413 :名前が無い程度の能力:2008/07/15(火) 22:23:40 ID:Evqa67ok0
慧音先生みたいな人は報われちゃいけないと思う。
膝をついて呆然としていたり、暗い部屋で一人で嗚咽を漏らしたり、
手ひどく裏切られて後悔しているときが一番輝くと思うんだ。


成長した慧音先生の教え子たちに、里に学校を建てさせたい。
「僕、大人になったら慧音先生みたいな先生になるんだ!」という教え子たちの言葉を思い出し、
思わず涙してしまう慧音先生。
これで心置きなく隠居できると寺子屋をたたむ慧音先生。
教え子たちの用意してくれた家屋敷で静かに里の行く末を見守ることにする慧音先生。


数十年後、慧音先生の恩恵を忘れた世代が大多数を占めるようになった里。
教育機関が発達し、知識と技術が妖怪たちのそれを遥かに上回るようになった人間たちは、
里や周辺地域からの妖怪排斥を行う。
「もう妖怪を恐れる必要はない」「あんな化け物を里に置いておけるか」
一人また一人と里から追い出される妖怪たち。それは慧音先生も例外ではなかった。
老人たちは慧音先生をかばおうとするが、ついに慧音先生の追放が決定してしまう。


里を後にする慧音先生。だが慧音先生を受け入れてくれる場所は無い。
人間どもに余計な知恵をつけさせた慧音先生は、妖怪たちにとって敵意の対象でしかないのだ。
人間にも妖怪にも受け入れてもらえなくなった慧音先生。
「もう少しだけ、人間を見守っていたかったな」
そう言いながら、自らの歴史を食べる慧音先生。

もう慧音先生を憶えている者は誰もいない。