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354 名前:冬とサンタと小さな妖精(1/2)[sage] 投稿日:2007/12/08(土) 07:47:30 ID:tAxhbazc0 「今日もいい天気ね」 冷たい空気が頬に突き刺さるようだ。 まだ日も昇りきっていない午前、私は厄探しという名目で日課の散歩をしている。 今年は特にそうだ、秋の気配が訪れたと思ったらすぐに冬がやってきた。 秋を楽しむ時間もなく、私はひたすら焼き芋を食べられなかった人たちの厄を集めていた。 あら、あそこに座って空を見上げてるのは……。 「はぁ……」 妖精が座っているというのは珍しい。妖精は特に飛ぶためにエネルギーを必要としない。 それなのに座っているという事は何かあった可能性が高い。 特に面識があるわけではないけれど、一応気になったので話し掛けてみることにした。 「妖精さんが座ってるなんて珍しいわね、何かあったのかしら?」 「ん……サンタさんってあたいのトコにくるのかな」 とても可愛らしい悩みだったのね。長年生きているとはいえ、妖精は子供に近かったわね。 夢を壊さないようにしてあげないと。 「あなた今年はいい子にしていた?」 「ん~……蛙凍らせたりしてケロちゃんにいっつも怒られてたかも」 「あら、結構色々いたずらしちゃってたのね」 「うん。……だからこうやって悩んでる訳なのさ」 この子何も考えてなさそうだと思っていたけど、意外としっかりしたところあるのね。 自分の利益という点でしか考えられていない所が子供だけど。 「あ、そうだ。厄神様と一緒にいたら今年の悪いことなくなったりしちゃうかも!」 「え……私の周りにいると……」 「おー、これでばっちりサンタさんもやってこれる訳だ! あたいったら天才すぎるわ」 「あ、えっと……そうね」 参ったな……近くにいると不幸になっちゃうんだけど。 でも、このとても可愛らしい笑顔を見てると、本当の事を言うのが……可哀想。 すぐ飽きるだろうから、好きにやらせてあげることにしようかしら。 「それじゃあ、一緒にその辺の厄でも探しにいきましょうか」 「あいあいっ」 355 名前:冬とサンタと小さな妖精(2/2)[sage] 投稿日:2007/12/08(土) 07:51:47 ID:tAxhbazc0 私はなるべく他の誰にも会わないような場所を選択しておいた。 万が一誰かに会ってしまったら、チルノがどうなるか予想できない。私にできる最大限の思いやりだった。 だけど、それはやはり「厄」というある種の運命の前では無駄であった。 「……っ!!」 「ど、どうしたの!?」 チルノの白い肌が赤くなっている。 「急に石が……」 私たちの足元には拳程の大きさの石が転がっている。誰の仕業だろうか。 気配はまったく感じない。という事は、気配を消せる程度の能力がある妖怪……もしくは人間の仕業。 「あっ……!」 また石が飛んでくる。それも、空の果てから結構な数が。 これはもう不幸で済まない状態ね。 私は咄嗟にチルノを庇った。私のせいで誰かが傷つくのは見たくない。 背中に走る痛み、腕に走る痛み、頭に走る痛み。 でも、その全ての痛みよりも、私の下で赤く腫れた腕を抑えているチルノの姿が痛い。 「とりあえず、逃げないと」 「あ……うん」 容赦なく降ってくる石。これは弾幕ごっこの弾幕ではなく、本当に悪意ある攻撃。 「大丈夫……?」 「あ、あたいなら全然平気っ!」 血と涙がうっすらと浮かんだ笑顔で言われても……。 私たちはボロボロになりながらも、山にある洞窟まで逃げ込むことができた。 「全然大丈夫じゃないじゃない!」 私はつい怒鳴ってしまった。 目の前の少女はとても痛々しい姿であった。 「うぅ……ま、まだ大丈夫だって、こんなくらいじゃ……あっ……」 そっと、目に浮かんだ涙をぬぐってあげた。 謝ろう、本当のことを言わないと……。許してもらえないだろうけど、こんな純粋な子を騙してなんていられない。 「ねえ……聞いてくれる?」 「うん……」 「私と一緒にいちゃダメなの……私といるとさっきみたいにどんどん不幸になってしまうの」 「……」 「ごめんなさい、ごめんなさい……本当のことをいえなくてごめんなさい……私の周りには厄が満ちていて、それで……今みたいに……」 「やだ、絶対そんなのやだ!」 なんで、どうして…… 「絶対そんなの嫌なんだから!」 「一緒にいると不幸になってしまうのよ……」 「でも、さっき庇ってくれたのは雛じゃないか! あたいはいっつもみんなにバカにされて、何にもしてないのにいじめられたりするんだ。でも、雛は守ってくれたじゃないか!」 私は何も言い返せなかった。 常に他人との距離を取ってきた。このまっすぐな感情にどう対処すればいいのかわからない。 「あたいは、すごく嬉しかった。……ぐすっ、すごく嬉しいんだよ! これがサンタさんのくれたプレゼントねっ!」 涙でくしゃくしゃになった笑顔は、私の心の中にすっと溶け込んできた。 目の前の小さな妖精さん。あなたが私にとってのサンタさんだったのね。 日が傾いてきているようだ。洞窟の入り口がオレンジ色に染まっている。一日の終わりだけど、私には朝日にも見えた。 明日はクリスマスイブ。 少し早いけど……メリークリスマス。 あれ、チルノいじめようと思って書きはじめたのに、なんかいい話系でまとまってしまった。 微妙にスレ違いになって申し訳無いのぜ! 亀だけど≫289 そう言ってくれると書いたほうとしてものすごく嬉しいんだぜ

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