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 ※丑三つ時に書いたので、内容が滅茶苦茶です
 ※オリジナル設定を豊富に含みます
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 「スペルカードルールなんてくだらないもの、廃止してくれないかしら」
 
 
 
 
 
 
 ある日、レミリアは気まぐれで博麗神社を訪れた。咲夜は紅魔館に留守番させた。
 そして出された緑茶を啜りながら、彼女は呟いた。
 
 
 一瞬、場が硬直した。発されたメゾソプラノの高飛車な声は、微風に乗って流れていく。
 霊夢の額に青筋が走るのを見たが、それくらい想定の範囲内だ。
 
 「レミリア、今日は人間を捕えて吸血したい気分なのかしら」
 
 声はいつもと変わらず穏やかだが、言外に「殺されたいのか」と訊いているのだ、放たれる殺気は人間とは思えない。
 それでもここで退いたら交渉できない。出来るだけ平静を保って一言。
 
 「飽きちゃったわ。もう少し面白いものを考えてもらわないと眠くなる」
 
 「飽きたのなら戦わなければいいじゃない」
 
 「もう少し面白味が欲しいのよ」
 
 「レミリア、たまには自分で考えるとかしたら?」
 
 霊夢が溜め息交じりに云ったのを聞きつつ、緑茶をもう一口。
 
 「廃止する気はないのね。まあ、それもまた一興」
 
 「当たり前よ。これ以上何も考えたくないし」
 
 そこまで会話して、レミリアはぷいと外を見た。石畳に陽光が反射して少し眩しい。
 
 
 
 
 
 
 (吸血なんてもう充分よ。目的は別にあるのに……)
 
 レミリアの脳内にあるのは、地下室で幽閉されている妹だった。
 
 
 
 
 
 
 あれは大体500年前。一時レミリアは、幻想郷に泊まっていたことがあった。
 当時、レミリアは10歳、妹のフランドールは5歳。
 その時レミリアは、スペルカードによく似た戦法を使って戦っていた。
 下等妖怪を前にして、彼女は手に持ったカードの術式を発動する。
 
 「レミリア・カルテットッ!」
 
 すると虚空に3人のレミリアが現れる。
 それらは独立に動き、目の前の下等妖怪を串刺しにした。
 夜空には断末魔だけが遺され、妖怪は絶命した。
 
 「戻れ」
 
 一声かけると、その3人のレミリアは消えた。
 
 「もう少し改良が必要かしら……?」
 
 後ろを振り向く。待機しているフランドールが飛びついてきた。
 
 「お姉様!」
 
 「フラン、無事でよかったわ」
 
 「よかったって言われても、私相手の顔も見てないよ?」
 
 「あら、そうだったの」
 
 姉妹は仮設の紅魔館に入っていった。
 そう。なぜか日本への永住を決めて館を立てた矢先、地震が発生して修復が必要になったのだ。確か「メイオウ」と呼ばれていた気がする。
 その間の仮住居として幻想郷が挙げられたのだ。
 だから修復が終わり次第、この地を去る予定だ。
 
 「いつ館に戻れるの?」
 
 「さあ……。半壊してたから、しばらくは戻れないかもね」
 
 「えーっ」
 
 
 
 
 
 
 「やっぱり改良が必要ね……」
 
 レミリアの独り言は誰の耳にも届かなかった。
 
 
 
 
 
 
 その日の朝、レミリアは少し早く起きた。
 部屋を出て、朝食を食べに食堂まで行く。
 その道中フランとすれ違った。
 
 「お姉様、おはよう!」
 
 「おはよう、フラン、あなたも早く起きたのね」
 
 「いつも起きてるよ」
 
 「ふふ、なら私が寝坊助なのね」
 
 こうして一旦分かれ、再び食堂を目指す。
 そしてしばらく歩いて、
 
 
 「また」フランとすれ違った。
 (どういうこと?)
 
 
 
 
 
 
 「どういうこと?」
 
 身を乗り出して霊夢が訊いてきた。
 
 「え?何についてかしら?」
 
 「何にって、そのフランについてだけど……」
 
 どうやら声に出てしまっていたらしい。
 取り繕おうとしたが、もう手遅れだ。仕方ないので腹を割って話す。
 顔が紅くなっているのが鏡を見ずとも分かった。
 
 「ええ、最初は私も分からなかった。だから同じように挨拶したの。
 でもそのフランには挨拶をした記憶がなかった。何も不思議がることなく挨拶したわ。
 このときは私の気のせいだと思ったのよ。けれど違った。
 
 
 3人目のフランとすれ違った。」
 
 
 
 
 
 
 3人目のフランとすれ違ったとき、レミリアの本能が危険を訴えた。
 
 「お姉様、おはよう!」
 
 「待ってフラン!」
 
 行こうとしたフランを呼び止める。金色のポニーテールを揺らして、彼女が振り返る。
 
 「んー?なにー、お姉様?」
 
 「あなたは、誰?」
 
 変に思われるだろうが仕方ない、と覚悟をする前に、口は言葉を紡いでいた。
 
 「え、忘れちゃったの?フランドールだよ」
 
 「……そうよね」
 
 けれども、レミリアの心には未だ蟠りが残っていた。
 
 (どういうことなのかしら?)
 
 その時、閃光のごとく脳内に最悪の仮説が浮かんだ。
 フランドールたちの往った方向に足を向ける。
 それは即ち近づいていた食堂から遠ざかるということだが、それ所ではないと確信していた。
 
 「まさか……、フランドール?」
 
 歩みを進めながらポケットを探る。そして仮説は事実と化した。
 入れていた一枚のカードが無くなっていたのだ。
 
 「フラン……この悪戯だけはしてはいけないのに……」
 
 彼女は床を蹴り、飛翔の態勢に入った。
 顔を月白色にして。
 
 
 
 
 
 
 顔を月白色にして、霊夢は話に入っていた。
 
 「……分身の術式が書かれたカード、盗られたのね」
 
 語り手のレミリアも顔をいつも以上に白くしていた。
 
 「ええ。霊夢、ここから先は、まだパチェにしか話したことがないわ。
 それでも、聴いてくれる?」
 
 「……ここまで聞いたんだもの、もう戻れない。最後まで聴かせてもらうわ」
 
 霊夢の返事を聞き、彼女は安堵した。実際、霊夢が拒んだ時の事は全く考えに入れていなかったのだ。
 
 「ありがとう、清聴に感謝するわ。じゃあ話すわね。
 
 
 その後、私は玄関に向かったの。それはおそらくフランが向かったであろう場所。
 そして、私は見てしまった。
 フランが、私がかつて戦った下等妖怪の集団の生き残りと戦っているのを。
 当時フランは戦い方を知らなかった。だから吸血鬼といえど普通の女の子に等しかった。
 だから妖怪に勝てる筈なんてなかった。
 
 
 フランは見てしまったの、1人目のフランが殺戮され、その内臓が引き摺り出されるのを。
 フランは見てしまったの、2人目のフランが殺戮され、体を散々に貪られて骸を見せるのを。
 フランは見てしまったの、3人目のフランが殺戮され、空中から落下して爆ぜるのを。
 
 
 それらを見てしまった彼女に戦意なんて残ってなかった。
 腰が抜けてしまっていたわ……硬直してた。」
 
 そこまで一気に語って肩の力を抜いた。隣では霊夢が体を震わせている。
 しかし表情は変えていなかった。不思議だと思いつつも話を続ける。
 
 「私はそこで助け舟を出した。習得したばかりだったかしら……のグングニルで敵を一掃した。
 そしていつもと同じように振り返った。フランは割座して俯いてた。
 泣いてることは分かった。だから私は、フランの背中に手を置いて……」
 
 霊夢の震えが一層激しくなった。それでも表情には僅かな嫌悪しか見出せなかった。
 
 「……しばらくさすっていたら、フランは泣き止んだ。そしてフランの表情を見たの。
 充血した瞳、赤くなった鼻、潤った唇、普段の泣き顔に似ていた。
 でも、『何か』が違ったの。いつもの顔とは何か違った。
 確かにさっきの戦闘で多少の傷はあった。けれど、そんな瑣末なことではなかった。
 だって、この表情は、まさに泣いているその時にしか見せない表情だもの。
 でもフランは泣き止んでいた。そこに『何か』という違和感を感じたの。
 その『何か』に気付いた時には、もう、遅かった。
 フランは、笑って……いたのよ……」
 
 「もういい、もう話さなくていいわ」
 
 霊夢が突然話を遮った。相変わらず震えが激しい。
 
 「これ以上話すと辛いでしょう、もう大体わかったからいいわよ」
 
 「ん……そういうなら、お言葉に甘えるわ。でも、どうして、急に止めたの?」
 
 その時、霊夢はNAKIWARAIの表情を浮かべた。
 
 
 
 
 
 
 「友人の泣きながら話してるところなんて、長くは見たくないものよ。」
 
 
 
 
 
 
 え?
 泣きながら話してる?誰が?私?
 ならどうして、泣いていない筈の霊夢が体を震わせて……?
 
 
 
 
 
 
 あ。
 そうだったのか。
 
 
 
 
 
 
 体が震えているように見えたのは、自分の体が震えていたから……
 
 
 
 
 
 
 「あ……うぅ……うぇっ……ひくっ……」
 
 レミリアの頑丈な堤防に、ついに亀裂が入った。
 
 「……えぅ……ぐずっ……うえぇぇぇぇん……」
 
 亀裂の入った堤防は、もはや堤防ではない。
 3秒と経たずに完全に決壊した。崩れた堤防は瓦礫となり下流を直撃する。
 
 「……やめてよレミリア、こっちは出来るだけ泣かないようにしてるのに……」
 
 霊夢の声が聞こえるが、500年間抱え続けた傷はあまりに深すぎた。
 
 「あうぅ……ひぐぅ……うあぁ……えく……なきやめないよぉぉ……うえぇ……」
 
 「どうして泣き止んでくれないのよ……どうして……私は……泣いてるのよ……」
 
 そこで不意に霊夢の頭に疑問の答えが浮かんだ。
 彼女が、レミリアがなぜスペルカードルール廃止を交渉してくるのかという疑問の答え。
 その答えに気付いた今となっては、自分の軽はずみな突っぱね方への呵責が濁流の如く押し寄せてくる。
 
 「うあぁぁぁん……ぐずずっ……えぇぇん……」
 
 「辛いのは……レミリアなのに……ひっく……私に泣く理由なんてないのに……謝らないと……いけないのに……」
 
 空に少し翳りが出始めた。霊夢の気持ちが沈んでいる時、決まって空は曇っていた。
 空に雷鳴が轟いた。レミリアの気持ちが沈んでいる時、決まって空は荒れていた。
 空が暗く沈んだ色をしている時、決まって二人は精神的に限界を迎えていた。
 昼過ぎにもかかわらず真っ暗な空、あふれる豪雨の下で、神社にメゾソプラノとアルトの泣き声が響いていた。
 
 
 
 
 
 
 「霊夢ー、遊びに来たぜー。いやーホント雨すごいな、服びしょびしょだ。ちょっと乾かしていいか……ってどうした!?」
 
 神社に普通の魔法使いが訪れる。霊夢が立ち上がった。
 
 「ひくっ、あ、魔理沙、待っててね、お茶……淹れるから」
 
 「いらないいらない!あの、その、なんで泣いてんだよ!?レミリアも!」
 
 「そうね、私が泣くのはおかしいわね。……待ってて、すぐに落ち着くから」
 
 「あ、そうじゃなくて……ああっ、これじゃチルノじゃないかっ、ちゃんとした案を……あわわわ」
 
 普通の魔法使いは状況が呑み込めない。ふと部屋の隅を見る。
 
 「うえぇぇぇぇぇぇ……ひぅ、くっ……えぐ、ぐす、ずずっ……」
 
 涙を床に染み込ませ続けているレミリア。
 500年生きている吸血鬼としてプライドに溢れる普段の姿からは想像もできなかった。
 あのレミリアでも泣くことはあるんだな、と思った。
 突然、その泣き顔に魔理沙はデジャヴュを感じた。
 泣いているところを見るのは初めてだったが、誰かに似ている気がしたのだ。
 
 「……フランみたいだ。」
 
 彼女は呟いた。
 
 
 
 
 
 
 彼女は呟いた。
 
 「フォー・オブ・ア・カインド」
 
 すると虚空に3人のフランドールが現れる。
 それらは独立に動き、目の前の洋人形を串刺しにした。
 部屋には破裂音だけが遺され、人形は爆砕した。
 
 「戻って」
 
 一声かけると、その3人のフランドールは消えた。
 
 「もう少し改良が必要かしら……?」
 
 後ろを振り向く。そこには、深紅の扉がある。
 
 「やっぱり改良が必要ね……
 
 
 
 
 
 
 自分の死に様なんて見たくないもの」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 &italic(){Not to be continued.}
 
 
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 - ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ  -- 名無しさんの角煮  (2015-10-12 18:32:07)
 - フランちゃんウフフ  -- 名無しさん  (2015-10-12 18:54:35)
 - 「メイオウ」って、やっぱりあれのことですかね  -- 名無しさん  (2015-10-16 22:41:55)
 - 約500年前に起こった大地震って絶対アレだろ  -- 名無しさん  (2015-10-17 00:00:37)
 - 「レミリア・カルテット」 ネーミングセンスェ……  -- 名無しさん  (2015-10-18 03:32:30)
+- レミリアはどこを改良したかったんだ  -- 名無しさん  (2017-05-15 01:14:43)
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