神なんていない。何度そう思っただろうか
現人神でもある私がそんなこといったら自身を否定することになるのだろうか?
いや違う、否定してるのは神の私ではなく人としての私で
この世界では余りにもちっぽけな存在、東風谷早苗という人間だ。
神奈子様だって諏訪子様だって神様だ、そこに居るのは紛れも無い神様
でも私はどうしても神がこの世にいるなんて思えない
私がこんなことを思っているとしたらあの二人はどんな反応をするのだろうか?
でも神はいない、もし神がいるなら、いるとしたら
私を救ってくれるはずだから。



「こ…れで…いいですか?」
私は震える指先に財布から取り出した野口3枚を摘んで上げる。
お母さんに今日は友達とご飯を食べるから、と嘘を言って貰ったお小遣いだ
当然こんな嘘をついたからお母さんの夕食は食べれない。
それに加えて夜までは家には帰れない。さあ、どうしようかな?とか考えてる内に
目の前の人物がガサツにその3枚のお札をひったくると
「出すのがおせーんだよっ」
とだけ吐き捨てズタズタと去って行った、取り巻きと一緒に。
全くどうして、人はああやってツルんで行動するのだろうか
一人じゃ行動できないのだろうか?集団でしか行動できないなんて全くもって動物のような連中だ
人とは高度な存在なのだから集団で行動しなくても生きていける
だから私は一人でいる。一人で生きていけるからだ
違う
私は一人にさせられた。
集団から追い出された
哀れな負け犬。

財布の中の小銭を確認すると100円玉が3枚ほどでてきた。これでどうにかして夕食をなんとかしよう
コンビニにいけばパンと飲み物ぐらい買えるお金だ。
それよりどこで暇を潰そうかな、帰る時間は8時ぐらいが丁度いいかな
それまでどこに居よう。このお金じゃ漫喫にもファミレスにもいれないし
そこら辺ブラブラするにも制服じゃ浮くしなぁ…
そんな事を考えながら私はボーッとそこに立ち尽くす。嗚呼空は綺麗だ、何時だって
悩み事のないような真っ青なそれが羨ましい。生まれ変わったら…空になりたい。
そろそろチャイムがなるかな…倒れたときについた砂埃を払う
気がついたら手が擦り剥けてる、なんてことはない。擦り剥けているだけだ
肘から血がでている、なんてことはない。ちょっと切っただけだ
そんなことより私はこの砂の上に散乱し、グチャグチャになったお弁当をどう処理しようかと
考えを張り巡らせるのであった。


「えー…じゃあここから東風谷、読んでくれ」
現国の先生が名指しで呼ぶ。
現国の教科書はなくなってはいない。ちょっとラッキーだ
普通は教科書があるのが当たり前なのにこんなことを幸運に思う時点で
全然幸運じゃないと思う、私の感覚がおかしくなってきてるのかな
いや違う、アイツらがおかしくしてるんだ。私は悪くない
教科書を開く。やられた、授業のページが落書きで覆い尽くされている。
緑髪…ビッチ…臭い…キモい…etc
見たくもないこんな低俗な落書き。もうちょっとまともなことは書けないのだろうか
たかが落書きでももっと頭の良い貶し方をすればいいのに
所詮アイツらにはそんな事を書けるほどの脳味噌がないか。知恵遅れのレベルだ
しかしどうしてこんなピンポイントでここだけ…
そうだ、あの先生は今日の日にちで生徒を当てるんだ
知恵遅れのアイツらにハメられた自分に恥じる。私はアイツら以下か…
「読めません…」
出来るだけ声が震えないようにして言う
私には「教科書がこんな事になってるから読めないんです!」って言う勇気はない
だから負け犬か。我ながら私の気の小ささにため息が漏れる。
「これが読めないなんて小学生以下かァ?全く」
「クスックスクスッ」
「じゃあいいや、坂下読んでくれ」
「へーい」
私の次の人に回る。よかった変なこと詮索されないで
私が貶されるだけで終わるなら詮索されるより数倍マシだ
こんな事がマシだと思う自分に嫌気が差す
周囲の笑い声が癪に障る、笑い声じゃない、人を見下して馬鹿にしてる、嘲笑だ。

コツン

頭に何か当たる。授業中に物を投げるな馬鹿
当たった物が床に落ちたので見てみると、ノートの切れ端を丸めた無造作な玉
正直拾いたくも中身も見たくも無い、が
投げた後ろの馬鹿が睨んでくるので仕方なく見てやる
見せられるんじゃない、こっちが見てやるんだ

「小学生以下だって(笑) ばァーか死ねヨ!!」

色ペンで書きなぐられた文字。低俗すぎる。
投げた奴は周りの連中と面白そうに笑っている。
そんなに面白いのか、こんな小学生でも書きそうにない文章が
それを床に放置しなおすのもなんなので
机の中にそれを捨て置く。後でゴミ箱に捨てよう。
そんな様子が何故か面白いのか後ろの奴の笑い声が聞こえた
こんなので笑いが取れるようなら生まれたての赤ん坊だってお笑い芸人になれる。
捨て置くと私は頬杖をついて授業を受ける。いや、受けてなどいない
ただボーッとしているだけだ。
現国の授業なんて聞いててもテストで点が取れる訳が無い。

コツン

だから授業中に物を投げるな
今度はなんだ。床を見るとそれらしき物は落ちてな…いやあった
小さな消しゴムの切れ端が床に落ちている
ああそうか、そんなおもちゃみたいな物を投げた楽しむのかお前達は

コツン

また当たる。
消しゴムの無駄だろう。資源の無駄だ。全く生産は精々排便ぐらいの癖に
消費は激しい奴らだ、地球のゴミめ。
そんなおもちゃ以下の物を投げて、当てて、それがそんなに楽しいのか
いや、全然楽しくもない、面白みなんてなんともない
だから私は無視する、頬杖をついて、詰まらなそうに窓の外にでも視線を泳がせる
これで飽きたか。後ろから笑い声が聞こえた、不愉快だ
私の姿はそんなに滑稽か。それで笑う方が滑稽だ、笑いのツボがどうかしてる。


キーンコーンカーンコーン

授業が終わった。
皆々ツルんでる奴らの席に言って話しかけたり
一緒にどこかに行ったり
別のクラスに友達が居る奴らは別のクラスにいったり
全く、お前達はいつでもどこでも友達か、だから成長しないんだ。
「……ん」
ちょっと催してきてしまった。生理現象だ
慣れたくもないが最近は日常化してしまってる
ポツンと一人頬杖をつきながら窓の外でも眺めている
それが休み時間の私。さながら綾波レイである。
慣れてはいるが矢張りいつも思うのは居心地が悪い、とても悪い
そんな空間からトイレでもいいから抜け出せるのは心地がいい
いや、トイレだけでしか抜け出せないか
抜け出しても一人で学校をブラつくのは小さなプライドが許さない
こういう時、暇つぶしに本でも読むのがいいのかとも思って持ってきたが
全部ビリビリに破られたりトイレに捨てられたりした、人の物をなんだと思ってるんだ。
図書室にいるのもいいかと思って図書室にいったら
逆に教室より目立たない事もあり本を投げつけられた、分厚い辞書まで飛んできた
我ながらそんな事でそれらを止める弱い自分に嫌気が差すが
せっかく買った本をビリビリ破られてはお金の無駄だ
それに痛いのは嫌だ、分厚い辞書が頭に当たると、痛い。
トイレに行こうと席を立ち、教室を出て行く
後ろの席の奴がニヤニヤと笑っているのが気になった。

コンコン

「はい?入ってますよー」
「あ、そうっじゃあいいやっ」
2分前の自分に教室から離れたトイレに行けと言いたくなった
その声がいつものアイツの声だと気がついた時には遅かった
ジャババババババババ
「きゃっ!!」
上から降り注ぐ水、頭に直接かかる水流。水圧が強くて頭が物凄く痛い。
冷たい、と思う頃にはあっという間に体中ビショビショになっていた
それでも水は止まない、トイレの床が水びだしになっている。頭が痛い
私は水流を受け止めながら水が出てると思われる元凶を見上げた
そこには下品な笑みを浮かべたいつものアイツが楽しそうにホースをもっていた
どれだけ水を無駄にしてるんだ…そんなことを思いながら水に打たれ続ける
大分慣れてきた、冷たさも段々麻痺してきた。
「キャハハハ!マジウケルー」
「ちょっとやめなヨー、キャハハ」
「キャハ、キショーイ」
アイツの取り巻きの黄色い声も聞こえる。本当にツルまなきゃ何もできないんだなお前達
水は止まない。そろそろトイレ全体が水びだしになるんじゃないかって量だこれは
私の体は海に放り込まれたようにビチャビチャになり、結んだ髪がほどけてベッタリだ
「えいっ」
アイツ、今度は私の顔に向かって放出してきた。
手で壁を作り水を弾く。が、すぐに方向を変えて隙間から水をぶつけてくる。
目に水が入る。物凄く痛い。
口に水が入る。トイレの水なんて飲みたくない
鼻に水が入る。息がしにくい
っていうかヤバい、ほんとに息ができない。
「やべっ…ぼ、ぼんどにっ!いぎっ、いぎがっ」
「声キッショー」
「キャハハ、ウケルー」
自分でも情けないと思う声を出しながら必死に抵抗を試みる
だって本当に息ができないんだよ
本当に、お願いやめて、鼻に口に目に耳に、水が水が沢山
ねぇお願いやめて本当に本当に、水って勢いよくかかると凄く痛いんだよ
本当にやめて、息ができないの、死んじゃう、死んじゃうよ私
やだ、やめてお願いやめてツラいの、息できないんだよ、やめてよ
お願いやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてください
お願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願い
ごめんなさい、私が悪かったから、ごめんなさいごめんなさい
だからお願いやめて、やめて水止めて、痛いし死んじゃう、本当にやめてぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええ



アレ…なんで私こんな奴らに謝ってるんだろ
なんで私こんな奴らにお願いしてるんだろ
なんで私、悪い事何もしてないのに
なんで私だけこんな目に会うんだろ
なんで私だけが普通に生活を送れないんだろ
なんで私だけがこんなツラい日常を送るんだろ
なんで私だけがこんな
なんで私だけが
なんで
なんで…
なんでよ…
なんでなのよ…



気がつくとチャイムが鳴っていた。
嗚呼、授業が始まったのかな。でもこの状態だともういけないだろうな
アイツらは退散したか?床は水びだしのまま。飛び立つ鳥後を濁しまくりなのが癪に障る。
そんなこと思いながら携帯が無事かどうか確かめてみる
無事だった。ちょっとラッキーだ
でもやっぱりこんなことでラッキーだと思う自分はおかしいと思う
携帯を開いて時間を見て驚く、授業はとっくに終わっていた。
ていうか下校の時間だ。私、気絶してたのかな。
見るとあの時はビショビショだった制服が半乾きになっている
まだ水も滴っているが絞ればなんとか移動ぐらいはできそうな状態だ
ジャージに着替えて家に帰ろう…
あ、そういえば今日は家に暫く帰れないんだ
我ながら切ない嘘をついた物だ、友達なんて一人もいないのに「友達と一緒にご飯を食べる」なんて
お母さんもお母さんだ、友達と一緒にご飯を食べるからお小遣い頂戴って
普通はそれこそ自分のお小遣いでなんとかするものなのに、笑顔でお金を渡してくれた
「これだけで足りる?もっと渡そうか?」
そういえば私が友達とご飯食べるから帰りが遅くなるなんて事初めてだったかもしれない
いや、それより友達……小学生の時は居たような気がするな
男の子とも一緒に遊んでたような気がする。毎日のように公園とかで遊んでた気がする。
中学からかな…今までの友達に冷たくされた時はショックだった気がする。
初めてお金をとられた時は相当ショックだった気がする。
初めて机に落書きをされた日なんかショックで泣きながら家に帰った気がする。
なんでだろう…
私、何かしたっけ
中学だ、中学の頃から
なんか
狂っていったような気がする
小学校の頃に戻りたいな
あの子、そういえば親友だったな
中学でその子に「キモい」って言われた時は悲しかったな
あの男の子、初恋の相手だったっけかな
中学でその男の子に「死ね」って言われた時は悲しかったな
戻りたいなぁ
そして小学校の頃のままで時間が止まればいいのに。

「うっ…」

気がつくと泣いていた。
学校で泣くのは久しぶりだった。
いつも学校で泣くと負けた気がするから家の布団で泣いてたから
泣くと止まらなくなるのは私の癖だ、誰だってそうなのだろうか

「うっ…く…ふぇぇん…ぇぇん…ぇぇぇぇん」

子供のように泣いてしまう。高校生になってまで泣くのは恥ずかしい
それにこんな場所で泣くのもさらに違う意味で恥ずかしい
でも泣きたい
場所なんて関係ないから

ここ時間で
泣きたかった。



結果的に半乾きの制服で下校するハメになった。
アイツら私がジャージを使うことを見越してたのか、カッターかなんかでギタギタに切り刻まれていた
成績は悪い癖にこういうことには頭が働くのか、全くもって低俗な奴らだと思う。
ついでにロッカーに「死ねっ」の文字のおまけつきだ。それしか書くことがないのだろうか
全くもって低脳な奴らだ、心からそう思う。
トイレにいって制服を絞ってなんとか着て帰れる状態にした
抵抗はあったけど仕方が無いので制服を脱いで下着姿になって雑巾みたいに絞った
自分の制服を女の自分が雑巾にみたいに絞ってると思うと悲しくなった
外気に晒されない下着は制服よりもっとビチョビチョだったが
流石に学校内でしかもトイレで、こんな惨状で、裸にだけは一瞬たりともなりたくなかった。
ビチョビチョの下着の上に半渇きの制服を着る。
全体的に体が重いが仕方ない。
帰ろうと下駄箱にいくと外履きがなかった。
隠されたのか捨てられたのか、後者だったら久しぶりのパターンだ
私の外履きは隠されるか駄目にされるか画鋲を仕込まれるかの3パターンが主な日常で
下校時に無事だった姿を見たこと無い、上履きもしかりだ、こっちは登校時に無事だったパターンを見たこと無い。
今回は画鋲のパターンだったことを幸運に思う…

だからっ!こんなので幸運に思うようじゃ駄目なんだってばっ

自分で自分にツッコミを入れる。
悲しくなる。
下駄箱前では上履きや外履きがないなら探し、あるなら裏返して中の異物を出す動作をしてから履くことがお決まりになっている。
そんな動作をしてる私を見てアイツらが嘲笑するが気にしない。
強がって何も確認せず、無造作に履いてみたこともあったが、やはりやっぱりそれはできない
足に刺さる画鋲は、痛い。
痛い思いをするぐらいなら笑われる方がマシだと思う
1回、靴を履いたら「ぶちゅり」と生暖かい何かを潰したような感触があったことがある。
靴の中を確認することなどできず、私は靴下ごと靴を脱いで自分から焼却炉に靴を捨てた
それ以降、中身を確認して、異物を出すように靴を裏にして叩いてから靴を履く事にした
たまに百足とかカエルとかがでてくる時がある。男子にいれされているのだろうか
自分でやってるとしたら下品すぎて笑える
しかし自分が1回踏み潰した物がカエルだったりしたら笑えない、私の立場的にも
でもそれはまだいいんだ、いいパターンなんだ、靴が残ってるから
今回のはない、靴がない、隠されたか捨てられたか
でも今日はさっさと学校から帰りたかったので上履きで帰ることを心に決めた
上履きで帰るのも慣れた、登校時、下校時両方靴が無くなってた時は裸足で帰った事だってある
こんな体験は慣れっこだ、慣れたいなんて一度も思ったときはなかったが

夕暮れの帰り道、私はどこで暇を潰そうか考える
近所をブラブラ歩いているとなんか勘違いされそうだし
かといって街の方をブラブラするにしても制服だし
なんか時間的に補導はされないにしてもなんか変な勧誘とかきそうで怖い
それに街はアイツらに会う可能性だって高い…
街でのアイツらは学校以上に会いたくない
だって、化粧もして服もお洒落で、周りにはツルんでる奴らとガラの悪そうな男達
集団で歩きながら日常に充実しているような笑みを浮かべて話し歩く
悩みなんてないんだろう。私のことなんて忘れてるんだろう。
夜になれば男と勤しむのか、行き過ぎではあるが女子高生として充実した生活を満喫してるのか?
私は…化粧をしても正直余り可愛いとは思えない、容姿には自信がない
昔は可愛いとか良く言われた気がする、私もそれなりかとは思っていた
でもキモいとか言われてる内にそれがただ私を貶したいだけなのだと解ってはいても
自分は気持ち悪いと感じてしまう、だって高校に入ってからその台詞が一日たりとも途絶えたことはないんだよ?
服だって自信がないからどうしても地味な服装を選んでしまう
私だって雑誌に乗ってるようなお洒落で可愛い格好をしてみたい
なんでだろ
ただ着るだけどいいのに
そんな簡単なこともできないのか
私って弱いなぁ
そういえば…なんで私キモいって言われるようになったんだっけ
そうだ…
そういえば最初は…
この…
この…髪の毛が…

グゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

低い空気が漏れるような独特な音が私のお腹から鳴り響く
それに気づくと急激にお腹が空いて来た
そうだ、お弁当は駄目になったから朝から何も食べてなかったんだ。
とりあえずお腹を満たすことを優先的に考える
ご飯買ったら、公園で食べようかな。

「いらっしゃいませー」
コンビニの中はクーラーが効いてひんやりとしている。
初夏のこの時期、このクーラーは店に来る客にとっては神器のような物なのだろうが
今の私にとっては寒いことこの上ない。冷たい半乾きの制服がクーラーの冷気で乾かされさらに冷たくなる。
ブルッと身を震わせる、さっさと買って出よう。コンビニから早く出たいと思う人なんているのだろうか
空腹の私にとってコンビニの品揃えは破壊力抜群だった
どれも食べたくなるものばかりだ、家の料理とはまた違った魅力がある。
あれと、これと…と計算してる内に自分の手持ちの現実を思い出す
そういえば、たった300円しかなかったんだ。
300円といえばパン1個と飲み物1個ぐらいしか買えない。
私は今までの皮算用を打ち消し、溜息をついて現実に戻る。
とりあえず適当なサンドイッチを手に取り、レジに向かう。飲み物は自販機で買った方が安い。
「1点で158円になりますが宜しいでしょうかー」
出した時点で買う気になっているのだからわざわざ確認するなんて律儀だな、といつも思う
と、そんな冷めた思考をする私の目に名前知らないけどなんか中華まん保温する奴の中に
ホカホカになって身を置く肉まんが入る
ゴクリ
思わず唾を飲んだ
私の今の肉まんを見つめる目はまるでご馳走を目の前にしか飢餓人だろう
こんなのがご馳走なんて悲しい、だけどお腹はギューギュー音を立てる
「肉まんもください」
レジを背にした後、店員が噴出していたが無視した。


公園のベンチに座りながらボーッと空を眺める。
初夏のはずだが今日はなんか日が暮れるのが早いな…
そんなことを思いながら暗い夜空を眺める。星なんてこんなとこじゃ見えない
サンドウィッチも肉まんも我慢しきれず公園へ歩いている途中に食べてしまった
食べ歩きははしたないけどお腹が空いていたのだから仕方ない。
昼も食べてなくて休み時間にあんな事があって疲れてた私にあれだけでは正直足りなかったし
飲み物を欲しかったがもうお金もなんにもない。ないから仕方ない、何か物を食べれただけマシだ
ボーッと空を眺めてると、ついウトウトしてしまう
お腹はそんな張ってる気はしないんだけどな…
疲れたからかもしれない。あんなことがあったんだ、普通じゃ経験しない体験だ
普通の日常を送っていれば、普通に生きていれば、絶対に経験しないだろう。
私は普通じゃない…
普通じゃないからこんな経験をするんだ…
私は普通の生活を送れない
普通の日常だって送れない
だって私は現人神だ、普通なんてない
神様だって見える、不思議な力だって使える
でもそれは現人神の私だ、風祝の私だ
じゃあ普通の人間の東風谷早苗はどうすればいい
人である早苗は一体誰に求められているんだろう
信仰者から求められるのは現人神としての私、それ以上以下もない
神奈子様から求められるのは風祝としての私、それ以上以下もない
諏訪子様からは…どうだろう。優しい言葉はかけてくれるけどやっぱり風祝としての私だろうか
人としての私は誰にも求められない、苛められ、暴力を奮われ、暴言を投げかけられ、物を壊され、傷つけられ
現人神の私も風祝の私も上手く立ち回れる。だけど何故人としての私はこんな
こんなこんな
こんな
余りにも悲痛な日常を送っているのだろうか
やっぱり
そうかやっぱり
最初の始まりの
これが駄目だったのかなぁ…



「緑髪だって!すっごぉーい」
「生まれつきなんだよ、お母さんも緑髪なんだ」
「外国人みたーい」
「外国人だってこんな変な髪いねぇよ!」
「へ…変?」
「ちょっと!変な髪とか言い方酷いわよ!」
「そうよっ、男子ってやっぱさいてーっ!!」
「なんだとっ!」
「早苗ちゃん、私は変じゃないと思うよ」
「そうだよ、綺麗だし不思議だし可愛いし」
「うん!すっごく可愛いよ」
「ありがとうっ……○○君はやっぱり変だと思う」
「へっ!?」
「今度変っていったら殴るわよ!」
「あ?いや、別に変ってわけじゃ…」
「可愛いかなぁ?」
「……きっ…綺麗だと思う」
「うわーっ」
「たまには素直なとこあるじゃない」
「な、なに?うっせーよっ!」
「よかったねー早苗ちゃん」
「うんっ!」

あれ、なんだろ、これ。昔の記憶…遠い昔のまだ毎日が楽しかった頃の…
そうだ…この頃は…可愛いって言われてたんだ

「なんで緑髪なの?」
「お母さんも緑で…遺伝的なものかもしれません」
「へぇー」
「なんか変だねー」
「遺伝で緑ってたしかに変だよねー」
「…」

あれ、これは…何か思い出したくない記憶のような気がする…

「私が何かしたんですか!?」
「だってあんたキモいし」
「…」
「その緑の髪が気色悪いだよねェ~」
「どんだけ調子乗ってんの?」
「だって…これは生まれつきで…」
「生まれつきとか、キモッ」
「死ねよっ」
「もう学校くんなっ」

これも…思い出したくない記憶…

「何で、何で私を緑髪に産んだんですかっ!」
「ちょ、ちょっと早苗っ!」
「食事中ぐらい静かにしなさいっ!」
「何で、何で普通に産んでくれなかったのよぉぉぉ」
「……ごめんね」

これも…これも思い出したくない、悲しい記憶…

「中学は○○中学校。東風谷早苗です、よろしくお願いします」
「あの子ってさァー中学イジめられてたらしいよ?」
「あ、聞いた聞いたー」
「でもさぁあの子キモくない?」
「うん、特にあの緑髪とかさぁ」
「……」

これも…これもこれもこれも思い出したくない…苦痛の記憶…

「緑髪を染めたい?何勝手な事言ってるんだい早苗」
「まぁまぁ神奈子、早苗もお年頃なんだよ」
「お年頃だがなんだろうがそれは守矢神社の風祝としての証なんだ、もっとその事に誇りをだね…」
「早苗だってたまには黒とか茶みたいな普通の髪にしてみたいんだよ、ねぇ?」
「駄目駄目、そんなことをして他のシマの神とか巫女に見つかったらこっちの評判が下がるじゃないか」
「全く神奈子も頑固だねー評判なんてどうでもいいじゃないか、早苗が染めたいっていってるんだよ?」
「評判がどうでもいい!?ったくこの間抜けな口はァ~、少しお灸をだね」
「なんだとっ!じゃあ私が勝ったら早苗が染めるの許してあげなよっ!」
「上等だ、かかってきなっ!」
「あ、あのっ!」
「ん?」
「へ?」
「や、やっぱりいいです…私が間違っていました…この誇りある髪を染めるなんて」
「で、でも早苗ほんとにいいn「わかってくれたか!やっぱ守矢神社の風祝だねぇ、うんうん」
「ちょっ、我慢してるに決まってるでしょうっ!全く」
「い、いえ…いいんです諏訪子様…」
「早苗…」

これも…思い出したくない寂しい記憶
この時の神奈子様の風祝って言葉が…なんか凄く、私を寂しい気持ちにさせた…


緑髪は守矢神社の風祝としての証
私はこれに誇りをもたなければいけない
それは風祝としてか、現人神としてか
でも人としての私は、この髪に一度も…いや、小学校の頃はこの髪が自慢だった
じゃあ何故…
そうだ
中学校に入って
この髪のせいで浮き始めて…

いや

違う

この髪のせいじゃない

私がもっと明るかったら

私がもっと交友的だったら
私がもっと社交的だったら
そうすればきっとこの髪など関係ないに違いない
私はきっと普通に慣れた
普通の日常を送れたはずだ
だからこの髪のせいじゃない、不思議な力のせいじゃない
東風谷という血を引いてるからじゃない、守矢神社の風祝だからじゃない
私がもっともっと頑張ればよかったんだ

いや

違う

私が頑張らなかったからじゃない

私は頑張った

隣の席の人と積極的に話すようにした
小学校では余り笑わないと言われたので笑うようにした
風祝の仕事で忙しくてテレビとか見れなくて漫画とか買ってもらえなくて
小学校ではそういう話題についていけなかったけど
必死に調べたりしてそういう話題にもついていけるようにした
なんとなく敬語を使うようにだってしてみたりした
最初はそれが好評だったりもした
私は頑張ったんだ、頑張ったんだ精一杯

でも

これだ

最後はこれだ

普通とは違う

そんな私の一面が

私の人としての日常を

壊してしまう

やっぱりそうだ
私にこんな普通じゃない一面がなかったら
私は普通な日常を送れるんだ
普通じゃない私に普通の日常が送れるはずがない
これは罰なんだ
そんなことにも気づかず
普通じゃない私を憎んでた
普通じゃない私からの罰

嗚呼、普通が欲しい
普通の黒い流れるような髪の毛が欲しい
巫女服だけじゃなくて流行りの可愛い洋服が着たい
風祝の仕事なんてやだ、ドラマが見たい、漫画とか読みたい
信仰者の相手をするのもやだ、休日には友達と遊びにでかけたい
神様だって見えなくていい、私はもっと普通の景色がみたい
妖力を鍛えてどうだっていうのだ、実際の日常じゃ私は抵抗も出来ずに水をかけられる
普通じゃない私が今まで普通の私の何の役に立っただろうか
立ってない
役に立たない、それどころか奪ってく、私の夢、私の欲しい世界を

ネェ?

ジャア

フツウノアナタハナニカヤクニタッテイルノ?

え?

ワタシハシンコウシテルヒトタチニキボウヲアタエテイルワ

え?

ワタシハカナコサマヤスワコサマノイウトオリニシュギョウシテチカラヲミガイテイマス

え?

ジャアアナタハ

ナニヲシテイルノ?

ダレカノタメニナッテイルノ?

そうか

ソウヨ

役に立っていないのは私の方だったのか

ソウヨ

私は誰の役にも立っていない、私こそが

ソウヨ

私こそが

ソウ

いらない

イラナイ

いらないこ



うわああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァア
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う
違う私はいらないこなんかじゃない
私は存在している、ここに存在しているんだ、普通の私だって存在していいはずなんだ
普通の日常を送っていいはずなんだ

ホントニソウ

そうよ、普通の日常を送っていいはずなのよ

デモイマノニチジョウガフツウ?

普通じゃないわよっ!私が…普通じゃない私がいなければっ!

ワタシタチノセイニスルノ?

そうよっ!貴女達のせいよっ!私のささやかな願いすらも壊していく

チガウワヨ

何が違うのよっ!

フツウノワタシナンテノハソンザイシナイ

は…?

ワタシコチヤサナエハモリヤジンジャノカゼハフリデアリアラヒトガミ

それがどうかしたのっ!?

フツウナンテノハサイショカラナイ、ウマレオチタトキカラワタシハワタシタダヒトリダケ

じゃあっ!私はどうすればいいのっ!?普通の日常を望む東風谷早苗はどこにいけばいいのっ!?

キエレバイイ

い…いやよっ!消えたくないっ

ソンザイシテモツライダケジャナイ

でもいつか、いつかは普通の日常が手に入る時がくるかもしれないじゃないっ

コナイワヨ

来るわっ!絶対

コナイ

来るっ

コナイ

なんでっ!?なんで私はそんな普通な日常も望んじゃいけないの?

ソレハワタシガカゼハフリデアリアラヒトガミデアルコチヤサナエダカラ

うるさいうるさいうるさいっ!あんたはっ!あんたという私は普通の日常を望んだことはないのっ!?

ナイワヨ

嘘よっ!

ワタシニトッテノヨロコビハカゼハフリトアラヒトガミトシテノギムヲハタスコトダモノ

そんなので満足できるのっ?私は年頃の女の子なんだよっ!?そんな義務に縛られたくなんかないっ!

デモソレガゲンジツ『カミ』ヲステタソンザイデアルアナタニシアワセナドオトズレナイ

神?私はなりたくて神になったわけじゃないわ!

ソウ、サイショカラカミダッタタダソレダケ


カミデアルワタシニフツウノニチジョウナンテコナイ


カミナンテモノニフツウナンテニアワナイデショ?

もう無駄みたいね…

ソウムダ、サイショカラクツガエリモシナカッタコト

そう…

そうですよ

私は神だから仕方ないんだ

そう、私は神だから仕方ないんです

普通の日常は手に入らないんだね

そう、手に入りません

じゃあ私はどうすればいいのかな

さぁ?

こんなツラい日常をどうすれば変えられるのかな?

神として助言をさせてもらうと

うん

普通の世界で貴女が拒絶されるなら、普通じゃない世界に身を置けばいいんじゃないでしょうか

普通じゃない世界?

そんな世界に身を置けば貴女の夢は叶うかもしれません

それって貴女になれってこと?

いえ、私は私ですから

神様がいれば、そんな世界に連れてってくれるのかなぁ…

貴女の為に祈りましょう、いつかそんな世界に貴女がめぐり合えるように

ありがとう

どういたしまして

私はまた悲痛な日常に戻るんだね

そうですね、頑張ってください

貴女が殺したいほど憎い、憎くて憎くてしょうがない

でも、貴女も私も東風谷早苗

自分が憎い

憎んでください

自分を殺したい

殺してください

どこで、駄目になったのかなぁ

多分、最初からですよ

さようなら

ごめんなさい



やっぱりだ…私を救ってくれる神なんていない…






はっ、として目が覚める
私はどれぐらいここで眠ってたんだろうか
それより身体は無事か?公園のベンチで寝息を立ててたら襲われたって文句がいえない
頭が重い、何か悪夢のような物でも見てたような気がする。
時間はどれくらいだ、携帯を見る。
「じゅ、じゅういちじはんっ!?」
声に出してまだ驚く、本当に驚いた、公園でうとうとしてたのが6時くらいだから
5時間は公園で眠ってた計算になる。流石にヤバい
「そ、そうだお母さんっ」
気がつくとメールと不在着信が来ている。両方お母さんから、とりあえず電話する
「ちょっと早苗っ!今何時だと思ってるの」
「ご、ごめんなさい、すぐに帰りますからっ!」
一方的にこっちから切ってすぐにベンチから飛び起きる
「今起きたところ…」なんて言わなくて良かった。
これは帰ったら大目玉だな、そんなことを思いながら走って帰る
制服はいつのまにか乾いていた、下着はまだグショっと水分を吸っている
「なんで寝てたんだろ」
悪夢を見ていた気もするが内容を良く思い出せない
でも、余り思い出したくない類のものだったのは確かだ
しかし変だ、寝たからだろうか?なんとなく足取りが軽いような気もする
悪夢を見たのに気分が軽いというのも変だからやっぱり少し寝たお陰だろう
帰ったらお風呂に入ってすぐに寝たいな…
そして起きたら…
いつもの…日常…
いやだな…
もう今日のトイレみたいなことはやめてほしいな…
どうしたら終わるのだろうか?
私が高校卒業するまで?

いえ…もうすぐですよ

え?
なんとなく、どこからか小さな囁くような声が聞こえた気がする
その声は私に似てた、というか私そのものだったような…
天からのお告げかな
しかしそんな胡散臭い言葉が何故か私に少しの希望を与えてくれた
なんとなく、この日常が終わるにしろ終わらないにしろ
私の世界が全く今までのものと変わるようなそんな予感がしたのだ

「ふふっ」

自重気味に笑う
馬鹿か、そんなことがあるはずがない
なんで一瞬そんなことを思ってしまったのだろう
疲労が溜まり過ぎて妄想と現実の区別がつかなくなったのだろうか一瞬
変わるはず…ない
「変えようと思っても…」
私は自分の髪を指で擦る
「普通じゃない私が邪魔をするのよ…」
消えてなくなればいいのに、私自身が
そんなことを思いながら走っている内にいつのまにか家兼神社の我が家についた
目前に広がる長い石段、普通の神社より遥かに長いそれが疲れたこの体には難く感じる。
「お!早苗ーっおかえりー、遅かったねぇ」
「諏訪子様…」
石段の下段に腰掛けてた諏訪子様が笑顔で私を迎えてくれた
「いやぁ遅いから心配してたんだよ、どう?楽しかった?」
「え…?」
一瞬何が楽しかったのかと疑問に思うがすぐに打ち消す
そうだ、私は友達とご飯を食べにいっていたという『設定』だったんだ
「た、楽しかったですよ!話も弾んで…」
「へぇ~そりゃ良かった良かった」
諏訪子様がまるで自分の事のように喜び笑顔を見せる
諏訪子様は子供の時から好きだった、優しいし
「でもねぇ、ウチは今、ちょーっと楽しい状況じゃないんだよねぇ」
「え?」
「いや、ねぇ?そのさぁーなんか最近、信仰が減ってきてるんだよねぇ」
「そ、そうなんですか?」
「いやぁ、数年前から段々と減ってきてるのは解ってたんだけど」
「はぁ」
「ここ数日から急激に減っていっててさぁ、もう神奈子も真っ青だよ」
「そ、そんな…」
「もしかしたら後数ヶ月したら、私たち、消えてなくなるかもしれないねぇ」
そんな爆弾発言をまるで「最近娘が反抗期でねぇ」とでも愚痴るようなお父さん並にさらっと言う諏訪子様
信仰がなくなれば諏訪子様が消える、神奈子様もだ
二人の神という力を失った守矢神社がどうなるかもわからない、無論私もだ
「そ、そんなの困ります!諏訪子様が消えてしまうなんて…嫌ですっ」
なんでだろう、あれだけ憎んでた普通じゃない日常なのにいざ、なくなるとなると惜しむ
信仰がなくなれば私も神ではなくなり風祝という職もなくなり神もいなくなり
私の望んでいた日常が手に入るのかもしれない、でも、いやだ
諏訪子様も神奈子様も消えてなくなるなんていやだ、いやだ、絶対にいやだ
「絶対に嫌です!そんなこと絶対に絶対に嫌ですからっ!」
気がついたら私は泣きながら諏訪子様に抱きついていた
「早苗……うん、大丈夫だよ」
諏訪子様が私の頭を撫でる。諏訪子様の手は温かくて好きだ
いつも私が泣いてると「大丈夫」といって撫でてくれるのだ
「実はね…一つだけ、どうにかする方法があるんだ」
「え…」
「まだ今はいえない、本当に、大変になった時に明かそうと思う」
「い、今が大変な時ですよ?明かしてください!」
「まだ消えると決まった訳じゃないからねぇ…これから挽回できるかもしれないし」
「で…でもっ」
「神奈子にもちょっと提案した程度だし神奈子はあんまり乗り気じゃなかったし…」
「でもっ!どんな方法なんですか?ちょっとだけでもっ…」
「うーん…」
「お願いしますっ!」
「解ったよ…簡単に言うよ、これだけだからね?」
「はい!」
私は諏訪子様の言葉を聞くのに全神経を集中させる。
「この地…いや、この世界を離れることになるかもしれないんだよ」
「え…?」

いえ…もうすぐですよ

さっき帰り道で聞いた幻聴が妙にリアルに蘇ってくる。
なんだろう、この感覚。
「ど、どういう…ことですか」
「うーん…詳しくはいえないからなぁ…
つまりさ、この今までの世界とは違う世界に行くってことだよ」
「そ、それって!異世界とかって?」
「い、いやぁ…異世界というかね…なんていうか存在はしてるんだけど全く違う
『普通じゃないのが普通』そんな滑稽な場所さ…も、もうこれ以上は駄目だからねっ!」
「普通じゃないのが…普通……」
諏訪子様の言葉が私の中で木霊す
普通じゃないのが…普通…
そこにいけば…
そこにいきさえすれば…

ほら…いったじゃないですか

また、幻聴が聞こえた
なんとなく楽しんでるような声だった気がする。
思ってはいけない、いけないことなのに
その世界へ行って見たいと思う自分がいる
いや、その世界へ行って見たい
冷静に信仰を取り戻してここに残るなんて思う自分はいない
行ってみたい
その
普通じゃないのが普通
そんな世界へ

普通の日常がここで手に入らないのなら
普通じゃない世界に身を置けば手に入るのかもしれない

私の夢…

これは…奇跡だ

もしこれが私を救ってくれた神様の能力なのだとしたら
それはきっと奇跡を起こす能力に違いない

私はいける、その世界に、だって普通じゃないんだもの

私は生まれて初めて、普通じゃない私と、奇跡を起こしてくれた神様に感謝した

決めた…

行こう…

その世界に…

そして何故か、信仰が回復してここに留まるというそんな未来はない気がした
気だけだ、だけど、それが何故か確かな気がする

「さ、早苗?どうしちゃったの?そ、そんなにショックだった」
「ふ、ふえっ?」
どうやら放心してたみたいだ
「そりゃこの地を離れるのは寂しいかもしれないけど…いや、あくまで可能性の話だよ!可能性!」
「そうですね…その通りです」

その可能性が何故か凄く高い予感がするのは私だけだろうか

「とりあえず帰ろう?お母さん心配してるよ?」
私を先導してピョコピョコと石段をかけあがる諏訪子様に気づかれないように
私は、私はにんまりと極上の笑みを浮かべた



嗚呼、普通じゃないって素晴らしい







それから1ヶ月ぐらい経った頃だった
守矢神社と東風谷早苗はこの世界からなくなった
存在すらも消え、いなかったことにされた
それからこの世界で彼女の行く末を知るものは一人もいない…ただの一人も

































なんかSS書くと結局最後は救いがあるENDになってしまう件について
ってか後半全くいじめ関係ねぇや
それよりルーミアちゃんを拷問したり衣玖さんにDVする絶望的なSSが書きたい




  • グッド -- 名無しさん (2009-08-25 02:07:23)
  • いじめって、規模の差はあれど本質は変わらない。
    ちょっとした差か何かから虐められ、虐められた側は自分で押さえ込んじゃうから解決しない、本来助けてくれる人も助けてくれない。
    いじめがある事を認めてくれる教師なんて少数派。
    自分も規模の差はあれど経験した事はあるから、少し涙がでそうになった。
    いい話でした -- 名無しさん (2009-08-25 22:24:36)
  • いじめる側もいじめられる側も両方体験している身としては昔を思い出すね。
    -- 名無しさん (2009-08-26 01:38:53)
  • 学級いじめは見てて辛い・・・ -- 名無しさん (2009-08-26 20:46:16)
  • >依玖さんDV
    頼んだぜ -- 名無しさん (2009-08-27 01:06:10)
  • アリス虐めを書いてくださいお願いします。できれば暴力的でかなりハードな内容で全力でお願いさせてもらいます -- 名無しさん (2009-08-30 00:41:44)
  • 学級いじめの内容今の俺と似すぎだ -- 名無しさん (2010-02-28 21:54:09)
  • ここまで感動する話と俺はまだ会ったことがない… -- 名無しさん (2010-02-28 23:22:16)
  • 学級苛めの類は苛め始めた理由が大体理不尽なモノだよね
    -- 名無しさん (2010-03-01 00:00:14)
  • 胸がマジで痛くなるな
    ハッピーENDでよかったよ… -- 名無しさん (2010-03-09 16:18:39)
  • 今日の日本じゃ良くある話なんだよな、残念ながら -- 名無しさん (2010-03-10 00:32:49)
  • 緑髪とか最高に萌えだろう -- 名無しさん (2010-04-18 23:52:16)
  • 早苗をいじめたクラスメイトを殺してくる。 -- 名無しさん (2010-04-26 01:42:56)
  • ↑おーいこの刀持っていけ -- 名無しさん (2010-04-26 16:17:00)
  • ↑↑おいちょっと待て、俺も行く -- 名無しさん (2010-04-26 21:13:26)
  • いじめするやつはクズ・・・といいたいけど
    いじめられるのが怖くていじめる人間はクズじゃない
    人に嫌われるのを恐れるのは人間として当然だからね -- 名無しさん (2010-04-26 22:52:08)
  • あ!野生の聖人君子が現れた! -- 名無しさん (2010-04-28 19:09:06)
  • ↑↑
    そんな事言ったらほとんどの奴がクズではない。
    虐められている人を「身代わり」として、今日も誰かを虐めている人が大多数。
    「目立つ事をすると、自分が被害に遭うかもしれないから、目立たない様に俺もあいつを虐めよう。」という考えの中、今の多くの日本人は生きている。 -- チャイサ (2010-04-29 10:21:01)
  • ↑の追伸
    俺は虐げられていた者として、「いじめられるのが怖くていじめる人間」を許しはしない。
    その人は、どれだけ虐められるのが辛い事なのか解っていない。
    「いじめ」によって命を捨てた者は数多い事も、聞いた事はあっても、本質的に理解していない。
    だから俺は、そういった愚かな者達を許してはいけないと思っている。 -- チャイサ (2010-04-29 10:27:54)
  • ↑の更に追伸
    だからと言って、復讐しようとも、殺してやろう、なんて事は考えない。
    復讐したとして何になる?それでスッキリするのは、今まで「負け」て来た者が初めて「勝つ」事が出来たからだろう。
    しかしどうだ。復讐の仕方によっては犯罪だ、自分が裁かれるのみ。後に後悔して人生を過ごす羽目となる。
    彼等の罪を「合法的」に。そして「和睦」が出来るような、括り方。
    そんな方法が見つかったら「虐められている、または、虐められていた」俺達の本当の「勝ち」の「価値」だ。 -- チャイサ (2010-04-29 10:39:17)
  • だるばむ -- 名無しさん (2010-08-21 13:03:27)
  • アリスちゃんいじめんなボケが -- 名無しさん (2010-08-21 23:23:16)

  • いじめられてる奴は大体がKY


    1.他人の意見に対して否定から入るのはやめる やばそうな意見以外は基本的に肯定
    2.自分の趣味嗜好を他人に押し付けない 求められたときだけ「わかりやすく簡潔に」嫌みの無いように謙遜して語る
    3.会話の流れを読む 相手の話にしっかり反応してあげて、次の人にパスしづらい話題は避ける
    4.爽やかで清潔な外見を心掛ける(イケメンである必要は全くない 体型は気にしておくと安心できる)


    とりあえずこれが自然にできない奴はいじめられる確率高い -- 名無しさん (2010-09-07 03:02:56)
  • というか、なんでほうっておけないの?いじめっ子は -- 名無しさん (2010-09-07 10:03:54)
  • だるばむとか書いてすみませんでした -- 名無しさん (2010-09-28 16:20:20)
  • いじめなんて現代の人柱だろう -- 名無しさん (2010-11-02 02:51:16)
  • ↑↑↑↑
    それを心がけた元いじめられっこの俺は、
    両親にさえ本音を1%も伝えられない、
    究極の内向人間になってしまいましたよ。
    学校を卒業したら友達なんて一人もいなくなった。 -- 名無しさん (2010-11-02 02:58:16)
  • ↑「大体が」って書いてある
    治安の悪い底辺学校は理由なんてないだろうな


    あと君らもスレで煽ったりするじゃん
    放っておけないのはアレと同じ心理なんだろう -- 名無しさん (2010-12-18 20:46:08)
  • 早苗はいじめられるのがよく似合う -- 名無しさん (2010-12-19 21:26:20)
  • 諏訪子が優しすぎて泣いた
    やっぱ東方は諏訪子が一番好きだ -- 名無しさん (2011-07-25 00:03:25)
  • ↑同志よ! -- 名無しさん (2011-07-25 23:18:25)
  • 神奈子も諏訪子もいい……
    東方に関しては欲が出てしまう俺ww -- 名無しさん (2011-07-27 00:56:03)
  • 早苗...
    -- 名無しさん (2013-05-26 15:13:34)
  • こういうのいじめられる原因がなんかショボいから作られた不幸って感じすんだよな
    実際ディアボロぐらいじゃないと髪の色でいじめられるって事はない…はず -- 名無しさん (2013-05-31 06:36:56)
  • 早苗~!クラスメイトウザイから殺してくらぁ!!! -- 名無しさん (2013-06-01 09:28:31)
  • 確かに人間は醜い生き物なんだ。 -- 動かぬ探究心 (2013-06-04 21:17:10)
  • お前らの嫁だろ、なんとかしろよ。 -- 名無しさん (2013-08-09 19:02:28)
  • いじめをやる方は何を言っても無駄、諭すのが馬鹿馬鹿しくなる位救いようが無い。
    それよりも救うべきなのは被害者の方だ。
    没落する馬鹿な連中の道連れにならないようにするべきだ。 -- 名無しさん (2013-11-30 18:26:20)
  • ウィッグあげたい。 -- 名無しさん (2015-02-14 23:50:50)
  • 俺は途中から見れませんでした。胸が痛くなりすぎて…… -- 名無しさん (2015-06-18 22:43:03)
  • ↑あー!わかります、可哀相ですが同時に早苗さんかわいいなぁぁと思ってしまいましたw -- ナナシ (2015-09-28 21:07:43)
  • 読んでいて胸が痛くなった。自分もイジメに近い事をされていた時期が昔あったので、自分と照らし合わせてしまった。
    東方projectの中でも早苗さんは大好きなキャラクターなので、何だか悲しかった。 -- 名無し (2015-10-09 05:00:26)
  • かわいそう -- マウンテンバイクに乗ったこいし (2015-10-20 08:16:09)
  • ニコニコ動画に上がっている
    「古明地こいしのドキドキ大冒険」のPart7と結構かぶってる所ありますね...
    とやかく言うつもりはありませんが、リスペクトしたなら一言くらい何か書いた方がいいと思います、一応 -- 名無しさん (2015-10-25 21:22:28)
  • ↑これのほうがさきだからリスペクトするのは逆じゃないかな -- 名無しさん (2015-11-03 22:43:00)
  • 早苗はあんまり好きじゃない
    -- 名無しさん (2015-11-16 16:40:49)
  • ↑3
    実はこれの方が先に公開されたはず……
    そのいいかたならこいしの方がネタかぶりしたがわなんですが…… -- 名無しさん (2016-11-24 17:35:18)
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