
「ほら、あいつよ、あいつ。ずっとあそこにいるのに何時まで経っても鳴きやしない」

お嬢様が窓の外、中庭を指差す。
そこには梅の木があって、黄緑色の可愛いらしい小鳥が止まっていた。

「『鳴かぬなら、鳴くまで待とう』とも『鳴かぬなら、殺してしまえ』とも言うけど・・・
 咲夜はどっちがいいと思う?」

お嬢様の爪を丁寧に磨きながら、私はこう言った。

「はい。私はあれはウグイスではなく、メジロなのではないかと思います」
「・・・まあ、いいわ」



「ところで昨日の話だけど・・・」
「何でしょうか?」

「タイムリミット付きだから」
「え? どうしてですか?」

「だって、困るもの。私の弱点が見付からないからって待ってて下さいとか、何時までも言われたら」

「成る程。確かにそうですね・・・はい、終わりましたよ」
「うん、ありがとう。次は髪をお願い」



「お嬢様、少し髪が伸びましたね」
「そうね・・・そろそろ切って貰おうかしら?」

「この際、思い切って髪型を変えてみるというのはいかがですか?」
「どんな風に?」

「そうですね・・・例えばツインテールとか」
お嬢様の髪を両手で掬い上げ、横に持っていった。

「ちょっとフランと被るわね」

「ではポニーテールなんかは?」
髪を今度は後ろの方へ持っていく。

「この長さだと少し足りないし、帽子には合わないね。今のままでいいよ」

「そうですか・・・ではいつも通りにしておきますね」

新しい髪形のお嬢様が見られなくて、少し残念。


「1週間なんて、どうかしら?」

「・・・お嬢様殺害の期限ですか?」
「そうよ。それが過ぎたら、二度と私を殺そうとはしないこと」

「厳しいですね・・・」
「少々厳しい方が成功率も上がるってものよ?」

「うーん、分かりました。何とか期限内にお嬢様を殺せるよう、頑張ってみます」


「頑張るって、どうやって?」
「ええ、この様に」


ブスリ! 「ひゃぁ!?」

ナイフを手に持って、背中からお嬢様の心臓に思いっきり突き刺した。


「・・・だから、そんなんじゃ駄目だって」
「やっぱり駄目ですか・・・」

こんな攻撃、お嬢様にとっては何の意味も無いらしい。
お嬢様の背中からナイフを抜いて、髪の手入れを終わらせた。



「発想を変えなさい、咲夜。こんなんじゃ1週間どころか、一生私を殺すことは出来ないわよ?」
「まあ、それが分かっただけでも収穫でしたよ」

「少しは焦ったら? 私の殺害計画を立てている間も、メイドの仕事は全うして貰うから。
 あなたが思っているより、時間は無いわよ?」

「そうですね・・・あ、今日の御召し物はいかがなさいますか? 例えばこれは・・・」
「ちょっと派手すぎない?」

「いえ、きっと似合うと思いますよ? 可愛らしくて」
「・・・あなた、私のこと着せ替え人形か何かだと思ってるでしょ?」


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「ろくな情報、ないなぁ・・・」
とりあえず図書館で吸血鬼に関する情報収集。
目新しい情報は一切なし。
どの本を読んでも『何を今更』、または『そんな訳ない』といった記述ばかりだ。

「あ、酷い。『吸血鬼は十字架に弱い』ですって?」

しかし考えてみれば、それもその筈。
誰が書いた本なのかは知らないが、私より吸血鬼に詳しい人間が他にいるとは思えない。
今頃本の知識なんて当てにするのが間違っていた。

「いっそ、私が吸血鬼の本を書いてみようかしら?」

吸血鬼は納豆が好き。でも好き嫌いが激しい。
吸血鬼は神社が好き。でもお賽銭は入れない。
吸血鬼は退屈が嫌い。でものんびりするのは好き。

美鈴くらいは読んでくれるだろうか?


そんな事を考えていると、掃除の時間になった。
計画を練るのは一時中断。
まあ本が役に立たなくても、本物の吸血鬼が私の傍にいる。
いくらでも実験は出来るだろう。



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お嬢様殺害計画、3日目。
「それでね、フランったら何て言ったと思う?」

「私も連れてって、ですか?」
「違うわよ。お姉様だけじゃ心配だから私も付いて行ってやる、ですって」


今日はパチュリー様は体調が優れない、妹様は拗ねてお部屋から出てこない。
私とお嬢様の、二人きりで話が弾む。

「・・・全く、あいつもよくそんな口が言えるよね? 私に向かって」
「きっと妹様もお嬢様に構って欲しかったんですよ」

「だったら素直にそう言えばいいのよ・・・・・・って、咲夜?」
「? 何ですか?」


「・・・・・・何さっきから私の顔ばかり見てるのよ?」

「え、あっ、はい。もうすぐお嬢様のお顔も見られなくなると思いまして・・・
 今の内にいっぱい見ておこうかな、と」

「もう勝った気分? よっぽど順調なんでしょうね?」
「いえ、あまり進んでないですね・・・今のところは」

「・・・呆れた。だから駄目なのよ、あなたって」
「まあ、勝負云々は抜きにしても、見ていて損はないですよ? お嬢様のお顔ですから」

「見ていて損するような顔に生まれた覚えはないわ・・・」


「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・お嬢様?」
「何よ?」

「私の顔に何か付いてますか?」
「お返しよ。私も咲夜の顔、見ていてやる」

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・粘りますね、お嬢様」
「あんたこそ」

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・なんか緊張感ない顔よね」
「そうですか?」

「ちょっと、私を殺す時の顔してみてよ?」
「え? お嬢様を殺す時の顔ですか?」

「そうよ。万が一その時が来たらどんな顔するの?」


「うーん、そうですね・・・例えばこんな・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・プ・・・プ・・・プ・・・
 アハハハハハハハハハ!!!! 何よ、その顔!?
 あー、おかしい! ハハハハハハ!!」

「ええ!? そんなにおかしいですか?」

「だって変ですもの! ウフフフフフフフ・・・
 私って、そんな顔した奴に殺されちゃうのね。
 アーハッハッハッハハハハハハハ!!」


 ・・・・・・・・・


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・苦しかった」
「大丈夫ですか、お嬢様?」

「危うく笑い死ぬところだったわよ」
「・・・それで勝っても嬉しくありません」

「でも良かったじゃないの? いい宴会のネタが出来て」
「・・・殺す時の顔、練習しておきますね」
「それがいいんじゃないの? 今のままじゃ格好付かないし」

「もっとも、これでお嬢様が死ななければ、の話ですが」


「へ?」
シュッ!!

時を止めて窓へナイフを投げつける。
カーテンが切り裂かれ、部屋は眩い光に照らされた。

「うわぁ! 熱っ! 熱っ!!」


全身を日光に焼かれてお嬢様は日陰へ逃げ込もうとする。
しかし、それを見逃す私じゃない。
お嬢様に向けて、水差しの水をぶちまけた。

「ああ・・・力が・・・」


流水で脱力したところへ、更に追撃。
隠し持っていた炒り豆の袋を開けた。
勿論、それをお嬢様へ思いっきり投げつける。

ビシッ! ビシッ! ビシッ!
「痛っ! 痛っ! 痛いっ! やめっ!!」


次に手鏡を取り出し、それを覗き込んだ。
 ・・・やっぱり少し変な顔かも知れない。

それはもう諦めて、炒り豆攻撃を続行する。

ビシッ! ビシッ! ビシッ!
「熱・・・力が・・・痛・・・」

袋の豆が尽きかける頃になると、お嬢様は殆ど動かなくなっていた。
そろそろ死ぬのかな?

「とどめです! お嬢様」


最後に持っていた全てのナイフをお嬢様の周りに設置した。
いくらなんでも、ここまでやれば・・・

「なめるなぁぁぁぁ!!!」 ズドンッッッ!!!

 ・・・と思ったが、甘かったらしい。
火事場の糞力を発揮したお嬢様は、床を蹴り破って下の階へ逃げてしまった。



「お嬢様、やはりこれでは駄目でしょうか?」
「・・・駄目ね。私を殺したいんだったら工夫じゃ足りないわよ」

下からそう聞こえた。
自分でも期待してなかったとは言え、少し悔しい。

「それよりどうしてくれるのよ? 服がびしょ濡れじゃないの」
「あ、すみません。今すぐお着替えを持って来ますね」

着替えを取りに、お嬢様の部屋へ行く。
それにしても、さっきのお嬢様・・・格好良かった!



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お嬢様殺害計画、4日目。
「お嬢様の・・・弱点ねぇ・・・」
今日も休憩時間を利用して、図書館で作戦を練る。

世間的には吸血鬼の弱点と言えば日光や流水。
だけどお嬢様の場合、それらが弱点になるのは勝負のレベルまで。
効かない訳ではないけど、殺し合いの場ではあまりに決定力不足、弱点が弱点になってない。
昨日はそれを改めて思い知った。

流水や炒り豆ではお嬢様にとどめを刺せない。

日光なら殺しきることも可能だろうが・・・
例えば、完全に灰になってしまうまでお嬢様を日光の下に拘束する。
まさか、出来る訳ない。普通に戦うよりも逆に難しいかも知れない。

今の私が欲しいのはもっと決定的な、それこそ急所とも言うべき弱点だ。
人間の私がお嬢様と戦うとしたら、短期決戦しかない。
不死身の化け物相手に持久戦など絶望的。
出来ればお嬢様を一撃で屠れるような、そんな急所を見つけなければ・・・


 ・・・そう言えば、お嬢様は心臓を貫かれても平気だった。
どうやってあの弱点を克服したのだろう?



「あら? 咲夜、今日も来ているのね?」
「あ、パチュリー様。ごきげんよう」

不意にパチュリー様に声を掛けられた。
彼女はこのところ体調が悪く、ずっと寝込んでいた。

「お体の方はどうですか?」
「まあ、多少は良くなってるみたいだけど。それより咲夜・・・何か調べ物?」
「あ、はい。少し気になることがありまして」


「例えば・・・盗人を図書館に近付かせない方法とか?」
「いえ、違いますよ?」

「それじゃ、図書館にやって来たネズミを退治する方法とか?」
「それも違います」

「図書館に忍び込んだ白黒にお灸を据えてやる方法・・・」
「魔理沙や図書館は関係ありませんよ」

「咲夜、あなた私の言いたいこと、分かる?」
「??? 何ですか」
「・・・もういいわ」


「あ、もうこんな時間?」
何気なく懐中時計を見ると、殆ど休憩時間は終わっていた。
お嬢様を殺す為の手掛かりは掴めていないが、仕事は疎かにはできない。
この続きは夜にでも・・・

「それでは失礼します、パチュリー様」

「・・・咲夜、待ちなさい」
「? 何ですか?」

「あなた、レミィの弱点・・・知りたくない?」
「え・・・!?」


「あの、知っていたのですか?」
「そりゃ分かるわよ、ここ数日のレミィとあなたを見ていれば」
「いえ、そうではなく・・・お嬢様の弱点を」

「・・・まあ、あくまで憶測の域を出ていないけどね。おおよその見当は付く」
「そうですか・・・」

「で、どうするの? レミィを殺すには絶対に必要な情報だと思うけど、知りたい?」

「・・・・・・折角ですが、お断りします。これは私とお嬢様の勝負ですから」
「ああ、そう」


「それにしても・・・知っていたのなら、どうしてお嬢様を殺そうとしないのですか?」
「私だってそのうち殺してやろうとは思っているわよ」

「つまり、面倒だということですか」
「違う、消極的なだけ」

「例えば、私に弱点を教えて殺させるとかですか?」


「・・・それよりあなた、仕事は?」
「ああ! そうでした!」
もうとっくに休憩時間は終わっている。
私は今度こそ図書館を後にしようとした。


「・・・そうだ、ヒントくらいは貰いなさいよ」
「ヒント・・・ですか?」
またパチュリー様に呼び止められた。

「あいつはね、大事なものをまとめて一箇所に隠しておくタイプなのよ」

「・・・・・・・・・」

結局、掃除の時間に遅刻して私はお嬢様に叱られた。


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