1、
ある日の正午過ぎ。

リリカは上機嫌に昼ごはんを食べていた。

「ご機嫌ね、リリカ」
「ウフフ、そう?」
「今日のライブがそんなに楽しみ?
 ま、私も楽しみだけどねー♪」
メルランもご機嫌のようだ。

今日は人里近くに仮設の会場を設け、ライブをやりに行く。
「今日はミスティアが加わって4人でやるもんね」
「花の異変の時に知り合った夜雀よねー。 
 歌の内容はともかく、いい声してるもんね」
今回は特別に、歌う夜雀ミスティアを加えてコンサートを
行うことになっているのだ。
人妖問わず多くの生物が聞きにくる事だろう。
腕が鳴るってもんだ。

--- 自分の音楽を、沢山聞かせてやるんだ。
--- そして、今日こそ私が一番偉いってことを証明させてやる。

リリカはそんな調子のいい事を考えながら、ルナサお手製のサンドイッチを
頬張っていた。


「人里に行って打ち合わせをする時間よ。 二人とも、行きましょう」
十数分後、ルナサの掛け声の後、3人は人里に向かっていった。







2、
人里近く、集会所へ向かう途中道。

本日のライブの最終的な事前打ち合わせが、そこで行われる。
リリカの提案で、3人は敢えて里の入り口から徒歩で集会所へ向かっていた。

(だって、人里のファン達にキャーキャー言われたいじゃない?)

リリカはそう思っていた。


そして、案の定。
「おお! プリズムリバー3姉妹じゃないか!」
「きゃー!! 虹川3姉妹じゃん!」
「今日のライブ、見に行くからなー!!」
道行く人が、3人に反応し、声をかけたりしている。

「んー、私たちも随分と有名になったもんだねー」
「感慨深いね」
「それだけ私たちの3人の音楽が素晴しいって事だよ!」
特に私のね、とリリカは心の中で続けた。




暫く歩いていると、3人の中年の男のみで構成されたグループに会った。
「お、ルナサじゃないか」
3姉妹ではなく、ルナサに特定して声を掛ける彼ら。

「あ、どうも皆さん」
ルナサは少しだけ微笑んだ。
「今日も何時もの通り、一番前で応援させてもらうよ」
「いやー、今日の為に仕事頑張って金を貯めてチケットを買ったんだ。
 もう楽しみでさー」
「ルナサのバイオリンは本当に素晴しいよ。
 大人向きの、静かで深い音色がね」
「う、あ、ありがとう・・・ 頑張るよ、今日は」
褒められて恥ずかしいのか、ルナサは僅かに顔を赤くした。
「じゃあ俺たち行くから。 ライブ頑張ってね、俺たちも頑張って
 応援するから」
「うん、じゃあ会場で・・・」

男たちは、メルランとリリカにも会釈して去っていった。
去り際、
「・・・天は二物を与えるんだな。 ルナサを見ているとそう思うよ」
「あの美しい容姿に、美しい音楽まで与えてしまうのだからな」
と言い残して。

「・・・相変わらずモテモテね、ルナサ姉さん」
リリカが言った。 彼らは常連の顔なじみなのでよく知っている。
「結構カッコいい人も居るもんね。 やるわねー姉さん、敵わないわ」
メルランがからかう様に続いた。
「う、うるさいよ、二人とも。 さ、行こう」
ルナサはちょっと恥ずかしそうに言った。

全体の傾向として、ルナサは中年以上の落ち着いた年齢層の人たちに
人気がある。
落ち着いた雰囲気に、確かなバイオリン技術と、時折見せる笑顔が、
彼らの心を掴むのだろう。




また暫く歩いていると、今度は人間の子供の集団に出会った。
「あー! メルランお姉ちゃんだー!」
ワーッ、と言ってメルランの元に集まる子供たち。
中には彼女の足にしがみ付く子供まで居た。
「みんな今日も元気ねー♪」
メルランも元気いっぱいで対応した。
しがみ付いてきた子供の頭をナデナデ。

「あー! ずるいぞお前ー!」
「早いもんがちだよーだ! べー!」
「こらこら、喧嘩するな、お前たち」
慧音だ。 子供たちを連れて歩いていたのだろう。

「お、お前たち3人か。 今日のライブを楽しみにしているぞ、みんな」
そういう慧音もニコニコ顔だった。
「やっぱり子供たちの笑顔っていうのはいいな。
 いつもいい物を見させてもらっているよ。
 メルラン、特にお前のおかげだ」
今日も頼むぞ、とメルランの手を握る慧音。
「任せておいてよー」
笑顔で陽気に応対するメルラン。

「さて、お前たち。 メルランたちはこれから用事があるそうだ。
 行くぞ」
「「「はーい!」」」
じゃーねー、と手を振って子供たちは去っていった。
「俺、大人になったらメルランお姉ちゃんと結婚するんだ!」
「駄目だよ! 僕とするんだよ!」
という会話が、風に流れて聞こえてきた。

「メルランは子供に大人気ね」
「普通騒霊は、あそこまで子供に懐かないもんねー。
 流石メルラン姉さん」
「ウフフ♪」

メルランは子供に特に人気がある。
子供は本能的に、明るくなれるものが好きなのだろう。
加えて、見た目や雰囲気も、3人の中で一番取っ付き易い感じもする。




リリカは考えていた。
中年、子供と来て、次は若年層ね。
ここで人気があってこそ、真のグループの中心と言えるのだ。

「おお! プリズムリバー3姉妹だ!」
来た来た。
数人の若者のみで形成されたグループだ。

「今日のコンサート、苦労してチケット取ったんだ」
「店の開店4時間前から並んでたんだよなー、今となっちゃいい思い出だよ」
「でもその甲斐あったよなー! よりによって合同ライブのチケットが
 取れるなんてさ!」
前の者達と違ってそれ程常連ではない彼らだが、非常に音楽を好きそうな
雰囲気を持っていた。

「そこまで期待されちゃうと、何か緊張しちゃうな」
ルナサが言った。
「いやいやルナサさん、俺達並にあなたに期待してる人なんて、
 山ほどいるんだぜ?」
「今回の合同ライブで、『静』の鍵となるのはルナ姉さんなんだから」
「そうそう! で、『躁』の鍵がメルちゃんで、そしてー」

--- 『幻』の鍵が私ね!

リリカ、wktk。






「『歌』の鍵がミスティア!」
「うん、みすちーだ!」
「より幅のできた、素晴しいライブになると思うよ!
 もうホント、数時間後が楽しみだよ!!」





--- ・・・・・・



リリカ、硬直。

と、丁度そのとき。
「うーんと、こっちだっけ?」
ミスティアが曲がり角から現れた。 集会所へ向かう途中らしい。
「あ、リリカ。 こっちでいいのかな? 打ち合わせ場所」
「・・・あ、うん」
「今日はよろしくねー。 ルナサさんとメルランさんも宜しく」
「ええ」
「よろしくー♪」

「み、みすちー!?」
「おおおおおおおおおお!!!」
「みすちーだー!」
若者達は、やや興奮した口調でミスティアの元に集まった。
「頑張ってね! もう俺達超応援しちゃうから!」
「うん、任せておいてよ」
ミスティアはニコッと笑って見せた。







3、
ライブ会場、開演直前。

既に会場は満員。 人妖なんて関係なく入り乱れている。
皆、ライブの開演が楽しみで仕方がない。

「皆さん、今日は集まってくれてありがとうございます」
ルナサがぺこっと頭を下げた。
ルナサー、ルナサーと声が飛ぶ。
「さて、見ての通り、今日はゲストをお迎えしてのコンサートとなります」
ルナサは隣のミスティアに振り向いた。
「えーっと、ヤツメウナギ屋台女将、兼歌う雀のミスティアですー。
 今日はプリズムリバー3姉妹の方々と一緒に頑張るんで、
 応援宜しくおねがいしまーす!」
うおー! ミスティアー! と声が飛ぶ。

「じゃあ、早速行くよー!」
メルランが言うと、会場の観客が
 おー!!
と答えた。




目を閉じ、汗をかきながら懸命にバイオリンを引くルナサ。
肺活量幾つですか? と問いたくなる勢いでトランペットを吹くメルラン。
美しい声だけでなく、体全体で歌を表現するミスティア。

対してリリカも、負けじと彼女にしか出せない音を出す。


観客も、彼女達の頑張りに答えるかのように、声援を送る。

「ルナサー! ルナサー!!」
「めるぽー!!」
「ミスティアー!!」
「ルナサー! 俺と結婚してくれー!!」
「メルランお姉ちゃーーん! こっち向いてー!」
「みすちー! もう俺には君しか見えないよー!」



何故自分の名前だけ呼ばれないのだ。
リリカはキーボードを叩きながらも考える。



「頑張れー! えっと・・・ ちっちゃい人ー!」





リリカ・プリズムリバーは、考える事をやめた。








fin







  • 頑張れ赤い人 -- 名無しさん (2009-06-07 03:30:58)
  • 確かに妖々夢をプレイした時、一番印象に残らなかったのは彼女だがこれはひどい。 -- 名無しさん (2009-06-08 11:56:38)
  • いや、リリカは一番印象に残るだろ
    「ファントムディニング」の時にリリカに集中攻撃しとかないと
    他の2人の難しいスペカを喰らうハメになるし -- 名無しさん (2009-06-08 12:50:38)
  • ルナサーがんばれー ←(空気嫁) -- 名無しさん (2009-06-08 14:03:30)
  • 狡猾キャラをてゐに取られたからね… -- 名無しさん (2009-06-08 14:12:39)
  • 虹川三姉妹と言ったらリリカでしょう…だよね? -- 名無しさん (2009-06-08 18:00:04)
  • 泣いた -- 名無しさん (2009-06-08 19:45:58)
  • 世界のリリカスキーが涙した -- 名無しさん (2009-06-08 21:12:18)
  • 自機デビュー後、人気投票名有最下位は伊達じゃないな -- 名無しさん (2009-06-08 23:16:23)
  • てっきり老人に大人気だと思ったのに -- 名無しさん (2009-09-22 06:30:54)
  •  こ れ は ひ ど い -- 名無しさん (2009-10-07 12:14:18)
  • 頑張れー!…えっと、キーボードの人ー! -- 名無しさん (2010-04-05 23:26:13)
  • 花映塚で初期の自機になってたから虹川姉妹の中では人気なんだと思ってたが、人気投票の結果を見ると全然違うんだな -- 名無しさん (2010-04-05 23:36:22)
  • ↑「骨プッシュ」調べると良い -- 名無しさん (2010-04-05 23:40:32)
  • インパクトが無いからなあ
    何か決め台詞でも言ってみたらどうだろう -- 名無しさん (2010-04-05 23:58:38)
  • リリカは結構重要なポジションだと思うんだがなあ。音的に -- 名無しさん (2010-04-06 18:47:32)
  • リリカは俺の嫁 -- 名無しさん (2011-10-14 20:33:26)
  • >「ファントムディニング」の時にリリカに集中攻撃しとかないと
    ルナサのスペカのほうが楽じゃないか??個人的な話だが… -- 名無しさん (2011-10-18 02:05:35)
  • リリカがいないと妖はクリアできません>< -- 名無しさん (2011-10-28 21:49:32)
  • リリカ「決め台詞か…お前はすでに、聴き惚れている!」
    他2人「リリカどうした?」 -- キング クズ (2016-07-06 03:23:35)
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