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レミリャの勘違いで咲夜さんがが出て言っちゃったの巻き(未完)」(2016/12/26 (月) 00:58:06) の最新版変更点

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「貴女がこんなに使えない奴だとは思ってもいなかったわ、咲夜。」 凍えた怒りを湛えた表情で、お嬢さまが冷徹な言葉を浴びせてくる。その手には粉々になったカップのカケラ。 主からもっとも聞きたくない、失望に満ちた台詞に、重い氷塊で胸が満たされる感覚を覚える。これが私自身の失敗による叱責だったなら私だって納得できた。しかし、こうなってしまった原因は私にはない。メイド妖精の誰かが、お嬢さまが霊夢からもらったカップを割ってしまったのだ。私が壊れたカップを見つけた時には壊した張本人の姿はなく、ため息をついて破片を片付けようとしたその時、運悪くお嬢さまが部屋に入ってきてしまった。 ライバルであり、大切な友人である博麗霊夢からもらったカップ。幻想郷のパワーバランスを担う博霊の巫女が贈り物をするということは、即ち幻想郷に認められたということだとお嬢さまは感慨深げに仰っていた。 私にはどう見てもただのお古のカップにしか見えなかったが、お嬢さまにとっては特別な意味を持ったカップだったのだ。 それを壊されたお嬢さまの怒りようはとても形容できる程度のものではなかった。 「ねえ、咲夜。今の私の気持ちは分かるかしら?わからないわよね、壊したカップを見て貴女は平然とため息なんかついたんだもの。このカップを私がどんなに大事にしていたか、貴女は知っていたはずなのに。」 「お、お聞き下さいお嬢さま。違うのです。ちが―――」 「黙れ、人間!」 「!!」 ニンゲン。意識したくなくても意識せざるを得ない、私とお嬢さまたちとの決定的な違い。妖怪に比べたら羽虫にも劣る、無力な生き物。 まるで『お前とは最初から存在の次元が違う』と突き放されているような気がして、絶望感が全身に拡がる。 「あ、あの、お嬢さま。咲夜さんだって悪気があったんではないでしょうし、それくらいにしておくべきでは…。」 「そうよレミィ。なにもそこまで…。」 お嬢さまが放つただならぬ殺気に驚いて駆けつけてきた美鈴とパチュリーさまが擁護してくれる。 これでお嬢さまのお怒りが収まったなら、事情を説明して誤解を解こう。そうすればお嬢さまもきっとわかって下さる。少し頬を染めて苦笑いをしながら『悪かったわね』と言って下さるに違いない。 だけど、お嬢さまの反応は私の望んでいるものと正反対のものだった。 「煩いわ。紅美鈴、パチュリー・ノーレッジ。これは私と咲夜の問題よ。出て行って。」 希望は砕かれた。二人はなんとか食いつこうとするが、お嬢さまの冷たい視線を受けて去っていく。今のお嬢さまに逆らえばどうなるかわからない。 美鈴も、お嬢さまの友人であるパチュリーさまも、こうなっては従うしかない。 申し訳無さそうに私を振り返りながら部屋から出て行く二人を見送って、私はつい泣き出しそうになる。でもそれだけはダメだ。私は完全で瀟洒な従者。そんな情けない姿を、よりによってお嬢様と二人っきりの時に見せるなどあってはならない。 「……」 突然部屋を包んだ沈黙の中、お嬢さまが豪奢なソファにこしかける。その白く細い手に握られた象牙色のカップのカケラを心底悲しそうに眺める。 押し潰されそうな沈黙とお嬢さまの落胆に、私は言葉を発することもできずにただただ頭をうな垂れ続けるしかなかった。 「…はぁ」 「…ッ」 小さなため息に再び心を抉られる。まるで本当に傷を受けたかのように、痛覚がビリビリと反応する。 「もう、いいわ」 「…えっ?」 思わず声が漏れる。許してくれるのかもしれない。弁解するなら今しかない。 「お嬢さま、そのカップは私ではなく―――」 「出て行って」 「メイド妖精の――――………今、なんと?」 「あら、聴こえなかったの?時間を操りすぎていつの間にか老化してしまったのかしら?出て行けって言ったのよ。もう言わないわよ?」 「あ……ぁあ……」 今度こそ本当に、私は絶望した。『絶望』などでは生ぬるい。まるで胸にポッカリと穴が開いて、そこに岩をぶち込まれたかのよう。目の前が真っ暗になる。私は死ぬまでこの紅魔館に、お嬢さまに仕え続けると決意したのに。そう決めて全てを投げ打ってきたはずなのに。 生命を削る能力使用だって、お嬢さまのためならばと堪えて使ってきたのに。それなのに、それなのに、どうして。 過去の記憶が蘇える。私が異能の力を持っていることを知った周囲の反応。味方だと思っていた家族すら同調し、迫害してくる。 『魔女だ』『悪魔だ』『化け物だ』『呪いだ』『災厄だ』『追い出せ、村から追い出せ』『そうだ、追い出してしまえ』『出て行け!出て行け!出て行け!―――』 「咲夜さん、待って、待って下さい!」 「え…?」 二の腕を掴まれて引き戻される。それと同時に意識も引き戻された。目の前には、私より少し背の高い紅い髪の女の子。この館で一番仲の良い同僚の、美鈴だった。 彼女の荒い息が冷たい空気に触れて白い靄となる。 気が付けば、私はいつものメイド服ではなくほとんど着なかった私服を身に着けていた。手には私物の入った小さな鞄が一つ。 そうだ、私はあの後、自失したまま荷物を整理して館を後にしようとしていたのだ。フラフラと覚束無い足取りで廊下を歩く自分を想像して自嘲する。 どこが完全で瀟洒な従者なのだろう。お嬢さまの加護がなければ、私などただの小娘に過ぎないのだ。だというのに悪魔の従者であることに誇りを持って勝手に粋がっていた自分を思い返すと、笑いが止まらなかった。 「咲夜さん、しっかりして下さい!お嬢さまが咲夜さんに出て行けなんて言うはずがないじゃないですか!きっと何かの聞き間違いですよ!」 「あら、美鈴。貴女まで私が衰えたとでも言うのかしら?」 「あ、そ、そういうわけじゃ…。」 ついきつい言葉を放ってしまった。私としたことが、他人に当り散らしてしまうなんて。 「ごめんなさい」と小さく呟いて、目を伏せる美鈴の手をそっと解く。そして館の外へと足を進める。震える足で、一歩、さらに一歩……。気付けば、もう門の下。あと一歩踏み出せば、私がこの館に戻ることは二度とないだろう。 「――私、嫌です!咲夜さんが出て行っちゃうなんて絶対に嫌です!お嬢さまには私からも謝ります、お叱りだって罰だって一緒に受けます!私が罪を被っても構いません!だから行かないで下さい!」 (壊したのは私じゃないんだけどね。でも…) 苦笑して、首だけで後ろを振り返る。例えやったのが私じゃなくても、メイドの不届きはメイド長たる私の監督不届きだ。結局、責任は私にある。 見れば、美鈴は目の幅いっぱいに涙を溜めてこちらを見つめている。本当に優しい娘だ。門番なんかに向いていないだろうに。そんな彼女に、私は今できる精一杯の笑顔を向ける。 変な顔になっていたかもしれないが、最後なのでこれくらいは許してほしい。 「ありがとう、美鈴。でも、これがお嬢さまの命令なの。お嬢さまの望みには、全力で応えなくちゃ。…最後くらい、私を完全で瀟洒なメイド長にして。お願いよ美鈴…」 「咲夜、さん……」 こちらが痛くなるほどに拳を握り締め、深くうな垂れる。その表情は長い前髪に隠れて見えないが、泣いてくれているのだろう。足元に積もった雪に、ポタポタと雫が落ちる。この娘と一緒にお嬢さまにお仕えすることができて、良かった。 門の方を向き直り、一歩踏み出す。もう振り返らない。外には私の色と同じ、無機質な銀世界が広がっている。そういえば、お嬢さまに初めてお会いした時もこんな景色だったような気がする。 「――さようなら、お嬢さま」 能力を使って空へと飛び立つ。私物が少なくて身軽なことが唯一の救いだった。でも、何もかもを捨てて紅魔館に来た私にはこのくらいが相応しい。後ろ髪を引かれながら、私はこの世界でのたった一つしかなかった自分の居場所を後にした。 ******************* 「はあ…。せっかく霊夢からもらったお気に入りだったのに…」 咲夜に部屋から出て行くように命じてから一時間ほど、レミリアは名残惜しそうにずっとカップの残骸を見つめていた。 友人なんて、パチュリーの他には長い間いなかった。しかも自分と同じくらいの力を持った幻想郷の巫女。高貴な自分に負けず劣らずの誇り高い友人を持てたのは生まれて初めてだった。 だから、霊夢から贈り物を貰ったときは本当に嬉しかったのだ。 「でも、ちょっと言い過ぎたわよね…」 出て行くように言われた後の咲夜の様子は、ちょっとした罪悪感をレミリアに覚えさせていた。震える体で部屋を後にする少女の様子は、それくらい悲哀に満ちていたのだ。 それに、他でもない自分のために時間や空間を操ってくれている従者に向かって「もう老いたのか」はさすがにひどいだろう。 「たしかに霊夢だって大事だけど、咲夜の方が大事よね。私を慕ってくれる有能な従者だし。私としたことがたかがカップくらいであの子を叱り付けすぎるなんて、カリスマが足りなかったわ」 よく考えれば、完璧な咲夜が私の大事なカップを割ってしまうなんてあり得ないことだ。仕事の疲れが溜まっていたのかもしれない。散々こき使っていたのだし、さっきのことを謝るついでに休みもやろう。 そうだ、皆で温泉にでも行こう。部下たちとの交友も進展するし、一石二鳥じゃないか。 「うん、カリスマアップ間違い無しね。我ながら素晴らしいアイデアだわ」 それまで大事そうにしていたカケラを何の未練もなくゴミ箱に放り投げ、レミリアはさっきまでとは打って変わった笑顔を浮かべて咲夜の部屋に向かった。もう、何もない部屋に。 ******************* どこに行けばいいの? 鬱蒼とした森の中を歩きながら、私はずっと同じことを考えていた。身寄りのない私を従者にして下さったのはお嬢さまだけ。 あの館を離れた今、もはや私に居場所なんてない。そもそも、私は紅魔館の住人以外の者を心の底から信用することが出来なかった。ただ人と違う力を持っていただけで迫害された記憶は、強い人間不信として私をずっと蝕んでいたのだ。 「……バレてるわよ」 振り向きざまにナイフを投擲。風を切って突き進むナイフが暗闇に光る獣の眼に吸い込まれるように刺さる。突如その場に響き渡る醜い悲鳴。 暗闇から這い回って出てきたのは、犬ともタコとも言えない軟体生物のような妖怪だった。その魚眼のような眼を睨みながら、ナイフを構える。「大人しく引けば見逃すわ」 こんな低級妖怪に脅しなど通じるとは思えなかったが、一応言ってみる。それに、今の咲夜にはもう戦いをする気力などなかった。 ふと、妖怪が触手を小刻みに揺らし始めた。ぶぅーん、という低周波のような奇妙な音。その様子を訝しげに観察した後、直感を信じて一気に斬りかかる。咲夜の直感は危険を訴えていた。あの奇妙な触手を切り落とさないと良くないことが起きる。 ザクッ 「……ぇ?嘘…」 果たして、切断されたのは咲夜の腕の方だった。さっきまで肘から先にあったはずの腕が弧を描いて飛んでいく様を眼で追う。しばし呆然とするが、強烈な痛みに襲われてすぐに意識が覚醒する。 むき出しの神経をゴリゴリと擦られているような感覚。あまりの痛みに声すら出ない。喉から出てくるのは人間のものとは思えない唸り声。 「………ッッッ!?」 血の吹き出る腕を力の限り握り締めながら周囲を見回す。いつの間にか、周りには低級妖怪の輪が出来ていた。あの低周波は仲間を呼び寄せるための合図だったのだ。 咲夜の目の前で、飛んでいったナイフを握ったままの白くて細い腕が妖怪の口に含まれる。バリバリという鉄と骨を噛み砕く嫌な音が森の中に響く。それを羨ましそうに一瞥した妖怪たちが、こちらを見て輪を狭める。 その眼は、久々の人間にギラギラと輝いていた。 「ふ、ふふ、うふふ、あははははは……」 武器を食べられてしまった。でも、もう抵抗する気なんてこれっぽっちも起きなかった。きっとこういう『運命』なのだ。もしかしたら、お嬢さまが粗相をした私に授けた運命なのかもしれない。ああ、でも嫌だな。低級妖怪に食べられて死ぬなんて嫌だ。あんまりだ。 「せめて最期は、自分の意思で選んだ死に方をしたいわ」 《時符『プライベートスクウェア』》 時間を止めて妖怪たちの間をすり抜ける。死ぬにしても死体を貪り食われるのは嫌だ。跡形もなく死ぬにはどうすれば…。 「…ああ、素敵」 森を抜けたそこには、大きな崖があった。ビルにして10階分はあるだろう。下には大きな滝と流れの速い川もある。死ぬには打ってつけの場所だ。この時初めて、私は神さまというものの存在を信じた。能力を解除する。時が動き出し、獲物を見逃して怒り狂った妖怪たちが血の臭いを追いかけてくる気配が伝わってくる。でも残念、お前たちなんかに食べられてたまるものか。そうとも、化け物なんぞの栄養になってたまるものか。 躊躇いなく崖に向かって進む。大量の血を失ったせいか足取りがとても重い。 ついに妖怪の気配が背後まで迫ってきた。爪が、牙が、咲夜の四肢を抉る。腕が折れ、足が千切れ、歳相応の小さな体躯が枯葉のように吹き飛ぶ。 「―――ちくしょう」 そして、咲夜という人間は急流に飲み込まれた。あまりにあっけなく、悲しい終わり方だった。 ******************* 「なによ、これ」 咲夜がいない。それどころか、彼女の荷物もない。元々私物はほとんどなかったがそれでも手鏡やら何やらが机の上に置かれていたはずだ。 なのに、今はもうない。あるのはベッドの上にポツンと置かれたメイド服とカチューシャだけ。まるで十六夜咲夜なんて人間など最初からいなかったかのよう…。 「…はは、まさかね」 言い知れぬ不安を覚えたレミリアは翼を大きく羽ばたかせて廊下を飛翔する。 「パチェ、パチェ!」 図書館のドアを乱暴に開いて、この大図書館の主を捜す。きっと咲夜は落ち込んでパチェに相談でもしているんだろう。主人に手間をかけさせるなんて不出来な従者だ。たっぷりお仕置きしてやろう。 心の底から滲み出てくる不安を塗り潰すように足早にパチュリーの元へと進む。図書館の中心には、たしかにパチュリーがいた。 都合のいいことに小悪魔も美鈴もいるし、珍しくフランもいる。残念ながら咲夜はいなかったが、きっとこの中の誰かが知っているだろう。屋敷の主の登場にも関わらずどんよりとしているのが少し気に食わなかったが、私だってカップを割られた被害者なのだ。私が特別に悪いわけじゃない。 「ねえ、パチェ。良いことを思いついたの。みんなで温泉にでも行かないかしら?ほら、パチェだってこんな埃臭いところにいたら喘息が悪化しちゃうだろう、し―――…なによ?私、何か変なこと言ったかしら?」 フランを除く全員の視線が、私を糾弾するような、信じられないものを見るような鋭い目つきに変わる。美鈴に限っては射殺さんとでも言うかのような目だ。たくさんの涙を流したのだろう、ひどいクマが出来ている。 「レミィ……貴女、よくそんなことが言えるわね。咲夜にあんな仕打ちをしたばかりなのに」 じろりと睨むパチェの迫力に思わずうっと唸る。言い過ぎたことは自分でもわかっているつもりだった。だからこそ、今回の温泉旅行を企画したのだ。 「わ、私だって被害者でしょ!?大事なカップを割られたんだから!それに、咲夜だって気を落としすぎなのよ!たかが部屋を追い出されたくらいで、あんなに落ち込まなくても…」 「待ってレミィ、今なんて言った?」 パチェが鋭い声で私の言葉を止める。見れば、三人とも目を丸くして呆けている。フランはなぜか私から目を背けてガクガクと震えている。意味が分からない。 「貴女は、咲夜を屋敷から追い出したのではないの?」 「そんなことするはずないじゃない。咲夜は大事な従者よ。」 そうだとも。あの子は従者であり、気恥ずかしくて言葉に出来ないが―――もう家族同然の存在なのだ。 頬が少し熱くなる私と比例するように、三人の顔が蒼褪めていく。 パチェが慌てて捜索用の魔術を展開する。それに弾かれるかのように、小悪魔と美鈴は今まで見たこともないような必死な形相で私の横をすり抜けて図書館から出て行く。 「…ねえ、何なの?どうしたのよ?…さ、咲夜は?咲夜はどこ?ねえ?」 声が震える。心の蓋を押しのけて不安が溢れ出す。部屋を後にする咲夜の小さな背中が脳裏に浮かんで知らずに背筋がゾッとする。 「咲夜は屋敷を出て行ったわよ。美鈴によるとひどい落ち込みようだったらしいわ。」 「…言い過ぎたのは認めるわ。カップを仕舞い忘れていた私にも落ち度はあったし。」 平静を装いながら自分を抱き締める。背中を汗が伝う。私らしくない。どうせ戻ってくるに決まってるじゃないか。咲夜が本気で屋敷を出て行くなんてありえるはずがない。 世界から拒絶されたあの子にとって居場所はここだけ。そう、私の隣だけなのだから…。 「だったら、早く見つけてあげることね。強力な力を持っているとは言え、あの子はしょせん非力な人間なんだから。」 「わかってる。わかってるわ。」 - ニヤニヤしてしまう -- 名無しさん (2009-05-05 17:00:24) - なんかおかしいところがたくさんある…。なんという羞恥プレイ。でも上げてくれた人、読んでくれた人、ありがとう。 -- 作者 (2009-05-05 17:36:44) - ちょっとやり方間違えてスレではフルボッコに言われてたけど、暗君レミリアネタは好きだし、 &br()咲夜さんの復讐にも興味があるので、よければこっそりまとめwikiに続きを上げてくれると嬉しい -- 名無しさん (2009-05-05 18:56:24) - 確かに、物語としては面白いのに結末が描かれてないのはなぁ・・・ -- 名無しさん (2009-05-06 09:14:47) - これで終わりじゃないのか? &br()動くと決意せども時既に遅し、って話かと思ってた -- 名無しさん (2009-05-07 13:10:50) - 割った犯人はフランか。二回読んで理解した。 -- 名無しさん (2009-05-08 02:01:57) - 作者によると未完らしい -- 名無しさん (2009-05-08 10:46:47) - 続きはまだかいのぅ -- 名無しさん (2009-07-16 14:51:11) - これはいいレミリアいじめ・・・そしてコメント読んで初めて分かった>カップを割った犯人 -- 名無しさん (2010-02-26 14:53:40) - 追い出した咲夜さんが妖怪に食べられてレミリアが悲しんじゃうの巻(未完)へ続くんですか?わかりません -- 名無しさん (2010-02-26 19:26:42) - これで終わりでいいと思うけどな -- 名無しさん (2010-03-04 15:26:08) - おぅ、実にシリアスですネ!でも、続きが気になるですにー。レミは咲夜さんシンジャッタのに分かってないのネ。ちょっとエグいねコレ。まぁ、咲夜さん系のSSはシリアスとかグロとかほのぼのとかね。ドキドキするのが好きだね!(自重しろよ(9)風情が!) -- 壊れかけている生き物 (2010-03-09 23:17:39) - 未完成なら未完成で完成させるか削除してほしい -- 名無しさん (2011-09-11 22:59:07) - マジで泣けた。 &br() -- 名無しさん (2011-09-16 23:24:37) - ここで終わる方がすっきりするような &br() -- 名無しさん (2011-10-14 15:28:34) - フランちゃーん!正直に話そうねー! -- 名無しさん (2012-01-29 00:09:37) - 続きみたい! -- ユリカ (2014-06-23 20:04:31) - 犯人がフランなのに気づいてくれー -- 名無しさん (2014-08-21 09:48:08) - これ五年前の作品なのか…傑作だけど続きはもう出ないかも…(絶望) -- 名無しさん (2014-10-16 17:10:05) - 下手に完結させない方がいい -- 名無しさん (2014-10-30 09:50:53) - 続きが凄く気になる。 -- 名無しさん (2014-11-15 21:32:01) - 続きなんて無いんじゃね -- 名無しさん (2016-03-31 23:37:48) - おもうぃろいね -- 名無しさん (2016-04-12 14:02:02) - これで完結…と、それで良しだよ、俺は文句無いよ -- キング クズ (2016-07-10 03:55:51) - 完結させたい方は脳内補完してくださいってところかな? -- 名無しさん (2016-12-25 11:33:08) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)
「貴女がこんなに使えない奴だとは思ってもいなかったわ、咲夜。」 凍えた怒りを湛えた表情で、お嬢さまが冷徹な言葉を浴びせてくる。その手には粉々になったカップのカケラ。 主からもっとも聞きたくない、失望に満ちた台詞に、重い氷塊で胸が満たされる感覚を覚える。これが私自身の失敗による叱責だったなら私だって納得できた。しかし、こうなってしまった原因は私にはない。メイド妖精の誰かが、お嬢さまが霊夢からもらったカップを割ってしまったのだ。私が壊れたカップを見つけた時には壊した張本人の姿はなく、ため息をついて破片を片付けようとしたその時、運悪くお嬢さまが部屋に入ってきてしまった。 ライバルであり、大切な友人である博麗霊夢からもらったカップ。幻想郷のパワーバランスを担う博霊の巫女が贈り物をするということは、即ち幻想郷に認められたということだとお嬢さまは感慨深げに仰っていた。 私にはどう見てもただのお古のカップにしか見えなかったが、お嬢さまにとっては特別な意味を持ったカップだったのだ。 それを壊されたお嬢さまの怒りようはとても形容できる程度のものではなかった。 「ねえ、咲夜。今の私の気持ちは分かるかしら?わからないわよね、壊したカップを見て貴女は平然とため息なんかついたんだもの。このカップを私がどんなに大事にしていたか、貴女は知っていたはずなのに。」 「お、お聞き下さいお嬢さま。違うのです。ちが―――」 「黙れ、人間!」 「!!」 ニンゲン。意識したくなくても意識せざるを得ない、私とお嬢さまたちとの決定的な違い。妖怪に比べたら羽虫にも劣る、無力な生き物。 まるで『お前とは最初から存在の次元が違う』と突き放されているような気がして、絶望感が全身に拡がる。 「あ、あの、お嬢さま。咲夜さんだって悪気があったんではないでしょうし、それくらいにしておくべきでは…。」 「そうよレミィ。なにもそこまで…。」 お嬢さまが放つただならぬ殺気に驚いて駆けつけてきた美鈴とパチュリーさまが擁護してくれる。 これでお嬢さまのお怒りが収まったなら、事情を説明して誤解を解こう。そうすればお嬢さまもきっとわかって下さる。少し頬を染めて苦笑いをしながら『悪かったわね』と言って下さるに違いない。 だけど、お嬢さまの反応は私の望んでいるものと正反対のものだった。 「煩いわ。紅美鈴、パチュリー・ノーレッジ。これは私と咲夜の問題よ。出て行って。」 希望は砕かれた。二人はなんとか食いつこうとするが、お嬢さまの冷たい視線を受けて去っていく。今のお嬢さまに逆らえばどうなるかわからない。 美鈴も、お嬢さまの友人であるパチュリーさまも、こうなっては従うしかない。 申し訳無さそうに私を振り返りながら部屋から出て行く二人を見送って、私はつい泣き出しそうになる。でもそれだけはダメだ。私は完全で瀟洒な従者。そんな情けない姿を、よりによってお嬢様と二人っきりの時に見せるなどあってはならない。 「……」 突然部屋を包んだ沈黙の中、お嬢さまが豪奢なソファにこしかける。その白く細い手に握られた象牙色のカップのカケラを心底悲しそうに眺める。 押し潰されそうな沈黙とお嬢さまの落胆に、私は言葉を発することもできずにただただ頭をうな垂れ続けるしかなかった。 「…はぁ」 「…ッ」 小さなため息に再び心を抉られる。まるで本当に傷を受けたかのように、痛覚がビリビリと反応する。 「もう、いいわ」 「…えっ?」 思わず声が漏れる。許してくれるのかもしれない。弁解するなら今しかない。 「お嬢さま、そのカップは私ではなく―――」 「出て行って」 「メイド妖精の――――………今、なんと?」 「あら、聴こえなかったの?時間を操りすぎていつの間にか老化してしまったのかしら?出て行けって言ったのよ。もう言わないわよ?」 「あ……ぁあ……」 今度こそ本当に、私は絶望した。『絶望』などでは生ぬるい。まるで胸にポッカリと穴が開いて、そこに岩をぶち込まれたかのよう。目の前が真っ暗になる。私は死ぬまでこの紅魔館に、お嬢さまに仕え続けると決意したのに。そう決めて全てを投げ打ってきたはずなのに。 生命を削る能力使用だって、お嬢さまのためならばと堪えて使ってきたのに。それなのに、それなのに、どうして。 過去の記憶が蘇える。私が異能の力を持っていることを知った周囲の反応。味方だと思っていた家族すら同調し、迫害してくる。 『魔女だ』『悪魔だ』『化け物だ』『呪いだ』『災厄だ』『追い出せ、村から追い出せ』『そうだ、追い出してしまえ』『出て行け!出て行け!出て行け!―――』 「咲夜さん、待って、待って下さい!」 「え…?」 二の腕を掴まれて引き戻される。それと同時に意識も引き戻された。目の前には、私より少し背の高い紅い髪の女の子。この館で一番仲の良い同僚の、美鈴だった。 彼女の荒い息が冷たい空気に触れて白い靄となる。 気が付けば、私はいつものメイド服ではなくほとんど着なかった私服を身に着けていた。手には私物の入った小さな鞄が一つ。 そうだ、私はあの後、自失したまま荷物を整理して館を後にしようとしていたのだ。フラフラと覚束無い足取りで廊下を歩く自分を想像して自嘲する。 どこが完全で瀟洒な従者なのだろう。お嬢さまの加護がなければ、私などただの小娘に過ぎないのだ。だというのに悪魔の従者であることに誇りを持って勝手に粋がっていた自分を思い返すと、笑いが止まらなかった。 「咲夜さん、しっかりして下さい!お嬢さまが咲夜さんに出て行けなんて言うはずがないじゃないですか!きっと何かの聞き間違いですよ!」 「あら、美鈴。貴女まで私が衰えたとでも言うのかしら?」 「あ、そ、そういうわけじゃ…。」 ついきつい言葉を放ってしまった。私としたことが、他人に当り散らしてしまうなんて。 「ごめんなさい」と小さく呟いて、目を伏せる美鈴の手をそっと解く。そして館の外へと足を進める。震える足で、一歩、さらに一歩……。気付けば、もう門の下。あと一歩踏み出せば、私がこの館に戻ることは二度とないだろう。 「――私、嫌です!咲夜さんが出て行っちゃうなんて絶対に嫌です!お嬢さまには私からも謝ります、お叱りだって罰だって一緒に受けます!私が罪を被っても構いません!だから行かないで下さい!」 (壊したのは私じゃないんだけどね。でも…) 苦笑して、首だけで後ろを振り返る。例えやったのが私じゃなくても、メイドの不届きはメイド長たる私の監督不届きだ。結局、責任は私にある。 見れば、美鈴は目の幅いっぱいに涙を溜めてこちらを見つめている。本当に優しい娘だ。門番なんかに向いていないだろうに。そんな彼女に、私は今できる精一杯の笑顔を向ける。 変な顔になっていたかもしれないが、最後なのでこれくらいは許してほしい。 「ありがとう、美鈴。でも、これがお嬢さまの命令なの。お嬢さまの望みには、全力で応えなくちゃ。…最後くらい、私を完全で瀟洒なメイド長にして。お願いよ美鈴…」 「咲夜、さん……」 こちらが痛くなるほどに拳を握り締め、深くうな垂れる。その表情は長い前髪に隠れて見えないが、泣いてくれているのだろう。足元に積もった雪に、ポタポタと雫が落ちる。この娘と一緒にお嬢さまにお仕えすることができて、良かった。 門の方を向き直り、一歩踏み出す。もう振り返らない。外には私の色と同じ、無機質な銀世界が広がっている。そういえば、お嬢さまに初めてお会いした時もこんな景色だったような気がする。 「――さようなら、お嬢さま」 能力を使って空へと飛び立つ。私物が少なくて身軽なことが唯一の救いだった。でも、何もかもを捨てて紅魔館に来た私にはこのくらいが相応しい。後ろ髪を引かれながら、私はこの世界でのたった一つしかなかった自分の居場所を後にした。 ******************* 「はあ…。せっかく霊夢からもらったお気に入りだったのに…」 咲夜に部屋から出て行くように命じてから一時間ほど、レミリアは名残惜しそうにずっとカップの残骸を見つめていた。 友人なんて、パチュリーの他には長い間いなかった。しかも自分と同じくらいの力を持った幻想郷の巫女。高貴な自分に負けず劣らずの誇り高い友人を持てたのは生まれて初めてだった。 だから、霊夢から贈り物を貰ったときは本当に嬉しかったのだ。 「でも、ちょっと言い過ぎたわよね…」 出て行くように言われた後の咲夜の様子は、ちょっとした罪悪感をレミリアに覚えさせていた。震える体で部屋を後にする少女の様子は、それくらい悲哀に満ちていたのだ。 それに、他でもない自分のために時間や空間を操ってくれている従者に向かって「もう老いたのか」はさすがにひどいだろう。 「たしかに霊夢だって大事だけど、咲夜の方が大事よね。私を慕ってくれる有能な従者だし。私としたことがたかがカップくらいであの子を叱り付けすぎるなんて、カリスマが足りなかったわ」 よく考えれば、完璧な咲夜が私の大事なカップを割ってしまうなんてあり得ないことだ。仕事の疲れが溜まっていたのかもしれない。散々こき使っていたのだし、さっきのことを謝るついでに休みもやろう。 そうだ、皆で温泉にでも行こう。部下たちとの交友も進展するし、一石二鳥じゃないか。 「うん、カリスマアップ間違い無しね。我ながら素晴らしいアイデアだわ」 それまで大事そうにしていたカケラを何の未練もなくゴミ箱に放り投げ、レミリアはさっきまでとは打って変わった笑顔を浮かべて咲夜の部屋に向かった。もう、何もない部屋に。 ******************* どこに行けばいいの? 鬱蒼とした森の中を歩きながら、私はずっと同じことを考えていた。身寄りのない私を従者にして下さったのはお嬢さまだけ。 あの館を離れた今、もはや私に居場所なんてない。そもそも、私は紅魔館の住人以外の者を心の底から信用することが出来なかった。ただ人と違う力を持っていただけで迫害された記憶は、強い人間不信として私をずっと蝕んでいたのだ。 「……バレてるわよ」 振り向きざまにナイフを投擲。風を切って突き進むナイフが暗闇に光る獣の眼に吸い込まれるように刺さる。突如その場に響き渡る醜い悲鳴。 暗闇から這い回って出てきたのは、犬ともタコとも言えない軟体生物のような妖怪だった。その魚眼のような眼を睨みながら、ナイフを構える。「大人しく引けば見逃すわ」 こんな低級妖怪に脅しなど通じるとは思えなかったが、一応言ってみる。それに、今の咲夜にはもう戦いをする気力などなかった。 ふと、妖怪が触手を小刻みに揺らし始めた。ぶぅーん、という低周波のような奇妙な音。その様子を訝しげに観察した後、直感を信じて一気に斬りかかる。咲夜の直感は危険を訴えていた。あの奇妙な触手を切り落とさないと良くないことが起きる。 ザクッ 「……ぇ?嘘…」 果たして、切断されたのは咲夜の腕の方だった。さっきまで肘から先にあったはずの腕が弧を描いて飛んでいく様を眼で追う。しばし呆然とするが、強烈な痛みに襲われてすぐに意識が覚醒する。 むき出しの神経をゴリゴリと擦られているような感覚。あまりの痛みに声すら出ない。喉から出てくるのは人間のものとは思えない唸り声。 「………ッッッ!?」 血の吹き出る腕を力の限り握り締めながら周囲を見回す。いつの間にか、周りには低級妖怪の輪が出来ていた。あの低周波は仲間を呼び寄せるための合図だったのだ。 咲夜の目の前で、飛んでいったナイフを握ったままの白くて細い腕が妖怪の口に含まれる。バリバリという鉄と骨を噛み砕く嫌な音が森の中に響く。それを羨ましそうに一瞥した妖怪たちが、こちらを見て輪を狭める。 その眼は、久々の人間にギラギラと輝いていた。 「ふ、ふふ、うふふ、あははははは……」 武器を食べられてしまった。でも、もう抵抗する気なんてこれっぽっちも起きなかった。きっとこういう『運命』なのだ。もしかしたら、お嬢さまが粗相をした私に授けた運命なのかもしれない。ああ、でも嫌だな。低級妖怪に食べられて死ぬなんて嫌だ。あんまりだ。 「せめて最期は、自分の意思で選んだ死に方をしたいわ」 《時符『プライベートスクウェア』》 時間を止めて妖怪たちの間をすり抜ける。死ぬにしても死体を貪り食われるのは嫌だ。跡形もなく死ぬにはどうすれば…。 「…ああ、素敵」 森を抜けたそこには、大きな崖があった。ビルにして10階分はあるだろう。下には大きな滝と流れの速い川もある。死ぬには打ってつけの場所だ。この時初めて、私は神さまというものの存在を信じた。能力を解除する。時が動き出し、獲物を見逃して怒り狂った妖怪たちが血の臭いを追いかけてくる気配が伝わってくる。でも残念、お前たちなんかに食べられてたまるものか。そうとも、化け物なんぞの栄養になってたまるものか。 躊躇いなく崖に向かって進む。大量の血を失ったせいか足取りがとても重い。 ついに妖怪の気配が背後まで迫ってきた。爪が、牙が、咲夜の四肢を抉る。腕が折れ、足が千切れ、歳相応の小さな体躯が枯葉のように吹き飛ぶ。 「―――ちくしょう」 そして、咲夜という人間は急流に飲み込まれた。あまりにあっけなく、悲しい終わり方だった。 ******************* 「なによ、これ」 咲夜がいない。それどころか、彼女の荷物もない。元々私物はほとんどなかったがそれでも手鏡やら何やらが机の上に置かれていたはずだ。 なのに、今はもうない。あるのはベッドの上にポツンと置かれたメイド服とカチューシャだけ。まるで十六夜咲夜なんて人間など最初からいなかったかのよう…。 「…はは、まさかね」 言い知れぬ不安を覚えたレミリアは翼を大きく羽ばたかせて廊下を飛翔する。 「パチェ、パチェ!」 図書館のドアを乱暴に開いて、この大図書館の主を捜す。きっと咲夜は落ち込んでパチェに相談でもしているんだろう。主人に手間をかけさせるなんて不出来な従者だ。たっぷりお仕置きしてやろう。 心の底から滲み出てくる不安を塗り潰すように足早にパチュリーの元へと進む。図書館の中心には、たしかにパチュリーがいた。 都合のいいことに小悪魔も美鈴もいるし、珍しくフランもいる。残念ながら咲夜はいなかったが、きっとこの中の誰かが知っているだろう。屋敷の主の登場にも関わらずどんよりとしているのが少し気に食わなかったが、私だってカップを割られた被害者なのだ。私が特別に悪いわけじゃない。 「ねえ、パチェ。良いことを思いついたの。みんなで温泉にでも行かないかしら?ほら、パチェだってこんな埃臭いところにいたら喘息が悪化しちゃうだろう、し―――…なによ?私、何か変なこと言ったかしら?」 フランを除く全員の視線が、私を糾弾するような、信じられないものを見るような鋭い目つきに変わる。美鈴に限っては射殺さんとでも言うかのような目だ。たくさんの涙を流したのだろう、ひどいクマが出来ている。 「レミィ……貴女、よくそんなことが言えるわね。咲夜にあんな仕打ちをしたばかりなのに」 じろりと睨むパチェの迫力に思わずうっと唸る。言い過ぎたことは自分でもわかっているつもりだった。だからこそ、今回の温泉旅行を企画したのだ。 「わ、私だって被害者でしょ!?大事なカップを割られたんだから!それに、咲夜だって気を落としすぎなのよ!たかが部屋を追い出されたくらいで、あんなに落ち込まなくても…」 「待ってレミィ、今なんて言った?」 パチェが鋭い声で私の言葉を止める。見れば、三人とも目を丸くして呆けている。フランはなぜか私から目を背けてガクガクと震えている。意味が分からない。 「貴女は、咲夜を屋敷から追い出したのではないの?」 「そんなことするはずないじゃない。咲夜は大事な従者よ。」 そうだとも。あの子は従者であり、気恥ずかしくて言葉に出来ないが―――もう家族同然の存在なのだ。 頬が少し熱くなる私と比例するように、三人の顔が蒼褪めていく。 パチェが慌てて捜索用の魔術を展開する。それに弾かれるかのように、小悪魔と美鈴は今まで見たこともないような必死な形相で私の横をすり抜けて図書館から出て行く。 「…ねえ、何なの?どうしたのよ?…さ、咲夜は?咲夜はどこ?ねえ?」 声が震える。心の蓋を押しのけて不安が溢れ出す。部屋を後にする咲夜の小さな背中が脳裏に浮かんで知らずに背筋がゾッとする。 「咲夜は屋敷を出て行ったわよ。美鈴によるとひどい落ち込みようだったらしいわ。」 「…言い過ぎたのは認めるわ。カップを仕舞い忘れていた私にも落ち度はあったし。」 平静を装いながら自分を抱き締める。背中を汗が伝う。私らしくない。どうせ戻ってくるに決まってるじゃないか。咲夜が本気で屋敷を出て行くなんてありえるはずがない。 世界から拒絶されたあの子にとって居場所はここだけ。そう、私の隣だけなのだから…。 「だったら、早く見つけてあげることね。強力な力を持っているとは言え、あの子はしょせん非力な人間なんだから。」 「わかってる。わかってるわ。」 - ニヤニヤしてしまう -- 名無しさん (2009-05-05 17:00:24) - なんかおかしいところがたくさんある…。なんという羞恥プレイ。でも上げてくれた人、読んでくれた人、ありがとう。 -- 作者 (2009-05-05 17:36:44) - ちょっとやり方間違えてスレではフルボッコに言われてたけど、暗君レミリアネタは好きだし、 &br()咲夜さんの復讐にも興味があるので、よければこっそりまとめwikiに続きを上げてくれると嬉しい -- 名無しさん (2009-05-05 18:56:24) - 確かに、物語としては面白いのに結末が描かれてないのはなぁ・・・ -- 名無しさん (2009-05-06 09:14:47) - これで終わりじゃないのか? &br()動くと決意せども時既に遅し、って話かと思ってた -- 名無しさん (2009-05-07 13:10:50) - 割った犯人はフランか。二回読んで理解した。 -- 名無しさん (2009-05-08 02:01:57) - 作者によると未完らしい -- 名無しさん (2009-05-08 10:46:47) - 続きはまだかいのぅ -- 名無しさん (2009-07-16 14:51:11) - これはいいレミリアいじめ・・・そしてコメント読んで初めて分かった>カップを割った犯人 -- 名無しさん (2010-02-26 14:53:40) - 追い出した咲夜さんが妖怪に食べられてレミリアが悲しんじゃうの巻(未完)へ続くんですか?わかりません -- 名無しさん (2010-02-26 19:26:42) - これで終わりでいいと思うけどな -- 名無しさん (2010-03-04 15:26:08) - おぅ、実にシリアスですネ!でも、続きが気になるですにー。レミは咲夜さんシンジャッタのに分かってないのネ。ちょっとエグいねコレ。まぁ、咲夜さん系のSSはシリアスとかグロとかほのぼのとかね。ドキドキするのが好きだね!(自重しろよ(9)風情が!) -- 壊れかけている生き物 (2010-03-09 23:17:39) - 未完成なら未完成で完成させるか削除してほしい -- 名無しさん (2011-09-11 22:59:07) - マジで泣けた。 &br() -- 名無しさん (2011-09-16 23:24:37) - ここで終わる方がすっきりするような &br() -- 名無しさん (2011-10-14 15:28:34) - フランちゃーん!正直に話そうねー! -- 名無しさん (2012-01-29 00:09:37) - 続きみたい! -- ユリカ (2014-06-23 20:04:31) - 犯人がフランなのに気づいてくれー -- 名無しさん (2014-08-21 09:48:08) - これ五年前の作品なのか…傑作だけど続きはもう出ないかも…(絶望) -- 名無しさん (2014-10-16 17:10:05) - 下手に完結させない方がいい -- 名無しさん (2014-10-30 09:50:53) - 続きが凄く気になる。 -- 名無しさん (2014-11-15 21:32:01) - 続きなんて無いんじゃね -- 名無しさん (2016-03-31 23:37:48) - おもうぃろいね -- 名無しさん (2016-04-12 14:02:02) - これで完結…と、それで良しだよ、俺は文句無いよ -- キング クズ (2016-07-10 03:55:51) - 完結させたい方は脳内補完してくださいってところかな? -- 名無しさん (2016-12-25 11:33:08) - なんか、笑っちゃうwww俺ついに壊れた?www &br()やばい。笑が止まらんw -- まさにクズ(俺が) (2016-12-26 00:58:06) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)

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