「廃墟と魔理沙:195-204」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

廃墟と魔理沙:195-204」(2015/10/29 (木) 20:41:06) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

195 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/05/20(日) 01:11:13 ID:A.aKFMcM0 [1/5] ~廃墟と魔理沙~ ある夜、外界から入ってきた一軒の廃墟。 早速調査したいところだが、何となく面倒くさいと思った紫。 そのため「異変の種かもしれない」と言って霊夢に調査を依頼した。 ところがそれを聴いた魔理沙が(廃墟の中のお宝目当てで)抜け駆けしてしまう。 気候も暑くなってきた事でやる気が低下していた霊夢はこれを黙認。 魔理沙に先行させて様子を見ることにした。 ―――しかし…しばらくたっても魔理沙は帰ってこなかった 数日して、帰ってくるどころか何の音沙汰も無い事を不審に思った霊夢は漸く調査を開始。 程無くして魔理沙が廃墟へ向かう前にアリスと相談していたことを知り、彼女の家へと向かう。 早速魔法の森にあるアリスの家に行くと、彼女は家にいた。 アリスは…妙に顔色が悪かった。 気にしていても仕方がない。霊夢は開口一番、魔理沙について尋ねた。 すると、アリスは「帰ってきていない」と生気の欠けた声で返してきた。 どうして探しに行かない、と霊夢は憤る。同時に「何かあったのでは」という懸念が生まれた。 …その時、アリスは彼女らしくも無い臆面を見せた。 普段のアリスには見られない、尋常ではない様子に、霊夢は詳しい事情を聴くことにした。 その話によると、魔理沙はアリスから攻撃オプション兼荷物持ちとして人形たちを借りて行き、 地底の時のようにアリスと通信を行いながら件の廃墟の探索を開始したと言う。 しかし魔理沙が内部に入りしばらく経った所で通信が途絶。それきり足跡が追えなくなったというのだ。 通信の内容は、どうしてか音声のみが記録として残っていた。 あの人形は自分の陰陽玉と同じく映像も出たはず、と霊夢が問い詰めるがアリスは首を横に振る。 先ほどから様子がおかしいアリスに奇妙な感覚をを抱きつつ、まずは現状を知るために音声を聴いてみた。 すると、アリスは気分が悪いと言って立ち上がるや、部屋の奥へと、まるで逃げるように去っていった… 196 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/05/20(日) 01:14:36 ID:A.aKFMcM0 [2/5] 通信記録を残した水晶球から、音声が再生される。 音声は雑音交じりであまり音質の良いものではないが霊夢は真剣になって傾聴した 本来であれば廃墟に直行する所だが、先のアリスの不審な様子を見たこともあり、 霊夢には何故かすぐに行動を起こす気にはなれなかった。意識の片隅が、彼女に危険を知らせる… 記録には、廃墟の中――内部が荒れているものと思しき塵を蹴散らす音が混じる――を 好奇心半分・警戒心半分で進んでいるであろう魔理沙の声が、残されていた 「うわぁ…こりゃ酷いぜ」「家具とかぼろぼろだな」「洋館みたいだが…日当たりは最悪だな」 「とりあえず人気は無いな」「つーか、もう何年も誰かが入った形跡が無い」「ホコリ臭いぜぇ…」 「ゴミが散乱しているぜ」「枯葉とか泥とかは窓から入ったのか?」「本とか食器とかは駄目だな…」 廃墟内部の雰囲気を汲んでか、普段より幾分かトーンダウンしているが、そこには霊夢がよく知る 魔理沙の肉声が流れていた。あっちこっちを忙しなく移動して回る様子が脳裏に浮かぶ 聴いている限りではいつも通りだ。危機感のない他愛のない言葉に、霊夢の頬が緩む アリスと会話しているであろう内容もあるが記録は魔理沙側のみのためほとんど独り言の域だ しかし…その魔理沙の話している内容が、探索が進むにつれて、 「なんか小火でもあったっぽい跡がある」『…』「うわ、鳥の死骸だ」(ザー…) 「これ…なんか染みがある」『……』(ザァザァ)「黒いぜ」 少しずつ、 「おいおいマジかよ。骨が散らばってるぜ」『……』 「なんだこれ?衣服の切れッぱし?」「うう…肌寒いな」『……』『…』(チリチリ) 少しずつ、 「…ッ!こいつぁ人の死体だぜ!なんてこった!」(ジジジ…)『…………』 「うわ、ここにも!?」『……』(バチッ)「……なんか物音がする」(パチッ…)「ほら、また聴こえた」 すこしずつ、 「壁が黒くて余計に暗いぜ…って、これも染み?」(キィキィ…)『………』 「地下への入り口がある…ここにもあるな…骨…」 「私があっちこっち動いたからかな。そこかしこでゴミがパラパラ落ちてるみたいだ。音がする」 不穏なものへと変わっていった。 また、雑音が増し、アリスとの通信状態が悪くなる様子が窺い知れる。 時折、会話が巧く繋がっていないと思われる言葉があった。 「おーいアリス」『……』「聞こえるかー?」『………』(ザー…ザー…) 通信の不良が続く。それに加えて、と霊夢は思う。 (ザー…ザー…ザー…)(チリチリ)(パチッ) さっきから魔理沙の言葉と、彼女が立てているであろう物音とは異なる"音"と、 『……………』 このぼそぼそと囁くような"声"は、何…なのだろう? 197 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/05/20(日) 01:22:34 ID:A.aKFMcM0 [3/5] 音声は続いている。 『………………』『………』 "声"もまた、続いている。それが何を話しているのか霊夢には分からない。 魔理沙が気付いている様子は無い。 だが、明らかに彼女の中で不安が増しているのが分かる。口数が進み、無言の探索が増えていく。 「寒いぜ…」「何か、聴こえるなぁ」(ジリジリ) 明らかに弱気が声から透けて見えた。その奇怪な様に、霊夢はこれが記録であることを忘れ、 まるで今現在起こっている事象であると錯覚しそうになった。 途端、部屋から出て行ったアリスが気になり始めた。 これは記録なのだ。既に終わったこと。であれば……アリスはこの後の展開を当然知っているはずだ。 この時、その場を聴いていたはずなのだから。 なのに彼女は家に居る。この記録に、間違いなく怯えている。 ――――なぜ? 霊夢がそう思い当たるのと時を同じくして、 魔理沙が階段を降りるらしき音がし、先に話していた地下へと足を踏み入れたであろう、 その直後、 ザザザザザザ ザーーーーーーーーーー ザーーーーーーー 先ほどまで小さい雑音に過ぎなかった"音"が急に大きくなり 『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』 『ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ』 『アアアアアアアアアアアアアア』 「…っ!」 それまで囁きに過ぎなかった声が、異常な唸り声と化して響き渡った 霊夢は思わず水晶球から顔を遠ざけ、無意識に身を音の発生源から庇う。 同時に、 ガサガサという音が一斉に響き、何かが、複数の何かが動く音が"鮮明に"聴こえた 「わっ!なんだこの声!?わっ!えっ……あ、あ、わ、わあああ!」 ここで初めて音と声に気付いたらしい、恐慌状態の魔理沙の悲鳴が続いた そして… 『アアアアアアアアアアアウウウウウウウウアアアアアアアアアア』 とても人や妖怪が出せるものではない"複数の者からなると推測される"声が鳴り響く 「うわ!わああああああ!アリス!アリス!ああああ、あああああああ!!!!!!」 (ザザザザザザザザザ)『アアアアアアアア』「あああああああ!!!」『オアアアアアアアアア』 「あああうううああああ!!!」(ガリガリガリガリガリ)「わあああアリスううううう!!!!」 あとは、もうそれだけだった。ただ、魔理沙の声と、それらが交じり合っていた 『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』 「あああああああ!!!!ああああ!!!!!ああああああ!!!」 『アアアアオオオオオオアアアアアアアア』 「ひっ…ひああああああああ!!!!たすけてれいむ、あり、ありす、れ、れいむああああああ あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああアアアアアああああああああああウウウウウウウああああああああああああああ あああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああ アアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアア ブツッ! 198 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/05/20(日) 01:26:56 ID:A.aKFMcM0 [4/5] ………嵐のような音声、否、雑音と悲鳴の混沌は、呆然とした霊夢を残し、途切れた。 それを見計らったかのようにアリスが部屋に入ってくる。 「…何よ……これ……」 アリスの顔色は青白い。恐らく今の自分も同じだろう。 力無い霊夢の言葉に対し、アリスは言葉ではなく、一枚のカメラを渡してきた。 「さっき、天狗が、はたてがこれを―――とにかく、見て欲しい…って」 姫海棠はたて。たしか変な形のカメラで念写をする天狗だ。 見ると、アリスのすぐ後ろに顔面蒼白の鴉天狗の姿があった。 こんな時に何を、と思いつつ、霊夢はアリスからそれを受け取り、 そして、カメラに写ったものを見て、 霊夢はその場に膝を着き…嘔吐した アリスは、なにもいわなかった。はたても、なにもいえなかった。 霊夢の手から、カメラが滑り落ちる… そこには、暗がりに横たわる何かがはっきりと写っていた。 横たわる何かは、霊夢の、そしてアリスの見知った形をしていた。 しかしそれは、彼女たちが見たこともないかたちに歪み、限界まで見開かれた目で、 恐らく二度と動かないであろう異様な表情をし、血走った金色の瞳で、 こちらを、じっと見つめていた                       ~完~ 199 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/05/20(日) 01:30:56 ID:A.aKFMcM0 [5/5] 休日の暇潰しに、と恐怖動画と衝撃映像を観た反動で一気に書いた 霊夢が挑んで廃人になって戻る話なのにどうしてこうなった。 『魔理沙かわいいよ魔理沙』(ガリガリ…) 『ちゅっちゅしたいよ~』(ザー…ザー…) 外界に忘れられたものが行き着く場所、幻想郷 廃墟と共に忘れられた"彼ら"も…また――― 『だから』 『いっしょになれ』 204 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/05/21(月) 21:41:57 ID:NyGAg5yE0 怖い思いをさせてしまってすみません 色々観てるとやっぱり幽霊より人間の方が何倍も怖い ≫195-198の蛇足。 ttp://thewaterducts.sakura.ne.jp/cgi-bin/up/src/fuku9975.txt 無駄な設定集 ・廃墟は地元にも廃墟マニアにも忘れられ"中身ごと"幻想入りした洋館 ・霊障が強すぎて魔法とか霊力が通用しない ・死んだら当然仲間入り。家族が増えるよ。やったね魔理沙ちゃん ・所詮幽霊なので弱点も多い(幽々子、小町、映姫、お燐、芳香、屠自古等) ~廃墟と魔理沙(その後)~ 「……………」『………動かなくなったな』(チリチリチリ…) 「………」『ああ…』(サァー…) 『やりすぎたかな』『胸に耳当ててみ。音聴こえない』 「…………」『ホントだ』 『それにしてもあっさりだな』 『仕方ない。しばらくぶりだったし』 『もともと加減なんてできないけどな』 「………」 『駄目だ。この人形壊れたくさい』(ザリザリ…) 『向こうから悲鳴が聴こえてたな』(ザァザァ…) 『あの声はアリスだな…』(チリ…チリ…) 『あっちもやりたいな』『なにをだよ』『ゲスいな』 「………」 『これどうする?勿体ないべ』『いったってもう遊べないじゃん』 『俺ら肉ないしな』『んだんだ』『ほっとけば骨になるさ』 『それに…』『そろそろだな』 『――あれ?私、どうなって…』(チチチ…) 『お、出てきた』 『よおこそ』『よおこそ』 『? 何だお前ら?』 『俺?』『僕?』『私?』 『『『我々は我々だよ』』』 『はぁ?』 『そして』『君も』『我々だ』 『え…って、こ…これ…あ?…え?』 (ザァー…) 『…そうだっけ?』 (ジジッ…) 『そうだよ』『そうだ』『そうですよ』 『…悪い。そうだったな』 『寝惚けてるんだよ』『君はしょうがないやつだな』 『まったくだな』 『はははは』『ははは』『ははは』 『あはははは』 『はははははは』 『はははははは』 『はははははは』 『『『『はははははははははははははははははは』』』』 はあははははははははああはははははははあはは ははははは ははははは はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああ「いやああああ魔理沙ああああああああ!」あああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああああああああああ「ちょ…なによこれ!?」あああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ あああああ「あっ、なっ!なんで霊力が使えな…」あああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああ「うああああ…ぎゃあああああ!」ああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああ「あああああああこっちに来ないでえええええ!!!」あああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああいやああああああああああああれえええむあああぁあああああああああああああああ ああああああああああれええええいいいいいむうううああああああああああああああああああああ あああああああああああぎああああああああああああああぎゃああああああああああああああああ アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア ~完~ 232 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/06/08(金) 00:45:35 ID:iHXN0Qjw0 射命丸「おや、こんなところに廃墟が…この雰囲気、もしや呪いの館でしょうか!?これは独占スクープがあるやもしれませんねぇ。(わくわく)」 そして≫195の館へ突入する文であった。 270 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/06/22(金) 20:04:12 ID:X1UD6zag0 >>232 スマンwうまい続きが浮かばなかった… 廃墟を進んで更なる怨念と対峙する話を考えたが、「これって貞子じゃん」ってなって萎えた (廃墟・文編 椛視点の話) 文様はそう言って楽しそうに廃墟へと消えていった。 もし帰ってこなかったら他の天狗たちを呼べ。決して一人で付いてくるなと。 それから小一時間後… 結論から言えば何事もなかったかのように帰って来た。 少し服が汚れていて、「死体に驚いて転んでしまいました」などと 照れ隠しに笑っていた。どうやら"彼女達"は見つかったらしい。 後日、怨霊の類に強く、かつ死体を回収するのに打ってつけの妖怪に頼むのだという。 その後も内部の様子についての話を聞いたが雑霊がうろついているくらいで大した収穫も なかったと残念そうにしていた。 ただ、帰り際に「少し、つかれちゃいましたね…」と、ボソッと呟いた言葉が印象的だった。 思わず聞き直したら「"疲れた"って言ったんですよ」と返してきた。 ………… 文様は今日も出かけていく。取材に行くのだ。 相変わらず忙しないやつねぇ…と、誰かが行った。 そう。彼女は忙しい。 いつも幻想郷中を飛び回っている。 森。山。湖。人里。地底…彼女の翼で行けない場所は無いだろう。 しかし私は知っている。この目で見て、知っている。 彼女が近頃よく行く場所。そこは――――…… - キャバクラ -- 名無しさん (2014-01-25 22:28:51) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)
195 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/05/20(日) 01:11:13 ID:A.aKFMcM0 [1/5] ~廃墟と魔理沙~ ある夜、外界から入ってきた一軒の廃墟。 早速調査したいところだが、何となく面倒くさいと思った紫。 そのため「異変の種かもしれない」と言って霊夢に調査を依頼した。 ところがそれを聴いた魔理沙が(廃墟の中のお宝目当てで)抜け駆けしてしまう。 気候も暑くなってきた事でやる気が低下していた霊夢はこれを黙認。 魔理沙に先行させて様子を見ることにした。 ―――しかし…しばらくたっても魔理沙は帰ってこなかった 数日して、帰ってくるどころか何の音沙汰も無い事を不審に思った霊夢は漸く調査を開始。 程無くして魔理沙が廃墟へ向かう前にアリスと相談していたことを知り、彼女の家へと向かう。 早速魔法の森にあるアリスの家に行くと、彼女は家にいた。 アリスは…妙に顔色が悪かった。 気にしていても仕方がない。霊夢は開口一番、魔理沙について尋ねた。 すると、アリスは「帰ってきていない」と生気の欠けた声で返してきた。 どうして探しに行かない、と霊夢は憤る。同時に「何かあったのでは」という懸念が生まれた。 …その時、アリスは彼女らしくも無い臆面を見せた。 普段のアリスには見られない、尋常ではない様子に、霊夢は詳しい事情を聴くことにした。 その話によると、魔理沙はアリスから攻撃オプション兼荷物持ちとして人形たちを借りて行き、 地底の時のようにアリスと通信を行いながら件の廃墟の探索を開始したと言う。 しかし魔理沙が内部に入りしばらく経った所で通信が途絶。それきり足跡が追えなくなったというのだ。 通信の内容は、どうしてか音声のみが記録として残っていた。 あの人形は自分の陰陽玉と同じく映像も出たはず、と霊夢が問い詰めるがアリスは首を横に振る。 先ほどから様子がおかしいアリスに奇妙な感覚をを抱きつつ、まずは現状を知るために音声を聴いてみた。 すると、アリスは気分が悪いと言って立ち上がるや、部屋の奥へと、まるで逃げるように去っていった… 196 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/05/20(日) 01:14:36 ID:A.aKFMcM0 [2/5] 通信記録を残した水晶球から、音声が再生される。 音声は雑音交じりであまり音質の良いものではないが霊夢は真剣になって傾聴した 本来であれば廃墟に直行する所だが、先のアリスの不審な様子を見たこともあり、 霊夢には何故かすぐに行動を起こす気にはなれなかった。意識の片隅が、彼女に危険を知らせる… 記録には、廃墟の中――内部が荒れているものと思しき塵を蹴散らす音が混じる――を 好奇心半分・警戒心半分で進んでいるであろう魔理沙の声が、残されていた 「うわぁ…こりゃ酷いぜ」「家具とかぼろぼろだな」「洋館みたいだが…日当たりは最悪だな」 「とりあえず人気は無いな」「つーか、もう何年も誰かが入った形跡が無い」「ホコリ臭いぜぇ…」 「ゴミが散乱しているぜ」「枯葉とか泥とかは窓から入ったのか?」「本とか食器とかは駄目だな…」 廃墟内部の雰囲気を汲んでか、普段より幾分かトーンダウンしているが、そこには霊夢がよく知る 魔理沙の肉声が流れていた。あっちこっちを忙しなく移動して回る様子が脳裏に浮かぶ 聴いている限りではいつも通りだ。危機感のない他愛のない言葉に、霊夢の頬が緩む アリスと会話しているであろう内容もあるが記録は魔理沙側のみのためほとんど独り言の域だ しかし…その魔理沙の話している内容が、探索が進むにつれて、 「なんか小火でもあったっぽい跡がある」『…』「うわ、鳥の死骸だ」(ザー…) 「これ…なんか染みがある」『……』(ザァザァ)「黒いぜ」 少しずつ、 「おいおいマジかよ。骨が散らばってるぜ」『……』 「なんだこれ?衣服の切れッぱし?」「うう…肌寒いな」『……』『…』(チリチリ) 少しずつ、 「…ッ!こいつぁ人の死体だぜ!なんてこった!」(ジジジ…)『…………』 「うわ、ここにも!?」『……』(バチッ)「……なんか物音がする」(パチッ…)「ほら、また聴こえた」 すこしずつ、 「壁が黒くて余計に暗いぜ…って、これも染み?」(キィキィ…)『………』 「地下への入り口がある…ここにもあるな…骨…」 「私があっちこっち動いたからかな。そこかしこでゴミがパラパラ落ちてるみたいだ。音がする」 不穏なものへと変わっていった。 また、雑音が増し、アリスとの通信状態が悪くなる様子が窺い知れる。 時折、会話が巧く繋がっていないと思われる言葉があった。 「おーいアリス」『……』「聞こえるかー?」『………』(ザー…ザー…) 通信の不良が続く。それに加えて、と霊夢は思う。 (ザー…ザー…ザー…)(チリチリ)(パチッ) さっきから魔理沙の言葉と、彼女が立てているであろう物音とは異なる"音"と、 『……………』 このぼそぼそと囁くような"声"は、何…なのだろう? 197 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/05/20(日) 01:22:34 ID:A.aKFMcM0 [3/5] 音声は続いている。 『………………』『………』 "声"もまた、続いている。それが何を話しているのか霊夢には分からない。 魔理沙が気付いている様子は無い。 だが、明らかに彼女の中で不安が増しているのが分かる。口数が進み、無言の探索が増えていく。 「寒いぜ…」「何か、聴こえるなぁ」(ジリジリ) 明らかに弱気が声から透けて見えた。その奇怪な様に、霊夢はこれが記録であることを忘れ、 まるで今現在起こっている事象であると錯覚しそうになった。 途端、部屋から出て行ったアリスが気になり始めた。 これは記録なのだ。既に終わったこと。であれば……アリスはこの後の展開を当然知っているはずだ。 この時、その場を聴いていたはずなのだから。 なのに彼女は家に居る。この記録に、間違いなく怯えている。 ――――なぜ? 霊夢がそう思い当たるのと時を同じくして、 魔理沙が階段を降りるらしき音がし、先に話していた地下へと足を踏み入れたであろう、 その直後、 ザザザザザザ ザーーーーーーーーーー ザーーーーーーー 先ほどまで小さい雑音に過ぎなかった"音"が急に大きくなり 『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』 『ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ』 『アアアアアアアアアアアアアア』 「…っ!」 それまで囁きに過ぎなかった声が、異常な唸り声と化して響き渡った 霊夢は思わず水晶球から顔を遠ざけ、無意識に身を音の発生源から庇う。 同時に、 ガサガサという音が一斉に響き、何かが、複数の何かが動く音が"鮮明に"聴こえた 「わっ!なんだこの声!?わっ!えっ……あ、あ、わ、わあああ!」 ここで初めて音と声に気付いたらしい、恐慌状態の魔理沙の悲鳴が続いた そして… 『アアアアアアアアアアアウウウウウウウウアアアアアアアアアア』 とても人や妖怪が出せるものではない"複数の者からなると推測される"声が鳴り響く 「うわ!わああああああ!アリス!アリス!ああああ、あああああああ!!!!!!」 (ザザザザザザザザザ)『アアアアアアアア』「あああああああ!!!」『オアアアアアアアアア』 「あああうううああああ!!!」(ガリガリガリガリガリ)「わあああアリスううううう!!!!」 あとは、もうそれだけだった。ただ、魔理沙の声と、それらが交じり合っていた 『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』 「あああああああ!!!!ああああ!!!!!ああああああ!!!」 『アアアアオオオオオオアアアアアアアア』 「ひっ…ひああああああああ!!!!たすけてれいむ、あり、ありす、れ、れいむああああああ あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああアアアアアああああああああああウウウウウウウああああああああああああああ あああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああ アアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアア ブツッ! 198 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/05/20(日) 01:26:56 ID:A.aKFMcM0 [4/5] ………嵐のような音声、否、雑音と悲鳴の混沌は、呆然とした霊夢を残し、途切れた。 それを見計らったかのようにアリスが部屋に入ってくる。 「…何よ……これ……」 アリスの顔色は青白い。恐らく今の自分も同じだろう。 力無い霊夢の言葉に対し、アリスは言葉ではなく、一枚のカメラを渡してきた。 「さっき、天狗が、はたてがこれを―――とにかく、見て欲しい…って」 姫海棠はたて。たしか変な形のカメラで念写をする天狗だ。 見ると、アリスのすぐ後ろに顔面蒼白の鴉天狗の姿があった。 こんな時に何を、と思いつつ、霊夢はアリスからそれを受け取り、 そして、カメラに写ったものを見て、 霊夢はその場に膝を着き…嘔吐した アリスは、なにもいわなかった。はたても、なにもいえなかった。 霊夢の手から、カメラが滑り落ちる… そこには、暗がりに横たわる何かがはっきりと写っていた。 横たわる何かは、霊夢の、そしてアリスの見知った形をしていた。 しかしそれは、彼女たちが見たこともないかたちに歪み、限界まで見開かれた目で、 恐らく二度と動かないであろう異様な表情をし、血走った金色の瞳で、 こちらを、じっと見つめていた                       ~完~ 199 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/05/20(日) 01:30:56 ID:A.aKFMcM0 [5/5] 休日の暇潰しに、と恐怖動画と衝撃映像を観た反動で一気に書いた 霊夢が挑んで廃人になって戻る話なのにどうしてこうなった。 『魔理沙かわいいよ魔理沙』(ガリガリ…) 『ちゅっちゅしたいよ~』(ザー…ザー…) 外界に忘れられたものが行き着く場所、幻想郷 廃墟と共に忘れられた"彼ら"も…また――― 『だから』 『いっしょになれ』 204 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/05/21(月) 21:41:57 ID:NyGAg5yE0 怖い思いをさせてしまってすみません 色々観てるとやっぱり幽霊より人間の方が何倍も怖い ≫195-198の蛇足。 ttp://thewaterducts.sakura.ne.jp/cgi-bin/up/src/fuku9975.txt 無駄な設定集 ・廃墟は地元にも廃墟マニアにも忘れられ"中身ごと"幻想入りした洋館 ・霊障が強すぎて魔法とか霊力が通用しない ・死んだら当然仲間入り。家族が増えるよ。やったね魔理沙ちゃん ・所詮幽霊なので弱点も多い(幽々子、小町、映姫、お燐、芳香、屠自古等) ~廃墟と魔理沙(その後)~ 「……………」『………動かなくなったな』(チリチリチリ…) 「………」『ああ…』(サァー…) 『やりすぎたかな』『胸に耳当ててみ。音聴こえない』 「…………」『ホントだ』 『それにしてもあっさりだな』 『仕方ない。しばらくぶりだったし』 『もともと加減なんてできないけどな』 「………」 『駄目だ。この人形壊れたくさい』(ザリザリ…) 『向こうから悲鳴が聴こえてたな』(ザァザァ…) 『あの声はアリスだな…』(チリ…チリ…) 『あっちもやりたいな』『なにをだよ』『ゲスいな』 「………」 『これどうする?勿体ないべ』『いったってもう遊べないじゃん』 『俺ら肉ないしな』『んだんだ』『ほっとけば骨になるさ』 『それに…』『そろそろだな』 『――あれ?私、どうなって…』(チチチ…) 『お、出てきた』 『よおこそ』『よおこそ』 『? 何だお前ら?』 『俺?』『僕?』『私?』 『『『我々は我々だよ』』』 『はぁ?』 『そして』『君も』『我々だ』 『え…って、こ…これ…あ?…え?』 (ザァー…) 『…そうだっけ?』 (ジジッ…) 『そうだよ』『そうだ』『そうですよ』 『…悪い。そうだったな』 『寝惚けてるんだよ』『君はしょうがないやつだな』 『まったくだな』 『はははは』『ははは』『ははは』 『あはははは』 『はははははは』 『はははははは』 『はははははは』 『『『『はははははははははははははははははは』』』』 はあははははははははああはははははははあはは ははははは ははははは はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああ「いやああああ魔理沙ああああああああ!」あああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああああああああああ「ちょ…なによこれ!?」あああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ あああああ「あっ、なっ!なんで霊力が使えな…」あああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああ「うああああ…ぎゃあああああ!」ああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああ「あああああああこっちに来ないでえええええ!!!」あああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああいやああああああああああああれえええむあああぁあああああああああああああああ ああああああああああれええええいいいいいむうううああああああああああああああああああああ あああああああああああぎああああああああああああああぎゃああああああああああああああああ アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア ~完~ 232 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/06/08(金) 00:45:35 ID:iHXN0Qjw0 射命丸「おや、こんなところに廃墟が…この雰囲気、もしや呪いの館でしょうか!?これは独占スクープがあるやもしれませんねぇ。(わくわく)」 そして≫195の館へ突入する文であった。 270 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/06/22(金) 20:04:12 ID:X1UD6zag0 >>232 スマンwうまい続きが浮かばなかった… 廃墟を進んで更なる怨念と対峙する話を考えたが、「これって貞子じゃん」ってなって萎えた (廃墟・文編 椛視点の話) 文様はそう言って楽しそうに廃墟へと消えていった。 もし帰ってこなかったら他の天狗たちを呼べ。決して一人で付いてくるなと。 それから小一時間後… 結論から言えば何事もなかったかのように帰って来た。 少し服が汚れていて、「死体に驚いて転んでしまいました」などと 照れ隠しに笑っていた。どうやら"彼女達"は見つかったらしい。 後日、怨霊の類に強く、かつ死体を回収するのに打ってつけの妖怪に頼むのだという。 その後も内部の様子についての話を聞いたが雑霊がうろついているくらいで大した収穫も なかったと残念そうにしていた。 ただ、帰り際に「少し、つかれちゃいましたね…」と、ボソッと呟いた言葉が印象的だった。 思わず聞き直したら「"疲れた"って言ったんですよ」と返してきた。 ………… 文様は今日も出かけていく。取材に行くのだ。 相変わらず忙しないやつねぇ…と、誰かが行った。 そう。彼女は忙しい。 いつも幻想郷中を飛び回っている。 森。山。湖。人里。地底…彼女の翼で行けない場所は無いだろう。 しかし私は知っている。この目で見て、知っている。 彼女が近頃よく行く場所。そこは――――…… - キャバクラ -- 名無しさん (2014-01-25 22:28:51) - &br() &br() &br()(‘д‘⊂彡☆))Д´)パーン -- 名無しさん (2015-10-29 20:41:06) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: