1、
私の名は、フランドール・スカーレット。
『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』の持ち主だ。


自覚は無いけど、どうやら私は気が触れているらしい。
キチガイは大抵自覚が無いのよ、とお姉様に言われた事を思い出す。

失礼。 誠に失礼。
私は至極マトモである。
下手したら、紅魔館で一番マトモかもしれない。

あいつみたいに好き嫌いは多くないし、パチェみたいに運動不足でもないし、咲夜みたいに
ロリコンじゃないし、美鈴みたいに仕事中に居眠りしたりしないもの。

…まぁ、好き嫌いする程食事にバリエーションないし、運動しすぎで地下室破壊したり、
そもそも自分の見た目がアレだし、紅魔館名有りキャラで唯一無職だったりするけどね!



…いいのよ、そんなこと! どうでもいい!

最近、紅魔館の外でも自由に外出できるようになったから、ウキウキしながら外に出てみれば…


なんで博麗神社のみならず、里に行っても、永遠亭に行っても、私はキチガイ扱いされるんだ!


博麗神社の宴会に参加していたら、
「いい、フラン? お酒って言うのは、飲む物なの。
 火を点けるものじゃないからね?」
と霊夢。

人里で子供たちと独楽を使って遊んでいたら、
「フラン。 一応注意しておくぞ?
 …その紐で、子供を縛ったりしちゃダメだからな?」
と慧音。

永遠亭に風邪の診察に行ったら、
「すごいわね、貴方の能力。
 自分の体調も壊す事ができるのね」
と永琳。











「んなことするかああああAAAAAAAAAAAA!!!!!
 このクソカス共があああああAAAAAAAAA!!!!!」


取り敢えず、人形をぶっ壊すことで、精神を抑えることにした。
サヨナラ、131代目クマ人形。
























レミリアは溜息をついた。

「…フラン。 気持ちは分かるけどね、うん…」
「じゃあ、この拘束具取ってよー」
「と、妹様が仰っていますが?」
「却下よ」
「と、お嬢様が仰っていますが?」
「…」


咲夜お手製の銀のリングで、両手足を拘束されているフラン。
そのフランの目の前に、レミリアと咲夜がいる。

地下室で強か暴れすぎてしまった為、フランがお説教を食らっている最中なのだ。

「なんで皆私のことを、キチガイみたいに扱うのよ~。
 極めて普通よ、普通」
「…普通の吸血鬼は、人形を百数十体も壊したりしないわ」
「お姉様だって、ここ数ヶ月でお皿を20枚も30枚も割ってるじゃない!」
「あれは故意じゃなくて、手がすべ… いや、ゲフン、ゲフン」

只今レミリア、カリスマブレイク防止期間中である。

「…とにかく、癇癪を起こしてすぐ何かを壊すのは止めなさい」
「館の中でしかやらないんだからいいじゃん」
「館の中だろうと外だろうと、その内、間違いが起きるかもしれないでしょ?
 起きてからじゃ遅いのよ」

そこまでレミリアが言うと、部屋の扉がノックされた。

「失礼します。 お嬢様と妹様、いらっしゃいますか?」

妖精メイドの様だ。

「私もフランもいるわよ。 何の用?」
「は、はい。 お客様方が見えられています」
「客? 誰? お客様『方』?」

レミリアは咲夜の方を見たが、咲夜は首を振った。
来客の予定など、主人のレミリアは勿論、咲夜も把握していなかったようだ。
しかも、表現の仕方からいって、複数形のようだ。

「え、えとですね。 …私が言うより、お嬢様自身が会われた方が早いかもしれません…」

そのくらい多い、という事だろう。
























2、
紅魔館、大会議室。


フランの拘束具は、既に解かれていた。
彼女の周りにいるのは、姉のレミリアを初め、咲夜、パチュリー、小悪魔と言った、
紅魔館の親しき仲間たちだ。

おおよそ不満も無いはずのフランだが、その身は震えていた。

別にトイレを我慢しているわけではない。
その震えは、恐怖から来ていた。



スキマ妖怪、及びその式。
博麗の巫女。
亡霊の姫君。
永遠亭の薬師、姫。
健康マニアの焼き鳥屋。
幻想郷のパパラッチ。
守矢の二柱。



錚々たる面子が、一斉にフランを睨み付けているからだ。



「…色々やってくれたわね、全てを破壊する者、フランドール・スカーレット」

最初に口を開いたのは、紫だった。

「色々って、何よ…」

震える口調で、返答するフラン。

「博麗神社に火をつけてみたり、人里の守護者を攫ってみたり、
 永遠亭のウサギを多数殺傷してみたり」
「…!!」

目を見開くフラン。

「何よそれ!
 私そんなことしてない!!」

確かに1週間前、博麗神社の宴会には行った。
3日前、里の子供たちと遊んでいる最中、慧音にも会った。
2日前、風邪の診察で永遠亭に行った。

だが、今紫が話した事など、フランは一切やっていない。



「…惚けるなよ、キチガイめ!」

ずっとフランを睨み付けていた妹紅が、怒りを露にして立ち上がった。

「私は見たんだ! お前と慧音が、里の中で言い争っているのをな!」
「い、言い争ってなんか無いもん!
 変な事言われたから、ちょっと言い返しただけで…」
「ちょっとだと! あんな目つきで慧音を睨んでおいて、よく言う!!」
「…妹紅。 こいつの言う事を、真に受けちゃダメよ。
 正真正銘の、狂人なんだから」

二人の言い争いに、霊夢が口を挟んだ。

「…ねえフラン。 私、一週間前の宴会って、後半の記憶が無いのよ。
 酔っ払っちゃっててね。
 アンタに、酒ってのは火をつけて遊ぶもんじゃないって言ったのまでは覚えている
 んだけどさ…」

あまり感情を表に出さない霊夢が、

「…で、私がつぶれてた、その間。
 まさか、その日のうちにやってくれるとは思わなかったわよ。
 おかげで、神社の一部が灰と炭になっちゃったわ」

珍しく怒りを表に出している。

「その時、博麗大結界の一部に歪みが出た。
 つまり、幻想郷の一大事が起こったのよ?
 偶々居合わせた紫が、何とかしてくれたけど…
 取り返しの付かない事態になっていたら、どうするつもりだったのよ!!」

言い終わると、霊夢は机を両手で叩き付けた。
フランがその気迫に気圧されていた頃、霊夢の隣にいた人物が、話し出そうとしていた。

「…一昨日ね。 永遠亭のウサギの何匹かが、奇妙な死に方をしていたのよ」

八意永琳だ。

「耳、鼻から血を流して死んでいたの。
 外傷は一切無し。
 不思議に思って解剖してみたら、あら不思議。
 脳の一部が、破壊されていたのよ。
 …誰がやったのかしらね、こんな芸当」
「し、知らないわよ!
 私、そんな事したこと無いもん!」
「…したこと無いって事は、出来るって事ね? お嬢ちゃん」

輝夜だ。 普段柔和な表情を保っている彼女だが、今に限ってはそのような表情を
するつもりは無いようだ。

「い、いや… 出来ないよ! そんなの、やったこと無いもの!」
「あーヤダヤダ! 往生際の悪いこと!!
 貴方以外に、誰がいるっていうんですか!」

悪態をついたのは文だった。

「同じく、一昨日の夜! 妖怪の山で!
 仲間の鴉天狗数人が、似た様な死に方をしているんですよ!
 しかも内何人かが血を吸われていると来た!」
「…!」

いよいよもって話がおかしい。
天狗なんて、ここ数日どころか数ヶ月、いやもっと長い間、文以外に会った事が無い。
しかも、鴉天狗の血なんて吸おうとは思わない。

「何言ってるのよ! 私、妖怪の山に行った事さえないんだよ!
 どうやって天狗を殺すのさ!」
「こっちが聞きたいですよ!
 吸血鬼は随分早く飛べるみたいじゃないですか!
 大方、殺すだけ殺し、血を吸うだけ吸ってから帰ったんでしょ?!」
「鴉天狗の血なんて吸わないよ!」
「どーでしょうかね! どっかの誰かさんみたいに、気が触れていれば分かりませんよ?」
「…!!」


我慢の限界だった。


「…いい加減にしろおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!
 私はそんな事やってないって言ってるだろうがあああああああ!!!!」


机を思いっきり叩きつけるフラン。
叩きつけた先は文字通り破壊され、会議用の長机には、彼女の手ほどの大きさの空洞が
できた。



場が一瞬、シーンとなった。
その静寂を破ったのは、

「あらあら、怖い怖い」

幽々子だった。
扇子で口元を隠しており、表情は読めないが、目が笑っていない。

「その力で、うちの妖夢も可愛がってくれたの?」
「…はぁ?!」
「昨日ねぇ。 里に出かけるって言って出て行った妖夢が、ボロボロになって白玉楼に
 帰ってきたの。
 どのくらいボロボロかっていうと、両腕の骨を折られて、体中から出血って感じ
 だったかしらね。
 …何事かと思って尋ねてみたら、レミリアの妹にやられたっていうじゃない。
 何でも、里に出かける途中に急襲されたんですって」

言い終わると、幽々子は溜息をついた。

「…妖夢、すっかりおかしくなっちゃってね…
 白玉楼から、一歩も出ようとしないのよ。
 『吸血鬼が襲ってくる、怖い怖い』って言ってね。
 …どう責任とってくれるの? 貴方」

たった一人の愛弟子に手を掛けられた為か、普段何を考えているのかイマイチ掴めない
幽々子からは、今は怒りのみが感じられた。



フランは答えようがない。
当たり前だ。
彼女は、そんなことはしていないのだから。

「ホント… いい加減にしてよ!
 私、あの半人半霊なんて襲ってないよ…
 なんで、皆私のせいになっているの…?!」

フランは泣き出してしまった。
間髪いれずに続けたのは、守矢の二柱だった。

「…妖夢って子が襲われたって言うのは本人の証言しかないけど、
 他の件は既に立証済みなんだよ、妹さん。
 紫と永琳、輝夜が歴史の半獣にウラを取ったら、永遠亭のウサギの件も、妖怪の山の鴉天狗の件も、
 博麗神社の件も、すべてアンタがやったっていう返事が返ってきたらしい」
「で、その慧音は昨日から行方不明。
 …タイミング的に、貴方が慧音を襲ったとしか考えられないのよ」
「…違うもん… わたじ、ぞんなことやっでないもん…」

顔を顰めてフランを見る、神奈子と諏訪子。
フランは、顔をグシャグシャにして泣いている。



「…それ、本当なの? 紫。
 半獣に、ウラを取ったっていう話は」

これまで黙って経過を傍観していたレミリアが、初めて口を出した。

「本当よ。 ね、永琳」
「…ええ、私もその場にいたから間違いないわ」

隣にいた輝夜も、若干間を置いてから頷いた。

「そう… 残念ね」

レミリアが頬杖をつき、溜息を出した。

「…で、以上のことを踏まえて、フランドール・スカーレットの身柄引き渡しに
 協力して欲しいん」
「ねぇフラン」

紫の話を遮る様な形で、レミリアがフランに質問した。

「貴方、今言われたこと、本当に全部やってないの?」
「…え?」

突然質問されて、戸惑うフラン。
レミリアは構わず続けた。

「神社に火をつけたのも、永遠亭のウサギや鴉天狗を殺したのも、妖夢を襲ったのも、
 慧音をさらったのも、貴方じゃないのね? と聞いているの」

レミリアがフランを睨み付けた。

「お姉様まで… 私を、疑うの?」

フランは絶望の淵に落とされた気がした。
姉であるレミリアまで、自分のことを疑っていると感じたのだ。

「答えなさい、フラン。 貴方がやったの?」
「やってないって… 言ってるじゃん!!!」

フランは大声を出した。


何故。 何故、誰も自分を信じてくれないのだ。


「やってないのね?」

レミリアは、尚もしつこくフランに問う。

「やってない!」

半ば半狂乱になって、フランは答えた。
狂人が必死ねぇ、と妹紅と文がわざとフランに聞こえるように呟いた。

「本当に、やってないのね?」
「絶対に、本当にやってない!!」
「……」

ジッとフランを見つめるレミリア。
見つめ、いや睨み返すフラン。








「…わかったわ」

レミリアは溜息をついた後、言った。
そしてこう続けた。

「咲夜」
「は、はい? 何でしょうか、お嬢様」
「客人たちを、玄関まで送りなさい」
「…!! え、え?」
「えっ、て… お帰り願うのよ」

名前を呼ばれたことにまず驚いた咲夜だが、その後の発言にはその何倍も驚かされた。
それに対し、咲夜以上に驚き、そして怒った者たちが声を上げた。

「どういうことよ、レミリア!」
「アホかお前は! 何様のつもりだ!」
「吸血鬼って、皆狂っているのかしら…?」

霊夢が、妹紅が、幽々子が、一斉にレミリアを非難した。

しかし。

「私は至って普通の判断を下しただけよ?
 フランはやってないと言い切った。
 つまり、フランは貴方たちが言ったようなことは、一切していない。
 惚けているのも、嘘を付いているのも、貴方たちって事よ」
「はぁ?! 馬鹿にしてるんですか!! 貴方は!!」
「…大概にしなさいよ? レミリア」

轟々と非難する文らに構うことなく、レミリアは続けた。

「あれじゃない? 風邪でも引いたんじゃない? 貴方たち。
 さっさと帰って、寝た方がいいわよ?」

言い終わると、レミリアは眼前の紅茶のカップに手をつけた。
そして涼しい顔で、紅茶に口をつけた。











━━━ 紅茶を喉に通す前に、カップが割れた。

紫がスキマを開き、カップを真っ二つにしたのだ。


「…ふざけているの? レミリア」

紫がレミリアを睨み付けている。
隣にいた藍は、久々に紫の本気の怒りを見た気がした。



かなりの迫力を放っている紫に全く怯むことなく、レミリアは言った。

「ふざけてなんか無いわ。 それは貴方たちでしょ?」

レミリアはカップを置き、立ち上がった。
彼女からは、今までの落ち着いた雰囲気は消えていた。

「私の可愛い妹を陥れようとしているお前らの方が、よっぽどふざけている」
「…ふぅん。 このキチガイの味方をするわけね?
 証拠もほぼ全て揃っているっていう、この状況下で?
 自分の管理責任が問われるのが怖いって言う必死さは分かるけど…」
「管理責任? もしフランが本当に今お前が言ったことをやっていたのなら、土下座の
 一つ位してやるわよ」

そこまで言うと、レミリアは槍を作り出し、手に持った。


「…いい? 紫。 フランはね、やってないのよ」


レミリアから、明確な殺気が漂い始めた。


「…例え、どんな苦しい状況でも。
 例え、どんなにその者が狂っていようと」


レミリアは、フラン横目で見ながら言った。
そして、槍を握っている右手を大きく上げ、


「その者がやっていないというのなら、それを信じる。
 周りが、いや世界中が敵になっても、最後まで信じて味方でいてあげる。

 それが、家族ってものなのよ!!!!」


それを、握ったまま地面に突き刺した。


























フランは涙を流していた。


「…おねえ、さま…」


先程までの悲しい涙、悔し涙ではない。

嬉しくて、泣いていたのだ。












これほどの恐ろしい面子を前にして。
これほど不利な証言が続出したにもかかわらず。
普段から自分の事を気が狂っているといって、つい最近まで碌に自由に行動させて
くれなかったのに。


レミリアはこの土壇場で、命の危険さえ省みず、フランの味方をしてくれたのだ。






「…あらそう。
 じゃあ、残念だけど、無理やり連れて行かせてもらうことにするわ」

紫が合図すると、藍が立ち上がった。
それにあわせて、霊夢、妹紅、幽々子、文、永琳、輝夜、神奈子、諏訪子も立ち上がり、
レミリアとフランを囲うようなポジションを取った。

「上等だよ。 全員相手にしてやる。
 フラン。 戦えるわね?」

レミリアはフランの方を向いた。
呆然としていたフランは、姉の言葉に反応し、

「…うん、お姉様」

今まで、この500年間の中で、一番良い返事を返した。


今ほど、この吸血鬼の、レミリア・スカーレットの妹である事を、誇れる時は無かった。


「咲夜、パチェ。 避難しなさい。 巻き込まれるわよ」
「…何を仰いますか? お嬢様」
「馬鹿言わないでよ、レミィ」


レミリアの行動に心を打たれたのは、フランだけでは無かったのだ。


咲夜。 パチュリー。


二人とも、今までフランが見たことも無い真剣な表情をして、スペルカードを手に持っている。

「…避難しろ、というのがわからないの?」
「共に戦わせて下さい。 お嬢様の敵、妹様の敵は、私の敵でもあるのですから」
「妹様を陥れようとするのは、紅魔館を陥れようとするのと同じ。
 …見過ごせるわけ無いでしょ? そんな無礼者達を」
「わ、私も… 紅魔館の一員として、戦いたいです!」
「……」

咲夜、パチュリー、小悪魔の3名は、あくまでレミリアと共に戦うつもりらしい。



「…勝手にしなさい」


レミリアは彼女らを一瞥すると、紫らをギッと睨んだ。


「三文芝居は終わったかしら?」
「ええ。 おかげ様で、滞りなく」
「じゃあ、死んで頂ける?」
「お前が死ね!!!」







大会議室に、轟音が響いた。


























3、
「こっちよ、みんな! 早く!」


紅魔館から少し離れた、湖の近くの森。

美鈴を筆頭に、メイド服を着た数十名の妖精達が、高速で移動していた。


彼女らを追って、植物が触手を伸ばしてくる。
一匹の妖精が、それに捕まりそうになっている。

「ったく! しつこいのよ!」

美鈴がその触手に向かって弾幕を放つと、触手はバラバラになった。

「あ、ありがとうございます、美鈴さん…」
「お礼はいいから! 早く逃げるわよ!」

その妖精の手を掴み、再び駆け出す美鈴。


━━━ 戦ったら勝ち目は無い。 でも、スピードならこっちに分がある。
とにかく、逃げるんだ!


「みんな頑張って! 周りは気にしなくていいから!
 とにかく、自分が逃げることを考えて!」
「め、美鈴さん! 館は、紅魔館は…」
「お嬢様も妹様も咲夜さんもパチュリー様もいるんだから大丈夫!
 いいから喋ってる暇があったら、足と羽を動かして!」
「は、はい!」
「…緊急時に貴方達を安全な所まで逃がせっていうのが、私の受けていた指令なの。
 貴方達が助かってくれなきゃ、私は任務を果たせなかったことになる!」


美鈴だって、本当は紅魔館が心配なのだ。


先程聞いた、紫達の話が本当なら、少なくとも妹様の身の安全は保障できない。
下手したら、紅魔館の面子と紫達の間で、殺し合いが始まっている可能性がある。
あれ程の化け物達と殺し合いを始めたら、どうなるか?

 …結果は、火を見るより明らかだ。


親しき紅魔館の者達は、全員殺される。


「クソ… クソ、畜生!」

美鈴は悪態をついていた。

勝てなくてもいい。
せめて、一緒に戦いたい。
でもこれが、妖精達を全員助ける事が、レミリアから受けていた、恐らく最後の任務に
なるだろう。
それに逆らうことは、美鈴はできなかった。






















「…逃げ切られたわね」

己のスピードの遅さをカバーするため、植物を操って美鈴たちを捕らえようとしていた
幽香は、舌打ちをして日傘を閉じた。

「何呑気な事言ってるの?
 捕まえなくていいの? 逃がしちゃまずいんじゃないですか?」

幽香に確認するように問うたのは、橙だった。

「いいのよ。 本気で美鈴達を逃がしちゃ拙いのなら、大挙して紅魔館に来た理由などを
 美鈴に説明する前に、さっさと殺しちゃえば良かったんだから」

幽香は吐き捨てるように言うと、そのまま帰路に着こうとした。

「ええ?! か、帰っちゃうんですか?!」

驚いた橙が幽香に聞いたが、

「館で何が起こったかぐらい、貴方だって想像ついているでしょ?
 分かりきっている事を、態々確認しに行く必要は無いわ」

日傘を再び開いた幽香は、不機嫌そうに空に飛び上がった。

「…私の不手際で美鈴を逃がしたとでも、紫に報告しておいて頂戴」
「あの、お言葉ですが、それは自分でやられた方がよろしいのでは…?」
「悪いけど、アイツの顔は当分見たくないのよ。
 罰なら甘んじて受け止めるわ。 そのうちね。
 …じゃあ、頼んだわよ」

言うだけ言うと、幽香はさっさと帰っていってしまった。

残されてしまった橙は、呆然とするしかなかった。

















幽香と橙がそんなやり取りをしていた頃、紅魔館での殺し合い ━━━ いや、一方的な
殺戮は、終焉を迎えていた。







後編に続く
破壊する女(後編)




  • お嬢様がかっこいい...ああ、フラグだ... -- 名無しさん (2009-08-27 01:15:08)
  • 131代目w -- 名無しさん (2009-09-19 13:43:48)
  • 131代目ww
    微妙にリアルだから困る -- 名無しさん (2011-06-14 20:56:45)
  • 131代目ww
    リアルでワロスwww -- 名無しさん (2011-09-16 23:07:34)
  • クマが131代目ェ・・・・クマどんだけやられてんだよwwww -- 名無しさん (2012-02-25 23:38:42)
  • カリスマお嬢様かっけえ さて、くろまく~じゃない、黒幕は誰だ? -- 名無しさん (2012-02-26 00:29:44)
  • BBABBA、八雲紫はBBAw -- 名無しさん (2015-08-12 12:26:34)
  • お嬢様カッコイイ… -- 名無しさん (2015-08-14 16:45:33)
  • ゆーかりんは味方なの?敵なの?わかんねぇや -- 名無しさん (2016-05-10 22:09:15)
名前:
コメント: