ここは…病院?たしか、交通事故で運ばれたんだっけ…。
椛は将棋の続きが出来なくて怒ってるだろうな…って、早く帰らないと!

あ…装置が壊れてる。

医者がやってきた。
「気付きましたか、河城さん」

あれ…なんでこの人私の名前を知っているんだろう。

「失礼ながら身元確認の為、定期券を見せてもらいました。」

…そんなもの持ってるわけ無い。この世界には私は存在しなかったのだから。



どうやら、「こっちの私」は一人暮らしでアルバイト(仕事)して生活費を稼ぎ、
高校(寺子屋のレベルの高い物らしい)に通っているみたい。

さて、ここからは私の推測なんだけど、多分こっちに来た時に「外の世界に住んでいた私」に「幻想郷から来た私」が吸収されたのかも。
理由は、なんか記憶が二つある様な感じがする…。髪と目の色が黒になってる。そして、私の戸籍がある。
怪我の回復力からして人間になってしまったんだろう。

記憶が二つあると混乱するので、なぜか持っていた(多分こっちの私のかな)ノートパソコンにいろいろなことを纏めて保存することにした。
吸収された説が正しいのかな…知らない機械のはずなのに、長年使ってきたような気がする。



あれから数年経って、私は大企業でシステムエンジニアになっていた。
今ではすっかり外の世界に馴染んでいる。
むしろ、かつて妖怪だったなんて妄想だったのかもしれないと思える。それなんて厨二病?

ただ、そんな中で忘れずにいたのはあの装置とノートパソコンに残ったデータのおかげだったのかもしれない。

サイコロより少し大きい立方体の形をしたそれは、現実では考えられないほどの大容量のエネルギー発生装置だった。
たぶん、当時の私が残した情報によれば、結界を越える為には一定周期で起きる結界の薄い箇所に穴を開けて移動するもの、らしい。

何とか修理はしたものの、肝心の発電機構が再現不可能だった。
つまり、結界を越えて帰るならそれだけのエネルギーをどこからか得ないといけない。



当時の私を信じるならば、結界の薄くなる日は今夜(これを逃すと次は80年後、もちろん生きているわけがない)
場所は来たときと同じ場所――今だと鉄塔が建ってて、今夜は雷が確実に落ちるだろう。これはやるしかない。

そして、私は車に装置を組み込み、結界を越えた。



気付くと車は一面の草原にいた。向こうにポツンと里が見える。
試しにGPSを確認してみる――反応なし。
やった!帰ってきたんだ!
とりあえず今がいつなのか調べるために里に向かうことにした。


「おーい、け「おい、大丈夫か!?」…いね?」
(え?慧音、私のことを覚えてないの?)
「よく一人でここまで来れたな、もう大丈夫だぞ」
(これは、昔に来ちゃったのかな?確か、外にいたときより未来に書かれた手紙が300年前に届いたってことを聞いたような…)
「ここら辺は妖怪が多いから、外来人がここまで来ることは珍しいんだ」
「あの、すいません。今がいつだかわかりますか?」
「ああ、□年○月×日だが」
(外の世界に行った翌日じゃない!何で慧音は私のことがわからないの?いくら髪の色が変わっててもわかる筈なのに…)
「ところで名前を聞いていいかな?残念だが外の世界に返す方法がわからないんだ。この里で暮らしてもらうことになるだろうし、把握しておきたい」
「河城にとりって言います。よろしくお願いします」
「そうか、にとりさんだな。よろしく頼む」
(これは本当に知らないみたい…どうしよう)
「しばらくは寺子屋に泊まるといい。いずれは職を見つけて自立してもらわないといけないが…まあ紹介くらいはしてあげよう」
「あ、ありがとうございます」


こうして慧音さんの紹介で里の鍛冶屋に弟子入りすることになった。忘れられた寂しさを紛らわせていいかも…。

結局私は皆から忘れられてしまったけど、外に行った時点で私から皆を捨ててしまったんだと割り切った。
たぶん、外に行った時点で幻想郷での私の居場所が消えてしまったのだろう。初めから居なかったかのように。


  • バック・トゥ・ザ・フューチャーネタか! -- 名無しさん (2009-09-09 00:35:35)
  • 雷が確実に落ちるってのは決心したときに大雨でゴロゴロ鳴ってたってことにしてください。
    でないとにとりが未来予知してることにw外の世界だし天気予報の精度が良ければあるいは・・・

    -- 名無しさん (2009-09-09 00:55:33)
  • 存在抹消はゆかりんの仕業と見てしまった…… -- 名無しさん (2009-09-10 04:59:09)
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