731 :種族:名無し 多様性:高:2008/05/22(木) 00:41:31 ID:3WUkcSG6O
麻薬売買って聞くと、すぐマフィアとか連想しちゃいます



「あぎゃあぁあぁぁあああッ!」

迷いの竹林地下に作られた広大な工場空間に、絶叫が響く。

声の主は、永遠亭の名も無き因幡の子。
因幡は四肢を拘束された状態でベルトコンベアーに体を固定されていた。
ベルトコンベアーの先は、子供の頭がすっぽり納まる程の大きさの円筒につながっている。
それは、大麻を製造する過程で、乾燥した大麻葉を細かく破砕する為の機械であった。
筒の内部には、規則的に連なる金属の歯が、隙間無くびっしりと生えている。
その中に、因幡の片耳は、半ばまで入り込んでいた。
片側の耳は、既に無い。
もう何度も、コンベアと破砕器の間を往復したことが、容易に知れた。

がこん、という音と共に、ベルトコンベアーが作動し、その上で激痛に喘ぐ因幡の体が筒から離れる方向へと移動していく。
その先には、別の数匹の兎達と、因幡てゐが立っていた。
そして、彼女達の中央には、椅子に腰掛けた永琳の姿があった。

因幡が永琳の目の前まで運ばれてきた時、コンベアーが止まった。
永琳は、荒い呼吸を繰り返している因幡を冷たく見下ろすと、
くわえていた煙管を唇から外し、紫煙を因幡の顔に吹き掛けた。
因幡が、むせて何度か激しく咳をする。
その自身の咳によって、遠退きかけた因幡の意識が引き戻された。

永琳が、口を開く。
「…聞こえているかしら?
あなたの耳、もう二寸しか残っていないから、質問は次が最後になるわね。




何処に、横流しをしたの?」

「…ぃ…です……
ほんろに…しらな…ぃ…んです……」
因幡は顔の上半分を血飛沫に染め、その他の部分を脂汗に塗れさせ、蚊の鳴くよう小さな声を発した。

「……そう」
それだけ、静かに呟いた永琳が、やや離れた場所に立つ別の因幡に目くばせをする。
その因幡は頷くと、機械の操作スイッチを押した。
機械音と共に、再びコンベアーが作動し、
喘ぐ因幡の体が破砕器へ向かって運ばれていく。

再び、地下工場に絶叫が響く。
その叫びは、骨と肉が砕ける音と同時に聞こえなくなった。


永琳の傍らに控えている兎達も、てゐも、終始無言のままで立っていた。

「ところで」
永琳が、先程と何ら変わらぬ穏やかな声音で口を開いた。
「さっきの因幡の横流しを、パイプ役になって取り成した者が居るみたいなんだけれど…」

てゐの、表情ひとつ変えずに完璧な技で人や妖怪を騙す筈の顔が、引きつった。
「私の一番信頼している弟子が、その者を追跡したんだけれども取り逃がしちゃってね。」
椅子から立ち上がり、振り向いた永琳が、てゐの顔を上から覗き込んだ。
「でも、そいつの生命の波長がね、
あなたと同じ波長だったのよ。
何か知らないかしら、てゐ?」






「いぎゃあぁぁああぁッ!」

迷いの竹林地下に作られた広大な工場空間に、てゐの絶叫が響く。

ベルトコンベアーの作動音。
破砕器の回転音。
幾度目かの往復。
何度目かもわからぬ懇願。
「…ごめな…さぃ…
ゆる、じ…で、くださ…」
「駄目よ?仲間を裏切っちゃ。まして、あなたは兎達のリーダーなんだから」
「ぁ゙… あが…… か……」
「リーダーなら下の者に、きちんと示しは つけないとね」

痙攣しながら、荒い呼吸で喘ぐてゐの顔に、吹き付けられる紫煙。
それは、永琳が調合した煙草により、特製の気付け効果を持った煙である。

「ごほっ! がはぁっ!」
激しい咳で、無理矢理引き戻されるてゐの意識。
再び聞こえる、機械の作動音。
運ばれていく、てゐの体。
てゐには既に、恐怖による叫びを発する力すら残っていないようであった。
破砕器に耳が入り込んでいく途中の動きも、虚ろな目で弱々しく呻くぐらいである。
もう、意識はおろか、痛みさえ判らなくなっているのではないか。
そう思われたてゐの体に、
まだこれだけの力が残っていたのかと驚く程の絶叫を、てゐはあげた。
再び、半失神状態となり、永琳の眼前に戻る。
それを繰り返していくうちに、少しずつ、てゐの反応は鈍くなっていった。

吹き付ける紫煙。
戻される意識。
動き出す機械の音。
やがて訪れる激痛。
絞り出される絶叫。
息苦しい煙。
激しい咳。
また機械音。

激痛。

絶叫。

紫煙。

咳。

音。

痛。

叫。





叫…