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757 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/11/01(木) 22:06:11 ID:U.2GPzNQ0 [2/4] いぢめスレで最もいぢめられているであろう魔理沙 彼女の将来の可能性の一つを書いてみた。イメージソースは某マーボー神父w (過去に何があったかは直接描写して無いのでお察しで) 「お前が当代の博麗の巫女か――」 扉を開けて私の容姿を見るなり、扉の置くから現れた 真っ黒な服装の魔女は、そう言って唇の端を僅かに吊り上げた もしかして笑みを浮かべたつもりなのだろうか しかしその銅と見紛う程に濁った瞳から感情の色は見受けられない …奇妙な威圧感があった 「え、ええ。私は博麗――よ」 「――。私は霧雨という。よろしく、若い博麗」 ~ 若き巫女と、魔法の森の黒い魔女 ~ 魔法の森を抜けてやってきた突然の来客にも関わらず、 霧雨と名乗った魔女は暖かい紅茶を差し出して迎え入れてくれた 「――博麗が出張るような事態と言うと…異変か。何か起きているのだな?」 どうやら魔女には博麗に関する知識があるらしい (尤も、博麗といえば幻想郷で知らぬ者は少ないので、感心するには値しなかったが) 話が早くて助かると思い、私は本題を切り出すことにした 「ええ。最近、森で人間や妖怪、妖精が消える事件が起きているの」 「森で。そうか。それで私のところに…」 合点がいった…という風に話しながらも表情に変化は出ない 「そうよ。香霖堂の主人から、ここに人が住んでいるという話を聞いて、やってきたの」 "香霖堂"の名を耳にした時、霧雨という名の魔女が僅かに眉を顰めたのを私は見逃さなかった 霧雨という単語には聞き覚えがあった。確か人里にある大きな道具屋の名前と同じだ そして、ずっと昔に家を出て魔法使いになった娘がいるという話も、私は知っている 「………そうか。香霖がな」 数秒の間を置いてからそう呟くと、顰めた眉が元に戻った。再び、無表情な顔になる 「此処の事を口にする気が、まだ残っていたとはな」 視線が私から外れ、遠いところを――恐らく香霖堂を想い描いているのだろう――見つめる 「いや。あいつにその気があったというよりは…お前が博麗だからか」 遠ざかった視線がこちらに戻ってきた 感情が伺えないこの錆びきった銅のような色の瞳に見つめられるのは、少し怖かった 「それは最近の事か?」 「え、ええ。具体的に何時からというのは分からないけれど、人々の間で噂になりだしたのは  ここ数日の間よ」 問われたことについ素直に返してしまう。 「そうか。残念だが、何も知らない。見ての通り、魔法の森に居を構えるような変わり者でね。  人里との交流も無ければ、世俗の動向を知る術も無い」 魔女は詰まらなそうに話す。本当に興味が無いのだろう (…まるで世捨て人ね) 確かに彼女は変わり者と言えた。魔法の森は瘴気が濃く、人はおろか妖怪すら滅多に現れない ここに来る途中に家屋が一軒あったが、そこも既に朽ちた廃屋と化して腐海に身を沈めていた 「で、失礼かもしれないけど、その変わり者な魔法使いはこの家で何をやっているの?」 「研究だよ…魔法の研究だ。我々魔法使いの成すことなど、それ以外にはあり得まい」 「研究?」 「そう。魔法――魔の根源を識るための研究だ。昔は何人かと共同で進めていた事もあったが…  今では幻想郷の魔法使いも私一人になってしまったからな。細々と、続けている」 言い終えると、霧雨は視線を背後に移した。釣られて見てみると、部屋が薄暗くて見づらいが、 大量の書物が積まれているのが見える。一瞬、そのスケールに圧倒された そしてその行動は、当然のように霧雨に悟られていた 「なに、驚くことは無い。この中の一冊として…お前には全く縁のない代物ばかりだ」 視線を本の山から戻しつつ、若干小ばかにしたような態度を示す。些か不快だった 「だが"中身"なら、君の役に立つものもあるだろう。道教などもあるからな…」 霧雨はここで道教の名を出した。やはり博麗についての知識もあるらしい 東洋の術への造詣が深い仙人の中には、私の術と道教を同一視する向きも居る 758 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/11/01(木) 22:07:06 ID:U.2GPzNQ0 [3/4] 「随分と博麗に詳しいのね」 面白くないので何気なくそう呟いてみると、 「――ああ。昔、博麗に知人が居たからな」 ある程度予想できていた答えが返ってきた 「博麗の巫女?」 「そうだ。今は違うが、かつて博麗は巫女一人で神社を遣り繰りしていた」 「………」 話に聞いた事はある。今でこそ博麗神社は官吏を有しているが、数代前までは巫女一人だったという 参拝客も少なく、妖怪の客の方が多いことから妖怪神社呼ばわりされていたという まぁ、その点で言えば今でも妖怪の客は少なくないのだが… 「博麗――」 思索に耽りかけていると、不意に名前を呼ばれた 「なにかしら?」 「お前は事件を追っているのだったな。それは誰に頼まれた?」 奇妙な問いだった 「誰…って、当然人里の人々からよ」 私は自然に答える 「当然…か。それで、目星はついているのか?」 「勿論。妖怪よ。人どころか妖怪や妖精も消えるなんて人間の仕業とは考えがたいわ」 「何故そう言い切れる」 少し詰問口調に変わった。構わず続ける 「何故って、よわっちい人間じゃ妖怪には太刀打ちできないからよ」 「……弱い、か」 「そう。だから私みたいなのが出張るのよ。人里を脅かすのなら、解決しなきゃね」 「それは人間を護るためか?」 「当たり前じゃない。私は、博麗の巫女は異変から人々を護るのも仕事のうちなのよ」 少し得意げになってるかな、と思いながら、私は言い切った。すると… 「…………。そうか」 霧雨は再び詰まらなそうな顔をした。自分から聞いておいて無礼なやつだ 「時に…お前に助けを請う人々とやらは、お前を助けてくれる事はあるのか?」 「――はぁ?」 また変な問いが来た。それも、馬鹿げたものだった 「私が助けられるわけないじゃないの。ま、お賽銭とかお供え物でなら助かってるけど」 「それはお前というより、神社に捧げられているものだろう」 「ぬ…」 割と鋭いツッコミだった 「細かいことはいいのよ。私は人々の助けなんか必要としていないわ。強いし」 そうだ。博麗は強い。そんじょそこらの人間や妖怪、神様にだって負けたりしないのだ 「そうか。必要としていないか…では、妖怪はどうだ?」 またしても、問い。「まるでテストだ」と思った 「妖怪?…んーっと、そういえば妖怪には意外と助けられている気がするわね。  ま、進んで神社に足を運ぶようなのは妖怪とか妖精だし?来るからには色々手伝ってもらってるわね」 そういうと、霧雨の顔から詰まらなそうな気配が消えた。何にかは分からないが、少し感心したようだ 759 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/11/01(木) 22:07:48 ID:U.2GPzNQ0 [4/4] 「なるほど。では、人間と妖怪。もしもどちらかに付けと言われれば、お前はどちらを選ぶ」 「…えっ?」 語尾は疑問系ではなかった。答えろ、という意思が込められた口調だった 私は、無理に答える義務もないのに自然と口を開いていた 「…選べるわけ無いでしょう。私は、博麗の巫女は中立なのよ」 そう。それは当たり前の事だ ―――博麗は中立でなければならない 人間にも、妖怪にも、それどころか如何なる神様の下であろうと関係ない 「私は人間にも妖怪にも付かない。"博麗"という特別な立場に居る人間よ」 この幻想郷の結界の護り手として、此処に住まう如何なる住人にも偏らない姿勢が求められるのだ だからこう答えるのは、当然の事。なのに、 「博麗の巫女として、実に模範的な答えだな。では…お前個人はどうなのだ?」 彼女は更にこう問うてきた 「私個人?」 それは博麗――に対してではなく、――という、私一個人の考えを聞くものだった 「……変わらないわよ。博麗の生き方が私の生き方で、私こそが博麗だからよ」 私の口は、自分でも少し驚くくらい滑らかに答えていた 「……………」 しかし彼女は、霧雨はそれに対して何も返しては来なかった ただ、ほんの一瞬だけ、その死んだような目付きが鋭くなったように見えた それもはっとなって見てみると、その時には元の生気のない目に戻っていた… 「……―――――――」 「?」 小さな、とても小さな呟きが聴こえた気がした ………… そうして、奇怪な問答の時間は終わった 時間を見てみれば、十分くらいしか経っていなかった 淹れてくれた紅茶は冷めてしまっていたが、せっかくなので一気に飲み干した 「時間を取らせてしまったな。客人の少ない家なのでね。つい会話に熱が入ってしまった」 おかしなことを言う。彼女の何処に、温度があっただろうか 「別にいいわよ。こんなこと聞いてくる人なんて滅多にいないもの。こっちも少し新鮮だったわ」 思い返してみれば、ずっと前に八雲の狐が似た話をしてきたことがあった あの自称妖怪の賢者様は暇潰しのつもりかどうか知らないが、よくこんな問いをかけてくる 今回、簡単に答えが出たのもきっとその成果なのだろう。私はそう結論付ける事にした 「結局、異変に関しての成果はなしね」 「すまないな」 まったく詫びる様子が見られない。むしろ不正解のルートを選んだ私への皮肉とも取れた 「また来るといい…博麗の巫女」 それでも、彼女は次の来訪を待っているかのような言葉を繋げてきた 視線をやると、口の端を僅かに吊り上げ、銅色の瞳を細めて見せる霧雨の姿が映った 「…こう見えても年老いた身だ。戦う事は出来ないが…知恵や道具を貸す程度であれば力になろう」 きっと微笑んだつもりなのだろう。薄く唇が広がり、弓なりの形をとった 「……ええ。また気が向いたらね」 私は平静な振りを努めつつ一礼し、彼女に背を向けた そして、文字が掠れて読めなくなった看板の掛かった、怪しげな店を後にした 霧雨の言うとおり、今当たっている事件の手がかりを得ることは出来なかった 困った時に頼れる先を一つ見つけたと思えば、無駄足でもなかったと考えられる しかし、 『…本当にそれでいいのか?』 問答の最後、あの呟きは何を思ってのことだったのだろう? 私の中で…あの霧雨と言う魔女の言葉が、いつまでも響いていた  ~完~ - この魔理沙の問答を霊夢にしたらどう答える(もしくは答えた)のかな? -- 名無しさん (2013-01-06 17:44:14) - こう見えてもってことは一応若い姿なのか・・・? &br()もし歳を取った姿だったら霊夢がピンチの時に急に表れて &br()「さて久々に暴れるか」とか言って光った瞬間昔の魔理沙の姿になるっていう妄想があったのに -- 名無しさん (2013-01-10 21:11:38) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)
757 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/11/01(木) 22:06:11 ID:U.2GPzNQ0 [2/4] いぢめスレで最もいぢめられているであろう魔理沙 彼女の将来の可能性の一つを書いてみた。イメージソースは某マーボー神父w (過去に何があったかは直接描写して無いのでお察しで) 「お前が当代の博麗の巫女か――」 扉を開けて私の容姿を見るなり、扉の置くから現れた 真っ黒な服装の魔女は、そう言って唇の端を僅かに吊り上げた もしかして笑みを浮かべたつもりなのだろうか しかしその銅と見紛う程に濁った瞳から感情の色は見受けられない …奇妙な威圧感があった 「え、ええ。私は博麗――よ」 「――。私は霧雨という。よろしく、若い博麗」 ~ 若き巫女と、魔法の森の黒い魔女 ~ 魔法の森を抜けてやってきた突然の来客にも関わらず、 霧雨と名乗った魔女は暖かい紅茶を差し出して迎え入れてくれた 「――博麗が出張るような事態と言うと…異変か。何か起きているのだな?」 どうやら魔女には博麗に関する知識があるらしい (尤も、博麗といえば幻想郷で知らぬ者は少ないので、感心するには値しなかったが) 話が早くて助かると思い、私は本題を切り出すことにした 「ええ。最近、森で人間や妖怪、妖精が消える事件が起きているの」 「森で。そうか。それで私のところに…」 合点がいった…という風に話しながらも表情に変化は出ない 「そうよ。香霖堂の主人から、ここに人が住んでいるという話を聞いて、やってきたの」 "香霖堂"の名を耳にした時、霧雨という名の魔女が僅かに眉を顰めたのを私は見逃さなかった 霧雨という単語には聞き覚えがあった。確か人里にある大きな道具屋の名前と同じだ そして、ずっと昔に家を出て魔法使いになった娘がいるという話も、私は知っている 「………そうか。香霖がな」 数秒の間を置いてからそう呟くと、顰めた眉が元に戻った。再び、無表情な顔になる 「此処の事を口にする気が、まだ残っていたとはな」 視線が私から外れ、遠いところを――恐らく香霖堂を想い描いているのだろう――見つめる 「いや。あいつにその気があったというよりは…お前が博麗だからか」 遠ざかった視線がこちらに戻ってきた 感情が伺えないこの錆びきった銅のような色の瞳に見つめられるのは、少し怖かった 「それは最近の事か?」 「え、ええ。具体的に何時からというのは分からないけれど、人々の間で噂になりだしたのは  ここ数日の間よ」 問われたことについ素直に返してしまう。 「そうか。残念だが、何も知らない。見ての通り、魔法の森に居を構えるような変わり者でね。  人里との交流も無ければ、世俗の動向を知る術も無い」 魔女は詰まらなそうに話す。本当に興味が無いのだろう (…まるで世捨て人ね) 確かに彼女は変わり者と言えた。魔法の森は瘴気が濃く、人はおろか妖怪すら滅多に現れない ここに来る途中に家屋が一軒あったが、そこも既に朽ちた廃屋と化して腐海に身を沈めていた 「で、失礼かもしれないけど、その変わり者な魔法使いはこの家で何をやっているの?」 「研究だよ…魔法の研究だ。我々魔法使いの成すことなど、それ以外にはあり得まい」 「研究?」 「そう。魔法――魔の根源を識るための研究だ。昔は何人かと共同で進めていた事もあったが…  今では幻想郷の魔法使いも私一人になってしまったからな。細々と、続けている」 言い終えると、霧雨は視線を背後に移した。釣られて見てみると、部屋が薄暗くて見づらいが、 大量の書物が積まれているのが見える。一瞬、そのスケールに圧倒された そしてその行動は、当然のように霧雨に悟られていた 「なに、驚くことは無い。この中の一冊として…お前には全く縁のない代物ばかりだ」 視線を本の山から戻しつつ、若干小ばかにしたような態度を示す。些か不快だった 「だが"中身"なら、君の役に立つものもあるだろう。道教などもあるからな…」 霧雨はここで道教の名を出した。やはり博麗についての知識もあるらしい 東洋の術への造詣が深い仙人の中には、私の術と道教を同一視する向きも居る 758 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/11/01(木) 22:07:06 ID:U.2GPzNQ0 [3/4] 「随分と博麗に詳しいのね」 面白くないので何気なくそう呟いてみると、 「――ああ。昔、博麗に知人が居たからな」 ある程度予想できていた答えが返ってきた 「博麗の巫女?」 「そうだ。今は違うが、かつて博麗は巫女一人で神社を遣り繰りしていた」 「………」 話に聞いた事はある。今でこそ博麗神社は官吏を有しているが、数代前までは巫女一人だったという 参拝客も少なく、妖怪の客の方が多いことから妖怪神社呼ばわりされていたという まぁ、その点で言えば今でも妖怪の客は少なくないのだが… 「博麗――」 思索に耽りかけていると、不意に名前を呼ばれた 「なにかしら?」 「お前は事件を追っているのだったな。それは誰に頼まれた?」 奇妙な問いだった 「誰…って、当然人里の人々からよ」 私は自然に答える 「当然…か。それで、目星はついているのか?」 「勿論。妖怪よ。人どころか妖怪や妖精も消えるなんて人間の仕業とは考えがたいわ」 「何故そう言い切れる」 少し詰問口調に変わった。構わず続ける 「何故って、よわっちい人間じゃ妖怪には太刀打ちできないからよ」 「……弱い、か」 「そう。だから私みたいなのが出張るのよ。人里を脅かすのなら、解決しなきゃね」 「それは人間を護るためか?」 「当たり前じゃない。私は、博麗の巫女は異変から人々を護るのも仕事のうちなのよ」 少し得意げになってるかな、と思いながら、私は言い切った。すると… 「…………。そうか」 霧雨は再び詰まらなそうな顔をした。自分から聞いておいて無礼なやつだ 「時に…お前に助けを請う人々とやらは、お前を助けてくれる事はあるのか?」 「――はぁ?」 また変な問いが来た。それも、馬鹿げたものだった 「私が助けられるわけないじゃないの。ま、お賽銭とかお供え物でなら助かってるけど」 「それはお前というより、神社に捧げられているものだろう」 「ぬ…」 割と鋭いツッコミだった 「細かいことはいいのよ。私は人々の助けなんか必要としていないわ。強いし」 そうだ。博麗は強い。そんじょそこらの人間や妖怪、神様にだって負けたりしないのだ 「そうか。必要としていないか…では、妖怪はどうだ?」 またしても、問い。「まるでテストだ」と思った 「妖怪?…んーっと、そういえば妖怪には意外と助けられている気がするわね。  ま、進んで神社に足を運ぶようなのは妖怪とか妖精だし?来るからには色々手伝ってもらってるわね」 そういうと、霧雨の顔から詰まらなそうな気配が消えた。何にかは分からないが、少し感心したようだ 759 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/11/01(木) 22:07:48 ID:U.2GPzNQ0 [4/4] 「なるほど。では、人間と妖怪。もしもどちらかに付けと言われれば、お前はどちらを選ぶ」 「…えっ?」 語尾は疑問系ではなかった。答えろ、という意思が込められた口調だった 私は、無理に答える義務もないのに自然と口を開いていた 「…選べるわけ無いでしょう。私は、博麗の巫女は中立なのよ」 そう。それは当たり前の事だ ―――博麗は中立でなければならない 人間にも、妖怪にも、それどころか如何なる神様の下であろうと関係ない 「私は人間にも妖怪にも付かない。"博麗"という特別な立場に居る人間よ」 この幻想郷の結界の護り手として、此処に住まう如何なる住人にも偏らない姿勢が求められるのだ だからこう答えるのは、当然の事。なのに、 「博麗の巫女として、実に模範的な答えだな。では…お前個人はどうなのだ?」 彼女は更にこう問うてきた 「私個人?」 それは博麗――に対してではなく、――という、私一個人の考えを聞くものだった 「……変わらないわよ。博麗の生き方が私の生き方で、私こそが博麗だからよ」 私の口は、自分でも少し驚くくらい滑らかに答えていた 「……………」 しかし彼女は、霧雨はそれに対して何も返しては来なかった ただ、ほんの一瞬だけ、その死んだような目付きが鋭くなったように見えた それもはっとなって見てみると、その時には元の生気のない目に戻っていた… 「……―――――――」 「?」 小さな、とても小さな呟きが聴こえた気がした ………… そうして、奇怪な問答の時間は終わった 時間を見てみれば、十分くらいしか経っていなかった 淹れてくれた紅茶は冷めてしまっていたが、せっかくなので一気に飲み干した 「時間を取らせてしまったな。客人の少ない家なのでね。つい会話に熱が入ってしまった」 おかしなことを言う。彼女の何処に、温度があっただろうか 「別にいいわよ。こんなこと聞いてくる人なんて滅多にいないもの。こっちも少し新鮮だったわ」 思い返してみれば、ずっと前に八雲の狐が似た話をしてきたことがあった あの自称妖怪の賢者様は暇潰しのつもりかどうか知らないが、よくこんな問いをかけてくる 今回、簡単に答えが出たのもきっとその成果なのだろう。私はそう結論付ける事にした 「結局、異変に関しての成果はなしね」 「すまないな」 まったく詫びる様子が見られない。むしろ不正解のルートを選んだ私への皮肉とも取れた 「また来るといい…博麗の巫女」 それでも、彼女は次の来訪を待っているかのような言葉を繋げてきた 視線をやると、口の端を僅かに吊り上げ、銅色の瞳を細めて見せる霧雨の姿が映った 「…こう見えても年老いた身だ。戦う事は出来ないが…知恵や道具を貸す程度であれば力になろう」 きっと微笑んだつもりなのだろう。薄く唇が広がり、弓なりの形をとった 「……ええ。また気が向いたらね」 私は平静な振りを努めつつ一礼し、彼女に背を向けた そして、文字が掠れて読めなくなった看板の掛かった、怪しげな店を後にした 霧雨の言うとおり、今当たっている事件の手がかりを得ることは出来なかった 困った時に頼れる先を一つ見つけたと思えば、無駄足でもなかったと考えられる しかし、 『…本当にそれでいいのか?』 問答の最後、あの呟きは何を思ってのことだったのだろう? 私の中で…あの霧雨と言う魔女の言葉が、いつまでも響いていた  ~完~ - この魔理沙の問答を霊夢にしたらどう答える(もしくは答えた)のかな? -- 名無しさん (2013-01-06 17:44:14) - こう見えてもってことは一応若い姿なのか・・・? &br()もし歳を取った姿だったら霊夢がピンチの時に急に表れて &br()「さて久々に暴れるか」とか言って光った瞬間昔の魔理沙の姿になるっていう妄想があったのに -- 名無しさん (2013-01-10 21:11:38) - むしろ霊夢が同じ問に対して何かしらの誤った答をしたという設定ではなかろうか? &br()アリスの家と思われるものも朽ち果てているようだし -- 名無しさん (2013-03-03 23:58:59) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)

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